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中村陽子のコラム

2016年2月20日

遺伝子組み換え作物に対するメダカのがっこうの考え

 遺伝子組み換え作物とは何か? 倫理上の問題、生物的な問題、自然観、生命観の違い、目指しているところが何なのか、どういうメリットがあると言われているのか、どのような害があると言われているのかなどを調べ、メダカのがっこうの見解をまとめてみました。
 この問題は、関心のある人たちはとても詳しくて、関心のない人たちは全く何も知らないようです。

●自然にありうる交配や自然のスピードをはみ出した品種改良が、遺伝子組み換え技術
 昔からその地方の気候に合って、少しぐらいの悪条件があっても収穫出来て、おいしい米の品種改良には、日本人は熱心に取り組んできました。それは厳しい寒さや、台風などで全滅した時などに、たった数株実った種から育てた品種だったり、偶然と観察力と地道な育種によってなされてきました。その次に交配という技術が、そのスピードを速めました。私たちはずいぶんその恩恵にあずかっています。
 しかし1996年ごろから表に出始めた遺伝子組み換え技術は、超スピードで作物の形質を変える品種改良ができるようになりました。しかも遺伝子組み換えの範囲は植物間を超え、植物、動物、菌の世界を跨いでも組み換えが行なわれているそうです。また、植物だけがいじられているのではなく、家畜もあまり知られていませんが、いじられているようです。想像するのも気持ち悪いですが、骨付きもも肉をたくさんとるために、足が何本もある鶏もつくられているとか、人間の都合で化け物にされた動物たちがいるようです。
 これでは単純に科学の進歩と喜べません。原子力の場合と同じく、すごすぎる技術を何のために人間が使うか、地球上の生きものたちの幸せのために使うか、はたまた一部の人間の利益のために使うか、という倫理上の問題です。

●遺伝子組み換え作物が世界を席巻、日本は大輸入大消費国
 そうこうしているうちに、2014年の数字では、遺伝子組み換え作物の栽培は、アメリカ、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、中国の五ヵ国を中心に全世界に広がり、大豆の全生産量の82%、綿は68%、トウモロコシは30%、カノーラ(セイヨウアブラナ)は25%が遺伝子組み換え作物になっています。日本は米以外の穀類はほとんど輸入に頼っていますが、その50%以上は遺伝子組み換え作物で、大口の消費国になっています。
 遺伝子組み換え作物が最初に商品になったのは、青いバラや青いカーネーションなどの花卉(かき)で、日本も2009年から栽培するようになりました。次に家畜の飼料と食用の作物の栽培が始まりました。

●遺伝子組み換えの目的とはかけ離れた現実
 作物の遺伝子改変の目的は、主に2つ。①雑草を枯らすための除草剤を撒いても枯れずに育つ除草剤耐性を作物につけること、②作物についた虫や病原菌が死んでしまう病虫害耐性を作物につけることです。これにより、除草剤の使用量と殺虫剤の使用量が減ることが、環境に良いというわけです。ところが、雑草もやられっぱなしではありません。数年でその除草剤に枯れない耐性を身につけた耐候性雑草が出現し、除草剤のさらなる改変や強化を余儀なくされ、その毒性はベトナム戦争で使われた枯葉剤に近づいていっています。
 また、除草剤の使用量は一度は減るかもしれませんが、耐候性雑草の出現は想定外の出来事で、除草剤の使用量は減るどころか増えているそうです。この悪循環は草も虫も幸せにはしません。耐候性を身につけた草を食べた幼虫が死ぬなどの環境破壊の事件が起きています。一度遺伝子の中に殺しの情報が入ると、不幸な連鎖が始まってしまうのだと思います。
 遺伝子組み換え作物を一番たくさん摂っているアメリカでは、その葉っぱを食べた虫が死ぬという病虫害耐性作物が原因で、ほ乳類には無害と言われ、安全性が確認されているはずにもかかわらず、胃腸障害が時を同じくして急増しているようです。
 これは飼料用作物においても同じく起きています。遺伝子組み換え飼料を食べた家畜たちは病気になりやすく弱いので、畜産農家にとって宣伝通りの順調な収入アップにならないようです。
 草も虫も家畜も幸せにしない遺伝子組み換え作物は、農家も不幸にしています。その最大の原因は、種を毎年買わなければならないということです。種とセットになっている農薬の費用を借金し、追い込まれて自殺する農家が多くでているようです。

●メダカのがっこうの見解
 ES細胞や遺伝子医療技術など、基礎医学の進歩は否定するものではありませんが、こと食に関しては人間の都合だけで行われている遺伝子組み換え作物は、みんなを不幸にしているように見えます。
 メダカのがっこうとしては、遺伝子組み換えに限らず、F1種や、BLコシヒカリなどの農薬とセットになった上に自家採種を許さない技術は支持しません。種を採って自由に播くことが食の防衛のもっとも大切な砦だからです。
 また遺伝子組み換えに限らず、種の由来、使った農薬、肥料、添加物などを、多く使った順に表示する義務付けをお願いしたいと思っています。現在、遺伝子組み換えの大豆の表示義務は、豆腐や納豆や味噌にしかありません。醤油や油は外されています。これは遺伝子組み換えの改変はタンパク質の形に現れるので、たんぱく質がない醤油や油は表示義務がないのです。
 それから、アミノ酸、アミノ酸液、たん白加水分解物などの旨味添加物の原料である大豆や、加工デンプン、異性化糖、果糖ブドウ糖液糖などの原料であるトウモロコシなども遺伝子組み換えであっても表示しなくてもいいのです。味噌や油の自給率が6%ほど、醤油に至っては0%の日本では、輸入大豆やトウモロコシ、小麦に頼っています。その中で遺伝子組み換えでないものは、味噌や豆腐に回されるので、あとは全部遺伝子組み換えということになります。表示がなければ遺伝子組み換え作物が原料と思ってほぼ間違いありません。
 私は遺伝子組み換え作物には殺しの遺伝子が組み込まれているので、たとえタンパク質が含まれていなくても、その情報を映したものは人を健康にしないと思います。命あるものを都合よく改変することは、化学薬品よりも怖いことです。それは、生きているものは思いもよらぬ変化をするからです。殺しの情報が入った遺伝子は、実験室の中と違い想定外の広がりを見せ、不幸の連鎖が始まる可能性があります。放射能漏れを起こしている原子炉のようなものです。

 私個人の見解ですが、遺伝子組み換えも原子力も今すぐ辞める決心をするといいと思います。しかしそうしたところで両者とも、汚染は続き、終息の見込みが立たない事柄であるという覚悟も必要です。ここで大切なことは、終息の仕事に携わる方たちに感謝と尊敬の気持ちを全員が持つことです。下層階級の汚い仕事のような印象を拭い去らなければ、この浄化作業をやり遂げることができません。もしやめる決心を国が出来たら、私は彼らの健康を守る食の提案と提供の働きをしたいと思っています。
 次世代に生きる環境と安全な食料に困らない日本を残せるような先祖になるという目標を持っているメダカのがっこうとしては、このような決心をして具体的に種を蒔くところから始める食糧生産に参加する仲間を増やしていく所存です。私は在来種の種蒔きと、この意識の種蒔きを毎日毎日、田んぼカフェでやっています。
 普段の生活でもご先祖様になることはできます。それは健康な体を作る食をこの社会に残すことです。体を弱らせる食品はどんなに便利で安くてもお金を使わず、強い体を作る食品や事柄にお金と時間を使うことです。買い物の選択は次世代に残すべきものへの投票ですから、これで子孫の健康を守る食品や事柄を残すことができます。皆様、電話をして私がいるかどうか確かめてから、田んぼカフェに遊びに来てください。お待ちしています。
 (田んぼカフェとメダカのがっこうの電話番号は、0722-70-6647です。)