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中村陽子のコラム

2011年8月12日

3.11後、今日本に生きる私たちの代でやっておきたいこと!

3月11日以降、張り詰めた気持ちが続いています。それ以前に書いた原稿がすべて間抜けに感じます。今までと違います。原発事故が起こったことで、日本人として広島、長崎の被爆者に申し訳ないやら、核の平和利用を容認してきた自分の無知と無関心が恥ずかしいやら、悔やしいばかりです。
ですが、これを機会に、今日本で進行中の原発に相当するくらいおかしいこともしっかり見つめ、これらを解決して美しい日本の国土を次世代に渡せるよう、私たちの世代でやっておきたいことを、掲げておきたいと思います。
脱原発の決心をしましょう!
原発事故はまだ進行中です。メルトスルー後、緩慢なる核物質拡散、地下深く潜り地下水脈にぶつかるという意図しない地下実験が進行しています。核は人間には制御不能な怪物です。また、原発事故の収束作業がひとつ進むごとに、被爆した人が増えている事実、定期点検作業でも被爆無しにできないそうです。このように人の健康を犠牲にして生まれた電気を平気で使っていたのかと思うと恥ずかしい限りです。原発に賛成の方、収束作業や定期点検に交替で行ってください。1本のねじを締めるのに、400人くらいの人が被爆するそうですよ。
こんな状況の中、メダカのがっこうの会員農家の方たちは、種まきをし、苗を育て、田植えをし、草取りをしています。心の中は不安でいっぱい、でも農家は土を背負って逃げるわけには行きません。何代にも渡って整備してきた田畑、長年かけて肥沃にしてきた土、農薬や化学肥料を使わないで整えてきた多種多様な生きものたちの生息環境、これがたった1回の事故で放射線に汚染されたらと考えると、死にたくなる気持ちの方がよく分かります。地震や津波からは何とか立ち直れるでしょう。1000年に一度の国難であろうと、先祖が経験してきたことでもあるので。でも今回の原発事故は違います。広島原爆の500倍もの放射線量が拡散しているのですから。脱原発を決めなければ、これから先、農家が農地を復興していく気持ちには到底ならないでしょう。
「国敗れて山河あり」、経済発展より清らかな土・水・空気が一番大切です。
土・水・空気の浄化をしましょう!
 これが私たちの世代の大仕事です。方法はいろいろあります。先日、田の草フォーラム講師でおなじみの民間稲作研究所の稲葉光國さんを訪問し、「放射線汚染の土を浄化するヒマワリ・菜種・大豆プロジェクト」のお話を伺ってきました。栄養を吸い上げる力の強い植物たちに、カリウムと間違えてセシウムを土の中から集めてもらう計画です。そして種から油を搾り、油にはセシウムは入らないので、それを農家の収入にします。最後に、セシウムを吸い上げた残渣をバグフィルター付の焼却炉で燃やし、ガラス粒に閉じ込めてスラグにし、それを東京電力にお返しして、廃炉に閉じ込めていただく計画です。
農薬・化学肥料と決別しましょう!
放射線だけを恐れるのは、おかしなことです。農薬(農毒)は放射線と同じくらい危険なものです。金額ベースで世界の半分の農薬がこの狭い日本に撒かれているのですよ。日本人女性の羊水が世界で一番汚れていることは、これと無関係ではありません。
日本中の農地に撒かれているダイオキシン系除草剤の催奇形性は、ベトナムの枯葉剤の影響で有名なベトちゃん・ドクちゃんに代表されるように、放射線と同レベルです。
また、減農薬や認証米では、必ずといっていいほど使用されているネオニコチノイド系殺虫剤は脳を犯すことで社会性の動物であるミツバチを激減させました。ネオニコチノイドは減農薬を可能にしたことでアメリカの化学賞を受けた農薬です。人間には無害だと言われてきましたが、最近、未発達の子どもの脳に悪影響があることが分かってきました。
また、農薬の空中散布を止める代わりに苗箱に使われているフィプロニル系殺虫剤は、苗に浸透させる農薬です。その苗を植えた田んぼではアカトンボのヤゴが全滅し、他のトンボ類も激減します。まだまだ恐ろしい農薬があります。放射線汚染だけを恐れるのではなく、里山の生きものたちを殺して育てた米や野菜も食べるのをやめましょう!
遺伝子組み換え種から脱却しましょう!
今年はじめ、除草剤に耐性を持ち、その葉っぱを食べた虫が死ぬ遺伝子組み換え大豆の日本での栽培許可がおりました。また同じく殺虫能力をもつ遺伝子組み換えトウモロコシや、遺伝子組み換え菜種も日本での栽培許可申請が出されています。種汚染の恐れと、種汚染を受けた有機農家が反対に特許侵害で訴えられる恐れがあります。生態系への影響も心配ですが、在来種を守り自家採種する農家を潰し、毎年除草剤と種をセットで買わなければならないように仕向ける戦略は、何より恐ろしいことです。なんとしても、日本の素晴らしい農家たちを守らなければなりません。
以上、大問題と大仕事はたくさんあります。大変そうでも、まず足元から。米中心で味噌、醤油味の一汁一菜の食生活にすると、心身が立ち直ります。そして元気に日本の土、水、空気の大掃除に取り掛かりましょう!そして、先住民族の教えのように、七代先を考えて行動する慎み深い人間世界を、今日本に生きている私たちの代から取り戻しましょう!