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中村陽子のコラム

2018年7月20日

私のナウシカプロジェクト

 草も虫も人も殺してしまう除草剤や殺虫剤、大地を不毛にし生態系を破壊してしまう遺伝子組み換え作物、これらをもっと売るために廃止された種子法、原則自家採種禁止になる種苗法、計画的に大胆に実行に移されていく欲深い人たちが操る多国籍企業の支配体制。

 許せない思いで、この事実をできるだけ多くの人に伝えるための学習会と上映会、署名活動、意見書を国に出すための陳情陳述など様々なことにトライし、何が有効なのかもがいているうちに、新しい出会い、旧友との再会など押し寄せてきました。

 その中で最近一つのつながりを見つけました。大地との絆を取り戻したナウシカを思う共通の気持ちです。僕も、私も、俺も、ナウシカプロジェクトを実行中だったのです。これで意識がつながるのです。私も実は36歳の時から、ナウシカプロジェクトを始めました。今一度、意識しなおすために、私のナウシカプロジェクトを書いてみます。

 私は子どものころから、光合成ができる植物に畏敬の念を持っていました。そして、独立自営農民を最も自由に生きる力がある人だと憧れていた少女でした。30歳で3人目の子どもを産んで育てていた頃、宮崎駿さんのアニメ「風の谷のナウシカ」に出会いました。
 知らない方のために少し解説すると、この映画は、核戦争1000年後の汚染された地球が舞台です。そこには腐海というカビのような菌の世界が広がり、大型の虫が棲み、人間の村や町を飲みこもうとしていました。

 ナウシカは辺境の地、風の谷の王女。幼い時から腐海の虫たちと交信できる少女で、腐海の存在理由を考え続けていました。ある時、腐海の底に落ちて死ぬかと思った彼女は、底の土や砂や空気が浄化されていることを知り、腐海のカビや石化した樹木が実は地球を浄化していること、虫たちがその世界を守っていることを発見しました。
 そうとは知らない愚かな人間たちは、ただ腐海を焼き掃い、虫を殺そうとしますが、旧時代の遺物である核兵器をもってしても虫たちの暴走は止められません。最後の場面、怒りで真っ赤な目になった虫たちが風の谷に向かって暴走している時、ナウシカが捉えられていたその虫の子どもを取り戻し群れの前に返します。すると、しだいにその子の周りから赤色の攻撃色が消え、群れ全体に友愛の青い光が広がっていきます。虫たちの暴走に跳ね飛ばされたナウシカは一度は死んだと思われましたが、虫たちの友愛の光に包まれて復活します。彼女は、風の谷の古くからの言い伝えにあった大地との絆を取り戻す伝説の人物だったのです。

 以来、私の敬愛する人はナウシカになり、母なる地球の声を聴いて手足となって働きたいと願うようになりました。36歳の時、地球が必要としていることを気づく自分になることをプログラミングしました。その後の私の身に起きたことはすべて地球の手足となって働くためのステップアップ授業だと受け取っています。長男の不登校も私のエリート意識を粉砕してくれました。次に共感したのは、百姓・赤峰勝人さんの、すべては調和を取り戻すために訳あって存在するという神草さん、神虫さん、神菌さんの自然観です。ナウシカの世界が現実になったと思いました。

 そして47歳の時に足元から緑の水面が地平線まで広がっていくビジョンを見て、田んぼだと直感し、瑞穂の国の国産みを意識しました。これが2001年のメダカのがっこうの設立のきっかけです。私のナウシカプロジェクトは「草も虫も人もみんなが元氣になれる田んぼ」という形になりました。

 大地との絆を取り戻すことは、破壊的なエネルギーではできません。1つの命を確実に返していくこと、それには、1つ1つの田んぼに生物多様性を取り戻していくことが肝心です。生きものを殺す赤い光の田んぼを、生きものを活かす青い光の田んぼに変えていく。この青い光を1つ1つ広げていくことをイメージして。とても地道な活動ですがこれしかありません。気が遠くなりそうです。

 ところが、ナウシカプロジェクトで既につながっている人たちがいました。大地を再生する矢野智徳さん、意識の垣根をなくす映画を作るオオタヴィン監督、ホテル経営をしながら環境活動をする飯田容子さん、そして子育て中のお母さんたち、行動だけでは深められなかった意識のつながりができました。単なる活動が空しくなくなりました。とてもうれしくなりました。ナウシカがつないでくれたご縁です。ナウシカさんありがとう。