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中村陽子のコラム

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2009年9月20日

野草と命ある食材の薬膳料理 「若杉ばあちゃんの台所」始めました!

神田神保町のおむすび茶屋は、朝7時から夕方5時までの早寝早起き健康優良店です。「夜はやらないのですか?」と言われながら、決心がつかないまま2年半が過ぎましたが、いよいよ夜の部を始めることにしました。それが「若杉ばあちゃんの台所」です。この4年間、春、夏、秋と年3回の若杉友子の野草料理教室を開催してきましたが、試食して帰ると、身体に力が湧いてくる感じを多くの人が持つようです。この料理を毎日出す店が「若杉ばあちゃんの台所」です。厳正に材料を吟味するため1日20食限定で、野草や野菜の知識、料理方法など伝える説明書付きにしようと考えています。
綾部の若杉ばあちゃんちで料理合宿と手当法 
                                 そのために、スタッフ全員12名で合宿に8月21日、22日と合宿に行ってきました。21昼、若杉ばあちゃんの家に着くと、「よう来たね」という声が心なしが力なく感じたら、案の定、昨夜ムカデにかまれて足が少し腫れていました。昨夜かまれた後、すぐに梅干の黒焼をのみ、自分でしょうが油を塗ったり、ヨモギの足湯をしたりしたことが功を奏して腫れがかなり治まったそうです。その日はたくさんの料理を教えてくれました。ほんとにすごい人!目の前で、医者いらずの生活を見せてもらいました。
 翌日は、解熱の方法を教わりました。どんな草でも刈ってきて座布団2枚分くらいの木綿の袋に入れ、その上に寝ると、身体がスーッとします。草の陰が、熱の陽を取ってくれるのです。陰陽の原理を知って、人を元氣に出来る人って、本当にかっこいい。
 ここまでみんなと来た理由、それは若杉さんの暮らしを見て、その精神を受け継いで店で料理をしたいと思ったからです。皆それぞれに強烈な印象を受け、「若杉ばあちゃんの台所」の店を、名前に恥じないものにしようと、やる気いっぱいになって帰ってきました。
若杉ばあちゃんの料理
 若杉ばあちゃんの料理はすべて生命力ある植物から生きる力をいただく薬膳料理です。彼女が野草の研究を始めたのは、マクロビオテックを勉強していた時、今の野菜がF1という一代限りの交配種(自殺種ともいう)で次に命をつながない植物だと知った時からです。
 どんなに良い料理法を学んでも、命のない野菜を使っていては意味がないと考え、自ら種を落としコンクリートの間からも芽を出す野草に注目したのです。それから田舎の年配の方たちに野草のことを聞いてまわりましたが、普通の野の草の食べ方を知っている人はほとんどいなかったので、自分の身体で人体実験しながら、研究しました。
 そして、肝臓や腎臓を傷めないように、3段階のあく抜き方法をあみ出しました。その3段階とは、①塩水でゆでる、②水にさらす、③醤油洗いをする ですが、この3つ目が意外とあくが出るので、大切な作業なのです。
 また、野菜についても在来種の種で栽培し、志を同じくする人と種の交換をしながら徐々に種類を増やしています。ですから、野草だけでなく野菜についても、若杉ばあちゃんの料理は、在来種のいのちある野菜で作るのが筋なのです。
 そして調味料はすべて無添加、油はごま油と菜種油の圧搾法でしぼったもの。これら申し分のない食材を使って、陰陽のバランスのとれた料理を作るのです。
お母さんの晩御飯形式
 1日の仕事を終えて、我が家に帰る楽しみは、お母さんが作って待っていてくれる晩御飯。家族の健康を一番に考えて、今一番旬で元気な食材で作ってくれています。そんなお母さんのイメージでデザートまでのコースメニューを考えて出そうと思います。
 ですから、メニューは任せてもらうことになります。若杉ばあちゃんに聞きながら今畑にあるもので組み立てます。お酒が目的の居酒屋ではなく、おいしいごはんが食べたい方たちが満足できるお店にします。1日20食くらい心をこめて作ります。すべて予約制で、6時〜8時、8時〜10時の2回くらいがゆっくり出来ていいかも知れません。私と同じ気持ちになって働いてくれるスタッフが心を込めておいしい晩御飯を作ってくれています。
 
若杉ばあちゃんの台所は
1.営業時間は夜6時から10時までで、フルコースの予約制と立ち寄りごはんセット。
2.食材は、季節の野草、在来種の旬の有機野菜、農薬・化学肥料を使わず生きる環境を取り戻してくれている農家の米や雑穀、無添加の調味料(自家製味噌、醤油)、有機溶剤を使わない圧搾式で搾った油。
3.料理方法は、命ある食材を身体が吸収できる形に調理する若杉ばあちゃんの陰陽を踏まえた料理法。
4.メニューはその時々の最適な食材で組み立てを任せていただくお母さんの晩御飯形式。
5.野草や野菜の説明、作り方を解説したものを用意します。
6.自給自足くらぶの発信基地として、味噌作り、醤油造り、梅干し作りなど、会員農家の有機栽培の原料と自然海塩で作る教室を開催します。
7.若杉ばあちゃんの野草料理教室を春夏秋と年3回開きます。
以上のような方針をで進めています。
 このような料理は家庭でも材料がそろわないため、毎日作るのは難しいので、お店で出し続けるのは至難の技だと思います。メダカのがっこうが長年培ってきた自然耕農家、有機農家とのパイプをフルに活かし、援農ボランティア隊も充実し、有機農家を元気にしながら、日本の農業の建て直しを同時進行することで、可能になると思います。
 食べる人を元気にする食を提供する店が、同時に日本の有機農家や田畑の生きものたちを元気にすることで、存続可能になるという、新たなる挑戦の始まりです。
 皆さま、どうぞ応援してください。金曜日には私もお店にいるつもりです。

2008年7月26日

自給自足屋はじめます。

 おむすび茶屋を始めて1年以上たちました。このお店のコンセプトは、農家支援だとハッキリしているので、開店当初から注目されました。お米選びの基準は、田んぼの生きものたち、「沈黙の田んぼ」ではなく、「いのち賑わう田んぼ」で穫れたもの。これは、食材選びの基準を、その食材が日本の自然を壊すようなところから生まれて来たのか、再生するようなところから生まれて来たのか、というところに置くということです。また、野草の季節には出来るだけ自分で自分の命を繋いでいる野草を使う。野菜も出来るだけ一世代限りのFIの種ではなく、在来種の種から育てたもの、したがって当然露地栽培の旬のもの。ですから、おむすび茶屋の惣菜には、決まったメニューはありません。今日畑で採れるものを送ってもらい、その野菜を見ながら毎週惣菜会議をして料理を考え、さらに毎日変化を持たせるための工夫をする、まるで家庭料理です。塩は日本自然海塩、味噌は農家の自家製(地元の大豆)、しょう油も国産大豆の無添加しょう油、そして砂糖は使わない。(もちろん人口甘味料は論外です)
 こうして、田んぼの生きものたちも、稲も、農家も、食べる人も、みんなが元気になる店の目標が実現できているわけです。
自給自足屋の素材選びの基準は自給率
 さて、今年は一歩前進して、仮想鎖国計画を進めるために、自給自足屋を始めます。食材選びの基準を自給率に置くとどうなるでしょうか。農水省の自給率ソフトによると、小麦粉24%、卵11%、しょう油0%、一般の日本人の食事がいかに自給率が低いかが分かります。しかし、おむすび茶屋での自給率はかなり高いはずです。先日、メダカのがっこう茂木の家で、自家製の無農薬・無化学肥料の米と野菜、畦に生えている野草4種(カンゾウ、ヨモギ、タンポポ、ツクシ)を、すべて国産無添加の調味料、自家製味噌、圧搾機で絞った国産の油で料理したところ、ほとんどの料理が自給率100%であることが分かりました。都会でこのようなメニューを作るのは至難の業ですが、自給自足に近い生活を田舎でしている人にとっては、調味料にさえ気をつければ、意外と簡単そうです。その代わり、どこへ行くのも車を使うのと、農作業も機械なしでは出来ないので、石油への依存率はかなり高そうです。牛や馬の復活も考えておかなければ、と思います。
自家製の調味料を増やしていきます。
 難しいのは、調味料です。今年はまずしょう油を作り始めます。塩はもちろん日本自然海塩を使いますが、大豆は明らかに足りないので、無農薬大豆の増産をできる方にお願いしたいと思います。酒、みりんは、安心できる醸造元があるので、自給率100%のものが揃います。有機溶剤を使わない国産の油も希少です。特にゴマは自給率0%なので、ゴマの栽培をお願いしたいと思います。油にするのはもったいないので、油分は、ゴマや落花生、クルミなどをすり鉢で油が出るまで良くすって和えもので摂るほうがよさそうです。
自給自足屋は創作郷土料理 
 メダカのがっこうはやはり命の田んぼのお米がメインなので、自給自足の素材は秋田県比内町ものを中心に使う予定です。なぜ比内町なのかというと、3年ほど前、メダカのがっこうに、比内町のナチュラルファーマーズの辻さんがやってきて、「私たちのところではもうすぐ田んぼをやる人がいなくなります。中村さんが考えているよりずっと深刻ですよ」と言いに来てから、ずっと気になっていたからです。彼は、農薬や化学肥料に頼らないEM菌を使った稲作を始めてかなり経ちますが、地域で長い間受け入れられなかったそうです。しかし彼についてくる人は徐々に増え、今では地域で信頼され1大グループになっています。また、1昨年から彼は、メダカのがっこうが目指す生物多様性の田んぼにするため、冬・水・田んぼを始め、昨年夏には、ミズカマキリなどの水生昆虫などがいました。また、彼はメダカのがっこうが今年から始める仮想鎖国計画、自給自足屋のコンセプトのよき理解者であり賛同者なので、仲間も素材も信頼できるのです。
保存食は自然エネルギーのかたまり
 食材探しに比内町に行ったのは3月始め、まだ雪が残り、山も畑も真っ白です。そこで地元の日常食べているものを料理していただいたのですが、山菜の塩漬け、すき昆布など海のものや山のものの乾物、漬物など、塩抜きしたり、水で戻して料理したものは、保存食であることを感じさせない美味しさでした。東北地方の保存食は、巨大冷蔵庫を使わず、塩や太陽エネルギーをフルに活用した、自然エネルギーの塊だと思います。私たちは、自然エネルギーというと、太陽光発電や風力発電を想像してしまいますが、塩蔵、醸造、発酵などの生きもの(菌)の営みを活用した技術や、乾燥など太陽エネルギーを溜め込んだ技術こそが、日本にあるものだけで生きていくための自然エネルギー利用技術なのでした。
 これらの素材を、都会の人たちの口に合わせ、スピード感を持たせたメニューを創造するところに、私たちの智恵を絞ろうと思います。皆さんどうぞ応援してください。

2007年7月23日

おむすび茶屋奮闘記

おむすび茶屋メダカのがっこうを始めて5ヶ月がたちました。「いのちの田んぼ」のお米を毎日10升、20升とどんどん炊いて、どんどん握る。シャープな正三角形なので、型に入れていると思っている人もいるようですが、すべて店長、佐藤美重子さんの優しい手で握っています。最近はかわいい弟子が2人できて、上手に教えてくれているので、スピードはまだまだですが、ふわっと三角に握れるようになって来ました。日本中のお母さんが、こんなにおいしくおむすびを作れるといいと思うので、近い将来、おむすび教室も始めますね。

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2006年12月10日

おむすび茶屋 メダカのがっこう

美味しくて、食べた人も田んぼの生きものたちも農家もみんなが元気になるおむすびやさんを始めます。メダカのがっこうを始めたときから、2012年までに、瑞穂の国の宝である田んぼを生きものいっぱいにしたら、メダカのがっこうの卒業式をして、私はメダカ茶屋の女将になって、素晴らしい人たちに囲まれて楽しく暮らそうと思っていたのですが、その順番が逆になりました。
このいのちの田んぼを広げるためには、この田んぼのお米を食べる人を増やすしかありません。田んぼ組に入って「ありがとう田んぼ」のお米を食べ、田んぼ環境トラスト運動に協力してくださる方も徐々に増えています。でもこのスピードでは後継者がいなくて絶滅寸前のいのちの田んぼは守れません。メダカのがっこうの趣・#124;に賛同して、販売協力してくださっているスーパーや飲食のチェーン店もあります。しかしこのお米は価格が高いので、とても苦労しています。メダカのがっこうが生きもの調査をして太鼓判を押す農薬も化学肥料も全く使わない田んぼのお米は高すぎて商売になりません。本当にメダカのがっこうが広げたいと思っている田んぼのお米は、私たちが炊いて食べてもらうお店を出すしか他に方法がないと分かりました。
「田んぼから日本の自然再生」という目標達成のためには、おむすび茶屋を始めるのが早道だと今年の夏ごろから思い始め、忙しさにかまけて稲刈り後の10月に「おむすび茶屋プロジェクト」を立ち上げたところ、人も場所もそのほか必要な条件が急にそろってきました。

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