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中村陽子のコラム

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2016年7月20日

炭の研究開始に当たり、3人の炭焼き名人に会ってきました。

 一人目の杉浦銀治(すぎうらぎんじ)さんは、大地の呼吸を取り戻すことを実践している「杜の会」の矢野智徳さんに、大地や樹木を生き返らせるために炭を撒くことを教えた方で、矢野さんのご紹介でお会いすることができました。
 彼は1925年愛知県生まれの91歳、宮内庁帝室林野局東京林業試験場(現・森林総合研究所)に入省、のちに農林省の林業試験場木材炭化研究室長を歴任。その間、炭の研究をつづけ、炭を使った土壌改良、環境改善型農業を世界中で指導。国際炭やき協力会会長、三河炭やき塾顧問、炭やきの会副会長。平成11年林野庁林政記者クラブ賞。25年吉川英治文化賞。著作に『炭焼革命-まちづくりと地球環境浄化のために』 『木酢液の不思議』 『炭の力』などがあります。

 彼は、炭の世界では知らない人がいない方で、活動は日本だけにとどまらず、JICAでアフリカやアジアで現地にあるもので炭焼き釜を作り、炭焼き指導もしてきた方です。
  『炭は地球を救う』の著者である宮下正次さんに炭を撒くことを提案した先生でもあります。竹炭の新野さんとは、ハワイの世界炭サミットで知り合って以来の友人だそうです。

 杉浦銀治さんは、私がお話しした梅干しの黒焼きに非常に関心を持ってくださり、「これを備長炭の窯で焼いてみましょう。和歌山の梅仙人という炭焼き名人と一緒に研究しましょう。もっといいものができますよ。私は一つこれをやってみたいと思っていたのです」と、今回の出会いをとても喜んでくださいました。

 二人目は、宮下正次さんです。彼のことは、舩井幸雄先生から『炭は地球を救う』というご本をお借りしてから知ってはいたのですが、メダカのがっこうの関係で佐渡に入った女性が、同時に佐渡での宮下さんの活動を支えていたご縁で、炭のことを教えてほしいと連絡をすると、宮下さんも私に会いたいと思って下さっていたとのことで、さっそく翌日百年住宅であるご自宅に呼んでくださいました。

 前日にお会いした杉浦銀治さんは、関東森林管理局がナラ枯れの本数ばかり数えていて根本的な解決に着手しないことに不満を持っていた宮下さんに対し、そればかりじゃだめだ、実際に炭を撒いて助けてやらなければ、とアドバイスをしてくれた恩師だそうです。
 宮下正次 (みやしたしょうじ)さんは、1944年8月22日群馬県みなかみ町(旧月夜野町)生まれ。現在71歳。元関東森林管理局勤務。「森林(やま)の会」代表・森びとプロジェクト委員会理事・日本熊森協会顧問をされています。
 また、スイス・マッターホルン北壁登攀。インドヒマラヤ・シャカルベー世界初登頂。ロシアパミール・コムニズム峰北面バロートキンルート登頂ほか、チロル・ピレネー・ドロミテなど多くの海外の山に登る登山家でもあります。日本と世界の森林衰退の実態調査や、南極・極渦圏の森林衰退の実態調査・研究、縞枯れの研究をはじめ、松林再生・松茸やナラ・広葉樹林復活にかかわり、幅広い活動をしていらっしゃいます。伝統軸組木造住宅を建築(金物を使わない、500年もつ家づくり)。著書に『こうすればできる100年住宅』『炭はいのちも救う』(共にリベルタ出版)。他共著も多数あります。

 お会いしてみると、宮下さんは、私と関心が広い範囲で重なり、活動の形は違いますが、ほとんど同じ自然観を持ち、実行している方だと感じました。高崎のご自宅は、炭素埋設をし、新月伐採の木材で100年以上もつように建てられた百年住宅で、昔の民家と見まごう立派なお家でした。敷地も数百坪と広く、敷地内にドラム缶の炭焼き釜があり、冬になると炭焼きをするそうです。庭には醤油のもろみ樽が置いてあり、メダカのがっこうと同じく岩崎洋三さんの「お日さま醤油」でした。アカマツ、ナラ、ウバメガシ、麻、マコモなどを様々な特徴のある食べる炭も研究されていました。麻の復活が必要だと思っているところや、楢崎皐月さんの静電三法を実践して畑に頂上針(おったて棒)を立てていること、新月の木国際協会にも設立当時から関わっていたこと、森山まり子さんの日本熊森教会の顧問をなさっていることなど、今までお会いしなかったのが不思議なくらい、人間関係も考えていることも近いと感じました。奥様のみどりさんもどこかでお会いしたことがある気がしましたが、若杉さんを通じて私のことをご存じで、神保町のお店に来てくださったこともあるそうです。

 宮下さんが行政の人から聞いた話によると、福島で表土15cm除染した土は、大きなプールに入れられ炭の粉を入れているそうです。こうすると、放射能が消え、放射能を吸った炭の方は菌が分解してしまうそうです。これを聞いて私は、国が炭の力を知って活用していることを知り、びっくりと同時に安心しました。炭は放射能汚染の大地も救ってくれるのです。
 ダメージを受けている樹への炭の撒き方を伺うと、その樹の枝の先端の下あたりのぐるりに撒くのですが、それが、幹から1mだったら10kg、2mだったら20kg、3mだったら40kg、4mだったら80kgと倍々の炭の量にするのだそうです。丁寧にするには、穴を掘って埋めるとさらに良いそうです。「弱った樹には炭は万能、失敗がない、困ったときの炭頼みだ」といおっしゃった言葉が印象に残りました。

 3人目は前回ご紹介した竹炭の新野恵さんです。彼は、メダカのがっこうのデトックス黒焼きカレーの微粉末の竹炭を提供してくれている方で、今回山口県宇部市の炭工房かぐやに行き、現場を見てきました。
 新野恵(にいの・めぐみ)さんは、1934年、新潟県刈羽郡二田村生まれ。サクセス・アイ代表。元々、電力会社のボイラー技師だった経験を活かして、独自の炭窯を開発。山口県で竹炭焼きを初めて約20年、すでに400以上の炭窯を全国各地に導入。さまざまな効果とポテンシャルの高い竹炭や竹酢を使用して多くの人に癒しと喜びをもたらすだけでなく、竹炭結界等をユニークかつ斬新な方法で、多くの方々の体調の乱れを調和し、結果的に本来あるべき良好な状態へと導かれたと、多くのリピーターが集まる。著書に『雲の上に木を植える~素朴なアルケミストたち~』(Eco・クリエイティブ刊)等多数あります。

 新野さんは、竹炭を焼き始めた第一人者で、竹炭のことを「ちくたん」と呼ぶのは、工業製品の燃料扱いなので、「たけすみ」と呼ぶと竹炭がとても喜んで働いてくれると話してくれました。ですから竹酢液も「ちくさくえき」ではなく、「たけす」と呼びます。意識の大切さを熱く語ってくれました。

 新野さんのお話しのなかに、院内感染の菌は、病院での抗菌・殺菌で居場所がなくなった菌が弱った病人につくしかないので起こす現象だから、この菌の住処を作ってやればいいと気が付いて、竹炭を置いたところ、解決したという話があります。
 ここで、炭がなぜ素晴らしいのかに改めて気が付きました。現代は都合の悪いものはすべて殺すことで問題解決しようとして、反対に問題が大きくなってしまうというのに、炭とは善玉悪玉の区別をすることなく、すべてに住家を提供し、すべてを生かすことで問題を解決するという愛の存在なのです。

 8月20日(土)11時から14時の「食とお米とその周辺の研究会」炭の研究J(その2)に新野さんが来てくださいます。竹炭や竹水も取り寄せます。ぜひ直接お話しを聞きに来てください。お食事はデトックス黒焼きカレーです。
お申し込みは、メダカのがっこうのホームページからどうぞ。

2016年6月20日

炭の力を体験しました。

●炭と放射能
 日本は、広島と長崎で原爆の体験をしています。しかし、ほとんどの日本人は、原爆を落としたアメリカを恨むことなく、立ち直り、平和で豊かな国を復興しました。誇りに思います。
 この復活の裏に、日本の食文化のすばらしさがあると思います。玄米とみそ汁で原爆症にならなかった日本人、原爆投下時に爆心地にいたのに、床下に貯蔵してあった梅干しばかり食べていたら原爆症にならなかったという人にも会ったことがあります。それと、焼けつくされた木造家屋の木材が炭化して炭となり、それが放射能を吸着して土地の浄化を速めたという説もあります。コンクリートの建物が多くなってしまった現代では、焼けても期待できない効果です。
 特別なものではなく、いつも食べていたものが窮地を救ってくれたなんて、ずっと住んでいた家の木材が焼けても役に立ってくれたなんて、考えてみると、日本の食住文化って、なんてすばらしかったのでしょう。
 チェルノブイリ原発事故以来、日本の味噌、炭などが、放射能の研究をしているロシアの科学者の研究対象になっているようです。ロシアで被爆した家畜に炭を食べさせたところ、その糞から高濃度の放射能が検出されたことから、体内の放射能排出に炭が役立つのではないかとの研究が進んでいるようで、日本に良い炭を探しに来たそうです。
 メダカのがっこうでも、3.11以来、否応なく放射能汚染にさらされている東日本の人たちに、放射能に負けない食事を提供していますが、その中でも、竹炭や黒焼き玄米茶や梅干しの黒焼きの微粉末をたっぷり入れた「デットクス黒焼きカレー」というメニューを開発しました。大量の炭を美味しく体内に取り込めるメニューで、排毒に効果大です。

●炭とイヤシロチ
 炭といえば、メダカのがっこう事務局と田んぼカフェがある我が家は、23年前、家を建てる前に、この土地をイヤシロチにするために、楢崎皐月氏の静電三法の炭素埋設をしました。家の設計図に従い、正三角形の3つの位置に直径1メートル深さ1メートルの穴を掘り、それぞれの穴に1トンずつの粉末炭を埋めたのです。これは、原因不明の病気になってしまった母と同居するために、住んでいるだけで元気になる家が建てたいと相談に行った舩井幸雄先生が、ご紹介してくださいました。おかげ様と感謝しています。先生は、炭素埋設のほかにも、足立育朗さんをご紹介くださり、この土地と調和するための2つのオブジェを設計していただいたり、正常な陽子電子中性子の図を108枚壁に埋め込んだりしました。

●炭と土壌改良
 炭は大地の再生にも使います。我が家は、吉祥寺の住宅地の中、アスファルトの道路とコンクリートの下水道やブロック塀に囲まれ、地下は空気も水も動けない状況になっていましたが、大地の呼吸を取り戻すべく、血管のように溝を掘り、コルゲート管を敷き、枝や葉などの有機物を入れ、その上にたくさんの炭を撒きました。おかげさまで庭の木々も田んぼも息を吹き返し、稲もよく育っています。

●竹炭と結界
 さて、最近ちょっと変わった炭の力を体験しました。竹炭のパイオニアである新野めぐみさんから結界にする竹炭が送られてきたので、すぐさま母のベッドの四隅に置いたところ、それまで自分では着替えも食事も何もしなくなっていたのに、朝見ると、自分でパジャマを脱いで待っていて、洋服に着替えたいと言い、食事も自分で口に運ぶようになり、姿勢もシャンとして、話すこともしっかりして、テレビにも反応するようになったのです。

 前から炭のことをもっと研究したいと思っていたので、さっそく山口県宇部市に住む新野恵さんに会いに行きました。新野さんは82歳のおじいさまでしたが、話を交わすすべての女性にご自分が胸にかけている竹炭のペンダントと見せて、「きれいじゃろう」と話しかけ相手が同意するとすかさず「あんたにはかなわんけどな」と女性を喜ばせるサービス精神旺盛の方でした。空港に出迎えてくださり、車に乗ると生えている竹を切ってその切り口から湧き出る水を集めた竹水が入ったペットボトルをくださいましたが、その甘さに驚きました。ポカリスエットにも似ていると感じたのですが、竹水100%とのこと。これを飲んだある女性は「自我が溶けていく」と表現したそうです。私にはわかりませんでしたが、竹水や竹炭はその人を本来の自分(真我)に戻す働きをするそうです。

 竹炭と結界の話に戻りますが、深刻な獣害で悩む田畑の四隅に、竹炭と塩と竹酢を埋め込むと、結界ができてイノシシやシカ入らなくなると聞き、さっそく毎年被害にあう田んぼにやってみようと竹炭を注文しました。

 大分の赤峰勝人さんも新野さんと同じ炭焼き釜を使って竹炭を焼いていると聞いたので、さっそく赤峰さんに結界の話を聞いてみると、確かに100メートル×200メートルの畑の四隅に竹炭と竹酢と塩を埋め込んだら、イノシシやシカやカラスまで入らなくなったそうです。2町歩もの広い畑にも有効なのに驚きました。
 これから先は自分でやってみて、竹炭の力を研究しようと思います。

【お知らせ】
 7月8日(金)に黒焼き玄米茶の作り方実践と飲み方や、梅干の黒焼きの作り方やマコモ茶の炒り方や煎じ方教室を行います。実は、炭や黒焼きは作った人が一番元気になるのです。作れる人になってください(詳細はコチラ→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=96458810 )。
 また7月23日(土)の食とお米とその周辺の研究会では、「炭」をテーマに勉強します(詳細はコチラ→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=48800150 )。関心のある方、一緒に研究しましょう!

2016年5月20日

生きものいっぱいの田んぼへ行こう!(メダカのがっこう紹介)

 先日、J-WAVEのカビラさんの番組の収録に行ってきました。NPO法人メダカのがっこうの活動を紹介するためです。せっかく原稿を用意し、いろいろ言いたいことを用意していったのですが、現場では原稿通りには話せずに残念な思いをしたので、今回はメダカのがっこうの紹介を思う存分させてください。
 私たちメダカのがっこうの発足は、2001年。消費者と農家が力を合わせて、自然再生の拠点になるような生きものいっぱいの田んぼを広げる活動をする環境NPOとしてスタートしました。

●なぜ田んぼに注目したのでしょうか?
 その理由は、①山から海まで、自然再生に大切なところが各所にある中で、田んぼは国土の7%を占めていること、②自然界には平らなところがないのに、人工的に平らで浅い水たまりを先祖が人力で作ってくれたところで、原自然と区別して二次自然と呼ばれており、日本人の主食であるお米を作りながら、同時にメダカやトンボや水生昆虫、トキやサギやカモなど多くの水辺の生きものたちの命をつないできた重要なところだからです。つまり、人間がどんな田んぼを作るかで、命を生かすことも殺すこともできる自然再生のカギを握るところなのです。

●メダカのがっこうを始めたキッカケは?
 2000年7月、田んぼにいっぱいのメダカが泳ぐ生きものがいっぱいいる田んぼに出合い、自然再生のイメージが具体的に持てたことがきっかけです。こんな田んぼを広げたいという思いを同じくする有志が集まり、2001年8月NPO法人メダカのがっこうが発足しました。
 現在、日本のほとんどの田んぼは稲以外の生きものが見られない田んぼで、私たちはこのような田んぼを「沈黙の田んぼ」と呼んでいます。ほとんどの農家も、農薬・化学肥料がなければ稲作りはできないと思い、稲以外の生きものがいないのが良い田んぼだと考えています。また、ご存知の方は少ないと思いますが、日本の田んぼは今1年の内4ヵ月しか水が入っていません。
 ところがあまり耕さず、冬の間から田んぼに水を張っただけで、絶滅危惧種のニホンアカガエルが復活したり、糸ミミズやユスリカなどみんなの餌になる生きものたちが増え、生態系が大きくなります。絶滅危惧種の半数以上は水辺の生きもの、このように田んぼに水を張る期間を長くするだけでも復活する生きものはたくさんいます。さらに、農薬・化学肥料を使わず、生きものに配慮した田んぼづくりをすると、もっと多くの生きものたちがすぐ復活します。

 それまで、環境なんて私たちが何をしたってそう簡単に取り戻せるもではないと諦めていましたが、意外と簡単に生きものたちが復活する方法があること、絶滅危惧種の生きものたちは弱いのではなく、環境さえ整えれば逞しく復活することが分かり、希望が湧いてきました。それならこの田んぼを広げる活動をしてみようと思ったのです。

●なぜ農家支援を始めたのでしょうか。
 私たちはこの田んぼのすばらしさを多くの消費者に分かってもらうために、2001年から田んぼの生きもの調査を始めたのですが、協力していただく農家と親しくなるうちに、絶滅危惧種はメダカやトキではなく、このような田んぼを作ってくださる農家だということに気が付きました。このような素晴らしい農家にも後継者はほとんどいません。これは大変、このような田んぼで収穫したお米を後継者ができるくらいの価格で買って食べる人を増やすことが先決だと気が付きました。
 今では、支援というより一緒に日本の生きる環境と安全な食料を守る同志だと思っています。

●なぜ田んぼ体験をしているのでしょうか。
 その目的は、都市部の市民や子どもたちに生きものいっぱいの田んぼを知ってもらうことです。生きもの調査も同時に行います。初めは恐る恐る田んぼの泥に足を入れていた子どもたちも、しばらくするとカエルや虫を追いかけるのに夢中です。この楽しい体験をすれば、沈黙の田んぼとの違いの分かる人に育ってくれると思います。
 小学生の田んぼ体験や企業の環境への貢献を目的とした自然塾のみなさん、メダカのがっこうのお米くらぶ会員のご家族連れなどが参加されています。みんなこの田んぼのおいしいお米を食べています。

●生きものいっぱいの田んぼとはどんな田んぼでしょうか?
 冬のうちから田んぼの水を張っていると、糸ミミズやユスリカ、ドジョウやタニシ、たくさんの水生昆虫が冬を越し、2月にはニホンアカガエルの卵塊、4月にはオタマジャクシ、5月にはアマガエルやトウキョウダルマガエル、6月にはトンボの幼虫であるヤゴが稲を上って羽化し、田んぼの中は小さなゲンゴロウやコオイムシ、栃木県ではタガメやミズカマキリ、8月にはイナゴなどのバッタ類、カマキリや、たくさんの種類のクモたちが見られます。これらの生きものを狙って、カモやサギたち、佐渡ではトキに出合います。
 また、除草剤を撒いていない畔(あぜ)には、多種多様な草たちが生えます。それを楽しむために、春と夏には草を摘むところからやる野草料理教室も開いています。

●この田んぼのお米はどんな味ですか?
 生きものいっぱいの田んぼから生まれるお米の美味しさは、力強いです。メダカのがっこう米の袋には、「草も虫も人もみんなが元氣に生きていける田んぼがある」と書いてあるとおり、エネルギーのあるお米です。そして食べた人が元氣になるお米ですから、身体が美味しいと感じるはずです。

●このお米はどこで買えるでしょうか?
 販売は、NPO法人メダカのがっこうでしています。この田んぼが日本中に広がるように願いながら販売しています。メダカのがっこうのHPのショップから購入できます。本当は一人の人に1年で1俵食べていただきたいと思い、1口=1俵(60kg)51,600円でお米くらぶ会員を募集していますが、スポットでも5kg、2kg、1kgずつ購入できます。千葉の椿農場、大田原の水口農場、郡山の中村農場、佐渡の佐々木農場からご希望の農家を選んでいただけます。迷った時はメダカのがっこう事務局(0422-70-6647)までお電話ください。ご説明やご相談に乗ります。

●食で心身を立て直す方法とはどんなものですか?
 お米を中心に、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイルなど、原料である大豆、小麦、梅、大根、ひまわり、菜種などもF1種や遺伝子組換えでない在来種の種から育て、塩もミネラルバランスの良い日本の伝統海塩を使い、農薬や化学肥料、添加物を使わずに手造りしています。
 みんなが不可能と思っていることを、完全ではありませんが、「都会にいても自給自足生活のおすすめ」と打ち出して、家族の1年分の基本的食料を化学物質ゼロで作りましょう、と提案しています。実際に、年間15万円ほどの費用と15日ほどの参加で、お米60kg、味噌10kg、醤油5升、ひまわり油と菜種油を270ml瓶で10本、梅10kg(出来上がりの梅干で5kg)、たくあん10kgが学びながら作れます。
 農薬や添加物、人工甘味料、いつまでも腐らない便利な加工品が健康に悪いことは分かっていても、実際にどうしたらそういうものに頼らない食生活ができるのかを、やってみせなければ、と思い、いろいろなことに挑戦しているのですが、これがゲームのようにおもしろくなり、現在にいたっています。

●「理想の食(=健康)」とはなんでしょう?
 基本的にお米中心の味噌汁と三菜の日常食。体を浄化するお茶類、籾付玄米の黒焼き玄米茶、マコモ茶、梅醤番茶などを適当に飲むこと。体に負担のかかる化学物質類はなるべく入れないこと。ドレッシングや何とかのタレなどの添加物たっぷりの加工品に頼らなくても、自分で作った調味料と野菜でいくつかの便利なタレを作っておけば簡単においしい料理ができます。
 実際、醤油もオイルも1年かかるし、味噌は最低2年、梅干しは3年物にするので、3年先に食べるものを作ることになります。だから毎年先を考えて仕込みます。家族の健康を願ってお母さんが作る数年単位の気の長い手造りの食糧生産、私はこれが素敵だと思ってこんなおばあちゃんを目指しています。理想の食のねっこには、こんな暮らし方が必要です。

●私たちに出来ることはなんでしょう?
 私たちは、子孫が健康になれる食習慣と暮らし方を残したいと思っています。もしある人が好んで食べていたものが原因で病気になったとすると、その人は病気になる食品をこの世に繁栄させたことになります。毎日のお買いものの選択が、子孫に残すものを決めていくのだということを意識すれば、出来ることは毎日たくさんあります。
 たとえば、メダカのがっこうのお米を選んで食べると、田んぼの生きものが復活し、作っている農家も元気になり、何よりも食べた本人が健康になります。
 メダカのがっこうのテーマは、食で心身を建て直し、いのちを優先する農家と力を合わせ、生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になることです。
 良いご先祖様になることを意識するだけで、自分に出来ることに気が付くと思います。

2016年4月20日

野草を愛する人は自然を理解してほしい。

●野草をテーマにした変な番組
 先週、夕方5時からのテレビ朝日を母と見ていたら、野草摘みをしている女性たちと、その中に毒草がないかどうかチェックする先生が出ていました。ニラと水仙の葉が似ているが、水仙は毒野草だとか、キツネノボタンとセリが似ているが、キツネノボタンは毒野草だとか、食べられる野草と毒野草は好きな環境が同じで一緒に生えているので要注意だと、毒草への注意を促していました。私も今の季節は、毎週春の野草料理教室をしているので、野草をテーマにするとはいい番組だなと思って目を離さずに見ていました。
 すると、話はだんだんおかしくなっていき、二輪草とトリカブトが群生している公園にやってきて植生を調べ、二輪草70%とトリカブトが30%だからと公園管理者に伝えたところ、除草剤を撒いて処理したというナレーションがあり、テレビの前の私は思わず「エッ」と大声を上げてしまいました。
 そこからまずます番組はおかしくなり、多摩川の河川敷に生えているクサノオウという毒草を見つけ、そばで遊んでいる親子連れに、これが毒草だとご存知ですか? と質問、親子連れも「怖いですね~。子どもに触らせないように注意しないと」という反応。これでいいアドバイスでもしたかのような自己満足の恐ろしい番組は終わりました。

 なんたる無知、認識の無さ、愚かな自然観!クサノオウに限らず、黄色くてかわいい花が咲くキンポウゲ科はほとんどが毒草。食べれば毒でも、目を楽しませてくれるし、摘んで帰って部屋に飾っても何の問題もありません。田んぼの植生調査を13年も続けていると、自然界に生えている草で毒草はたくさんあることがわかります。それに野草といわれている草も、アク抜きを十分しないで食せば腎臓や肝臓を傷め、寿命を縮めます。毒草といわれている草も漢方薬になっているものもたくさんあります。
 それに毒野草という言い方もおかしいです。野草というのは、もともと食べられる植物のこと。大まかに説明すると、植物の中に、毒草と毒のない草があり、毒のない草の中に食べてもまずくない草があり、それを野草と呼んでいるのですが、さらに食べておいしいと感じる草があり、それらが喜ばれる人気の野草なのです。

 トリカブトが混ざって生えているから除草剤を撒いて処分したという信じられない愚かな判断には、怒る元氣もなくなるほどショックです。「二輪草というかわいい花に交じって、トリカブトという紫の美しい花が咲く毒草が生えています」という掲示板でも立てたら、そこを通る人々にとって、どんなに自然の神秘を感じる勉強になったことでしょう。

 野草は除草剤を撒いたところには生えなくなります。除草剤は主にイネ科の作物のために作られたもの、イネ科にやさしくできているので、メヒシバやオヒシバ、エノコログサなど、イネ科の雑草が優先する場所になってしまうのです。ヨモギやヨメナやハコベやナズナなどの優しい草は生えなくなってしまうのです。野草をテーマにする番組で、除草剤を撒くことになるなんて……。そんなことをする人間が野草の番組をつくるなんて……。

●私たちはなぜ野草を食べるのでしょうか?
 私たちはなぜ野草を食べるのでしょうか? それは今みんなが食べている野菜の99%以上が、命がないF1種や遺伝子組み換えの作物だからです。F1(エフワン)と言うのは、一代限りの交配種で、収穫した作物の種を蒔いても、実がつかないのです。これは1960年代から広く栽培されるようになり、まず大豆やトウモロコシや小麦から始まりました。たとえば大豆の種を蒔いても、芽が出て葉も威勢良く出ても、花がついても鞘がぺちゃんこで豆ができてこないのです。遺伝子組み換えなどが問題になる遥か前、40年以上昔から、じわじわと種類が増え、現在はほとんどの野菜がF1種です。F1種は、毎年種と化学肥料と農薬を買うように設計されています。無農薬と自家採種の農業には向かない種です。

 遺伝子組み換えの種は更に最悪です。除草剤にも枯れない遺伝子や、虫や菌を殺す遺伝子を組み込まれた作物を食べた人間も、家畜も、内蔵されている殺しの遺伝子情報のしっぺ返しを受けて、いのちを弱らされています。種も農薬とセットで毎年買うことになるので、食を防衛する農業の推進を阻むものです。
 そして何よりも問題なのは、命をつながない実や作物を私たちが食べているということです。ニンジンが体にいいとか、ゴボウがいいとか言う話しではなく、玄米菜食がいいという食養生の段階でもなく、野菜の実態が命のないものになっているのです。これではいくら野菜を食べても、どんないい料理を作っても元気になれません。
 しかし、野草は自分で命をつないで繁栄しています。野草から私たちは、栄養成分や薬効成分をいただくことを期待するより、その生命力をいただくことに最も意味があるのです。
 野草はすごい力をくれます。まず元気になる。目覚めが良くなる。動くことが好きになる。気持ちが明るくなり、毎日が楽しくなって人が集まってくる。草はすごい根を持っていて硬くて重いコンクリートをめくり上げて生えてくるのですから脱帽です。野草を食べると打たれ強さをいただくのです。

●命ある食べ物が無くなったことに気づかない私たち
 戦後私たちは、どんどん命のない食べ物ばかりになってしまいました。米を食べなくなり、いのちが生まれた海の成分が含まれていた塩が塩化ナトリウムの塩に変わり、水が塩素入りの薄い毒薬液の水道水になり、F1種や遺伝子組み換えなどの命のない食べ物ばかりになり、更に添加物や合成甘味料をいっぱい身体にため込んでしまった結果、今までなかった病気が増え、若者は生殖不能を起こし、女性には無月経や無排卵、不妊につながり、野生生物だったら当たり前である種族保存の大命題は忘れ去られ、民族存亡の危機に立たされています。

●春の野草と食べ方の知恵
 ですから、野に出て野草を摘み、正しく料理して命をいただき、野生の力を取り込みましょう!早春から順にあげると、フキノトウ、つくし、タンポポ、ハコベ、カラスノエンドウ、野カンゾウ、ヨモギ、菜の花(のらぼう菜など)、ノビル、アサツキ、ウシハコベ、ヨメナ、セリ、ミツバなど、春の野草を摘んで来たら、下処理としてあく抜きを怠ると肝臓や腎臓をやられますから、しっかり覚えておください。また、野草は少量食べればいいということも覚えておいてください。食べ過ぎは禁物です。

 アク抜きの基本は、塩茹でして水にさらし、よく水気を絞って醤油洗いといって、醤油3水7の醤油水に10分くらいつけたものを良く絞ってから使います。使った後の醤油水は捨てます。5月以降のヨモギなどアクの強いものは、くぬぎの灰や木灰を使います。
 つくしなど生から炒めるだけでよいもの、タンポポなど4月ごろまで生で食べられるもの、野カンゾウや三つ葉など塩ゆでして水にさらすだけでよいものなど、アクの少ないものもあります。

 反対にアクが強くて心配なものは、三段階のアク抜きをしっかりすることが肝心です。しかし裏ワザとして天ぷらが最も簡単にアクが抜ける食べ方です。その他にアクが強くてもどうしても食べたい秋に穫れるアカザの実などは、塩ゆでして水にさらし、色が出る間は何回も水を変え、最後に醤油を煮立てた中に入れて煮ます。苦労はしても出来上がりはキャビアのようにおいしいです。

 せっかく命あるものを料理するのですから、味付けは、塩、しょう油、味噌を基本に調味料は原料から無農薬・無添加の手造りの物を使い、砂糖は使いません。甘味は、米と米糀で作った甘酒とみりんだけです。お茶は、ヨモギ茶、黒焼き玄米茶、マコモほうじ茶、梅醤番茶、カキドオシなどの葉を乾燥させたものなど、体調により季節により使い分けます。

●野草を採り続けるために
 野草を採ると言っても無断で人の土地に入るわけにはいきません。私たちが良い野草を安心して取りに行けるのも、長年農薬や化学肥料を使わずに田んぼや畑を造り続けていて下さる農家がいるからです。除草剤を撒いた畦(あぜ)には、稲科の雑草が繁茂します。前記したように、メヒシバ、オヒシボ、エノコログサ、などです。柔らかい野草類は生えてきません。
 ですから、メダカのがっこうの農家のように、環境を取り戻してくれている農家が農薬を使わずに継続してその農地を守っていけるように、行動しなければなりません。お米の価格革命=フェアートレードや田の草取りのお手伝いをする援農隊の活動など、出来る限りの努力をするつもりです。草取りに一緒に出掛けてくだされば、野草の摘み方や料理の仕方をお教えできます。ご協力よろしくお願いします。

 野草が食べたい方、田んぼカフェでは、田植え草取りのシーズンである7月までは、毎週野草を摘んでくるので、野草料理を提供する予定です。土日は田んぼに出かけています。その他毎週火曜日は金曜日には教室をやっていて、ランチ営業していません。ですから電話で予約をしてから来てください。おいしいお料理を用意して待っています。

2016年3月20日

もし逆表示でなかったら農産物はどういう表示になるのか ―遺伝子組み換えの表示が消されていく―

●逆表示とは何のことなのか、ご存知ですか?
 一般の商品は、その商品を作るのに使った原料を、重量の多い順に表示することになっています。例えば、ポテトチップチョコレートというお菓子には、じゃがいも(遺伝子組み換えでない)、植物油脂、食塩、ココアバター、砂糖、全粉乳、キャラメルパウダー、脱脂分乳、乳化剤(大豆由来)、香料などというように。ここを見れば、砂糖や乳製品をやめている人はやめる判断ができるし、じゃがいもは遺伝子組み換えでないことが分かります。
 しかし余談になりますが、ここにも隠れ遺伝子組み換えがあり、大豆由来の乳化剤は大豆が遺伝子組換えでも書かなくても良いことになっているのでわかりません。こういう場合ほとんどが遺伝子組換えだと思って間違いありません。ですが、おおよその原材料はわかります。

 ところが、農産物になると、話は全く事情が違います。慣行農法といって、行政の指導に従った防除暦(農薬や化学肥料を播くスケジュール)に従って栽培した作物は、何も表示しなくてもよいことになっています。例えばコシヒカリの栽培なら化学合成農薬を18回、化学肥料を7.2回が防除暦に記されています。
 使う病害虫防除の農薬はどんなものかというと、4月には苗の消毒としてイチバン、5月にかけてカビの予防としてダコレート水和剤、いもち病や虫の防除にツインターボフェルテラ箱粒剤、7月には病気予防にモンカット粒剤、いもち病や虫の防除にフジワンラップ粒剤、8月の出穂直前にはいもち病や虫の防除にノンプラストレパリタ粉剤DLトビームエイトスタークルゾルとバシタックゾル、穂揃期にはラプサイドキラップ粉剤DLとラプサイドフロアプルとキラップフロアプル、そしてカメムシ防除のダントツなどがあります。
 この他に除草の農薬として、初期にはメデオ、ビラクロン、イネキング、シリウスエグサ、ウィナー、イッポンDジャンボ、ビクトリーZジャンボ、中期にはエーワン、コメット、ゲットスター、サンパンチ、サーベックスDX、草が残る場合は更にサンパンチ、ザーベックスDX、後期にはヒエ専用の除草剤としてヒエクリーン、クリンチャー、ヒエと多年生雑草にクリンチャーバスME油剤、ワイドアタックSC、多年草雑草にバサグラン、クサネムとイボクサという雑草対策にノミニー溶剤などがあります。
 この他に畔や農道の除草に冬のうちからスギナの特効薬であるカソロン粒剤、5月中旬にはザクサ液剤とランウドアップマックスロード、カーメックス・D水和剤、7月以降は再びザクサ液剤とラウンドアップマックスロード、三共の草枯らしという農薬が暦に紹介されています。

 実に馴染みのない薬剤名ばかりであり、書くのも読むのも嫌になるほどの農薬を使うことが慣行農法なのです。そして、この防除暦通りに栽培されている作物には、何も表示する義務がありません。
 しかし農家自身や食べる人の健康を考え、生きものたちにも配慮し、自然を取り戻したいという気持ちで農薬や化学肥料を使わずに作物を栽培している農家は、それを証明するために、検査料と検査員の経費を支払い、いろいろ面倒な書類を作成しなければなりません。また特別栽培という制度は、薬剤の数や回数を半分にするものですが、こちらは農薬の使用回数などの表示義務があり、それは望ましいことですが、何も書いていない慣行農法の作物の方が、消費者にとって農薬使用をイメージしにくく、価格の安さも手伝って受け入れ易くなってしまうという問題があるのです。
 もう一度慣行農法の農薬使用の例をあげますと、トマトで24回、アスパラガスで15回、ナスで31回、大根で21回、白菜で25回、白ネギで20回、ニンジンで17回、リンゴで44回、観賞用の菊になると60回という凄さです。化学物質過敏症の方は、とても菊いっぱいの葬儀会場には入れないそうです。

 もし慣行農法の農作物に、使った農薬を多く使った順に表示することが義務付けられたら、みんなの意識はガラッと変わると思います。今回は、何も表示していないコシヒカリがどれだけの農薬を使っているかと調べて記載してみました。お米袋の裏にこれだけの農薬名が書かれているところを想像してみてください。表示することが最も大切なことです。表示されていれば、後はそれぞれの価値観に従って判断できるからです。
 遺伝子組み換えの表示にも異変が起きています。もともと醤油や油には遺伝子組み換えの表示義務はないので、何も書いてなければすべて遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシの醤油や油です。しかし豆腐や味噌には遺伝子組み換えの表示義務があります。よく豆腐の原材料の所に、大豆(遺伝子組み換えでない)と書かれていますが、最近いくつかの豆腐でこの表示がなくなっていることに気づき、電話をかけてみました。すると日本ではまだ大豆の遺伝子組み換えの栽培許可が下りていないので、国産大豆と記載すれば遺伝子組み換えではないのに決まっているから、両方を書くことは過剰表示になるのでやめるようにという行政指導があったとのことです。
 何が起こっているのでしょう。TPPの農産物の自由化の準備として、遺伝子組み換えの作物や加工品が日本に入ってきやすいように、また遺伝子組み換えを原料とした加工品が作りやすいように配慮していると考えられます。
 遺伝子組み換えは何の問題もないという議論もあります。食糧危機を救うという議論もあります。すべての意見を受け入れたとして、表示だけはしていただくことは譲れません。あとは私たち国民の判断にお任せいただくとして、判断基準になる表示を義務付けることはみんなで国にお願いしましょう。メーカーにも電話をしましょう。
 アレルギーの原因は、小麦や卵や牛乳ではありません。化学合成された農薬を使用したり、遺伝子組み換え作物の小麦やそれを飼料とした卵や牛乳なのです。議論のすり替えに騙されずに、生きる環境を安全な食料に困らない日本を次世代の残せるような先祖になるぞ!と中村陽子は心を決めています。

2016年2月20日

遺伝子組み換え作物に対するメダカのがっこうの考え

 遺伝子組み換え作物とは何か? 倫理上の問題、生物的な問題、自然観、生命観の違い、目指しているところが何なのか、どういうメリットがあると言われているのか、どのような害があると言われているのかなどを調べ、メダカのがっこうの見解をまとめてみました。
 この問題は、関心のある人たちはとても詳しくて、関心のない人たちは全く何も知らないようです。

●自然にありうる交配や自然のスピードをはみ出した品種改良が、遺伝子組み換え技術
 昔からその地方の気候に合って、少しぐらいの悪条件があっても収穫出来て、おいしい米の品種改良には、日本人は熱心に取り組んできました。それは厳しい寒さや、台風などで全滅した時などに、たった数株実った種から育てた品種だったり、偶然と観察力と地道な育種によってなされてきました。その次に交配という技術が、そのスピードを速めました。私たちはずいぶんその恩恵にあずかっています。
 しかし1996年ごろから表に出始めた遺伝子組み換え技術は、超スピードで作物の形質を変える品種改良ができるようになりました。しかも遺伝子組み換えの範囲は植物間を超え、植物、動物、菌の世界を跨いでも組み換えが行なわれているそうです。また、植物だけがいじられているのではなく、家畜もあまり知られていませんが、いじられているようです。想像するのも気持ち悪いですが、骨付きもも肉をたくさんとるために、足が何本もある鶏もつくられているとか、人間の都合で化け物にされた動物たちがいるようです。
 これでは単純に科学の進歩と喜べません。原子力の場合と同じく、すごすぎる技術を何のために人間が使うか、地球上の生きものたちの幸せのために使うか、はたまた一部の人間の利益のために使うか、という倫理上の問題です。

●遺伝子組み換え作物が世界を席巻、日本は大輸入大消費国
 そうこうしているうちに、2014年の数字では、遺伝子組み換え作物の栽培は、アメリカ、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、中国の五ヵ国を中心に全世界に広がり、大豆の全生産量の82%、綿は68%、トウモロコシは30%、カノーラ(セイヨウアブラナ)は25%が遺伝子組み換え作物になっています。日本は米以外の穀類はほとんど輸入に頼っていますが、その50%以上は遺伝子組み換え作物で、大口の消費国になっています。
 遺伝子組み換え作物が最初に商品になったのは、青いバラや青いカーネーションなどの花卉(かき)で、日本も2009年から栽培するようになりました。次に家畜の飼料と食用の作物の栽培が始まりました。

●遺伝子組み換えの目的とはかけ離れた現実
 作物の遺伝子改変の目的は、主に2つ。①雑草を枯らすための除草剤を撒いても枯れずに育つ除草剤耐性を作物につけること、②作物についた虫や病原菌が死んでしまう病虫害耐性を作物につけることです。これにより、除草剤の使用量と殺虫剤の使用量が減ることが、環境に良いというわけです。ところが、雑草もやられっぱなしではありません。数年でその除草剤に枯れない耐性を身につけた耐候性雑草が出現し、除草剤のさらなる改変や強化を余儀なくされ、その毒性はベトナム戦争で使われた枯葉剤に近づいていっています。
 また、除草剤の使用量は一度は減るかもしれませんが、耐候性雑草の出現は想定外の出来事で、除草剤の使用量は減るどころか増えているそうです。この悪循環は草も虫も幸せにはしません。耐候性を身につけた草を食べた幼虫が死ぬなどの環境破壊の事件が起きています。一度遺伝子の中に殺しの情報が入ると、不幸な連鎖が始まってしまうのだと思います。
 遺伝子組み換え作物を一番たくさん摂っているアメリカでは、その葉っぱを食べた虫が死ぬという病虫害耐性作物が原因で、ほ乳類には無害と言われ、安全性が確認されているはずにもかかわらず、胃腸障害が時を同じくして急増しているようです。
 これは飼料用作物においても同じく起きています。遺伝子組み換え飼料を食べた家畜たちは病気になりやすく弱いので、畜産農家にとって宣伝通りの順調な収入アップにならないようです。
 草も虫も家畜も幸せにしない遺伝子組み換え作物は、農家も不幸にしています。その最大の原因は、種を毎年買わなければならないということです。種とセットになっている農薬の費用を借金し、追い込まれて自殺する農家が多くでているようです。

●メダカのがっこうの見解
 ES細胞や遺伝子医療技術など、基礎医学の進歩は否定するものではありませんが、こと食に関しては人間の都合だけで行われている遺伝子組み換え作物は、みんなを不幸にしているように見えます。
 メダカのがっこうとしては、遺伝子組み換えに限らず、F1種や、BLコシヒカリなどの農薬とセットになった上に自家採種を許さない技術は支持しません。種を採って自由に播くことが食の防衛のもっとも大切な砦だからです。
 また遺伝子組み換えに限らず、種の由来、使った農薬、肥料、添加物などを、多く使った順に表示する義務付けをお願いしたいと思っています。現在、遺伝子組み換えの大豆の表示義務は、豆腐や納豆や味噌にしかありません。醤油や油は外されています。これは遺伝子組み換えの改変はタンパク質の形に現れるので、たんぱく質がない醤油や油は表示義務がないのです。
 それから、アミノ酸、アミノ酸液、たん白加水分解物などの旨味添加物の原料である大豆や、加工デンプン、異性化糖、果糖ブドウ糖液糖などの原料であるトウモロコシなども遺伝子組み換えであっても表示しなくてもいいのです。味噌や油の自給率が6%ほど、醤油に至っては0%の日本では、輸入大豆やトウモロコシ、小麦に頼っています。その中で遺伝子組み換えでないものは、味噌や豆腐に回されるので、あとは全部遺伝子組み換えということになります。表示がなければ遺伝子組み換え作物が原料と思ってほぼ間違いありません。
 私は遺伝子組み換え作物には殺しの遺伝子が組み込まれているので、たとえタンパク質が含まれていなくても、その情報を映したものは人を健康にしないと思います。命あるものを都合よく改変することは、化学薬品よりも怖いことです。それは、生きているものは思いもよらぬ変化をするからです。殺しの情報が入った遺伝子は、実験室の中と違い想定外の広がりを見せ、不幸の連鎖が始まる可能性があります。放射能漏れを起こしている原子炉のようなものです。

 私個人の見解ですが、遺伝子組み換えも原子力も今すぐ辞める決心をするといいと思います。しかしそうしたところで両者とも、汚染は続き、終息の見込みが立たない事柄であるという覚悟も必要です。ここで大切なことは、終息の仕事に携わる方たちに感謝と尊敬の気持ちを全員が持つことです。下層階級の汚い仕事のような印象を拭い去らなければ、この浄化作業をやり遂げることができません。もしやめる決心を国が出来たら、私は彼らの健康を守る食の提案と提供の働きをしたいと思っています。
 次世代に生きる環境と安全な食料に困らない日本を残せるような先祖になるという目標を持っているメダカのがっこうとしては、このような決心をして具体的に種を蒔くところから始める食糧生産に参加する仲間を増やしていく所存です。私は在来種の種蒔きと、この意識の種蒔きを毎日毎日、田んぼカフェでやっています。
 普段の生活でもご先祖様になることはできます。それは健康な体を作る食をこの社会に残すことです。体を弱らせる食品はどんなに便利で安くてもお金を使わず、強い体を作る食品や事柄にお金と時間を使うことです。買い物の選択は次世代に残すべきものへの投票ですから、これで子孫の健康を守る食品や事柄を残すことができます。皆様、電話をして私がいるかどうか確かめてから、田んぼカフェに遊びに来てください。お待ちしています。
 (田んぼカフェとメダカのがっこうの電話番号は、0722-70-6647です。)

2016年1月20日

塩で本当に心配しなければならないこと

●塩の働き
 いくら減塩を努力している人でも、塩がなければ人間が生きていけないことはご存じでしょう。『塩戦記』という第二次世界大戦の東ニューギニアで、後方補給を断たれた師団の軍医さんの手記によると、粉みそ、粉醤油、塩という兵糧がなくなると、体液が作れないため、食べても戻し、全ての機能が衰弱し戦列から落伍して、涙も出ずに死んでいくしかなかったそうです。また、塩というのは、体力や精神力に大きな影響を与えるため、人間を制御管理するのに使われてきました。特に戦時には、塩を食べた軍隊は強くなり戦争に勝ち、また戦争が終わって占領地の治安を守る時は、塩を減らして兵隊をおとなしくしたといわれています。ベトナム戦争でスパイの拷問で一番有効だったのが、塩抜きだったそうです。塩が切れると、強固な意志の持ち主でも、精神力を保つことが出来なくなるのです。

●塩は何のために摂るのか
 46億年の地球の歴史の中で、命は海で生まれました。そして光合成の副産物である酸素のおかげでオゾン層ができ、地上の条件が整った時に、海水を体液に取り込んで上陸してきたのが人間の先祖です。ですから血液や体液は内なる海、当時の海のミネラルバランスが理想の塩分です。もっとも生命をはぐくむ力のある体液は羊水ですが、この中で人間は幼魚のような体から人間までの進化をします。人間は、この血液や体液を維持するために塩分を摂取するのです。
 ここに体液のミネラルバランスを崩すものが2つあります。
 1つは塩化ナトリウムだけの塩、2つめは添加物の塩です。添加物の多くはナトリウム化合物で、アミノ酸はグルタミン酸ナトリウム、ビタミンCはアスコルビン酸ナトリウム、発色剤は亜硝酸塩、リン酸塩などなど、これらは体液を汚し弱くします。内なる海である体液・血液のミネラルバランスが良ければ、人間はかなりの病気から立ち直れます。私たちは、健康な体液を維持するために塩を摂るのです。

 そして1つ目の心配は、このまま国が1日の塩分摂取量8%から6%と引き下げていき、それを素直に信じてついていく国民です。本当に健康な内なる海を維持するには、良い塩分は欠かせません。塩抜きはやる気と根気と健康を損なう行為です。このまま自分の頭で考えて行動する気骨のある日本人が減っていくのが心配です。

 2つ目の心配は、良い塩の自給率です。日本の塩の自給率は15%。85%は輸入原塩と言って、オーストラリアの広大な塩田で採取された塩で、そのほとんどがソーダ工業用です。食用塩には、イオン交換膜法の塩=食塩と、輸入原塩を溶かして再結晶させて精製した精製塩がほとんどを占めています。この塩は塩化ナトリウム99.6%以上の純粋なもので、この塩では人間が健康を維持するのは難しいと考えた人たちが、輸入原塩に日本の海水や伏流水や苦汁分を溶かし入れて再結晶させた再生自然塩を作っており、その塩は食用塩の20%を占めるまでに健闘しています。しかし原料は輸入原塩、日本の塩の自給には貢献していません。イオン交換膜法の塩は日本の海水100%ですが、悲しいことにこれは塩化ナトリウム99.6%であって、命を支える塩ではありません。日本の海水を濃縮して天日乾燥や釜炊きをしている塩は食用塩の0.5%にも満たないのです。つまり200人に1人しか食べられません。醤油の自給率0%、味噌6%ですが、本当の日本の塩の自給率は0.5%なのです。

 3つめの心配は、輸入原塩=天日塩の食用としての適性です。メダカのがっこうは、日本にあるものだけで健康に生きていける食事を提案しているので、自給の観点からも輸入原塩は使いません。しかしほとんどの加工品にはこの輸入原塩が天日塩と表示されて使われています。
 輸入原塩は工業用に輸入されている天日塩に間違いないのですが、海の塩は空気中に放置すると苦汁分が空気中の水分を吸収して重くなってきます。この現象が輸送の際、船の中で起こると困るので、現地で飽和海水で回りの苦汁分をできるだけ洗い流してくるのです。つまり輸入原塩の天日塩は、天日塩の良さを洗い流してしまった塩なのです。ですから、ミネラルバランスもマグネシウムが精製塩並みに少なくなっています。輸入原塩の形状はげんこつ大のゴツゴツとした塩の結晶です。この大きな塩化ナトリウムの純粋な結晶を粉砕したものが天日塩として味噌や醤油や漬物などの加工に使われているのです。
 粉砕塩と、日本の海水を濃縮し結晶化させた塩では、味が違います。粉砕塩はあくまで塩化ナトリウムの結晶を細かくしたもので、わずかな苦汁分が残っていた外側の部分だけに微量元素が感じられるわけですが、天日や釜炊きで結晶化させた日本の海塩には一粒一粒の周りに微量元素が付いています。多分天日塩がどういう塩であるかと言うことをほとんどの人が知らないでしょう。この塩で良いと思っていると、日本の塩づくりが育ちません。これが私の4つめの心配です。
 天日塩が食品加工用に広く使われている一番のわけは、1kg60円という価格の安さです。それに比べて日本の海塩は、1kg平均3000円です。雲泥の違いがあります。自給自足の生活で大切な味噌や醤油、梅干しやたくあんなど20%は塩、大豆や米や小麦、梅や大根などの原料にこだわっている人でも、塩にこだわっている人は多分1%以下です。日本の海塩づくりはまだ需要に追い付いていません。でも多くの人が求めれば作る人が増えてくるはずです。
 メダカのがっこうでは、大豆や小麦はもちろん、伊豆大島の阪本さんの塩を使って、味噌造り(2月5~7日)と醤油造りの今年のモロミ仕込み(3月13日)をします。ホームページのショップからどうぞご参加ください。

2015年12月20日

日本人の乳酸菌の宝庫、たくあん・ぬか漬けは自分で作ろう。

 12月はたくあん漬けの季節。メダカのがっこうの自給自足くらぶでは、首まで土に埋まった在来種のたくあん大根を半月程干してしんなりしたものを、摺(す)りたてのぬかと日本の海のミネラルバランスの良い塩と、ミカンやカキの皮、昆布や唐辛子と一緒に漬け込み、重しをうんとかけてたくあんを漬け込みました。農薬、化学肥料、添加物を一切使わない本物のたくあん漬けです。食べられるのは来年3月、それまでは冬野菜のぬか漬けで我慢です。たくあんはぬか漬けの保存食版ですが、大根の効能と独特の味わいがプラスされます。

 ぬか漬けは日本人の腸内細菌にぴったりの乳酸菌です。ちょうど欧米人のヨーグルトに当たります。戦後食生活が欧米化して様々なヨーグルトがもてはやされていますが、日本人のお腹には先祖から住み着いている乳酸菌が合うのです。またぬか漬けは、あらゆる食材の中でもトップクラスの栄養素を持っています。それは、米ぬかが、タンパク質、脂質、繊維質、カルシウム、リン、鉄、ビタミンA(カロチン)、B1、B2、ナイアシンなどを豊富に含んでいるからです。ぬか漬けは日本が生んだ食の傑作と言えるでしょう。

 それでは、野菜の食べ方として、ぬか漬けの優れた点を5つ挙げてみましょう。
(1)ぬか漬けは生の野菜よりビタミンB類がアップ
 お野菜をぬか漬けにすると、浸透圧で野菜の水分が抜け、ぬかに含まれる栄養分を吸収します。そのため、生野菜よりビタミン含有量が増えます。特に大根は吸収が良く生大根に比べると、ビタミンB1は16倍、ビタミンB2 は4倍、ビタミンB6は6倍、カルシウムが2倍になるというデータがあります。他の野菜でもビタミンB1の含有量が3~10倍になります。
(2)ぬか漬けは白米の欠陥を補完する
 ビタミンB1は、脳のエネルギーとなるブドウ糖の分解に必要な成分で、もともと玄米に含まれていますが、米の精白過程でその多くが失われてしまいます。そのため、白米とぬか漬けの組み合わせは、お互いを補い、脳の働きを高める食べ方といえます。
(3)ぬか漬けは生野菜より消化酵素を活発にする
 酵素はすべての生野菜に含まれているものですが、塩分で野菜の細胞を死滅させると、その働きがより活発になり、野菜内のタンパク質を分解して旨味のもとであるアミノ酸に変える働きします。ですから、ぬか漬けには食べものの消化を促進してくれる消化酵素がたっぷり。食べ過ぎにより分解しきれないタンパク質や脂質が体内にたまっている現代人に最適です。
(4)ぬか漬けは、GABA を豊富に摂取できる食材
 GABAは旨味を作り出すアミノ酸の一種ですが、通常野菜からは殆ど摂取できません。この成分には脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やし、脳細胞の代謝機能を高める働きがあります。ぬか漬けはぬかが発酵する過程でGABAが豊富に作り出されます。つまり、ぬか漬けにはイライラを防ぎ、気分を落ち着かせる働きがあります。
(5)ぬか漬けは、乳酸菌を生きたまま腸に届ける
 ぬか漬けは、腸で生き抜く力が強い植物性乳酸菌をもっているので、体内に入ると胃をくぐり抜けて大腸まで達し、そこを生活の場として食中毒菌の棲みにくい環境をつくったり、便秘解消など体調を整える働きをしてくれます。
 ちなみに、乳酸菌の説明をしておくと、乳酸菌は大きく分けて2つあります。
 乳酸菌で代表的なヨーグルトやチーズに含まれる乳酸菌は動物性の母体で発酵する「動物性乳酸菌」、また漬物やお酒など植物を母体に発酵するものは植物性乳酸菌です。多くの乳酸菌は胃酸で死んでしまい腸まで辿り着かないことが多い中、植物性乳酸菌は生きたまま腸まで行く強い力を持っています。そして、生きたまま腸に届いた乳酸菌は、直接悪玉菌を退治してくれるのです。
 このほかに、○脚気(かっけ)の薬 ○糖尿病の予防 ○脳卒中の予防 ○大腸がんや胃がん肝臓がん予防 ○胆石の予防 ○胃腸の強化 ○肥満を防止 ○歯や骨を丈夫にする ○バストアップ、ダイエット、美肌効果 ○ダイオキシン排出量は基本食の3~4倍になるなど、“おそるべし! ぬか漬けの効能”というところです。

 それでは、ぬか漬けはいつごろからなぜ作られたのでしょう。
 発祥とされるのは江戸時代です。白米を食べる習慣が始まり、大量の米ぬかが出回ったため、一般家庭でも盛んに作られるようになりました。それまでは、奈良時代から臼でついた穀類や大豆を漬け床とする漬物がありましたが、その穀類や大豆の代わりに米ぬかを使ったのがぬか床の始まりだと考えられています。
 江戸で白米を食べる習慣が広まると、将軍をはじめ上層武士の多くが脚気に罹り、江戸患いと呼ばれました。この脚気を予防するため、ビタミンB1を野菜に吸収させて食べるぬか漬けが普及したようです。
 また、江戸の町に暮らす多くの独身男性たちは、味噌汁を作るのが面倒な時でも、ぬか漬けと納豆を食べて健康を維持していました。繰り返し何回も使えて、野菜の切れ端などを漬けておくだけのぬか床は、それだけ“便利なもの”というイメージだったのです。

 たくあんは干した大根のぬか漬で、ぬかに昆布や塩、干した柿やミカンの皮、トウガラシなどを混ぜ込んで隙間なく漬け込み、重しをかけた保存食です。ぬか漬けは漬けすぎると溶けてしまいますが、たくあんは何年でも持ちます。そして、効能はぬか漬けと同じです。たくあん2切れで1日の乳酸菌は摂取できます。
 しかし、市場に出回っているたくあんの実態は、大変なことになっています。特に、お弁当や定食のお供についている安い真っ黄色のたくあんは要注意です。大量生産する黄色いたくあんには食品添加物がたくさん含まれています。食品添加物といえば、化学薬品、発がん性の恐れもある怖いものです。黄色いたくあんの食品表示を確認してみてください。大根、食塩、ぬかの他にグルタミン酸ナトリウム、ブドウ糖果糖液糖、ソルビン酸カリウム、黄色4号、黄色5号、赤色5号など10種類以上もの食品添加物からたくあんが作られています。
 たくあんは、無添加で作ったとしても真黄色ではありませんが、ほんのり黄色くはなります。これは大根に含まれる糖分がたんぱく質と結びついて「メイラード反応」と呼ばれる野菜を熟成発酵させる場合に起こる色の変化です。この反応でできるメラノイジンが細胞の再生能力をアップさせ放射能対策に良いことは、このコラムの8月の味噌のところで述べたとおりです。
 しかし、真黄色のたくあんはアレルギー性の高さや喘息、じんましんなどの原因から問題視されているタール色素「黄色4号」の合成着色料(色粉と呼ばれているもの)でできているものです。これでは、乳酸菌が含まれて腸にいいはずの発酵食品が体に危険な食べ物に変わってしまいます。
 体にいい成分が多く、効能抜群のたくあんですが、市場では無農薬の大根と米ぬか、ミネラルバランスが良い海塩で漬け、無添加で商品に仕上げたものは手に入りません。
 そこで、メダカのがっこうでは、花まる農家と手を結んで、自分たちで作ることにしたのです。
 自給自足とは、保存食を作ることでもあります。3ヵ月先、1年先、2年先、3年先のために今準備する暮らし方が必要です。1月2月は味噌の寒仕込み、3月は醤油の仕込み。
 皆さん、メダカのがっこうの自給自足くらぶで一家、一族、仲間のグループの1年分を仕込みませんか? 詳しくはメダカのがっこうのHPの参加者募集か、ショップでご覧ください。

2015年11月20日

梅干しは日本人の食養生の基本

 冬到来、寒さに慣れない身体には、様々な症状がやってきます。こんな時は、塩でうがいをし、梅醤番茶を飲むのが一番。この不調を乗り切る自信が湧いてきます。ご飯と味噌汁を基本食にしていれば、あとはあの小さくてかわいいけれどパワー全開の梅干しが日本人の健康を守ってくれます。私の野草の師匠である若杉友子さんは、「昔は携帯するものと言えば梅干しのことだった」と教えてくれました。今回は梅干しのお話をさせてください。
 まずは梅干し以前のお話から。

●梅の実は漢方薬の材料
 梅の木の原産地は中国。2000年以上前の中国最古の古文書『神農本草経』には、梅の実をいぶし焼きにした烏梅(うばい)について、「肺の組織を引き締め、腸の働きを活発にし、胃を元気づけ、身体の中の虫を殺す」効用があると記されています。
 日本には3世紀の終わり頃、中国の呉の高僧がもたらしたという説がありますが、薬としてではなく、美しい花として愛でられていた様子が、万葉集などに残っています。
 奈良時代になると、梅の実は、柿や桃、梨、杏などと同様に、加工して食べられていたようですが、時代を経るに従い、梅の効用を体験的に知るようになり、梅の塩漬けを保存食として、薬として用いるようになったようです。

●本来梅干しは梅酢の副産物
 私もこれには驚きました。クエン酸を主成分とする梅酢は、器具や人体の傷口の消毒のほか、金属の鍍金(めっき)やはんだ付け、青銅器や鉄器の酸化皮膜処理(酸化銅および酸化第一鉄による「黒留め」と呼ばれる酸化被膜による防錆処理)のために用いられていたようです。東大寺の大仏に金を鍍金する際にも使われたそうです。梅酢は青酸が登場する昭和中期まで、このような用途に大量に使われていました。

●梅の塩漬けから梅干しへ
 平安時代中期、梅干しが現れます。日本最古の医薬書『医心方』の「食養編」には、「味は酸、平、無毒。氣を下し、熱と煩懣(ぼんまん)を除き、心臓を鎮め、四肢身体の痛みや手足の麻痺なども治し、皮膚のあれ、萎縮を治すのに用いられる。青黒い痣や悪質の病を除き、下痢を止め、口の渇きを止める」と効能が記されています。村上天皇が疫病にかかった時、梅干しと昆布を入れたお茶を飲んで回復されたというエピソードや、鎌倉時代の僧侶は梅干しを酒のさかなにしたという記もが残されています。

●戦国時代には兵糧食として大活躍
 まず梅干しは軽くてかさばらない保存食として重宝されました。しかも戦場で疲れることなく働け、栄養も補給できるので、味噌と並んで、戦国武将の兵糧丸の重要な原料になりました。しかも戦場で水あたりなどを起こした時などの殺菌や整腸剤として、また疲労回復剤をして欠かすことのできない特効薬でした。戦国武将が味噌造りや梅園づくりに力を入れたことが、今の時代にも有名な梅園としていくつも残っています。

●コレラを撃退した梅干しパワー
 江戸時代になると、梅干しはやっと庶民の食卓に上るようになりました。今では梅干しと言えばしそ漬だと思っている人が多いですが、これは梅干しの変わり漬で、江戸時代に始まったものです。
 『飲膳摘要』という本には、長年の体験から知りえた梅干しの効用が、「梅干しの七徳」として紹介されています。
 七徳とは、①毒消しである。②腐るのを防ぐ効あり。③病気を避ける効あり。④その味を変えず。⑤息づかいによい。⑥頭痛を医する効がある。⑦梅干しよりなる梅酢は流行病に効がある。の7つです。
 江戸時代末期、全国でコレラが大流行したときに大活躍したのが梅酢と梅干しです。現在では、コレラ菌が有機酸に弱い菌であることはよく知られていますが、江戸時代の人々がコレラ菌の性質を知っているはずもなく、長年の経験から梅酢に強い殺菌力があることを知り、治療に役立てたのです。

●現代の梅干し事情
 さて、これほど凄い梅干しの効能ですが、これは本物の梅干しであることが条件です。昨年、私は毎年梅干し作りの時に無農薬栽培の梅を送ってくれる梅農家に会いに、和歌山に行ってみて驚きました。本場の和歌山でさえ、ホテルや空港で売っている梅干しの中に、梅と塩だけで漬けた本物の梅干しは一つもなかったのです。無添加とある商品も蜂蜜や砂糖を使った味付け梅漬けで賞味期限は半年。また添加物を使って減塩をうたっている梅漬けも多くありました。
 私が最も愚かだと思うのは、減塩をするために添加物まみれにされた梅干しを作り出した人間です。人間は海から生まれ、塩分対応能力がほかの化学物質対応能力よりもはるかに高いのです。多すぎた塩分は体外に排出できても、添加物の化学合成物質は排出できません。現代病の原因になっています。
 もし無農薬栽培の梅と日本の自然海塩で塩分20%の無添加の梅干しが欲しいのなら自分たちで作るしかありません。

●本物の梅干しとは
 若杉友子さんからは、昔は梅干しに限らずたくあん漬けも、塩分は30%だったそうです。私も挑戦しましたが、3年でもまだ食べにくい塩辛さが残るので、20%で作ることにしました。梅漬けの段階でこの塩分だと、出来上がりは25%くらいの塩分になり、3年でおいしい梅干しになります。JAS法では塩分22.1%以上で伝統的製法によって製造されたものを「梅干」と呼び、それ以下で7.6%までの塩分のものを「調味梅干」と表示することが義務付けられています。ですから減塩の梅干しや、味付け梅干しは本物の梅干しではありません。伝統的製法のもっとも重要な点は、土用干しといって夏の太陽にしっかり3日間干すことです。この過程で、黄色だった梅干しが色づき、しそを入れなくても赤くなるのです。感動ものです。それは陰が陽に転換する大切な工程なのです。

 メダカのがっこうが考える「本物の梅干し」は、無農薬の梅と伊豆大島の阪本さんの塩か、大分の赤峰さんのなずなの塩だけで漬け、しっかり夏の太陽に土用干ししたものです。どちらも1年前から準備していただいてやっと手に入る貴重な原料で手間を惜しまず作ります。
 自給自足くらぶのお教室では、梅干しづくりを伝えています。またご自分で作れない方のために販売をしています。ご希望の方は、どうぞメダカのがっこうHPのショップにアクセスしてください。

2015年10月20日

砂糖や甘味料が自給自足生活と相容れない理由(わけ)

●砂糖はなぜ悪いのか? ……奴隷制度、環境破壊、圧力団体の元凶
 砂糖は健康に悪いから摂らない方がいいと思っている人が多いでしょうが、実は人類の歴史上において、もっとも罪深きものなのです。砂糖産業は17世紀ころから、サトウキビのプランテーションと製糖工場の拡大で地球最初の環境破壊の元凶となり、奴隷制度のきっかけとなり、近代政治の世界で最初の圧力団体になったのです。これを知った時から、私は砂糖が大嫌いになりました。
 紅茶に砂糖を入れる魅力に取りつかれた英国をはじめヨーロッパ諸国は、わずか数十年の間に、砂糖消費量が10倍~20倍と増えました。英国は、カリブ海沿岸にサトウキビプランテーションを展開し、地元の働き手が足らなくなると、アフリカから大量の人を奴隷として投入しました。砂糖産業のために故郷から引き離され、1日20時間もの強制労働で命を落とした人たちは、6000万人にも達すると言われています。

 環境破壊については、サトウキビは成長が早い分、土からの養分の収奪が多く、どんどん荒野が広がっていき、工場周辺の川は工場排水に汚染されました。
 奴隷制度による労働、植物が長年かけて作った豊かな土の栄養、工場で使う燃料として使われた森林、すべての資源をタダ同然で奪うことで、英国、アメリカ、ヨーロッパ諸国に富が集中し、政治の世界で最初の圧力団体に成長し、権力を握っていったのです。
 こうして砂糖は、自給自足経済を壊し、搾取の構造を生み、格差社会の出発点になったのです。

●砂糖の健康への害や都合の悪いことを隠す圧力団体
 砂糖産業は砂糖を売るために結束し、やがてそれはイギリス最初の圧力団体として活発にロビー活動(政治に関わる活動)をするようになり、19世紀初頭からわき起こった奴隷貿易反対運動を徹底的に潰しに回りました。この砂糖産業圧力団体の構図はアメリカにもそっくり引き継がれました。「ビッグ・シュガー」です。
 「女性はチョコレートや砂糖菓子を好む愛らしい存在」というキャンペーンを行い、子供がお小遣いで買える値段のキャンディーを販売して子供の味覚と嗜好を変えて一生逃れられない砂糖漬けにしました。子どもに飴をあげる大人になるのはやめましょう!
 さらに「ビッグ・シュガー」は、研究資金を出している研究機関に「砂糖はいくら摂取しても健康被害を生じない」という研究結果を出させ、それを根拠にWHOの健康指針に加えるために画策しました。この企みは2005年のアメリカ合衆国農務省の指針から「砂糖の取りすぎは健康を害する」の一文を消し去ることに成功しました。当時のアメリカ政府は国民の健康より、砂糖協会からの献金を選んだのです。減塩は叫ばれても、減砂糖が取り上げられないのは、ずっと不思議だと思っていました。ガン細胞の大好物がブドウ糖だという事実だけでも、周知のことにしたいです。

●砂糖を悪者にしてのし上がる劣悪な甘味料
 話は変わりますが、砂糖の健康への害を調べていた時、500mlの清涼飲料水には55~66gの糖分が入っていて、それは水に溶かした場合、気持ち悪くて飲めないくらい甘くなることを知りました。そこに炭酸と香料と色素などの添加物を加えることで飲める清涼飲料水になるのです。
 しかしさらに驚くことがありました。それは、砂糖はコスト高ということで、もっと劣悪な甘味料が使われているということです。それは遺伝子組み換えのトウモロコシから抽出した異性化糖、「果糖ブドウ糖液糖」と呼ばれています。これを知ってから食品表示を見てみると、清涼飲料水だけでなく、ドレッシングやポン酢名の調味料、つゆの素、スナック菓子、アイスクリーム、つくだ煮、練り製品、インスタント食品など、たくさんのものに使われていることがわかりました。
 グリーンピース・ジャパンの調査によると、これら遺伝子組み換えの異性化糖が使われている量が最も多いメーカーは、1位 明治ホールディング、2位 味の素グループ、3位 山崎製パン、4位 森永グループ、5位 サントリーフーズです。

●さらに猛毒な人工甘味料と合成甘味料
 しかしこれでもまだ天然抽出の甘味料です。さらに人体に毒となる人工甘味料や合成甘味料がカロリーゼロ、ダイエット甘味料として大手を振って使われています。たとえば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、糖アルコール(ソルビトール、エリスリトール……)などです。日本でも、よく使われている人工甘味料の2種類は、「アスパルテーム・スクラロース」です。両方とも“100%”人工的に作った甘味料です。
 食品を購入するときは必ず表示をチェックし、これらの甘味料が使われていたら、絶対に買わないようにしましょう。たとえば、アメリカの空軍では、アスパルテームの含まれた食品は禁止されています(特に“ダイエットソーダとガム”)。アスパルテーム製造企業から研究費を出資された研究機関の74論文すべてが 「アスパルテームは安全である」と結論しているのに対し、製造企業と関係のない独立研究機関の90論文のうち83論文が「アスパルテームは脳腫瘍などの致命的な 健康被害をもたらす危険性がある」と結論を出しています。

●白砂糖は化学合成された添加物と同じくらい害がある。
 それでは白砂糖の悪い点を挙げてみましょう。
 ①砂糖のとり過ぎは体内のビタミン、カルシウム、ミネラル不足を招く。②砂糖は、血液を酸化(汚す)させ、赤血球や細胞を崩壊させる。③アトピーなどアレルギーはもちろん、冷え性、頭痛、肩こり、貧血、便秘、虫歯、胃潰瘍、糖尿病、心臓機能低下、子宮異常、静脈瘤など、恐ろしい難病と言われるようなもののほとんどが、砂糖病である。④白砂糖や人工甘味料など吸収が早い糖質食品をとりすぎると、急上昇した血糖値を下げる作用が過剰に働き、逆に低血糖になるなど、血糖値が乱高下して「キレやすくなる」。またこの白砂糖のことを「白い麻薬」と呼ぶ人もいるほど依存性の強いものです。

●では人間の体に良い砂糖はないのでしょうか。
 砂糖には「分みつ糖」と「含みつ糖」の2種類あります。「分みつ糖」とは、精製された砂糖のことで、白砂糖、グラニュー糖、三温糖など、ビタミンB群やミネラルが含まれない糖分であり、「含みつ糖」とは、和三盆、黒糖、甜菜糖、メープルシロップなどで、ビタミンB群やミネラル分を含む糖分です。糖分を摂るならこの「含みつ糖」を適量摂れば良いのです。
 しかし、含みつ糖の中でも黒糖はピンきりです。ほとんどの黒糖は、サトウキビのしぼり汁が強酸性のため石灰を大量に投入し中和して固形化しています。石灰を入れるのは量を減らさないためでもあります。これに対し、石灰を使わずに本物の黒糖を作っているところもあります。この黒糖は非常に手間がかかり少量しかできないので、価格にして1kg約3000円以上になります。
 しかし、良い糖分でも1日の適量は体重1kgあたり1g、こどもには体重に応じて与える思いやりが大切です。

●そして砂糖を止めればいいことばかり
 まず一番うれしいことは、肌がきれいになること。次に集中力が持続するようになること。イライラしたり、カッとしなくなること。うつや不眠症がなくなり、性格が明るくなる人もいます。何だかやる気が出る。体か軽くなって、面倒くさいことでもやる気が起きるようになります。
 しかし甘味は人を癒してくれるので必要です。そこでメダカのがっこうでは、お米と米麹だけで作る甘酒、お米だけでつくるみりん、無農薬の干し柿や干しフルーツなどを上手に利用して、スイーツを作っています。

 では砂糖についてまとめてみましょう。

●砂糖は奴隷制、人種差別、利権争いによる戦争、現代病、消費文化を生み出した犯人である。
●分蜜糖(上白糖、グラニュー糖、三温糖など)は食品添加物の薬品と認識した方が良い。
●含蜜糖は、良い糖であるが、人間にとって甘いもののコントロールは難しいので、摂取量に注意。
●トウモロコシの糖分は遺伝子組み換えで、異性化糖として加工品、菓子類に多く使用されている。
●人工甘味料・合成甘味料は、猛毒なので、摂取しないこと。

 メダカのがっこうと一緒に、米と味噌と醤油、梅干しとたくあんを、命を優先する農家が育ててくれた原料と仲間が作った自然塩で造り、砂糖を止めると、自給自足経済が見えてきます。砂糖の歴史から、砂糖が奪ったものの数々を忘れないようにしましょう。