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中村陽子のコラム

2015年10月20日

砂糖や甘味料が自給自足生活と相容れない理由(わけ)

●砂糖はなぜ悪いのか? ……奴隷制度、環境破壊、圧力団体の元凶
 砂糖は健康に悪いから摂らない方がいいと思っている人が多いでしょうが、実は人類の歴史上において、もっとも罪深きものなのです。砂糖産業は17世紀ころから、サトウキビのプランテーションと製糖工場の拡大で地球最初の環境破壊の元凶となり、奴隷制度のきっかけとなり、近代政治の世界で最初の圧力団体になったのです。これを知った時から、私は砂糖が大嫌いになりました。
 紅茶に砂糖を入れる魅力に取りつかれた英国をはじめヨーロッパ諸国は、わずか数十年の間に、砂糖消費量が10倍~20倍と増えました。英国は、カリブ海沿岸にサトウキビプランテーションを展開し、地元の働き手が足らなくなると、アフリカから大量の人を奴隷として投入しました。砂糖産業のために故郷から引き離され、1日20時間もの強制労働で命を落とした人たちは、6000万人にも達すると言われています。

 環境破壊については、サトウキビは成長が早い分、土からの養分の収奪が多く、どんどん荒野が広がっていき、工場周辺の川は工場排水に汚染されました。
 奴隷制度による労働、植物が長年かけて作った豊かな土の栄養、工場で使う燃料として使われた森林、すべての資源をタダ同然で奪うことで、英国、アメリカ、ヨーロッパ諸国に富が集中し、政治の世界で最初の圧力団体に成長し、権力を握っていったのです。
 こうして砂糖は、自給自足経済を壊し、搾取の構造を生み、格差社会の出発点になったのです。

●砂糖の健康への害や都合の悪いことを隠す圧力団体
 砂糖産業は砂糖を売るために結束し、やがてそれはイギリス最初の圧力団体として活発にロビー活動(政治に関わる活動)をするようになり、19世紀初頭からわき起こった奴隷貿易反対運動を徹底的に潰しに回りました。この砂糖産業圧力団体の構図はアメリカにもそっくり引き継がれました。「ビッグ・シュガー」です。
 「女性はチョコレートや砂糖菓子を好む愛らしい存在」というキャンペーンを行い、子供がお小遣いで買える値段のキャンディーを販売して子供の味覚と嗜好を変えて一生逃れられない砂糖漬けにしました。子どもに飴をあげる大人になるのはやめましょう!
 さらに「ビッグ・シュガー」は、研究資金を出している研究機関に「砂糖はいくら摂取しても健康被害を生じない」という研究結果を出させ、それを根拠にWHOの健康指針に加えるために画策しました。この企みは2005年のアメリカ合衆国農務省の指針から「砂糖の取りすぎは健康を害する」の一文を消し去ることに成功しました。当時のアメリカ政府は国民の健康より、砂糖協会からの献金を選んだのです。減塩は叫ばれても、減砂糖が取り上げられないのは、ずっと不思議だと思っていました。ガン細胞の大好物がブドウ糖だという事実だけでも、周知のことにしたいです。

●砂糖を悪者にしてのし上がる劣悪な甘味料
 話は変わりますが、砂糖の健康への害を調べていた時、500mlの清涼飲料水には55~66gの糖分が入っていて、それは水に溶かした場合、気持ち悪くて飲めないくらい甘くなることを知りました。そこに炭酸と香料と色素などの添加物を加えることで飲める清涼飲料水になるのです。
 しかしさらに驚くことがありました。それは、砂糖はコスト高ということで、もっと劣悪な甘味料が使われているということです。それは遺伝子組み換えのトウモロコシから抽出した異性化糖、「果糖ブドウ糖液糖」と呼ばれています。これを知ってから食品表示を見てみると、清涼飲料水だけでなく、ドレッシングやポン酢名の調味料、つゆの素、スナック菓子、アイスクリーム、つくだ煮、練り製品、インスタント食品など、たくさんのものに使われていることがわかりました。
 グリーンピース・ジャパンの調査によると、これら遺伝子組み換えの異性化糖が使われている量が最も多いメーカーは、1位 明治ホールディング、2位 味の素グループ、3位 山崎製パン、4位 森永グループ、5位 サントリーフーズです。

●さらに猛毒な人工甘味料と合成甘味料
 しかしこれでもまだ天然抽出の甘味料です。さらに人体に毒となる人工甘味料や合成甘味料がカロリーゼロ、ダイエット甘味料として大手を振って使われています。たとえば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、糖アルコール(ソルビトール、エリスリトール……)などです。日本でも、よく使われている人工甘味料の2種類は、「アスパルテーム・スクラロース」です。両方とも“100%”人工的に作った甘味料です。
 食品を購入するときは必ず表示をチェックし、これらの甘味料が使われていたら、絶対に買わないようにしましょう。たとえば、アメリカの空軍では、アスパルテームの含まれた食品は禁止されています(特に“ダイエットソーダとガム”)。アスパルテーム製造企業から研究費を出資された研究機関の74論文すべてが 「アスパルテームは安全である」と結論しているのに対し、製造企業と関係のない独立研究機関の90論文のうち83論文が「アスパルテームは脳腫瘍などの致命的な 健康被害をもたらす危険性がある」と結論を出しています。

●白砂糖は化学合成された添加物と同じくらい害がある。
 それでは白砂糖の悪い点を挙げてみましょう。
 ①砂糖のとり過ぎは体内のビタミン、カルシウム、ミネラル不足を招く。②砂糖は、血液を酸化(汚す)させ、赤血球や細胞を崩壊させる。③アトピーなどアレルギーはもちろん、冷え性、頭痛、肩こり、貧血、便秘、虫歯、胃潰瘍、糖尿病、心臓機能低下、子宮異常、静脈瘤など、恐ろしい難病と言われるようなもののほとんどが、砂糖病である。④白砂糖や人工甘味料など吸収が早い糖質食品をとりすぎると、急上昇した血糖値を下げる作用が過剰に働き、逆に低血糖になるなど、血糖値が乱高下して「キレやすくなる」。またこの白砂糖のことを「白い麻薬」と呼ぶ人もいるほど依存性の強いものです。

●では人間の体に良い砂糖はないのでしょうか。
 砂糖には「分みつ糖」と「含みつ糖」の2種類あります。「分みつ糖」とは、精製された砂糖のことで、白砂糖、グラニュー糖、三温糖など、ビタミンB群やミネラルが含まれない糖分であり、「含みつ糖」とは、和三盆、黒糖、甜菜糖、メープルシロップなどで、ビタミンB群やミネラル分を含む糖分です。糖分を摂るならこの「含みつ糖」を適量摂れば良いのです。
 しかし、含みつ糖の中でも黒糖はピンきりです。ほとんどの黒糖は、サトウキビのしぼり汁が強酸性のため石灰を大量に投入し中和して固形化しています。石灰を入れるのは量を減らさないためでもあります。これに対し、石灰を使わずに本物の黒糖を作っているところもあります。この黒糖は非常に手間がかかり少量しかできないので、価格にして1kg約3000円以上になります。
 しかし、良い糖分でも1日の適量は体重1kgあたり1g、こどもには体重に応じて与える思いやりが大切です。

●そして砂糖を止めればいいことばかり
 まず一番うれしいことは、肌がきれいになること。次に集中力が持続するようになること。イライラしたり、カッとしなくなること。うつや不眠症がなくなり、性格が明るくなる人もいます。何だかやる気が出る。体か軽くなって、面倒くさいことでもやる気が起きるようになります。
 しかし甘味は人を癒してくれるので必要です。そこでメダカのがっこうでは、お米と米麹だけで作る甘酒、お米だけでつくるみりん、無農薬の干し柿や干しフルーツなどを上手に利用して、スイーツを作っています。

 では砂糖についてまとめてみましょう。

●砂糖は奴隷制、人種差別、利権争いによる戦争、現代病、消費文化を生み出した犯人である。
●分蜜糖(上白糖、グラニュー糖、三温糖など)は食品添加物の薬品と認識した方が良い。
●含蜜糖は、良い糖であるが、人間にとって甘いもののコントロールは難しいので、摂取量に注意。
●トウモロコシの糖分は遺伝子組み換えで、異性化糖として加工品、菓子類に多く使用されている。
●人工甘味料・合成甘味料は、猛毒なので、摂取しないこと。

 メダカのがっこうと一緒に、米と味噌と醤油、梅干しとたくあんを、命を優先する農家が育ててくれた原料と仲間が作った自然塩で造り、砂糖を止めると、自給自足経済が見えてきます。砂糖の歴史から、砂糖が奪ったものの数々を忘れないようにしましょう。