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中村陽子のコラム

2008年11月3日

無農薬・生物多様性の農業こそが平和の礎

減農薬という言葉に気をつけて
「悪魔の農薬、ネオニコチノイド」船瀬俊介著という本が三五館から出ています。神経を冒す恐ろしい農薬で、世界で一番使っているのが日本だそうです。中国やベトナムからの事故米などで、驚いている場合ではありません。農薬について言えば、日本は、金額ベースで、世界中の農薬使用と半分を、この狭い国土にまいているのです。
減農薬という言葉には、気をつけて下さい。実は減農薬というのは、薬の種類や回数を半分にすればいいので、一発で済むように強くて長く効く農薬を使うのです。こちらの方が、生態系を壊してしまうという古川農業試験場の研究もあります。
このネオニコチノイドの成分が入っている農薬は、殺虫剤として普通に使われています。特に危ないのは、稲の穂が出始めてから撒くカメムシ防除のダントツという農薬です。
数年前、メダカのがっこうの花まる農家で岩手県の水沢江刺にいる農家から電話がかかってきたことがあります。彼の周辺で、ラジコンヘリによるカメムシ防除をした後、大量にミツバチが死んだり、体の大きなアオサギが口から血を吐いて死んだという内容でした。彼は大変だと役場に駆け込んだのですが、相手にされなかったそうで、メダカのがっこうにこの事実を広く知らせてほしいと言ってきたのです。
ラジコンヘリというのは、無農薬を希望する田んぼに、空散(空中散布)といってヘリコプターから農薬を撒くことを止めて、農薬を希望する田んぼだけに撒く方法で、空散より数倍濃い薬を撒くので、危険度が増してしまうのです。
「沈黙の兵器」、食生活が戦場
ネオニコチノイドの影響で、アメリカでは、ミツバチがいなくなったそうです。「沈黙の夏」が来ています。日本でもミツバチがいるのは都会ばかりで、田舎に行くほど、生きものが棲めない環境になっています。
また最近、遺伝子組み換え作物で食糧増産を促す呼びかけがアメリカから日本に来ています。虫の付かないように遺伝子操作されたトマトや大豆の葉を食べた虫は、数分でコロッと死ぬそうです。これを人間の食べ物だと思いますか?
日本は平和に見えますが、あらゆる食物の中に農薬や甘味料や添加物などの「沈黙の兵器」が隠されています。ボヤッとしていると、難病奇病、うつ病、原因不明の病気になり,殺されます。虫のようにコロッといかないだけです。日常の食生活がまさに戦場なのです。
どうぞ、農薬について、調べてみて下さい。減農薬は、無農薬への途中段階というイメージがありますが、まったくつながっている世界が違います。無農薬は生物多様性の平和な世界に、減農薬は農薬を使う農法と同様に生態系破壊の世界に繋がっているのです。