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田んぼのいきものだより

2018年1月10日

冬の田んぼ

季節はもう冬。少し前まで真っ赤になったアキアカネが数えきれないほど飛びかい、少し歩けば無数のイナゴが飛び跳ねていた田んぼも、今はとても静かに寂しく見えます。

生きものが冬を乗り越えるための大きな問題の一つが、エサの少ないことです。そこで、多く生きものはエネルギーの消費を抑えて過ごせるよう、できるだけ動かずじっとして暮らしています。特にチョウやバッタに代表されるような田んぼの昆虫たちの多くは、エサが全く必要のない、卵や蛹の形で冬を越し、来年の春を待ちます。

アキアカネやイナゴは田んぼの泥や、畦の土の中で卵の姿で冬を越えますし、モンシロチョウやキアゲハといったチョウの仲間の多くは蛹で、静かに春が来るのを待っています。

ところが、この何もいないようにも見える、静かな冬の田んぼの畔を歩いていると、突然4~5㎝程度の大きなバッタが飛び出すことがあります。クビキリギスやツチイナゴというバッタです。このバッタはあえて厳しい冬を成虫の姿で越すことで、来春、他の虫達がまだ生まれてきていないか、生まれていても小さな幼虫の姿である間に、沢山のエサを食べ競争に勝つという戦略をとっているのです。

クビキリギス

実はこの戦略をとっているのはこのバッタの仲間だけでなく、チョウでは、キチョウや、キタテハ。トンボではオツネントンボが冬を成虫の姿で乗り切ります。キタテハや、キチョウは、冬の間でも暖かい日に地面の低い位置を飛び、わずかに咲いているタンポポなどの花の蜜を吸っている姿を見ることも出来ます。

冬僅かに咲く、タンポポの蜜を吸う

キタテハ

オツネントンボ

 

 

 

 

 

なかなか外に出ようとは思えない寒い季節ですが、天気がいい日には頑張って田んぼの畔を歩いてみるのも面白いと思います。思いがけず、きれいなチョウを見つけることが出来るかもしれませんよ。