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活動報告

2014年7月22日

7月19日20日大地の再生講座(山梨県白州町)

2012年の8月から矢野智徳さんの指導の下、メダカのがっこうの理事、向山邦史さんの五風十雨農場の改善ワークショップを始めて2年。矢野さんは「杜の園芸」という会社をされていますが、矢野さんいわく「杜」とは人間が大自然の神様からお借りした里山で、汚さず傷めずに使うことを約束した場所だということです。その約束を実行するのに必要な技術を研究し施工しているのが矢野さんです。この「杜の土木」と対極をなしているのが、砂防ダム、護岸工事、U字溝などのコンクリートを大地に差し込む土木です。これらは人間の体の血管を押さえつけるように、大地の通気・通水を遮断し、滞った空気は有機ガスに、滞った水はヘドロに変化し、木の根や草の根を弱らせ、斜面を乾燥させ、大規模な崩落の原因になるのです。しかし私たちが山梨県白州町の五風十雨農場という小さな1点からの改善を始めたところ、この大地は息を吹き返し、枯れかけていた大木は元気に、埃っぽく枯れた水路は清流に、ぬかるみは草原に変わってきたのです。しかしここまで来て自然は勢いをつけて原野に戻そうとしているので、今回は人間が手綱を引くためのメンテをすることになりました。地球の世話は、定期的なメンテが必要なのです。そのうちの3つを紹介します。
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①写真は五風十雨農場までの道で、雨と車の轍の跡がひどく埃ぽかったのですが、ツボに当たるところ数か所の水切りだけで、くぼみに土砂がたまり、道脇に生えていた荒根の草から背の低い細根の草が帯のように生えるようになったところです。道も埃っぽくなくなりました。矢野マジックと言えると思います。
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②写真は、斜面の草刈りの方法ですが、左は植木を残して地面が見えるほど短く草を刈ってしまったところ。これだと強い夏の太陽の下、植木も土にも厳しい状況になります。右は風がやったレザーカットのように、強く高くなる部分を撫で切りにし、風が通るようにし、全体の風合いも考えた草刈りです。
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③写真は自然水路の通りをよくするように、自然の蛇行と等速の水の流れを復元する作業をこの2年していたら、沢風が復活し、かちかちに乾いていた沢の斜面はしっとりと柔らかくなり、シャベルを立てるとサクッと入るようになったところです。白い根は藤の根っこで、乾いていた時に斜面を支えるという役目を果たしてくれていたもので、この藤ヅルに絡まれていたコナラは弱っていましたが、今や形勢は逆転、コナラが元氣になり藤ヅルの勢いが止まりました。
大地の再生講座はこれからも続きます。地球に住まわせてもらっている私たち人間です。地球の世話の仕方を勉強して作業に加わりませんか?
現状を知れば知るほど、大地が呼吸できずに苦しんでいることがわかり、絶望的な気持ちにもなりますが、一つでも改善作業の成果が見えると途端に希望がわいてきます。「風の谷のナウシカ」で怒り狂ったオウムの真っ赤な目がある1点からブルーに変わり全体に広がっていく感動的な場面を覚えていますか? オウムの暴走は巨神兵という大きな力でも止められなかったのが、1つの命を群れに返すことで、大地との絆を取り戻すことができたのです。これが環境問題や農業問題や手におえなそうな大問題を抱えている私たちが持つべきイメージではないでしょうか。ご一緒にメダカのがっこうと歩みましょう。(報告:中村陽子)