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田んぼのいきものだより

田んぼのいきものだより

田んぼのいきものだより

2014年11月28日

生きもの調査 in椿農園

今月半ば暖かい日を見計らい、生きもの調査のため椿農園へ伺いました。小春日和と言ってもいいような、ポカポカとした日差しの中で、田や畦の周辺を探索。もう来シーズンまで会えないかなと思っていた、いきもの達にも沢山出会えました。とは言っても季節は冬間近。いきもの達もそろそろ冬支度を始める季節。今回はそんな冬支度のいきもの達を紹介したいと思います。

図1

ナナホシテントウ 蛹

これはナナホシテントウの蛹。日当たりの良い、畦の土嚢の上にいました。成虫で冬を越すのが普通なのですが、暖かいところだと、幼虫や蛹で冬越しをすることがあるようです。この蛹も恐らくは、この姿のまま冬を迎えるのではないでしょうか?

図2

ツチイナゴ

こちらはツチイナゴ。よく知られている、いわゆるイナゴや他の多くのバッタの仲間は卵で冬を過ごしますが、このツチイナゴは成虫の状態で冬を超えます。その為、春に美味しい草の若芽がでると、いち早く沢山のご馳走を食べることができます。

図1;

用水路の水深が深くなっている所にはギンブナが群れていました。水深の浅いところだと、冬には水が完全に凍結してしまい、生きることができません。その為、できるだけ深い場所を探してそこで身を寄せ合い、春を待っているのです。

今回の調査では、合わせて、動物種:25種 植物種:50種を見ることができました。これらのいきもの達についても、また、紹介していきますので、楽しみにしていてくださいね。

市村

2014年9月24日

メダカのがっこう田んぼはトンボの宝庫!

今回は、田んぼの生きものの代表選手でもあるアキアカネについて、お話ししましょう。

アキアカネは、赤とんぼの名で皆の良く知るトンボの一種ですが、現在、その数が激減している事で話題になっている生きものでもあります。ところが6月頃に、メダカのがっこう農家の無農薬の田んぼに行くと、ものすごい数のアキアカネが羽化しているのが見られます。減少の原因は一つだけでは無いのでしょうが、やはり農薬の影響が大きいのだなと実感させられる光景でした。

アキアカネ

アキアカネの羽化

調査中、トンボに限っていってもアキアカネ以外に多くの種を見ることができます。シオカラトンボ、ノシメトンボ、アオモンイトトボ、ホソミオツネントンボ、モートンイトトンボ等々。メダカのがっこうの田んぼには実に様々な種類の生物が元気に暮らしています。今後も、この「生きものいっぱいの田んぼ」がずっと続いていくよう、お米を食べることや、援農に行くことで共に見守って下さい。

 

2014年9月24日

「生きもの係」の市村直基さんをご紹介します。

メダカのがっこうの中村陽子です。
今日はみなさんにこの春から「生きもの係」として着任した市村直基さんをご紹介します。

市村さん

生きもの係の市村基直さん

「生きもの係」とは、いのちあふれる田んぼの生物多様性を調査する係です。農家さんがお米を作っている田んぼに、どんな種類の生き物が、どのくらい居るのかを調べることで、農家さんが、自分たちが守っている田んぼが、生きものたちにとってもすばらしい環境であることを認識し、誇らしく思うことができるようになる、それを目指しての、お手伝いをします。

市村さんは、もともと、メダカのがっこうの生きもの調査を手伝ってくれていた「足立区生物園」の飼育員で蝶の孵化などに携わったりしていたました。その頃から(この人がメダカのがっこうに来てくれたらいいのになー)と思っていました。なにしろ、市村さんは、生きもののことなら、虫でも、魚でも、植物でも、鳥でも、なんでも詳しくて、調査などの段取りが手早くて、農作業でも事務仕事でも抜群に動きがいい方なのです。子供たちにも「生きものに詳しいお兄さん」として、大人気です。

その後、小田原の近海で小舟に乗って魚を穫る漁師をしていた時期もありましたが、いよいよこの春からメダカのがっこうのスカウトに応じて来てくださることになり、ここのところあまり活発ではなかった「生きもの調査部門」がまた盛り上がっていくのではないかと期待しています。

市村さん現場

田んぼの水をすくって、水生生物の種類と数をカウントする

この春から、市村さんといっしょに、千葉の椿農場、大田原の水口農場、郡山の中村農場、佐渡の佐々木農場と、メダカのがっこう米をつくってくれている農家さんの田んぼに調査に行っています。

春先には田の畦の植物、6月には水生生物、8月にはバッタ類、冬には鳥類と、季節ごとに調査していくと、その田んぼの特性がわかります。年間を通じてのその田んぼの特徴をまず把握するというのが、市村さんの初年度のテーマです。

昨今、「減農薬」というと聞こえがよいけれど、生きものにとっては強力な殺傷作用のあるネオニコチノイドの普及で、メダカのがっこう米を作っているまわりの田んぼや畑からはどんどん生きものが減ってしまっています。その分、無農薬の田んぼは、生きものたちにとっての「駆け込み寺」にもなるわけですが、そのためには、田んぼを、生きものたちが生きやすいような環境としておいてあげることも必要となってきます。大地の再生講座の矢野さんとも連携しながら、そのような方法を探っていくことも、していきたいと思っています。「生きもの調査」が、単なる調査にとどまらず、田んぼの自然環境の復元に向けての糸口を見いだす、きっかけとなっていければと願っています。

市村さんが生きもの係となってから、ようやくひと夏を過ぎたところ。年間を通しての調査がひとめぐりしていないので、まだまとめを発表するというわけにはいきませんが、このブログを通して少しずつ、市村さんが田んぼで出会った生きものたちの紹介などの発信をしてくれることと思います。

どうぞお楽しみに!