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中村陽子のコラム

2019年3月20日

今年も醤油を搾って、来年のもろみを仕込みました。

 3月の醤油搾りは、醤油組のみんなの楽しみです。あきる野の近藤醸造店に朝8時半集合で夕方5時ごろまでかかるので、とても大仕事なのですが、1年間醸造してきたモロミが、美味しい醤油に生まれ出る瞬間に立ち会うのはなかなか味わえない喜びです。近藤醸造店で搾ると言っても、ここで搾っていただくわけではなく、長野から手造り醤油の指導をしている搾り師さんに搾り舟と火入れの釜を持って来ていただき、搾っていただきます。みんなはそれを手伝います。長野では昔からある冬の風景です。

 楽しみの一つはここにたくさんの樽が集まり、いろいろな醤油を味わえることです。1年前にはみんな同じ原料の醤油麹を受け取ったはずなのに、1年間各家や各農場で醸造されたモロミは、色も水分量も豆の状態も違い、搾り出てくる醤油の色も味も違ってきます。搾り師さんは、このモロミがどういう環境に置かれていたか、温度が十分あったか、足りなかったか、モロミを樽の中で均一にするための天地返しはされていたか、醤油の要素は十分醸造によってできているかなどなど、モロミの状態から読み取ります。

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