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田んぼのいきものだより

田んぼのいきものだより

2015年2月25日

ハハコグサ

今回は、田んぼの畔でよく見かける植物の一つ、ハハコグサ(母子草)を紹介します。ハハコグサの名前だと、ピンとは来ないかもしれませんが、オギョウ(またはゴギョウ)と聞くと分かる人もいるかもしれません。春の七草の一つに挙げられている植物の一つです。

ハハコグサ

ハハコグサ

一番目に付きやすいのが、花が咲いている春の時期。小さく黄色い花がいくつか集まって咲いているのを目にすることが多いかと思います。田植えの時期、田の畔を彩る植物たちの一種です。

7草粥で食べられるのは勿論ですが、昔は草餅といえばヨモギではなく、このハハコグサを使っていたようです。確かにどちらもキク科に属する植物なので、風味はそうは変わらないのかもしれません。食べるのは花が咲いてしまった状態ではなく、冬~早春のロゼット状(地表に張り付くように生えている植物の休眠状態の姿)のものを食べます。慣れないうちは少し難しいかもしれませんが、全草がフワフワしたビロードのような毛で覆われていて、慣れてくると花が咲いていなくとも意外と見つけやすいです。

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ハハコグサのロゼット

西荻窪の駅から、メダカがっこう事務局へ向かう道。このハハコグサに似た植物がアスファルトの隙間から生えているのを目にします。これはチチコクサモドキ(父子草擬き)。なんだか、偽物の更に偽物みたいな名前です。もともとハハコグサに似ており、少し地味で細い草姿である植物に、ハハコグサに対する形でチチコグサという名前が付けられ、更にその姿に似た外来種の植物が侵入したことで、それにチチコグサモドキと名付けられたようです。都会のアスファルトの隙間では、このチチコグサモドキを見る方が圧倒的に多いです。

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チチコグサモドキ

ここ数日、暖かい日が続いています。もう少しで、ハハコグサをはじめ、多くの野草が花を咲かせる時期がやってきます。家や会社に閉じこもってばかりいるとイライラが溜まってしまいます。晴れて暖かい日には、家族皆で草の花を見に少し草地のある公園や田んぼをお散歩するのも良いんじゃないでしょうか。

 

2015年2月19日

トウキョウダルマガエル

メダカのがっこうの花丸農家さんの田んぼに行くと、必ずと言っていいほど観察することができるカエルです。トノサマガエルとよく間違われていますが、模様の違いで見分けることができますし、関東で見かけたのであれば、ほぼ間違いなく、トウキョウダルマガエルだと思ってもらって大丈夫です。春に産卵し、卵からかえったオタマジャクシが初夏、田んぼの水が抜かれる前にはカエルとなりますが、成体になってからも水辺からはあまり離れないで生活をしています。

トウキョウダルマガエル

トウキョウダルマガエルは、個体差が非常に大きいのが特徴の一つです。他に田んぼでよく見かける、ニホンアマガエルや、ニホンアカガエル、シュレーゲルアオガエルは、どの個体をとってみても同じように見えてしまいますが、このトウキョウダルマガエルは体色や斑紋が一匹、一匹大きく違います。斑紋が大きいもの小さいもの、体色も緑が強いものから、茶褐色のものまで。個体によっては、これ何ガエルだ???と、一瞬分からなくなる個体までいるので、目視でトウキョウダルマだと分かっていても、ついつい捕まえて観察したくなってしまいます。

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茶色の強い個体

いつも花丸農家さんの田んぼでは数多く観察できるので、どこにでもいるカエルなのだと錯覚してしまいがちですが、栃木県、千葉県では県の絶滅危惧種に指定されている程、数を減らしてしまっているカエルです。数を減らしてしまっている原因としては、田んぼ自体の減少、圃場整備、農薬や、ウシガエル・アメリカザリガニによる被食などが主な要因ではないかといわれているようです。

ある程度大きいので、捕まえた際の達成感も大きいのか、子供達の標的になりやすいのがこのカエル。捕まえようとして、田の畔をカエルと一緒になって跳ねている子供達。春~秋にかけて、私達の田んぼでは、よく見られる光景です。