「仮想鎖国計画」で自給自足ゲームを始めよう
●おむすび茶屋1周年で次の段階への提案
おむすび茶屋メダカのがっこうは、おかげさまで1周年を迎えることが出来ました。みなさまのおかげでこの1年、佐渡、大田原、香取、郡山の4ヵ所で、合わせて1町1反(1.1ヘクタール)の生きものいっぱいの田んぼを支えることが出来ました。本当にありがとうございます。
メダカのがっこうは、米はもちろん、塩、大豆、味噌、醤油、野菜など、仲間の作った材料で、仲間の持っている技術で作ったものを出しています。この方向をさらに推し進めるために、今年から「仮想鎖国計画」を始めようと思います。この国で手に入るものだけで生きていこうとした時、江戸時代のように素晴らしい技術やシステムが生まれるのだと思います。私たちと一緒に、“自給自足ゲーム”をしませんか?おむすび茶屋のように、それを実現する舞台を増やしていく計画です。何を食べたらいいのか、どうしたらその体勢を整えることが出来るかは、これからメダカのがっこう自給自足クラブが提案していこうと思います。
●自給自足の先生、キューバに学ぶ
キューバは、ソ連崩壊と同時にアメリカの経済封鎖を受けました。そのときの食糧自給率は40%、今の日本と同じくらいです。さて、まず石油が入ってこなくなると、農業にとって、化学肥料や農薬が作れないので、環境のためではなく、生きるために有機農業に切り替えざるを得なくなりました。日本の戦後のように、国会議事堂の前まで畑にし、土という土を活用し、都市農業をすすめました。
またエネルギーも当然ないので、馬車、自転車、風力、太陽電池などの自然エネルギーに切り替えました。また医薬品も作れないので、ハーブ療法などの自然医療や、東洋医療に切り替えました。そして、強い指導力の元、みんなで栄養失調になりながらも、餓死者を出さずに乗り切りました。このキューバを自給自足の先生として学び、すっかり平和ボケしてしまった私たちの危機管理能力を個人レベルで磨いていきたいと思います。
●自給自足というものさしを持つと・・・
キューバを見ればわかるように、自給自足を旨とすると、わざわざ農薬化学肥料や化学薬品を悪者にしなくてもすみます。もともと日本にあるものだけでは作れないのですから、自然にすべてが、有機栽培無農薬になります。また、小麦の大量輸入が元素の大移動でお互いの地球環境を壊すと、警鐘を鳴らす必要も無くなります。身土不二、地産地消が当然になるので、人と自然が一つになり、判断基準が限りなく「命の視点」に近づきます。
また、自給自足のものさしを持つと、素晴らしく見えることと、かっこ良く見える人が変わってきます。お金が基準の長者番付ではなく、自給自足番付を始め、日本のモノづくりの智恵を持っている人たちが先生として尊敬し、みんなでその智恵と技術を受け継ぎましょう。幸い、私たちの先祖は、江戸時代に素晴らしい技術やシステムを築いてくれているので、温故知新の精神で現代風にアレンジし、実践に移したいです。世界に誇れる先祖がいてくれたことに、今更ながら感謝です。
●自給自足への道をゲーム感覚で楽しもう
現実に外国から石油や食糧が入ってこなくなったら、私たちは死ぬかもしれません。ですが、「仮想鎖国計画」を先取りすれば、ゲーム感覚で楽しく真剣に頑張ることができそうです。厳密に考えると、鉄鉱石も石油もない国なので、農業機械、輸送車、燃料などは自給できず、メダカのがっこうのお米さえ自給率100%ではありません。この点を忘れずにおきながらも、まず仲間の農家が農薬や化学肥料を使わずに育てた米や野菜、日本の自然海塩、仲間の技術で作った調味料や加工品なら、一応自給率100%とするルールはどうでしょう。自家採種せず毎年種を買う場合は、日本の種会社はほとんど外国資本なので、危機管理からすると安全保障はされませんね。この場合の自給率はどうしましょう。家畜の肉や乳製品の場合も、飼料に輸入品が入っている場合は、その割合を引いたものが自給率でしょうか。悩んでしまいますが、ゲームのルールなので、一応決めなければなりません。一緒に考えてくださいね。
●自給自足のバイブルがこの3月に出版
また、この時期にタイミングを合わせたように、自給自足のバイブルともいえる本がこの春出版されます。メダカのがっこうの理事である高草洋子さんが3年以上かけて取材、構成してくれた「若杉友子の野草料理教室」がいよいよこの3月に自費出版されるのです。メダカのがっこうが長年続けてきた若杉友子さんの野草の勉強は、食すだけでなく、医者のいなかった時代の智恵を生活に活かす勉強なので、今まで以上に必要となると思います。
とにかく、生きるのに重要な部分は人任せにしないことが大切です。外圧に弱いこの国がエネルギーも食糧も飼料も塩も、自給を目指さないのは明白ですから、私たち一人ひとりが賢くなって、自給率を上げていきましょう。