自給自足を考えるこわ〜いお語
今回は、突然食糧輸入がストップしたと想定して、ある一家の様子を物語にしてみました。
あっパスタがない
ある日曜日、子どもたちが「おかあさん、お腹がすいたぁ」と言うと、「じゃあ、パスタでも食べましょうか」とおかあさん。すると、パスタがぱっと消えました。あれっ。「じゃあ、パンにしましょう」すると、パンも消えました。あれ、あれーっ。「困ったわねー。じゃあごはんとお味噌汁にしましょう。」すると、お味噌がぱっと消えました。あれ、あれ、あれーっ。
「それじゃ、スーパーに買いに行きましょう」とおかあさん。2人の子どもとスーパーへ行くと、パンの棚は空っぽ、ジュースの棚も、冷凍食品の棚も、パスタや麺類、粉類の棚も、お醤油やお味噌や油などの調味料の棚も、みんな空っぽです。
「あっ、あそこに人だかりが」。行って見ると、有機野菜が出されると同時に売り切れていました。近海の魚貝類も、あっという間に売り切れ。「どうしたのかしら」
輸入ストップですって。
すると、そこに貼り紙が、何々。「ただいま、輸入食品が入ってこないため、ほとんどのものが品切れになっております。お客様には、大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、今のところ輸入再開の見通しは立っておりません。現在ある農畜産物も、化学肥料や農薬の原料、畜産の飼料が入ってこなくなるため、生産量が減少すると思われます。今後、回復の兆しが見られませんので、皆様、どうぞ各自で対策を立てられることをおすすめいたします。」
おばあちゃんちへ行こう!
「わぁー、たいへん! じゃあ、おばあちゃんちへ行きましょう。」とおとうさんが車を運転して1時間余り、田舎のおばあちゃんの家に着きました。
「おばあちゃん、こんにちはー、どこー」。「畑だよー」見るとおばあちゃんは、畑から小松菜や、ネギを収穫していました。「よく来たね。お腹すいたでしょ。いっぱい食べるといいよ」 おばあちゃんは、ごはんと野菜いっぱいの味噌汁と根菜類の煮物、小松菜のお浸し、ネギ味噌、たくわんを出してくれました。「おいしい!」みんなお腹がすいていたので、たくさん食べました。
みんなお腹がいっぱいになって、少し落ち着いてきたので、お茶を飲みながら都会での出来事を話しました。「それは大変だったね。でも田舎も実は大変なんだよ。家でもおじいさんが生きていた頃は田んぼもたくさん出来たけど、今では自分で食べるだけの面積にしてしまった。畑もあちこちに結構広くあるのだけど、自分の体力を考えると、家の前の狭い畑しか出来ないんだよ。」と寂しい話を始めました。そういえば、おばあちゃんの家に来る途中、作ることを止めてしまった田んぼや畑が結構ありました。この近くの農家も、どこも後継ぎがいなくて、みんな同じような事情のようです。
話には聞いていたけれど、都会での忙しい毎日の生活にまぎれて、ちゃんと見ていなかった田舎の様子に、みんな愕然、これからのことを話し合いました。
おばあちゃんに教わって、田んぼや畑を復活しよう!
都会には食べるものがなくなった今、おばあちゃんの田んぼや畑は、唯一食料が手に入る場所です。とにかく当分の間、おばあちゃんに教わって、みんなで田んぼを復活してお米を作ったり、畑で野菜を作ったり、味噌や醤油や漬物やたくわんを作ることにしました。おばあちゃんは、教えることが山ほどあるので、大変だけど大はりきり。
メダカのがっこうは、2009年に自給自足くらぶを作りました。こんな日のために、どんな準備をしておいたらいいのか、いくつか提案します。
1、まず我が家のお米を1年分確保しましょう。
①この物語の一家のように、田舎に田んぼや畑がある場合は、今のうちに放置されているところを復活して、お米や野菜を作りましょう。週末に田舎に出かけて働くだけで、結構出来ます。何でも作れる師匠がいる幸せな方は、今のうちにその技術を受け継いでおいてください。
②農地に縁がない場合は、メダカのがっこうの花まる農家から直接1年分のお米を契約して確保してください。お米の量が確保できるグリーンオーナー制がいいでしょう。これでも十分生きものの生息環境を復活できます。また、全てを農家任せにせず、出来る限り出かけて行って、農作業の効率よい動きをマスターし、次世代の日本人に教えられる人になるつもりで、しっかり手伝いましょう。
2、野菜、調味料、漬物、その他の加工品を作れる人になりましょう。
①メダカのがっこうは、微力でも食糧生産の働き手になろうと、会員である有機農家の援農ボタンティアを始めました。かれらは自然栽培でおいしい野菜を作るすばらしい師匠です。野菜作りのほかにも、味噌、梅干、漬物、などいろいろな師匠がいるので、各地で自給自足くらぶの体験教室を開きます。どうぞご参加ください。
②2009年メダカのがっこうは、お醤油作りに挑戦して大成功したので、今年はメダカのがっこう理事である向山さんの五風十雨農場(山梨県白州町)で醤油造りをします。3月に仕込んで、12月に搾る計画です。こちらもご参加ください。
3.自給自足の食材で、おいしく健康になる食べ方を勉強しましょう。
①春夏秋と年3回行なっている若杉友子先生の野草料理教室は、野草の食べ方だけでなく、日本人の食の建て直しがテーマで、食べ方の基本が学べます。
②神田神保町おむすび茶屋と、その夜の部「若杉ばあちゃんの台所」は会員農家の在来種で作った有機野菜を、砂糖と添加物を使わず、手作り味噌、手作り醤油で料理しています。参考になさってください。
皆さん、今年は自分の食料を作るために、時間を作って働いてみませんか? 身体は大変でも、仕事の質と使う頭が全く違うので、リフレッシュすること請け合いです。