ニホンイモリ
今回は、ニホンイモリを紹介します。別名はアカハライモリ。背中は黒っぽい色をしていて、田んぼを上から覗いてみてもあまり目立ちませんが、腹側は赤い地色に黒の模様が入っていて非常に目立ちます。
この赤い色は警戒色と呼ばれるもの。実はフグ毒と同じ成分、テトロドトキシンという猛毒をもっている生きものでもあります。まずは背中の保護色で見つかり辛くしておき、見つかってしまった場合も、この赤い色で自分に毒があることを知らせ、食べられないように工夫しています。ただし、触っても特に問題はありません。傷口がある場合に少しピリピリとした感じがする程度。食べてしまった場合はどうなのか分かりませんが、触った後にはよく手を洗うように注意する程度で大丈夫です。
春に産卵し、孵った幼生は田んぼなどの水中で過ごします。姿はカエルの幼生とは違い、外鰓という呼吸器官が頭の周りに出ています。成長し手足が出てくるころには、一昔前に流行ったウーパールーパーを小さくしたような姿になりとても愛らしいです。それ以上に大きくなると外鰓が吸収されて無くなり小さなイモリになります。こうなるとカエルと同じで肺呼吸になります。
非常に生命力の強い生きもので、水温は0℃位から35℃程度まで平気です。寿命も長く、少なくとも25年。きちんとしたデータは無いようですが、50年位生きるという話もあります。また、再生能力にも優れている生きもので、手足や、尻尾などが切れてなくなってしまっても、骨まで完全に再生することができます(トカゲの尻尾が再生するのは有名ですが、骨までは再生しません)。
そんな生命力にあふれるニホンイモリですが、やはり数を減らしている生きものとして、紹介しなければなりません。原因はやはり水質の悪化や、農薬の影響。その他にも、きれいな生きものなので海外の両生類マニアからの需要もあり大量に捕獲されてしまったといのも要因となっているようです。
カエル・ザリガニをも上回る子供達の人気者、ニホンイモリ。もう少しで、産卵のために田んぼに多く集まってくる季節になります。
今年も出会えることを楽しみにしています。
トウキョウダルマガエル
メダカのがっこうの花丸農家さんの田んぼに行くと、必ずと言っていいほど観察することができるカエルです。トノサマガエルとよく間違われていますが、模様の違いで見分けることができますし、関東で見かけたのであれば、ほぼ間違いなく、トウキョウダルマガエルだと思ってもらって大丈夫です。春に産卵し、卵からかえったオタマジャクシが初夏、田んぼの水が抜かれる前にはカエルとなりますが、成体になってからも水辺からはあまり離れないで生活をしています。
トウキョウダルマガエルは、個体差が非常に大きいのが特徴の一つです。他に田んぼでよく見かける、ニホンアマガエルや、ニホンアカガエル、シュレーゲルアオガエルは、どの個体をとってみても同じように見えてしまいますが、このトウキョウダルマガエルは体色や斑紋が一匹、一匹大きく違います。斑紋が大きいもの小さいもの、体色も緑が強いものから、茶褐色のものまで。個体によっては、これ何ガエルだ???と、一瞬分からなくなる個体までいるので、目視でトウキョウダルマだと分かっていても、ついつい捕まえて観察したくなってしまいます。
いつも花丸農家さんの田んぼでは数多く観察できるので、どこにでもいるカエルなのだと錯覚してしまいがちですが、栃木県、千葉県では県の絶滅危惧種に指定されている程、数を減らしてしまっているカエルです。数を減らしてしまっている原因としては、田んぼ自体の減少、圃場整備、農薬や、ウシガエル・アメリカザリガニによる被食などが主な要因ではないかといわれているようです。
ある程度大きいので、捕まえた際の達成感も大きいのか、子供達の標的になりやすいのがこのカエル。捕まえようとして、田の畔をカエルと一緒になって跳ねている子供達。春~秋にかけて、私達の田んぼでは、よく見られる光景です。
ニホンアマガエル
こんにちは、市村です。今回は、皆さんご存知のアマガエルを改めて紹介させて頂きます。
アマガエルなんて皆さん十分知っていると思うかもしれませんが、実は沢山の面白特徴を持ったカエルです。例えば、足に吸盤があること。これはアマガエル以外に田んぼで多く見ることができるトウキョウダルマガエルや、ニホンアカガエルには無い特徴で、この吸盤のおかげで、垂直の壁でもはい上がることができます。
そのため、用水路の護岸が進み、田んぼがコンクリートの壁によって、他の場所と隔絶されつつある現在の田んぼでも、今でも沢山の姿を見るこことができます。
もう一つの大きな特徴は、体色を周りの環境に合わせて変えることができること。
「アマガエル=緑色」のイメージが強いかと思うのですが、これはアマガエルが、イネやその他の緑色の植物がある環境で見かけることが多く、その場所に合わせた体色をたまたまとっているだけのものです。その為、アスファルトの壁にいる際や、稲刈り後の田んぼで出会うアマガエルは、灰色だったり、土色だったりします。これは、日本に住む、他のどのカエルもできない芸当です
(色の変化は数日かけてゆっくりと変わっていくようです)。
更にもう一つ上げるとすると、体表に細菌類から身体を守るための弱毒があるといわれていること。図鑑などによると、アマガエルを触った手で目や傷口に触れると激しく痛むと書かれています。こちらについては、私もやったことがないので、何とも言えないのですが、野生にいる生物に触れた際は、粘膜系や傷口には触れないようにするのが得策です。
カエルと言って、一番に思いつくカエル、アマガエル。このカエルが田んぼに行けば当たり前に見ることができる、そんな環境がいつまでも、できれば自分の身近に残っていて欲しいと、このカエルを見る度に思います。
市村