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中村陽子のコラム

2007年12月6日

「メダカのがっこうの考え方」をもう一度確認します

●市場価格に左右されない農家支援
今年の米価の農家価格は1俵(60kg)あたり1万円になりました。最低です。「米作りでは食べていけない」「息子に後を継げともいえない」と今年また放置田が増えることでしょう。
でも生きものいっぱいの田んぼを作ってくれているメダカのがっこうの花まる農家は元気でがんばっています。それは、市場価格に関係なく、田んぼを支えてくれる消費者がいるからです。たとえ業務用でも1俵あたり3万円の農家手取りを確保するのがメダカのがっこうの方針です。ところが今年の米価の低迷は、応援してくださっている商売の方々を苦しめています。消費者が安いお米に流れて行ってしまうからです。それでも農家の手取りを減らすわけには行きません。このお米の価値を知って喜んで買って食べる消費者を増やす方向以外に進む道はありません。本当に価値あるものを、作る人も食べる人も売る人も繁栄する価格で広く人に売る技こそ、商売の真髄かもしれません。誰かが続けていけないような低価格は、みんなにとっても良いはずがありません。流通も商人も消費者もここで踏ん張りましょう。


実は2003年はこれと逆のことが起こりました。お米が不作で、価格が上がり、メダカのがっこうの米価を上回る勢いだったことがありました。その時、農家は私たちと約束したお米を他へ売ることなど露ほども考えずお米を保管していてくれました。私たちが心配して電話すると、「そんなこと考えるわけが無いでしょ、失礼な」と怒らせてしまったほどです。
私たちの命と水辺の生きものたちの命を支える田んぼは、市場に左右されないシステムが必要です。国は、ますます自由化を進め、自給率の低下を防ぐことさえ出来ません。少数精鋭に支えられてきたメダカのがっこうの田んぼ環境トラスト事業ですが、もっと多くの消費者を巻き込んで、お米の価格変動ごときにぐらぐら動揺しないよう骨太に育てたいと思っています。皆さまのさらなる応援をお願いします。
●サプリメントはお断り
サプリメントは補助食品です。作物から摂れなくなったビタミン・ミネラルや生きる力を補うものです。根本の問題は土の力が失われていること、そのまた理由は、土からいただいたものを土に還さないという循環が失われていること、土をつくる草を悪者にして除草剤で枯らしてきたこと、チッソ、リン酸、カリなどの化学肥料では補えない微量元素の補給をしてきた水や草や生きものや微生物を邪魔者にして殺してきたこと、海の元素がみんな入った塩をやめて、塩化ナトリウムが純粋な塩を摂っていること、次代に命をつながないF1の野菜を食べていること、などなど、戦後私たちが積み上げてきたことの結果です。
メダカのがっこうは、根本からの問題解決をして、サプリメントがいらない世の中にするために活動しています。これは人の健康だけの話ではなく、農法にも当てはまります。資材に頼る農業をサプリメント農法という呼び方もありますが、企業秘密の技術に頼ることなく、自らが循環を取り戻し、草や生きものやその土地にあるものを活用して自然を味方にする農業を目指し応援していきたいと思っています。
●人と自然の健康の大原則は身土不二
外国から大量の食糧を輸入することは、それだけで地球の環境破壊になることを知っていますか。作物というのは土から養分やミネラルを吸い上げ、またその体にたくさんの水分を蓄えています。いわば栄養のある水がめなのです。そうした作物を大量に移動すると、輸出した国の土からミネラルと水を奪うことになります。微量ミネラルに関しては、化学肥料などでは補うことは出来ません。その結果、その国の砂漠化が進みます。
一方、輸入した国は、たくさんの元素が入ってくるので、下水や川が富栄養化し海の汚染が進みます。食養の世界では、身土不二といって、自分が生れた土地で取れたものを食べるのが身体にいいとされています。それは暑い所の作物は身体を冷やし、寒い所の作物は身体を温める働きがあるので、そう言われているのですが、実はこれは地球の環境を守る原則でもあるのです。
●良いお米、良い食材を選ぶ基準
自分が食べているものが、果たして地球の自然を壊して生れてきたものか、日本の自然を再生しているところから生れてきたものか、を考える基準にしましょうというのが、メダカのがっこうの提案です。そして、生きものいっぱいの田んぼの米を選び、お米を基本に食事をしましょう。お米が高いのではなく、他のものを食べ過ぎているのです。ご飯と塩と少々の野草があれば、健康に生きていけます。ご飯を良くかんで食べるだけで、気力体力が充実したダイエットに成功しますよ。農家の方は、毎年変わる気候条件の中で、考えて工夫して身を粉にして働いておいしいお米を作り続けていてくれます。そんな田んぼをトラストして日本の自然再生に貢献し、自分の食糧と健康を確保しませんか。そして田んぼ仕事をあなたの趣味に加えてください。家族の絆も深まります。