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中村陽子のコラム

2014年12月27日

私のナウシカプロジェクト

私は光合成ができる植物に畏敬の念を持ち、独立自営農民を最も自由に生きる力がある人だと憧れていた少女だったが、30歳で3人目の子どもを産んで育てていた頃、宮崎駿さんのアニメ「風の谷のナウシカ」に出会った。知らない方のために少し解説すると、この映画は、核戦争後の汚染された地球が舞台で、そこには腐海というカビの世界が広がり、大型の虫が棲み、人間の村や町を飲みこもうとしていた。ナウシカは辺境の地、風の谷の王女。幼い時から腐海の虫たちと交信できる少女で、腐海の存在理由を考え続けていた。ある時、腐海の底に落ちた彼女は、底の土や砂が浄化されていることを知り、腐海のカビや石化した樹木が実は地球を浄化していること、虫たちがその世界を守っていることを発見する。そうとは知らない愚かな人間たちは、ただ腐海を焼き掃い、虫を殺そうとするが、旧時代の遺物である核兵器をもってしても虫たちの暴走は止められない。最後の場面、怒りで真っ赤な目になった虫たちが風の谷に向かって暴走している時、ナウシカが捉えられていたその虫の子どもを取り戻し群れの前に返す。すると、しだいにその子の周りから怒りの赤色が消え、群れ全体に友愛の青い光が広がっていく。

以来、私の敬愛する人はナウシカになり、母なる地球の声を聴いて手足となって働きたいと願うようになった。長男の不登校も私のエリート意識を粉砕してくれた。次に共感したのは、百姓・赤峰勝人さんの、すべては調和を取り戻すために訳あって存在するという神草さん、神虫さん、神菌さんの自然観だ。ナウシカの世界が現実になったと思った。そして47歳の時に足元から緑の水面が地平線まで広がっていくビジョンを見て、田んぼだと直感し、瑞穂の国の国産みを意識した。これが14年前のメダカのがっこうの設立につながった。

大地との絆を取り戻すことは、破壊的なエネルギーではできない。1つの命を確実に返していくこと、それには、1つ1つの田んぼに生物多様性を取り戻していくことが肝心だ。生きもの殺す赤い光の田んぼを、生きものを活かす青い光の田んぼに変えていく。この青い光を1つ1つ広げていくことをイメージして。とても地道な活動だがこれしかない。

生きもの曼荼羅

私のナウシカプロジェクトは「草も虫も人もみんなが元氣になれる田んぼがある。」

このコンセプトで決めたメダカのがっこうのお米の価値基準は3つ。

  1. 農薬・化学肥料を使わず生きものに配慮した田んぼづくりをした結果、その田んぼから生物多様性が復活し、その地域の自然再生の拠点となっていること。
  2. そのお米農家が後継ぎが出来るくらい収入が安定し喜んで働いてくれていること。
  3. 食べた人がおいしくて元氣になるお米であること。

③の食味と健康を求める消費者は多いが、①と②をお米の選択条件に入れてくれている消費者はお米くらぶ会員くらいで、まだメダカのがっこう会員の4分の1以下と少ない。しかし①と②こそ、ナウシカプロジェクトには欠かせないものだ。

皆様、どうぞお米くらぶ会員になって、日本人の食生活で一番大切なお米をメダカのがっこう米にして、私のナウシカプロジェクトに協力してください。よろしくお願いします。