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中村陽子のコラム

1999年3月18日

地球の力

 凄まじい地球の力を見てきました。それは「ハザカプラント」と言う、全ての有機物を、空気と水と、ほんの少しの土に還元してしまうシステムです。
 幅3m、深さ2m、長さ100mの溝の入り口に、畜産関係の臓物や骨などの死骸、糞尿や生ごみなどを投入すると、1日1回撹拌しながら前のものを後ろに4m移動する間に、バクテリアによって分解され僅かな土になってしまうのです。


 自然界では何年もかかる、分解という循環の部分を、25日間、100mにギュッと短縮したドームの中は、地球の創世記を想像させるようなガスと水蒸気の立ち込めるバクテリアの独壇場で、タイムトンネルのようでした。
 終点に出来る還元された土は、種を蒔くと芽が出るミネラルバランスの良い土で、それは投入するものが異なっても出来る土のミネラルの種類や量は、殆ど変わらないそうです。あらためて植物も動物も命あるものは全て水と空気と土の化け物、地球の分身であることを実感しました。
 考案者の葉坂勝るさんのお話で印象深かったのは、ごみを処理するのではなく、土にお返しすれば良いのだと考え、堆肥の山を切り返してはジッと観察していたとき、ある部分の条件が、ある環境になったときにバクテリアがボッと湯気を上げて働き始める瞬間を目撃したとき、彼がいかに感動したか、と言うことでした。「私は人間に嫌われるより、バクテリアに嫌われる方が、ずっと恐ろしいです」とは、自然界の成せる技の凄さに触れ、畏敬の念を抱いている、本当の意味で謙虚で優しい人の言葉に聞こえました。
 葉坂プラントの見学者の中で、バイオの専門家ほど、このバクテリアの働きが信じられず、何か特別な菌をいれているのではないか、何か隠しているのではないかと疑うそうです。現在、この100mのレーンで起こっていることを後追い調査研究しているところだそうですが、今までの知識で理解できない自然の働きを認めないような未熟な科学崇拝を止めて、自然の働きのすばらしさを知ることが科学の目的になれば良いと思います。
 そうすれば、何が地球の邪魔になるのか、どうすれば循環の働きが促進されるのかがわかり、人間として良い働きが出来ると思うのです。太陽は毎日大気中のダイオキシンを分解し、植物は地中のダイオキシンを吸い上げ光合成で無害化し、土をきれいにしてくれています。
 たった今、ダイオキシンや毒物を出すのをやめ、殺菌除草を止め、草や菌を大切にすれば、この45億年間、どんな環境破壊も吸収してきた地球の力は、人間の計算など嘲笑うように、あっという間に地球をきれいにしてしまうでしょう。