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田んぼのいきものだより

田んぼのいきものだより

田んぼのいきものだより

2015年3月27日

ニホンイモリ

今回は、ニホンイモリを紹介します。別名はアカハライモリ。背中は黒っぽい色をしていて、田んぼを上から覗いてみてもあまり目立ちませんが、腹側は赤い地色に黒の模様が入っていて非常に目立ちます。

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ニホンイモリ

この赤い色は警戒色と呼ばれるもの。実はフグ毒と同じ成分、テトロドトキシンという猛毒をもっている生きものでもあります。まずは背中の保護色で見つかり辛くしておき、見つかってしまった場合も、この赤い色で自分に毒があることを知らせ、食べられないように工夫しています。ただし、触っても特に問題はありません。傷口がある場合に少しピリピリとした感じがする程度。食べてしまった場合はどうなのか分かりませんが、触った後にはよく手を洗うように注意する程度で大丈夫です。

春に産卵し、孵った幼生は田んぼなどの水中で過ごします。姿はカエルの幼生とは違い、外鰓という呼吸器官が頭の周りに出ています。成長し手足が出てくるころには、一昔前に流行ったウーパールーパーを小さくしたような姿になりとても愛らしいです。それ以上に大きくなると外鰓が吸収されて無くなり小さなイモリになります。こうなるとカエルと同じで肺呼吸になります。

非常に生命力の強い生きもので、水温は0℃位から35℃程度まで平気です。寿命も長く、少なくとも25年。きちんとしたデータは無いようですが、50年位生きるという話もあります。また、再生能力にも優れている生きもので、手足や、尻尾などが切れてなくなってしまっても、骨まで完全に再生することができます(トカゲの尻尾が再生するのは有名ですが、骨までは再生しません)。

そんな生命力にあふれるニホンイモリですが、やはり数を減らしている生きものとして、紹介しなければなりません。原因はやはり水質の悪化や、農薬の影響。その他にも、きれいな生きものなので海外の両生類マニアからの需要もあり大量に捕獲されてしまったといのも要因となっているようです。

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水面を見つめるニホンイモリ

カエル・ザリガニをも上回る子供達の人気者、ニホンイモリ。もう少しで、産卵のために田んぼに多く集まってくる季節になります。

今年も出会えることを楽しみにしています。

 

2015年3月13日

ニホンマムシ

関東の田んぼで出会うことができるヘビは、アオダイショウ、シマヘビ、ヒバカリ、ヤマカガシ、マムシの5種の内の一つである場合が多いかなと思います。今回は、その中でも、ちょっと注意の必要なヘビ、マムシを紹介します。

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ニホンマムシ

マムシの特徴は、身体に小判型の斑紋模様が並んでいることです。頭が三角形になっているともよく言われますが、他のヘビも威嚇する際には頭を三角形に変形させるので、私は模様で見分けるのが一番良い方法だと思います。慣れるとフィールドでも見分けることができるようになると思いますので、しっかり覚えて下さい。比べてもらうためにアオダイショウとシマヘビの写真も載せておきます。

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アオダイショウ

 

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シマヘビ

これらの種類も、子供のうちはマムシによく似た模様があり、マムシに間違われることがあります。ただ、さわらぬ神に祟りなし。マムシに似ていると思う場合はもちろん、確実に無毒のヘビだという確信が無い限りは無闇にヘビに手を出さないでください。

ただ、気を付けていても田んぼの中では誤って踏んでしまう事や、手に触れてしまう事があります。そういう時には咬まれる事もあるので咬まれた場合について少しだけ触れておきます。

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草地のマムシ 枯草に紛れ見分けがつきづらい

マムシは猛毒のヘビで噛まれるとすぐに死んでしまう。というようなイメージがあるかと思いますが、実際の致死率はそう高くはありません。噛まれた場合はまず落ち着くこと。慌てて走ったりしては余計に毒のまわりを速めてしまうことになります。まずは医療機関へと連絡を入れ、落ち着いて病院へ向かいましょう。現場での応急処置としては咬み傷周辺を強く押して毒を絞り出す程度に留めます。口で毒を吸うこと、咬まれた場所を縛ること、傷口を開いて毒を出す等の行為は、あまり意味が無かったり、余計に悪化させたりする恐れがあるので、やめておきましょう。

さて、そんな毒を持つマムシですが性格はとても臆病で、こちらから手を出さない限りは、マムシの方から積極的に噛みつきにやってくるということはありません。遠目から見る分には模様のとても綺麗なヘビです。また生態には興味深いところもあります。それは、卵胎生といわれる繁殖方法をとっていること。卵胎生とは簡単に言うとお腹の中で卵を孵し、子供を産む方法。つまり、マムシは見かけ上は卵ではなく子供を産むヘビだということになります。夏の終わり頃から秋口にかけて10尾前後の子供を産むそうです。

マムシは、田んぼの生態系ではピラミッドのトップに入る生きものです。マムシがいる事は生態系が豊かな場所であることの証にもなりますし、マムシ自身もその環境ではとても重要な生きものです。無暗に怖がったり、駆除の対象にしたりはしないで、適切な距離を知って接するようにしてほしいと思います。

2015年3月5日

ヤマトシジミ

ヤマトシジミ

今回紹介するのは、田の畔でよく見かけるチョウの一種、ヤマトシジミです。羽を広げた状態でも大きさは2.5㎝程度と非常に小さなチョウです。

名前の由来は羽を閉じた姿が二枚貝のシジミに形が似ているから。それに大和の国でよく見かけるという意味でヤマトの名が冠されたのだと思います。

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ヤマトシジミ

名前はあまり有名ではありませんが、都会でもちょっと気にしていると一番よく見ることができるチョウだと思います。田の畔以外でもちょっとした草原や、場合によってはアスファルトで舗装された道路の脇でも、この薄い青色の小さなチョウは見ることができます。

このチョウがどこでも目にすることができる理由。それは食草(幼虫の食べる植物)に秘密があります。このチョウの食草はカタバミのという植物。やはり名前はあまり有名ではありませんが、舗装された道路の隙間、本来植えていた植物が枯れてしまった後、放置していた鉢やプランター、もちろん草原や田の畔、等々、どんな場所でも4つ葉のクローバーのような葉に、小さな黄色い花が咲くこの花を見つけることができるか思います。

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カタバミ

そしてどこから見ていたのか、その周りには卵を産むため、もしくは花の蜜を吸う為に、ヤマトシジミがよく飛んでいるのです。皆さんも、通勤、通学、お買い物の行き帰り、是非、道路の脇に生えているカタバミやその周りを飛んでいる、ヤマトシジミを探してみて下さい。

チョウの仲間はその食草が、種類毎に違っていることが多く、多くの種類のチョウがいるということは、多くの種類の植物がその場所に生えているという事の証拠の一つにもなります。メダカのがっこうの花丸農家さんの田んぼには、このヤマトシジミをはじめ、チョウの仲間も多くみることができますので、色々と紹介をさせて頂きたいと思います。