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中村陽子のコラム

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2020年1月4日

自家増殖原則禁止とは(種苗法改正が次の国会で通ってしまうと大変です)

「自家増殖原則禁止」と聞いても、何のことか、どんな不都合が起こるのか、皆目わからないと思いますが、これは本当に大変なことになります。

「自家採種」というのは、栽培した植物の種子を採り、またそれを播くことです。人間の歴史で栽培が始まった時からずっと今に至るまで続けている行為です。それも、ただ種子を採るだけでなく、よりおいしくて形が良く、多収穫な形質を持った作物の種子を採り続けてきました。種子は気候変動にも、人間の趣向にも合うように変化し続けています。

「自家増殖」というのは、種子ではなく、芽の出た芋を植えて増やしたり、ランナーという蔓が伸びたものを土に植えて増やしたり、株分けして増やしたりする栽培技術で、農家の腕の見せ所です。

「自家増殖原則禁止」とは、この2つを禁止するものです。農水省知財課の説明会では、禁止するのは、登録品種だけで、登録品種というのは種子全体の5%ほどだから、全く心配はいらないということで、私も一瞬大丈夫なのかと思いましたが、違いました。

先日鹿児島の農家が、地域ではとてもおいしい紫芋をたくさん作っていて、みんな在来種だと思ってどんどん増やしているが、調べてみたら登録品種だった。自家増殖原則禁止になったら、みんな法律違反を犯していることになると心配していました。これは氷山の一角だと思います。増やすことは農業の基本ですから、美味しい野菜はどんどん増やしているでしょう。日本中の農家が訴えられれば罪に問われることになる法律が、今度の国会で可決されようとしています。

国が自家増殖原則禁止にする理由に挙げているのは、シャインマスカットという優秀なブドウの品種が、海外に持ち出され栽培され、日本の市場を奪っているからだと言っています。しかし国内の品種を海外に持ち出すことは今の種苗法でも禁止されているので、このような順法精神のない海外の盗人を、いくら国内法を厳しくしたからと言って、取り締まれるわけがありません。1例ごとに裁判を起こすしかないのです。自家増殖原則禁止で権利を奪われるのは前述した日本のまじめな農家です。

では今の種苗法はどうなっているかというと、農家は原則として自家採種は認められています。しかし農水省は、自家採種を禁止する作物を増やし続けています。2016年には82種でしたが、2019年には372種になりました。ほうれん草や人参は登録品種ではありませんが、この禁止植物に入っています。どうしてこんな変なことが起こっているのか?

それは世界の動きを見るとわかります。世界のグローバル企業は特許権、知的財産権でお金を儲けようとしているからです。日本政府もこの方針です。これは工業製品なら理解できます。発明したものや、工夫し、それを実現するために研究を重ねたものに、ある年数の特許権が与えられ、それまでの苦労や費用を回収し儲けることは、必要だと思います。

しかし、種子や苗などの命あるものを特許の対象にするのはおかしいことです。特許をとれるとしたら、遺伝子組み換え技術やゲノム編集技術でしょう。この技術によって出来た種子や苗に特許を与えるのはへんです。この種子には元の種子が存在し、それは何千年もの間先祖が工夫しながら繋いできた種子なのですから。それにその大本の種子の命は人間には作れません。

これは生命とは何かという哲学的なところから考えなければなりません。インドでは種子の特許は禁止されています。またEUでも生物特許は認めないという動きが出ています。これは特許の適用に反対する市民団体No Patents on Seedsの活動の成果でもあります。

グローバル企業の狙いは分かります。TPPもFRAもUPOV条約も国家がグローバル企業への利益誘導をするために利用されています。しかし、これと同じ次元で反対しても成果は出ないでしょう。命の性格、種子の特性をよく知れば、おのずと正しい判断ができます。たとえば種子は、自然界の野生の種子でも常に変化し続けています。それは登録品種でも同じです。1年として同じ気候、同じ環境はないのですから、命あるものは常に適応するため、その環境で繁栄するために変化しています。現在ある種子の多様性は、各地の農家が種子を播き育て自家採種を続けてくれたおかげです。お米も大豆も数千種位以上の品種があります。

特許を取るには、その遺伝子や形質を記録します。しかし本当は、同じ遺伝子でも違う品種、違う形質が出る植物もあります。命は変化するので管理できません。同じ品種と言えども変化します。それは生きているからです。規格のある工業製品のように、品種を同じ遺伝子同じ形質で維持することは非常に難しいことで、多大な費用がかかります。それゆえ、たとえ維持できたとしてもほんのわずかな品種しかできません。

これは食の安全保障上、非常にまずいことなのです。気候変動によりある品種が全滅することがあります。過去にもありました。その時出来るだけ多様な種子を持っていることが必要なのです。今までの歴史では、農家が自家採種で守ってきた多様な品種の中からまた私たちの食料となる作物を見つけてきたからです。今まで日本は農業試験場でたくさんの品種を維持管理してきました。民間ではいつ役に立つかわからない品種を維持管理することはできません。もうけに繋がらないからです。しかしこれも種子法廃止で国から民間に移せというのが国の方針です。本当にヤバいことになりました。

日本は種子の種類は多分世界一、水も豊かな国で、今まで危機感はありませんでした。しかし、世界を支配しようとする人は、水と種子を押さえることで、その国を征服するのです。そして今日本は、ほぼ征服されてしまいました。だから、国を私たちの手に取り戻さなければなりません。生きるためには、みんな水と食料は必要とするのですから、主義主張は関係なく、生きているものに特許を与えることと、自家増殖原則禁止に、反対の声を上げてください。お願いします。

2015年5月17日

安い・簡単・便利・キレイ・オイシイに勝てる方法あり

「安い・簡単・便利・キレイ・オイシイ」は、現在のほとんどの日本人の消費基準。これが農薬や化学肥料や添加物の使用を増大させてきたことは、添加物の神様・安部司氏の講演で思い知らされた。人間は一度便利な生活を覚えてしまうと元に戻すのは難しい。しかし、この悪魔の誘惑に勝つ方法を2つ考えた。

方法1.ご先祖様になる意識にスイッチをいれること。

享楽のための食ではなく、良い遺伝子を残すための食を考えてみることだ。日本人の先祖はかなり優秀だ。江戸時代の飛脚は1日100㎞以上の距離を走っていたが、その食事は握り飯と沢庵のようなものだった。このような粗食で疲れ知らずの強靭な身体が作れることに、日本を訪れた外国人たちは、驚きの記述を残した。戦後70年を見ても、日本人の身体能力はかなり弱ってきたようだ。昭和20年代、村の運動会では1俵60㎏の米俵を担いで走る父兄の競争があったそうだ。私の知る限りでは、大分の赤峰勝人さんが若いころは、2俵(120㎏)の米俵を担いで運ぶことが出来たらしい。田んぼに力と書いて男、昔からほとんどの日本人が米作りに関わっていた証だろう。

方法2.野生の感性を復活させること。

野生のヘビはどんなにお腹が空いていても、無精卵には目もくれず、数ある卵の中から有精卵だけを飲みこむそうだ。無精卵が命を繋ぐ力がないことを知っている上、見分ける能力があるのである。もし人間にこの能力があったとしたら、コンビニやスーパーに並んでいるものにはほとんど買うものがないだろう。この感性は、正しい断食や七合食や不食の実践で磨くことが出来る。飽食によって完全に野生性が失われ、命を繋ぐ力がある食物が分からなくなってしまったのである。

最大の問題はちゃんとした食べ物が足らないこと

農薬ゼロのお米や野菜やミネラルバランスの良い日本の海塩の生産量は日本の全生産量の0.5%以下。たとえ1%の国民が目覚めたとしても半分しか満たせない。添加物の入っていない加工品、殺菌していない発酵食品などは、遠距離輸送も倉庫貯蔵もできないのだから存在するはずもない。つまり、自分たちでつくるしかないのである。この大事業は、お上に頼ることなく、賢い国民がタッグを組んで構築するの一番早道。買う生活から作る生活へ、都会に居ても自給自足生活を進めていこう。

女性が担う手造りの伝統食文化

安倍首相はしきりに女性が輝く時代と言っているが、昔のおばあちゃんやおかあさんは米や野菜を育て、味噌や醤油や梅干や漬物を作り、それを何年も寝かし、こどもたちを育ててきた。誰からも命令されず賃金も貰わず、喜んで無償の働きをしてきた。またこれらの食料が蓄えてあれば、非常時の食料にもなる。女性の働きが一番輝いていた時代ではないだろうか。日本のおかあさん、家族の健康をわずかな賃金と引き換えにしないで。

人の命を元氣に繋ぐものは、命あるもの

メダカのがっこうでは、F1種や遺伝子組み換え種でない命を繋ぐ種、除草剤・殺虫剤・化学肥料ゼロの米や野菜、ミネラルバランスの良い日本の海塩、日本人の腸内細菌に適した米麹、醸造・発酵・塩蔵技術で造った調味料や伝統食、種から育てて低温圧搾した油を使い、大切な人に食べさせたい食品を無添加で作っている。みんなで先祖度をアップしよう。

2014年12月27日

私のナウシカプロジェクト

私は光合成ができる植物に畏敬の念を持ち、独立自営農民を最も自由に生きる力がある人だと憧れていた少女だったが、30歳で3人目の子どもを産んで育てていた頃、宮崎駿さんのアニメ「風の谷のナウシカ」に出会った。知らない方のために少し解説すると、この映画は、核戦争後の汚染された地球が舞台で、そこには腐海というカビの世界が広がり、大型の虫が棲み、人間の村や町を飲みこもうとしていた。ナウシカは辺境の地、風の谷の王女。幼い時から腐海の虫たちと交信できる少女で、腐海の存在理由を考え続けていた。ある時、腐海の底に落ちた彼女は、底の土や砂が浄化されていることを知り、腐海のカビや石化した樹木が実は地球を浄化していること、虫たちがその世界を守っていることを発見する。そうとは知らない愚かな人間たちは、ただ腐海を焼き掃い、虫を殺そうとするが、旧時代の遺物である核兵器をもってしても虫たちの暴走は止められない。最後の場面、怒りで真っ赤な目になった虫たちが風の谷に向かって暴走している時、ナウシカが捉えられていたその虫の子どもを取り戻し群れの前に返す。すると、しだいにその子の周りから怒りの赤色が消え、群れ全体に友愛の青い光が広がっていく。

以来、私の敬愛する人はナウシカになり、母なる地球の声を聴いて手足となって働きたいと願うようになった。長男の不登校も私のエリート意識を粉砕してくれた。次に共感したのは、百姓・赤峰勝人さんの、すべては調和を取り戻すために訳あって存在するという神草さん、神虫さん、神菌さんの自然観だ。ナウシカの世界が現実になったと思った。そして47歳の時に足元から緑の水面が地平線まで広がっていくビジョンを見て、田んぼだと直感し、瑞穂の国の国産みを意識した。これが14年前のメダカのがっこうの設立につながった。

大地との絆を取り戻すことは、破壊的なエネルギーではできない。1つの命を確実に返していくこと、それには、1つ1つの田んぼに生物多様性を取り戻していくことが肝心だ。生きもの殺す赤い光の田んぼを、生きものを活かす青い光の田んぼに変えていく。この青い光を1つ1つ広げていくことをイメージして。とても地道な活動だがこれしかない。

生きもの曼荼羅

私のナウシカプロジェクトは「草も虫も人もみんなが元氣になれる田んぼがある。」

このコンセプトで決めたメダカのがっこうのお米の価値基準は3つ。

  1. 農薬・化学肥料を使わず生きものに配慮した田んぼづくりをした結果、その田んぼから生物多様性が復活し、その地域の自然再生の拠点となっていること。
  2. そのお米農家が後継ぎが出来るくらい収入が安定し喜んで働いてくれていること。
  3. 食べた人がおいしくて元氣になるお米であること。

③の食味と健康を求める消費者は多いが、①と②をお米の選択条件に入れてくれている消費者はお米くらぶ会員くらいで、まだメダカのがっこう会員の4分の1以下と少ない。しかし①と②こそ、ナウシカプロジェクトには欠かせないものだ。

皆様、どうぞお米くらぶ会員になって、日本人の食生活で一番大切なお米をメダカのがっこう米にして、私のナウシカプロジェクトに協力してください。よろしくお願いします。

2014年9月25日

お蔭様で認定NPO法人になりました。さらなるご支援をお願いします。

メダカのがっこう会員の皆様、お陰様でこの6月東京都から認定NPO法人に承認されました。認定NPOというのは、全国で3万以上あるNPOの中で、活動の公益性と会計の透明性の厳しい審査に合格したNPOに許可されるもので、現在全国で300余りです。これにより、寄付者はメダカのがっこうに寄付した金額を経費とすることが出来、税法上の優遇措置を受けられます。

あっさりと報告させていただきましたが、この1年間本当に勉強と改革の連続でした。私たちは、発足以来、これは必要だと思ったことは、思い立ったその日から行動に移してきました。認定になる審査は、そんな私たちにとって、組織の再編や会計科目からホームページにいたるまできちんと見直す良いきっかけになりました。中学生から急に大学生になった感じです。これこそ社会に育てていただいている恩だと感謝しています。さて、スタートラインに立ったところで、私の3つのお願いを聞いてください。

 

1.「ご寄付や助成金の情報をお寄せください。」

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さて、田んぼの生きもの調査や田の草フォーラムの調査研究部門、援農などの農家支援部門は、私が最も力を入れたいことです。しかしこれは全額自己資金で行っており、たいへん費用がかかるところですので、寄付や助成金が欠かせません。もし、この取り組みを純粋に応援してやろうと思ってくださる方がいらっしゃいましたら、ご寄付や助成金の情報などをお寄せください。よろしくお願いします。

 

2.「まだメダカのがっこう米を食べてくださっていない方どうぞ食べてください。」

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昨年、お米の価格革命と称して断行したフェアートレードは、多くの皆様のご理解を頂き、農家の収入も少しずつアップしています。ご協力ほんとうにありがとうございます。しかし、まだまだ命を大切にする農家の田んぼはたくさんあります。もし、もっと多くの都市部の消費者が、メダカのがっこう米を食べてくれたら、私たちは各地で信念を持って環境を取り戻す働きをしている農家のお米を、いくらでも紹介できます。農家と一緒に生きもの調査をし、これらの田んぼから環境を取り戻すために、全国の農家を回ること、これが私の夢です。どうぞ実現させてください。

 

3.「無農薬の米づくりを手伝ってください」

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無農薬のお米づくりは人手がかかります。後継者がまだいない高齢化した農家の支援は、お米をフェアートレード価格で買うだけでは足りません。1回でも草取りの手伝いに来てください。田んぼに入ると体から都会の毒が抜けていきます。そして今年の天候や稲の生長や生きものたちの様子が気になるようになります。そういう瑞穂の国の自然を愛する人になりましょう!

2014年9月25日

自給自足体制づくりは二重生活から

今なぜ自給自足なのか ―都市農村提携型自給自足の仕組み―

それは、メダカのがっこうの最終目標である「生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残すため」です。現状は、健康な身体をつくる安全な食料は買えなくなってきています。この4月、毎年梅干し作りの時に無農薬栽培の梅を送ってくれる梅農家に会いに、和歌山に行ってきました。驚いたことに、ホテルや空港で売っている梅干しの中に、梅と塩だけで漬けた本物の梅干しは一つもありませんでした。無添加とある商品も蜂蜜や砂糖を使った味付け梅漬けで賞味期限は半年。また添加物を使って減塩にしている梅漬も多くありました。もし無農薬栽培の梅と日本の自然海塩で塩分20%の無添加の梅干しが欲しいのなら自分たちで作るしかありません。

たとえ今自分で作る余裕がなくて、人にお願いするにしても、作り方を実際に知っているのと、知らないのとでは全く違ってきます。原料から揃えることを一度やってみると、核心が掴めます。私は自分で醤油を作ってみるまでは、日本の醤油の自給率が0%で、大手企業の原料はすべてポストハーベスト済みの脱脂大豆と遺伝子組み換え小麦であること、しかも数か月の即醸造りであるため、いろいろ添加して醤油らしい味をつくっていることを知りませんでした。

私たちは、企業秘密で作られたもので、健康を支えられたくありません。努力すれば自分でも作れるもので、自分の健康を維持できなければ、安心して暮らせませんよね。

DSC_1712みそづくり

ひまわり油の濾過        味噌作りの麹造り     醤油もろみの天地返し

醤油仕込み梅干し

醤油搾り         梅干し土用干し    たくあん漬け

メダカのがっこう自給自足くらぶは、米、味噌、醤油、梅干し、たくあんを無農薬・無添加で手造りしてきましたが、今年から油も作ります。民間稲作研究所の稲葉先生のグリーンオイルプロジェクトとコラボして、ひまわりの種を蒔き、種を圧搾機で搾るのです。市販の油は遺伝子組み換えの上、有機溶剤で抽出し、酸化防止剤を添加しています。油も無農薬・無添加のものを自分たちで作りましょう。

 

さて、メダカのがっこうの自給自足は、命を大切にする素晴らしい農家と力を合わせて実現することが特徴です。これを都市農村提携型自給自足体制と呼んでいます。そう、都会に居ながら自給自足生活が目指せるのです。私は兼農主婦です。皆さんも兼農会社員、兼農社長、兼農教師、兼農デザイナー等を目指し、二重生活を楽しんでください。

これは大変良い方法なのです。自給自足生活は本来お金が要らないもう一つの世界です。作る時はタダ働きですし、出来た醤油や味噌は市場経済にカウントされません。もう一方で、私たちは市場経済に生きて、生活費を稼いでいます。あなたの能力と知恵を働かせて稼いでください。そのお金でもう一つの世界を作りましょう。お金を何に使うかは自分の身体やこの国を建てなおすための選挙にあたります。お金に使われるのではなく、良い考えを持ってお金を活かして使いましょう! よいご先祖様になるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2013年2月5日

田んぼはみんなを守っている

今年メダカのがっこうは、田んぼの存在の大切さをもっと知ってもらおうと思い、「田んぼはみんなを守っている」というのぼり旗を作り積極的にアピール始めました。田んぼの減反、日本人のお米離れからくるお米余りからくる田んぼの減反、お米が足りなかったら外国から輸入すればいいと軽く考えている日本の官僚たち。それはとんでもない考えです。田んぼは単なるお米の生産場所ではありません。田んぼは日本の宝です。そこで、田んぼの働きがどれほど素晴らしいものかを今日はいくつか挙げてみたいと思います。
1. 田んぼは塩害による砂漠化から日本の国土を守っている。
地球の歴史では、文明が栄え農耕が盛んになったところから砂漠化しています。耕してかんがい用水を撒いた農地は、地中の塩分や化学肥料として撒かれた物質が水が蒸散するときに地表に浮上し白っぽく貼り付き塩害化が始まります。こうして砂漠化が広がっていきました。それにひきかえ、日本の田んぼは1年のうち数ヶ月水が張られることで、毎年その塩害が地中に浸透し、砂漠化しなくてすんでいます。何千年もの間、農地として使い続けてこられたのは、田んぼに張る水のおかげです。
2. 田んぼは連作障害から農地を守っている。
畑で栽培する作物のうち、根のもの、葉のもの、実のものは、それぞれ必要とする微量ミネラルが違い、毎年同じものを一箇所で作り続けると、必要とするミネラルが不足し作物が病気にかかったりよく育たなくなります。これを連作障害といいます。それにひきかえ、田んぼは毎年入れる水が微量ミネラルを補給するので、何千年も同じ場所で同じ作物である米を作り続けることができるのです。
3. 田んぼはダムのように自然破壊することなく、日本の水源を守っている。
田んぼは人間が作った浅い水たまりと言えます。その面積は、国土の7%、湖沼の面積が国土の2%ですから、保水力の大きさがわかります。
4. 田んぼは日本の穏やかな雨の降り方を守っている。
自然農法の父、福岡正信さんは、「雨は下から降る」と言いました。砂漠の空の上にも雲は流れているのですが、もしそこに山手線の内側くらいの広さに草を生やすことができると、その葉っぱから水分が蒸散するとそこに小さな低気圧ができ、空を流れている雲が降りてきて雨を降らせるのです。福岡正信さんは、種が入った粘土団子を砂漠に蒔くことで草原をつくり、雨雲を呼び砂漠を緑化する構想を持っていました。日本では田んぼが雨を呼ぶ働きをしていると思います。ところがその田んぼがどんどん放置され、放置田、休耕田がどんどん増え、田んぼの水面がどんどん減っています。このことが、日本の四季や穏やかな雨の降り方に、悪影響を及ぼしていると私は考えています。今や乾季と雨季にはっきり分かれているサバンナのような激しい気候に近づいているようです。
5. 田んぼは水辺の生きものたちの住処を守っている。
この場合の田んぼは、冬や早春から水を張る田んぼのことです。田んぼと言えば、カエル、ドジョウ、メダカ、タニシ、トンボ、バッタ、サギ、カモなどが浮かびますが、これらの生きものたちの餌となり命を支えているイトミミズやユスリカなどは、田んぼに水が張ってあると恐しいほど繁殖します。何千年もの間、日本の田んぼは、たくさんの水辺の生きものたちの命をつないできました。冬の田んぼに水を張るのは水の無駄使いではありません。反対に水が不足する地域ほど、冬の間から田んぼに水を張ってきました。戦後、田んぼの乾田化がほぼ100%にまで進み、1年のうち3ヶ月半しか水が張られなくなり、絶滅危惧種が激増しました。絶滅危惧種の約半分は水辺の生きものたちなのです。
6.田んぼは日本人の優しい心や歌の心を守っている。
この場合も水が張ってある田んぼのことです。「帰る雁 田毎の月に 曇る夜に」(与謝蕪村) 秋、稲刈り後の棚田には昔は水が張ってあったようで、その水面に月が映り、その空をシベリアに帰る雁が隊列をつくって飛んでいる様を歌ったものです。2001年からメダカのがっこうも平坦部の田んぼで冬水田んぼを始めましたが、その水面に雪を頂いた山々や広い空が映る様は本当に美しいので感動します。深さ15センチ位の浅さとは知りながら、湖のような風景に心が癒されます。東北の田んぼではこの水面を目指して白鳥や雁がシベリアから渡ってきます。その姿を見ると道行くトラックの運転手さんもしばし眺めたり、近所のこどもたちや年配の方たちが見に来たりします。
7. 田んぼは日本の文化や景観を守っている。
田んぼには1年中行事があります。田植え前の田の神を迎えるお祭、地域の田植えが終わると「さなぶり」、台風の前には「風祭」、稲刈りの前のお祭、稲刈り後の収穫祭や秋祭り、年末にはワラでしめ縄作り、どんと焼きなど、私が知っているだけでもこれだけあります。また農家の方たちは集落全体の山の下草刈、ドブ掃除、神社の手入れ、畦や土手の草刈など、日を決めて共同作業で整備してくれています。この無償の働きをお金に換算すると日本全体で年間37兆円にもなるそうです。
皆さん、田んぼはみんなを守っているのです。田んぼがなくなると、日本がなくなってしまいます。本気でお米食とお米文化を復活させましょう。 

2013年2月5日

お米はみんなの健康を守っている

 今年、メダカのがっこうは「お米党宣言」をしました。戦後、お米を食べると頭が悪くなるとか、カロリーが同じならご飯もパンもかわらない現代栄養学にすっかり洗脳され、日本人のお米離れが進み、今年ついに小麦の消費量がお米の消費量を超えてしまいました。私の子ども時代は昭和30年代ですが、栄養価が高い肉や魚や卵や乳製品をたくさん摂るのが良くて、「ご飯は残してもおかずを残さず食べなさい」と親からも先生からも言われたものです。しかも給食は全部コッペパンと食パンでした。母がハンバーグを作ってくれたのが小学校1年生の時で、その後食事の欧米化とスイーツと全体として食べ過ぎの食生活が浸透してきました。その結果、日本人の血管の壁は脆くなり、血液はドロドロになって循環器の病気とガンが急増しました。それでもなおかつ蛋白質の摂り過ぎの状況を変えようとせず、今だにご飯は糖尿病の敵であり、ダイエットの敵だとされています。今こそお米を見直してみましょう!
お米を食べるとどんな良いことがあるか 
お米の効能についていくつか挙げてみましょう。
 ①お米を食べると36.5度の恒常体温が保てます。赤ん坊は37.5度で生まれてきて、こども時代を37度程で過ごし、おとなになると36.5度が平熱になり、歳をとるに従って35度と下がっていき、全ての機能が衰えると34度以下になって死んでいきます。古文書に「米はその性温なり」とあり、米からできる血は、36.5度の恒常体温を作ってくれる大切な食物であると記されています。この36.5度の体温は、腸内細菌の善玉菌が働きやすく、悪玉菌が働きにくい温度であり、その人の免疫力の源でもあります。
 ②またお米を食べると、きめ細かい細胞ができます。例えば、玉の肌と言って田んぼ仕事の泥もするっと水で流れる美しい肌を作ってくれます。また傷のつきもよく、若杉ばあちゃんの話によると、昔の日本人は指が飛んでも、すぐ乗せて縛っておけば元通りになったそうです。それにひきかえ、パンを食べて出来た細胞はきめが荒く、同じ傷でも縫わなければ治らなくなったそうです。
 ③また日本人はお米を食べると、踏ん張る力が出ます。男という字は、田んぼに力と書きますが、昔の農家の男は60kgの俵はもちろん、少し力自慢の男は2俵のお米が担げました。村の運動会では、毎年60kgの俵を担いで走る競技があったそうです。長いあいだ米を主食にしてきた日本人は、腸の長さが長く、腸内細菌もお米に合っているのです。エチオピアでもエフという主食に変わって小麦が入ってきたとき、小麦では力が出ない言う声があったそうです。体格では欧米人に及ばない日本人ですが、小柄な身体に体力や気力がみなぎっていたのです。身体の大きさで競う必要はないのです。
 ④ご飯は、お米と水だけで短時間で無添加で炊けるので安全です。これをパンと比較すると、パンは材料だけでも小麦粉と水の他にイースト菌と砂糖とバターと塩が必要で、しかも発酵に時間がかかります。もし、お米と小麦粉の勝負なら、手軽さにかけてお米の勝利は明白ですが、今は企業がパンにして売っているわけですからパン食の方が簡単になってしまいました。しかしそのパンは何週間おいてもカビない危険な食物です。
 ⑤お米はお米を主食とする民族にとって、特別の存在です。「お米の効能は他のものの及ばないところである。」と記しているのは、中国に伝わる神農本草経を日本に紹介した食物本草です。その中に「米は内蔵の活動力をまし、煩悶をなくし、下痢の止め、筋骨を壮健にし、血液の流れをよくし、五臓の働きを整え、胃の活動を補い助ける。それ故、他のものと比べて論じてはいけない。」とあります。
⑥最後に伝えなければならないことは、お米のパワーは、玄米か胚芽がついている分づき米が持っているということです。日本語のコメという音は、彦(ヒコ)のコと、姫(ヒメ)のメで成り立っています。コはお米の澱粉の部分をさし、メは胚芽の部分をさしています。つまり命を生み出す男と女のパワーを持っている食物なのです。ですから、コメは、芽が出る部分がついている玄米を指しています。せいぜい胚芽を残している分づき米までがコメと言えるでしょう。もちろん、生きものいっぱいの田んぼで育った無農薬栽培のお米のパワーが最高です。
お米から広がる醸造発酵の豊かな食生活
 お米があれば、ご飯が炊ける、麹が作れる、甘酒が作れる、お酒が作れる、みりんが作れる、お酢が作れる、麹と大豆と塩で味噌が作れる。三五八やべったら漬などの麹漬けが作れる、今はやりの塩麹が作れる、糠と塩でたくあんができる、糠漬けができる。私たちの先祖は、主食を米に決め、その米で美味しい食生活が送れるように豊かな発酵醸造文化を残してくれました。これらを私たちが大切に受け継ぎ、更に発達させていけば、米という日本で自給できる食糧だけで、美味しくて飽きなくて健康な食生活ができます。最近では、もみ付き玄米を黒焼きにすることで、黒焼き玄米茶が加わりました。
 メダカのがっこう自給自足くらぶでは、麹から作る味噌作り、醤油作り、梅干し作り、たくあんづくり、甘酒教室、黒焼き玄米茶作り教室、たくあん作りなど、会員農家が作った無農薬栽培の原料と日本の海塩で作るワークショップを開いています。毎年1つずつでも基本的な食料が作れるようになれることは、嬉しいことです。生きる自信が湧いてきます。ご一緒に学びましょう!

2011年8月12日

3.11後、今日本に生きる私たちの代でやっておきたいこと!

3月11日以降、張り詰めた気持ちが続いています。それ以前に書いた原稿がすべて間抜けに感じます。今までと違います。原発事故が起こったことで、日本人として広島、長崎の被爆者に申し訳ないやら、核の平和利用を容認してきた自分の無知と無関心が恥ずかしいやら、悔やしいばかりです。
ですが、これを機会に、今日本で進行中の原発に相当するくらいおかしいこともしっかり見つめ、これらを解決して美しい日本の国土を次世代に渡せるよう、私たちの世代でやっておきたいことを、掲げておきたいと思います。
脱原発の決心をしましょう!
原発事故はまだ進行中です。メルトスルー後、緩慢なる核物質拡散、地下深く潜り地下水脈にぶつかるという意図しない地下実験が進行しています。核は人間には制御不能な怪物です。また、原発事故の収束作業がひとつ進むごとに、被爆した人が増えている事実、定期点検作業でも被爆無しにできないそうです。このように人の健康を犠牲にして生まれた電気を平気で使っていたのかと思うと恥ずかしい限りです。原発に賛成の方、収束作業や定期点検に交替で行ってください。1本のねじを締めるのに、400人くらいの人が被爆するそうですよ。
こんな状況の中、メダカのがっこうの会員農家の方たちは、種まきをし、苗を育て、田植えをし、草取りをしています。心の中は不安でいっぱい、でも農家は土を背負って逃げるわけには行きません。何代にも渡って整備してきた田畑、長年かけて肥沃にしてきた土、農薬や化学肥料を使わないで整えてきた多種多様な生きものたちの生息環境、これがたった1回の事故で放射線に汚染されたらと考えると、死にたくなる気持ちの方がよく分かります。地震や津波からは何とか立ち直れるでしょう。1000年に一度の国難であろうと、先祖が経験してきたことでもあるので。でも今回の原発事故は違います。広島原爆の500倍もの放射線量が拡散しているのですから。脱原発を決めなければ、これから先、農家が農地を復興していく気持ちには到底ならないでしょう。
「国敗れて山河あり」、経済発展より清らかな土・水・空気が一番大切です。
土・水・空気の浄化をしましょう!
 これが私たちの世代の大仕事です。方法はいろいろあります。先日、田の草フォーラム講師でおなじみの民間稲作研究所の稲葉光國さんを訪問し、「放射線汚染の土を浄化するヒマワリ・菜種・大豆プロジェクト」のお話を伺ってきました。栄養を吸い上げる力の強い植物たちに、カリウムと間違えてセシウムを土の中から集めてもらう計画です。そして種から油を搾り、油にはセシウムは入らないので、それを農家の収入にします。最後に、セシウムを吸い上げた残渣をバグフィルター付の焼却炉で燃やし、ガラス粒に閉じ込めてスラグにし、それを東京電力にお返しして、廃炉に閉じ込めていただく計画です。
農薬・化学肥料と決別しましょう!
放射線だけを恐れるのは、おかしなことです。農薬(農毒)は放射線と同じくらい危険なものです。金額ベースで世界の半分の農薬がこの狭い日本に撒かれているのですよ。日本人女性の羊水が世界で一番汚れていることは、これと無関係ではありません。
日本中の農地に撒かれているダイオキシン系除草剤の催奇形性は、ベトナムの枯葉剤の影響で有名なベトちゃん・ドクちゃんに代表されるように、放射線と同レベルです。
また、減農薬や認証米では、必ずといっていいほど使用されているネオニコチノイド系殺虫剤は脳を犯すことで社会性の動物であるミツバチを激減させました。ネオニコチノイドは減農薬を可能にしたことでアメリカの化学賞を受けた農薬です。人間には無害だと言われてきましたが、最近、未発達の子どもの脳に悪影響があることが分かってきました。
また、農薬の空中散布を止める代わりに苗箱に使われているフィプロニル系殺虫剤は、苗に浸透させる農薬です。その苗を植えた田んぼではアカトンボのヤゴが全滅し、他のトンボ類も激減します。まだまだ恐ろしい農薬があります。放射線汚染だけを恐れるのではなく、里山の生きものたちを殺して育てた米や野菜も食べるのをやめましょう!
遺伝子組み換え種から脱却しましょう!
今年はじめ、除草剤に耐性を持ち、その葉っぱを食べた虫が死ぬ遺伝子組み換え大豆の日本での栽培許可がおりました。また同じく殺虫能力をもつ遺伝子組み換えトウモロコシや、遺伝子組み換え菜種も日本での栽培許可申請が出されています。種汚染の恐れと、種汚染を受けた有機農家が反対に特許侵害で訴えられる恐れがあります。生態系への影響も心配ですが、在来種を守り自家採種する農家を潰し、毎年除草剤と種をセットで買わなければならないように仕向ける戦略は、何より恐ろしいことです。なんとしても、日本の素晴らしい農家たちを守らなければなりません。
以上、大問題と大仕事はたくさんあります。大変そうでも、まず足元から。米中心で味噌、醤油味の一汁一菜の食生活にすると、心身が立ち直ります。そして元気に日本の土、水、空気の大掃除に取り掛かりましょう!そして、先住民族の教えのように、七代先を考えて行動する慎み深い人間世界を、今日本に生きている私たちの代から取り戻しましょう!

2011年5月27日

3月11日以降 私たちに求められていること

1945年原爆が落とされた広島の爆心地に生えてきた草を記録した記事が雑誌に載りました。以下引用します。

立上る雑草
結城一雄

広島の焼野が原は、原子砂漠と言われていますが、その原子砂漠に今や数々の雑草が雄雄しく立上っています。閃光一瞬、広島の人達が被ったごとく、彼ら雑草の大半は死滅したものと思われていました。当時の強烈なウラニウムの放射は、広島に70年間生物を住まわしめぬだろうとさえ言っていましたが、広島復活の先駆は、実にナズナ、ウマゴヤシなどの雑草たちによってなされたのです。爆心地の湖畔から広島城跡一帯のかれらの繁茂は驚くほどです。緑に飢えた砂漠の人々のオアシスとなっているのです。スクスクと何物にもひるまない逞しいかれらの成長は、戦の疲れから抜けきらない人達への無言の教示とも言えましょう。
原子砂漠に生じた雑草の原野に、かれらを訪ねてみたいと思います。爆心地より広島城跡を経て泉低にいたる経路(爆心地より1500m圏内)において採集し得たものは次のようなものです。
ハハコグサ オニタビラコ ハルノノゲシ トキンソウ ヒメムカシヨモギ アレチノギク ヨメナ タンポポ シロバナタンポポ ヨモギ ノアザミ チチコグサ ノジシャ ソクズ アカネ ヤエムグラ ヤイトバナ  オオバコ ヘラオオバコ イヌノフグリ オオイヌノフグリ タチイノフグリ サギゴケ カワジサ イヌホウズキ トウバナ キランソウ カキドウシ オドリコソウ キュウリグサ コナスビ ヤブニンジン チドメグサ ノチドメ マツヨイグサ オオマツヨイグサ スミレ エビヅル
トウダイグサ ゲンノショウコ

「採集と飼育」No.8(1946)

人が立ち上がる前に草が立ち上がった

いかがですか。41種類の草の名前が記録されています。現在、世界各地で原始砂漠となっているところは、確かに草木も生えない状態です。広島の爆心地に生えてきた草たちは、原爆で生き残った方たちに、自分たちも生きられるのではないかという希望を与えました。そして草たちはどんどん繁茂し枯れて土になり大地を浄化してくれたのです。詳しく言えば、それぞれの草の根っこに住んでいる菌が働いて分解してくれました。日本が脅威の復興を成し遂げたのは、草と菌のおかげだったとも言えるのではないでしょうか。この記事の筆者、結城一雄という方は、研究者でも植物学者でもなく、歌人だったそうです。草から生きる力をいただくところなど、日本人の自然観を感じます。

「立ち上がる雑草」は1945年、原爆後の広島に生えた草たちの記録です。そして、2011年、原発事故後の土と水と空気を浄化してくれるのも、草と菌たちです。

3月11日以降、私たちに求められていること
草と菌を殺す化学肥料と農薬を一切使わない農業

チェルノブイリ以来、土の浄化に有効な植物たちとして、ヒマワリ、菜の花、麻、マコモなどが注目されてきています。この研究も非常に大切ですが、もっと大切なのは、普通のすべての草たちです。
虫たちも大切です。命の周期が短い彼らは、毒を取り込んでは土に還り、浄化を早めてくれます。また、津波に襲われたヘドロと塩害の田畑を復活させてくれるのも植物と菌たちです。
もうひとつ、土の浄化に非常に有効なものがあります。それは炭です。陰陽では、放射能やヘドロ(腐敗している泥)は極陰、これに有効なのは極陽の黒焼きや炭なのです。瓦礫や流木を炭にして撒くことはとても有効なことです。また人間の身体に黒焼きを入れることもとても有効です。考えてみると炭も植物です。やはり植物が私たちを助けてくれるのですね。
化学肥料と農薬、生活排水、工場排水や産業廃棄物、そして放射能汚染、私たちは、たった70年ほどで、地球に生きる命にとって一番大切な「土」と「水」と「空気」を汚してしまいました。この汚れを浄化し、もうこれ以上汚さない社会にすることが、今日本に生きる私たちの世代の大仕事ではないでしょうか。

原子力発電に頼らない社会
発電を始めたら止めることが出来ない原子力発電は、どんな社会をもたらすと思いますか?それは24時間エネルギーを使い続ける眠らない社会です。人間も家畜も作物も、昼夜分かたず働かされ、卵を産まされ、生長させられる世界です。この社会が人間を含めた地球の生きものたちを幸せにするとは私にはとても思えません。
またいったん事故がおきたら、長年培ってきた田畑の土や、代々守ってきた家や自然、生まれ育った故郷を一遍に失ってしまいます。
電力の30%減は、一般家庭の節電、自動販売機、24時間営業をやめるところから始めましょう。それでも電車や工場が制限され、経済活動が縮小するでしょう。それは地球環境にとってとてもいいことなのです。世界経済の競争から胸を張って抜け、美しい自然といのち輝く国にしましょう。原子力に頼らない社会を再構築し子孫に残すところまで絶対にがんばりましょう。パンドラの箱を閉めて封印して見せましょう!

命ある食物で自給自足体制
今回の大地震でスーパーの棚が空になった光景がありました。本当に物がないわけではないのに、日本国内の輸送ができなくてです。これで大切な食料を外国に頼ることがいかに危険であるかが誰の目にも明らかになりました。出来るだけ近いところでがんばっている日本の自然再生の拠点となっているすばらしい農家たちと一緒に自給自足体制をつくることが不可欠です。これは既にメダカのがっこうが始めています。

今度こそ現実を見つめなければ。
広島、長崎に続く、原発事故、放射線量は広島の500倍以上の現実。事故が起こると対処の仕様がないから、事故が起こらないことにしていた東電と政府と私たち。怖いことは考えたくありませんからね。でも、本当のことがわかってくると、原子力と言う誰も止められない怪物と付き合うのはもうこりごりです。でもどうしてやめられないかと言うと、悲しいかな利権でしょう。アメリカが原発を売りたいからでしょう。戦後どうして原発を受け入れなければならなかったかと言うと、やはり戦争に負けたので、NOと言えなかったのです。米食、塩、麻、エネルギーなど、敗戦で失った日本人の命を支えるものたちの大きさに改めて驚くばかりです。
でも今度こそ現実を見つめ、子孫の残したい日本にする間違わない選択を行いましょう!

2011年3月16日

若杉ばあちゃんから、放射能汚染を乗り切る食生活のアドバイス

若杉ばあちゃんからの伝言
11日の大地震、皆様のお家、ご家族、ご実家、ご友人など、ご無事でしたか?東北地方から関東地方まで、日本の半分を襲った大地震。怖くて、自然の脅威に震え上がりました。
原発の安全性は、見事に崩れましたね。今命がけで行われている原発事故の終息作業が、成功裡に終ることを祈っています。
そして、二度と原発に頼らない暮らし方に変えようと心に決めました。計画停電をチャンスに、電力消費がどれくらい減らせるものか、みんなでチャレンジしましょう。
さて、メダカのがっこうの自給自足生活の師匠であり、日本人の身体を立て直す食事を指導してくださっている若杉ばあちゃんから、放射能汚染を乗り切る食生活のアドバイスを頂きましたので、お伝えします。
○塩気について
「塩気を入れなさいよ。一番いい塩気は味噌汁。薬味味噌とか、味噌だけでもいいからね。」
○梅干について
「水の毒、食の毒、血の毒という三毒を消すといわれている梅干も必ず食べてね」
○食べてはいけないもの
「何しろ血液を薄くしないために、水を多く摂らないで。また陰性にしないために、甘いもの、果物、生野菜は絶対に摂らないようにしてね」
○お茶について
「緑茶はやめてね。三年番茶か、梅醤番茶がいいよ。黒焼き玄米茶は最高だけど、この際煮出すのはもったいないから、そのまま食べるか、粉にして食べるといいよ。」
補足説明 : 梅醤番茶の作り方は、梅干しと生姜の絞り汁と醤油を湯飲みに入れて崩してよく混ぜ、そこに三年番茶を注ぎます。
○お米について  
「お米は玄米にしなさい。いつもは玄米にこだわらなくても良いと言ってるけど、こういう時は玄米がいいのよ。焼き玄米おにぎりは最高だよ。」
○調理の仕方について
「煮物は、酒やみりんを使わず、醤油と水だけで、昆布だしで作るといいよ。」
○海草について
「今までに採って乾燥している海草、昆布、ワカメ、ひじきは大丈夫だからたくさん食べてね。放射能汚染の海で育った昆布は食べられないから気をつけて」
○食事の形について
「余計なものを食べんと、一汁一菜がいいのよ。たとえば、玄米ご飯と、季節の野菜か野草が入った味噌汁と、梅干、たくあん、漬物とかね。」
○放射能の毒を消すものについて
「とにかく黒焼きを身体に入れなさい。梅干の黒焼きは最高。黒焼き玄米茶もいいし、昆布も、ビワの葉、松葉、クワの葉、つくし、野草など、何でも干してから黒焼きにしてね。」
補足解説 : 黒焼きのつくり方について
●梅干の黒焼きは、土鍋の中央から右回りにぎっしり3年以上の塩分25%〜30%の梅干を一皮並べに並べます。重ねると黒焼きにならないので注意。蓋をして周りと蓋の空気穴に小麦粉を水で練ったもので目張りをして、24時間焼きます。練炭七輪が便利です。出来たら熱いうちに蓋を取ると燃えてしまうので、冷めてから取り出し、すり鉢に入れ潰して種を取り、右回りにすりつぶして粉にします。種は捨てないでしゃぶっています。
摂取の仕方ですが、健康な人は、1日に耳かき1杯で良いのですが、非常時には、小さじ1杯ほどとってもいいです。胃を荒らさないよう葛粉を溶かして一緒に摂ると安全です。
●黒焼き玄米は、理想は籾つき玄米ですが、手に入らなかったら玄米でもいいです。これをヘラでかき回せる程度の量を土鍋に入れて、火にかけます。はじめはお米を乾燥させるつもりで弱火で、茶色になってきたら中火にして、最後は真っ黒になるまで強火で炒りあげます。もうもうと煙が上がり、鍋に焦げつきそうになるのをヘラで剥すのにかなり力が要ります。最後は火からおろしてカラカラになるまで混ぜ続けます。
●他の黒焼きは、土鍋にこだわらなくても、鉄のフライパンでも作れます。(何とか加工のフライパンは使わないで) その代わり空気を入れないように、しっかりと蓋をして弱火で焼きます。
若杉ばあちゃんからは以上です。食の力がわかるときです。がんばりましょう!                            
追伸: ご質問はお気軽に事務局まで、メール、FAX、 お電話で下さい。(①から希望順)
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