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中村陽子のコラム

2015年10月12日

日本人は昔から味噌という高機能サプリを持っている

味噌は中国から飛鳥時代に渡来し、日本で発展しました。 古代中国では大豆を塩蔵したものを「醤(しょう)」と言っていましたが、醤になる前の熟成途中のものがとてもおいしかったので、これが独立して味噌という食品になりました。ですから名前の由来は、未だ醤にならざるもの「未醤(みしょう)」から「みそ」となったと推定されます。しかし平安時代まではずっと貴族だけのぜいたく品でした。

鎌倉時代にやっと、日本食の一汁一菜という定番メニュー、穀類(玄米や雑穀)と味噌汁と漬物という型ができました。この時代は、それまで蒸していたお米を羽釜で炊く技術や、すり鉢で豆味噌をつぶして水に溶かし味噌汁にするという料理もでてきました。羽釜の鋳物技術やすり鉢の製造技術の向上とも深い関係があるのでしょう。室町時代に入ると、大豆の生産もさかんになり、農民も自家製味噌をつくるようになり、味噌は保存食として庶民に浸透しました。今伝わる味噌料理のほとんどが、この時代に作られたと言われています。

しかし、味噌力を最大限に引き出したのは戦国武将たちです。戦国時代の天下取りで最後に勝利したのは徳川家康でしたが、織田信長、豊臣秀吉など最強の戦国武将を生み出したのは、赤味噌文化圏です。赤味噌というのは、大豆と塩と水だけで造る豆味噌のことです。後に、発酵を早めるために米麹や麦麹が加えられて茶色の味噌や白味噌が考え出されましたが、大豆100%で造られる赤味噌は、米麹や麦麹が入った味噌に比べて栄養分が豊富です。

特にストレス軽減作用があり「幸せホルモン」と呼ばれている神経物質セロトニンのもととなるトリプトファンが豊富に含まれています。つまり、赤味噌を食べると、セロトニンの効果で心が落ち着く一方、気持ちが前向きになり士気が高まります。その上、脳の機能を活性化させるレシチンが含まれており、迅速で冷静な判断ができます。さらに疲労回復や免疫機能強化に効果のあるアルギニンも含まれており、丈夫な体が維持されます。心身ともに強くなければ生き残れなかった戦国武将が味噌力の証明してくれています。

武田信玄は、「陣立て味噌」と言って、大豆を煮てすりつぶし、麹を加えて丸めたものを持ち歩くと、行軍をしている間に発酵が進み、味噌として食べることを考案しました。陣立て味噌は非常に実用的で多くの武将が行っています。ここで大豆に麹を加える味噌が登場するのですが、これは発酵を早めるのが主目的です。また味噌は最高に体によい塩分の摂取方法です。信玄が支配する甲斐や信濃には海がないため、塩分の備蓄としての意味も重要でした。信玄は大豆の栽培と味噌造りを奨励しました。これがのちの信州味噌です。

伊達正宗も軍事用の兵糧としての味噌を重視しました。彼は仙台城の中に、「御塩噌蔵」と呼ばれる味噌の醸造所を作り大規模に製造しました。これが日本初の味噌工場だと言われています。伊達正宗の味噌は、豊臣秀吉の朝鮮出兵のとき、夏場の長期戦にも腐らなかったことで有名になりましたが、これがのちの仙台味噌です。仙台味噌の特徴は、麹の割合が少なく豆味噌にちかい赤味噌です。

味噌力の本領発揮はこれからです。味噌は放射線から体を守ります。長崎に原爆が落とされたときに、爆心地から1.8㎞にある病院で治療にあたった秋月辰一郎医師や看護婦やスタッフの中に一人も原爆症出なかったのは、わかめの味噌汁と玄米などの総合力だと言われています。その当時この病院は味噌・醤油の貯蔵場所になっていたそうです。薬は何もなくても、最高の機能性食品が貯蔵されていたわけですね。

この味噌の力を科学的に研究した広島大学名誉教授の渡邊敦光博士によると、放射線を浴びせたマウスに味噌を与えると細胞の再生能力が上がり寿命が延びることがわかりました。しかも熟成がすすんだ褐色の濃い味噌ほど効果があるのです。その正体はメラノイジンという褐色の成分で、豆味噌、赤味噌などに多く含まれており、米麹や麦麹の割合が多い淡色味噌や白味噌には少ないようです。本物の醤油の褐色もメラノイジンなので、醤油も同じ効果が望めるはずですが、最近の速嬢造りでカラメル色素で色を付けたものは当然ながら効果はありません。渡邊博士の研究だと、味噌はこの他に、ほとんどの癌や脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病、肥満、便秘などから体を守る多機能の高機能食品だということです。

ところでここで問題が出てきました。現代の味噌は、本来の味噌の機能を持っていない商品がほとんどなのです。今スーパーに並んでいるの味噌は、酵母が生きているとパッケージが膨張して返品になってしまうため、加熱処理や醸造用アルコールにより殺菌してしまうのです。また「だし入り味噌」もだめなのです。味噌の酵母が生きているとだしの旨味を菌が分解してしまうため、殺菌しなければ旨味を維持できないのです。味噌には加熱処理の表示義務がないため、消費者にはわかりません。しかし商品として並んでいる限り、処理をしているものと考えた方がいいです。

生きている酵母や酵素が有効な成分を腸に運び、健康な細胞を再生力を高めるのですから、味噌は生きたまま摂ることが大切です。殺菌、殺虫、消毒(施毒)の世の中になり、殺菌された味噌でなければ流通にのらなくなってしまったのです。味噌本来の高機能をもった生きている味噌を食べたい人は、メダカのがっこうの自給自足くらぶで、命を優先する農家と一緒に原料から無農薬・無添加で我が家の1年分を作りましょう。今年造らなかった方のために、5㎏樽、10㎏樽の販売もしています。