7月7日8日水口農場草取り(炎天下の田んぼでヒエとの戦い)
今年の水口田は、初期の機械除草に成功、草のないきれいな田んぼが広がっていた。しかし、それは表面から見た田んぼであって、中に入ってみると、特に稲とそっくりのヒエが結構生えている。ヒエは小さいうちは手ですぐ抜けるが、大きく育つと稲と同じくらいしっかり根を張り、なかなか抜き取ることができない。しかも稲の周りに張り付いて見分けがつきにくいこともあり、やっかいものだ。「小さいいまのうちにできるだけ取っておきたい」という水口さんの要望に応えて、2回目の援農出動となった。
水口農場オーナーの永井良子さん他4名の計5名がメダカ車で、別途茂木町から入った國井孝昭さんと今回は6名の援農隊。到着早々は、軽く足慣らし?で、屋敷前の田んぼへ。ここは田植えイベントで参加者の親子連れたちが植えた田んぼ。田植え後は苗の畝が曲がっていたり、大丈夫かな〜と不安であったが、どうしてどうして立派な苗が育っていました。「いい田んぼになりましたね」と感心しながら畝間を歩いていくと、途中からコナギ、クログアイ、そして一番問題のヒエが見えてくる。手除草しては草の束を埋め、またとっては埋めていく。軽い足慣らしにしては、結構な重労働?1時間程度で上がって昼食の時間。午後は、めざすヒエの田んぼが待っている。
昼食の後、エネルギーを蓄えるために午後2時まで一休み、思い思いにお昼寝タイム。この間、数日前に家の前の田んぼで撮ったという、卵を守っているタガメのオスの写真を水口さんが見せてくれた。無農薬栽培の田んぼだからこそ、こうした希少生物も繁殖できる環境ができる、そんな環境を守って稲を育てる農家をやはり応援しなければ、という思いが改めて湧いてくるのであった。
「さあ、2時になったぞ〜、出かけるぞ〜」の掛け声で一斉に車でしゅっぱあ〜つ。縦100メートルほどの田んぼは、さほど大きいとは思わなかった。前回入った130メートルの田んぼが反対側にあっただけに、「楽勝!」という声が出たほどだ。十数名が横一列に並んで田んぼに入る草取り隊は壮観だ。草もコナギが散見する程度で比較的足取りは軽く?進んでいく。
「機械除草の効果がありますね。」と話しかけると、水口さんは「いやいやこれからですよ。入り口はあまりないけど、真ん中辺がね〜」と言葉を濁す。やがて水口さんの言う真ん中辺に差しかかると、、、、。「あっ、ヒエだ。ここにも、ほらこっちにも、稲にまとわりついてる。あるある、稲と稲の間を埋め尽くすように、ヒエの密集地帯だ!」かくして1歩進むごとに両手いっぱいのヒエの束、取っては土に埋めるが、1歩ごとに埋めていくので遅々として前に進まない。
「腰を伸ばしながらやってくださ〜い」という水口さんの声に、あちこちで立ち上がっては腰を伸ばす。かがんではヒエを取り、土に埋める。この作業を繰り返すうちに、5時の時報を知らせるメロディが聞こえてきた。「さあ、今日はこれまで、上がりましょう」の掛け声を待つまでもなく、一斉にあぜ道の方へ歩いて、地上の人となってほっと一息だ。残りは明日作業にすることにして、引き上げた。
温泉で汗を流した後、夜はカツオ尽くしの大晩餐会?築地市場で仕入れた5kg超のカツオ1本(写真参照)を、刺身とワラであぶったたたきに、血合いの部位はしょうが、にんにく、大葉を刻んでたたき、味噌をまぜあわせてナメロウに。あらは味噌仕立ての潮汁。たたきはしょうゆでなく塩を振りかける塩たたきだ。これに水口さんご手製のどぶろくが振る舞われ、大いに盛り上がった晩餐会であった。
2日目は、朝飯前の除草作業を敷地前の田んぼで終え、再び昨日取り残したヒエの田んぼへ。「真ん中辺にヒエが集中してるからよろしく」という真ん中は、本当に密集そのもの。稲の畝と畝の間にもう1本のヒエの畝ができて、それが延々と続いている。稲株と稲株の間にもヒエがあり、つまりヒエだらけの中に、それでも稲はガンと自己主張するように根を張っている。1回腰をかがめて両手でヒエを抜くともう両手は束ねきれないほどいっぱいになる。両手いっぱいの束なのでとても埋めきれない。仕方ないから、真ん中辺からタオルを絞るように絞って、根の部分と葉先の部分に分け、埋めないで水の上に置いていく。1歩進むごとにこの作業の繰り返し。ヒエの密集地帯からの脱出は絶望的だ。そんな時、救いの声が聞こえてきた。「一休みしましょう。スイカを持ってきているので、上がって食べましょう」ー水口さんの大きな声が天から響いてきたように思えた。
切ったスイカにそれぞれかぶりつく。適度な塩味がついてうまい!水分補給にはもってこいだ。梅雨の休みで太陽が容赦なく降り注ぎ、汗もかいて脱水状態の身体には、何物にも代えられない贈り物だ。しばしの休息の後、生き返った体で、「よ〜し、もう一働きやろう!」と勇んで再びヒエの密集地帯へ。取っては千切り、取っては千切る作業が炎天下の田んぼで1時間も続くと、もうへとへと。「さあ、お昼だから上がりましょう」と水口さんの声にほっと救われる気持ちと、いや、まだ取りきれてないという未練が交錯して作業は続けるが、体は次第に畔の方へ向かっているのだ。「この田んぼをやりきるには、あと半日は必要だね」の観測に、みな納得の表情で車に乗り込んだ。
シャワーを浴びてお昼ご飯。今回は冷汁にソーメンという真夏の献立。火照った体には最高の食事だ。あの過酷な草取りは、援農の私どもはたま〜にの作業、毎日の水口一家はいくら慣れているとはいえ、へとへとのはずだ。
「この草取り作業はいつまでやりますか」の問いに、「穂が出る前、田んぼに入れるうちは、あきらめるまでやりますよ」「じゃあ、まだまだですね。では、もう1回援農隊で来ますか」「本当!そりゃ助かるね」と、途端に水口さんの顔が明るくなった。というわけで、来週、3回目の援農隊出動を約束して帰途の車に乗り込んだ。(報告:根本伸一)