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中村陽子のコラム

2018年3月20日

本当に恐ろしいのは大自然の逆襲です

 3月20日衆議院第1議員会館で、日本の種子(たね)を守る会と共催で、種子を守る活動報告と、「種子 みんなのもの? それとも企業の所有物?」の初上映会を開催しました。

 種子の公共性と食糧主権を守る議員立法を求める署名は3月19日現在で128580筆、国への種子法関連意見書の提出した地方議会は3月7日現在で35議会、県で主要農作物種子法の条例を採択したのは新潟県と兵庫県で4月1日施行の予定、ほかに5都道府県と中国地方知事会が何らかの措置を取っているという報告がありました。

 メダカのがっこうも事務所を置いている武蔵野市で国に意見書を提出してくださいという陳情をしています。現在、議員さん方の働きによって6月の本議会で採択に向かって動いています。

 種子法廃止は、市議会議員も知らない人が多いほど、認知されていません。多くの人に知らせるのにとても良いアイテムとなるのが、今回上映した中南米で伝統的な種子の権利を取り戻したドキュメンタリー映画です。
 この映画は、まさに遺伝子組み換え作物に国土も家畜も人々の健康も経済も蝕まれてしまったところから、立ち上がって原種や在来種の栽培と自家採種、保存と交換の権利を取り戻していったものでした。それも国土の大半が遺伝子組み換え作物を栽培している中で、限られた地域で必死に種子の守り手が種を播き収穫し保存する活動していました。私にはとても勝ち取ったという状況ではなく、昔は当たり前だったことを、すべて奪われたので、一部取り戻したというもので、モンサントは攻撃の手を弛めてはなく、常に戦闘状態にあるように見えました。

 日本ではたぶんここまで露骨にしないだろうと思いますが、露骨であるがゆえに、モンサントのやりたいことがはっきりとわかりました。このまま私たちが何もしなければ、10年後に失うものが想像できます。

 4月1日種子法廃止になると、公共品種の維持管理力が弱くなり、多様性も失われていくところに、化学企業の開発した広域に適応した品種が入ってきます。少しずつお米の品種がF1種と遺伝子組み換え品種に入れ替わっていき、品種は単一化していくでしょう。農薬・化学肥料多投で国土は荒廃していくでしょう。農家は誇りある農場の主から契約で雇われたただの使用人になるでしょう。高濃度の残留農薬と殺虫性を持った毒の回った農作物を食した人々や子どもたちの頭や体はさらに蝕まれていくでしょう。10年後には頑張って守っているグループだけになってしまうかもしれません。農水省を経産省に統合し、農業を工業と同じ扱いにするのが国策なのです。 

 国民のほとんどが知らないうちに決まってしまった種子法廃止をきっかけに、世の中の仕組みを勉強しました。国会議員のほとんどが、そして国民のほとんどが願ってもいないことが決まってしまう理由がわかりました。

 でも、これは人間世界のことです。それよりもっと怖いのは、大自然の逆襲です。

 実は、遺伝子組み換え種子と農薬多投の農業はうまくいっていません。既に除草剤グリホサートで枯れない草が、さらに強い除草剤にも枯れない草が出ているのです。また殺虫性Bt毒素を持つ遺伝子組み換え作物を食べても死なない虫が増えているのです。日本でもカメムシ防除にネオニコチノイドという残留性の長い殺虫剤を撒いても効かなくなっています。カメムシが耐抗性を持ったからです。どんどん毒性を強くしても草や虫は耐抗性を持ちます。人間が負けるに決まっています。

 この農法は自然の摂理に反しています。やってはいけません。日本人ならみんなわかります。日本は今日までは優れた主要農作物種子法のおかげで、現在米の種子の自給率は100%です。今のうちに、みんなで気づいて、日本のあるべき農業を取り戻し、種子の公共性と国民の食の安全を守る議員立法を成立させましょう!! 

 それには、種子法廃止でどうなるのかを多くの人に知っていただくしかありません。このドキュメンタリー映画には、解説版がついており、今回の上映会で講演してくださった印鑰智哉氏が、本当にわかりやすく映像と図で詳しく説明してくれています。印鑰さんをお呼びしたのと同じ効果があります。上映会は誰でも開けます。メダカのがっこうに相談してください。