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中村陽子のコラム

2016年10月20日

田の草フォーラムのことで頭がいっぱい

 田の草フォーラムは2004年、除草剤などの農薬・化学肥料を使わず、環境を取り戻す田んぼを作ってくれている農家たちの最大の問題である田の草=田んぼに生える雑草、この苦労を少しでも軽減したいという思いで、都市部の市民であるメダカのがっこうが始めました。あれから12年、かなりレベルアップした農家がある反面、まだまだ草に困り続けている農家もたくさんいます。そのわけは、草に困らない田んぼの原理原則は解っていても、実際の田んぼをその状態に持っていくことが難しいからです。

 この会のすばらしさは、自然農法センターや民間稲作研究所、有機農業研究会など団体の違いや、農家推薦、一人狼で俺流を探求している農家など、普通出会うことがないけれど、農薬や化学肥料を使わないことは共通していて、自然の摂理に添うことを大切に思っている哲学者から、その最短コースを探す研究者、草の性格や役割を研究する人、陰暦や星の動きなどすべてを味方にしようと熱心に探究している人たちが、一堂に会することです。

 草に困らなくなった田んぼのメカニズムは解って理解しても、いざ自分の田んぼをそのような状態にするにはどうしたらよいかは、なかなかわからないものです。寒冷地で湿地帯の成功例を、温暖地の湿地帯で行ってもダメだったり、乾田にもいろいろ種類があり、地下水が高いか低いか、土壌が粘土質か砂質かなど、様々な条件の違いが、マニュアル化を阻みます。

 また、どんなに見事な成功例でも、耕作面積が狭い発表者に、一目置く農家はあまりいません。狭い面積であれば自分の田んぼでもいくつかは成功しているからです。広大な面積で一定の水準以上の米作りをしている農家だと、耳を傾けます。しかし自分の田んぼと全く同じ条件の発表者がいない場合、やっぱり自分の田んぼは特別条件が悪いから無理だと、希望を持てないで帰る農家もいます。

 この12年間で、一番成長したのは私かも知れません。初め不耕起栽培で、土を全く耕さないと種が土の表面に出てこないから草に困らないと聞き信じていましたが、実際にはラウンドアップという除草剤を春先に使っていました。また冬水田んぼにすると、トロトロ層が出来て、草が生えないと聞きましたが、それは初めの2年ほどで、後は水の好きな水生植物が増えてしまうことがわかりました。その後も良いと思われる方法も、続けると効果がなくなり、その条件が好きな草が生えることがわかりました。結局、草の生える条件を数年おきに変えつつ、土づくりという王道を行くしかないのです。

 草はなんで生えてくるのか、知っていますか? 草は、その土の足りないミネラルを補うために生えてくるのです。カルシウムの足りない土には、スギナが生えてきてカルシウムいっぱいの体を作り、土になってカルシウムを補うのです。ですからスギナを全部抜いて畑の外に出してしまうと、いつまでも土づくりができないのです。

 ある発表者は、冬草田んぼをいう田の草対策を発表してくれましたが、それは、6月から10月までの米作り以外の田んぼに、出来る限り草を生やすというものでした。特にスズメノテッポウが一面に生えると、良い土と良い酵素が働いて、稲作時期に草が生えないそうです。しかしこの方法も寒冷地でも、湿地でも出来ないのです。

 無農薬のお米を作る人は、決して増えません。それは草取りの苦労が大変すぎるからです。佐渡でもトキの田んぼは増えません。1反当たり、農薬・化学肥料を使えば10俵収穫できるところ、3俵から4俵です。これでは3倍の価格で買っても追いつきません。

  いま私は、今度こそ全ての参加農家が、来てよかったと思ってくれるような田の草フォーラムにするには、どうしたらいいかと悩み、交渉し、アイデアを練っています。とにかく、草で困っている農家の役に立ちたいのです。

 今回はこの素晴らしい農家の方たちに、炭の話を聞いていただこうと思っています。田んぼ環境には、森や川や土を蘇らせる力がある炭を見直し、もっと炭を焼き、もっと活用するといいと思い、宮下正次さんをゲストにお招きし、講演していただきます。田の草フォーラムの参加農家たちは、環境を取り戻す田んぼづくりをしている方たちで、実際に炭を焼ける人もいて、話は早いと思います。理解者と実践者がいっぺんに増えると思います。

 日本の米作りの一番大きな問題に正面から取り組んでいる田の草フォーラム、命を優先する農家と力を合わせて、生きる環境と安全な食糧に困らない日本を次世代に残すために集まる清々しい勉強会です。思いを同じにする皆さん、一度つながりませんか?

日時:2017年1月28日(土)13:30開始、29日(日)11:55終了
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟402会議室、2日目101会議室
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