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中村陽子のコラム

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2015年12月20日

日本人の乳酸菌の宝庫、たくあん・ぬか漬けは自分で作ろう。

 12月はたくあん漬けの季節。メダカのがっこうの自給自足くらぶでは、首まで土に埋まった在来種のたくあん大根を半月程干してしんなりしたものを、摺(す)りたてのぬかと日本の海のミネラルバランスの良い塩と、ミカンやカキの皮、昆布や唐辛子と一緒に漬け込み、重しをうんとかけてたくあんを漬け込みました。農薬、化学肥料、添加物を一切使わない本物のたくあん漬けです。食べられるのは来年3月、それまでは冬野菜のぬか漬けで我慢です。たくあんはぬか漬けの保存食版ですが、大根の効能と独特の味わいがプラスされます。

 ぬか漬けは日本人の腸内細菌にぴったりの乳酸菌です。ちょうど欧米人のヨーグルトに当たります。戦後食生活が欧米化して様々なヨーグルトがもてはやされていますが、日本人のお腹には先祖から住み着いている乳酸菌が合うのです。またぬか漬けは、あらゆる食材の中でもトップクラスの栄養素を持っています。それは、米ぬかが、タンパク質、脂質、繊維質、カルシウム、リン、鉄、ビタミンA(カロチン)、B1、B2、ナイアシンなどを豊富に含んでいるからです。ぬか漬けは日本が生んだ食の傑作と言えるでしょう。

 それでは、野菜の食べ方として、ぬか漬けの優れた点を5つ挙げてみましょう。
(1)ぬか漬けは生の野菜よりビタミンB類がアップ
 お野菜をぬか漬けにすると、浸透圧で野菜の水分が抜け、ぬかに含まれる栄養分を吸収します。そのため、生野菜よりビタミン含有量が増えます。特に大根は吸収が良く生大根に比べると、ビタミンB1は16倍、ビタミンB2 は4倍、ビタミンB6は6倍、カルシウムが2倍になるというデータがあります。他の野菜でもビタミンB1の含有量が3~10倍になります。
(2)ぬか漬けは白米の欠陥を補完する
 ビタミンB1は、脳のエネルギーとなるブドウ糖の分解に必要な成分で、もともと玄米に含まれていますが、米の精白過程でその多くが失われてしまいます。そのため、白米とぬか漬けの組み合わせは、お互いを補い、脳の働きを高める食べ方といえます。
(3)ぬか漬けは生野菜より消化酵素を活発にする
 酵素はすべての生野菜に含まれているものですが、塩分で野菜の細胞を死滅させると、その働きがより活発になり、野菜内のタンパク質を分解して旨味のもとであるアミノ酸に変える働きします。ですから、ぬか漬けには食べものの消化を促進してくれる消化酵素がたっぷり。食べ過ぎにより分解しきれないタンパク質や脂質が体内にたまっている現代人に最適です。
(4)ぬか漬けは、GABA を豊富に摂取できる食材
 GABAは旨味を作り出すアミノ酸の一種ですが、通常野菜からは殆ど摂取できません。この成分には脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やし、脳細胞の代謝機能を高める働きがあります。ぬか漬けはぬかが発酵する過程でGABAが豊富に作り出されます。つまり、ぬか漬けにはイライラを防ぎ、気分を落ち着かせる働きがあります。
(5)ぬか漬けは、乳酸菌を生きたまま腸に届ける
 ぬか漬けは、腸で生き抜く力が強い植物性乳酸菌をもっているので、体内に入ると胃をくぐり抜けて大腸まで達し、そこを生活の場として食中毒菌の棲みにくい環境をつくったり、便秘解消など体調を整える働きをしてくれます。
 ちなみに、乳酸菌の説明をしておくと、乳酸菌は大きく分けて2つあります。
 乳酸菌で代表的なヨーグルトやチーズに含まれる乳酸菌は動物性の母体で発酵する「動物性乳酸菌」、また漬物やお酒など植物を母体に発酵するものは植物性乳酸菌です。多くの乳酸菌は胃酸で死んでしまい腸まで辿り着かないことが多い中、植物性乳酸菌は生きたまま腸まで行く強い力を持っています。そして、生きたまま腸に届いた乳酸菌は、直接悪玉菌を退治してくれるのです。
 このほかに、○脚気(かっけ)の薬 ○糖尿病の予防 ○脳卒中の予防 ○大腸がんや胃がん肝臓がん予防 ○胆石の予防 ○胃腸の強化 ○肥満を防止 ○歯や骨を丈夫にする ○バストアップ、ダイエット、美肌効果 ○ダイオキシン排出量は基本食の3~4倍になるなど、“おそるべし! ぬか漬けの効能”というところです。

 それでは、ぬか漬けはいつごろからなぜ作られたのでしょう。
 発祥とされるのは江戸時代です。白米を食べる習慣が始まり、大量の米ぬかが出回ったため、一般家庭でも盛んに作られるようになりました。それまでは、奈良時代から臼でついた穀類や大豆を漬け床とする漬物がありましたが、その穀類や大豆の代わりに米ぬかを使ったのがぬか床の始まりだと考えられています。
 江戸で白米を食べる習慣が広まると、将軍をはじめ上層武士の多くが脚気に罹り、江戸患いと呼ばれました。この脚気を予防するため、ビタミンB1を野菜に吸収させて食べるぬか漬けが普及したようです。
 また、江戸の町に暮らす多くの独身男性たちは、味噌汁を作るのが面倒な時でも、ぬか漬けと納豆を食べて健康を維持していました。繰り返し何回も使えて、野菜の切れ端などを漬けておくだけのぬか床は、それだけ“便利なもの”というイメージだったのです。

 たくあんは干した大根のぬか漬で、ぬかに昆布や塩、干した柿やミカンの皮、トウガラシなどを混ぜ込んで隙間なく漬け込み、重しをかけた保存食です。ぬか漬けは漬けすぎると溶けてしまいますが、たくあんは何年でも持ちます。そして、効能はぬか漬けと同じです。たくあん2切れで1日の乳酸菌は摂取できます。
 しかし、市場に出回っているたくあんの実態は、大変なことになっています。特に、お弁当や定食のお供についている安い真っ黄色のたくあんは要注意です。大量生産する黄色いたくあんには食品添加物がたくさん含まれています。食品添加物といえば、化学薬品、発がん性の恐れもある怖いものです。黄色いたくあんの食品表示を確認してみてください。大根、食塩、ぬかの他にグルタミン酸ナトリウム、ブドウ糖果糖液糖、ソルビン酸カリウム、黄色4号、黄色5号、赤色5号など10種類以上もの食品添加物からたくあんが作られています。
 たくあんは、無添加で作ったとしても真黄色ではありませんが、ほんのり黄色くはなります。これは大根に含まれる糖分がたんぱく質と結びついて「メイラード反応」と呼ばれる野菜を熟成発酵させる場合に起こる色の変化です。この反応でできるメラノイジンが細胞の再生能力をアップさせ放射能対策に良いことは、このコラムの8月の味噌のところで述べたとおりです。
 しかし、真黄色のたくあんはアレルギー性の高さや喘息、じんましんなどの原因から問題視されているタール色素「黄色4号」の合成着色料(色粉と呼ばれているもの)でできているものです。これでは、乳酸菌が含まれて腸にいいはずの発酵食品が体に危険な食べ物に変わってしまいます。
 体にいい成分が多く、効能抜群のたくあんですが、市場では無農薬の大根と米ぬか、ミネラルバランスが良い海塩で漬け、無添加で商品に仕上げたものは手に入りません。
 そこで、メダカのがっこうでは、花まる農家と手を結んで、自分たちで作ることにしたのです。
 自給自足とは、保存食を作ることでもあります。3ヵ月先、1年先、2年先、3年先のために今準備する暮らし方が必要です。1月2月は味噌の寒仕込み、3月は醤油の仕込み。
 皆さん、メダカのがっこうの自給自足くらぶで一家、一族、仲間のグループの1年分を仕込みませんか? 詳しくはメダカのがっこうのHPの参加者募集か、ショップでご覧ください。

2015年11月20日

梅干しは日本人の食養生の基本

 冬到来、寒さに慣れない身体には、様々な症状がやってきます。こんな時は、塩でうがいをし、梅醤番茶を飲むのが一番。この不調を乗り切る自信が湧いてきます。ご飯と味噌汁を基本食にしていれば、あとはあの小さくてかわいいけれどパワー全開の梅干しが日本人の健康を守ってくれます。私の野草の師匠である若杉友子さんは、「昔は携帯するものと言えば梅干しのことだった」と教えてくれました。今回は梅干しのお話をさせてください。
 まずは梅干し以前のお話から。

●梅の実は漢方薬の材料
 梅の木の原産地は中国。2000年以上前の中国最古の古文書『神農本草経』には、梅の実をいぶし焼きにした烏梅(うばい)について、「肺の組織を引き締め、腸の働きを活発にし、胃を元気づけ、身体の中の虫を殺す」効用があると記されています。
 日本には3世紀の終わり頃、中国の呉の高僧がもたらしたという説がありますが、薬としてではなく、美しい花として愛でられていた様子が、万葉集などに残っています。
 奈良時代になると、梅の実は、柿や桃、梨、杏などと同様に、加工して食べられていたようですが、時代を経るに従い、梅の効用を体験的に知るようになり、梅の塩漬けを保存食として、薬として用いるようになったようです。

●本来梅干しは梅酢の副産物
 私もこれには驚きました。クエン酸を主成分とする梅酢は、器具や人体の傷口の消毒のほか、金属の鍍金(めっき)やはんだ付け、青銅器や鉄器の酸化皮膜処理(酸化銅および酸化第一鉄による「黒留め」と呼ばれる酸化被膜による防錆処理)のために用いられていたようです。東大寺の大仏に金を鍍金する際にも使われたそうです。梅酢は青酸が登場する昭和中期まで、このような用途に大量に使われていました。

●梅の塩漬けから梅干しへ
 平安時代中期、梅干しが現れます。日本最古の医薬書『医心方』の「食養編」には、「味は酸、平、無毒。氣を下し、熱と煩懣(ぼんまん)を除き、心臓を鎮め、四肢身体の痛みや手足の麻痺なども治し、皮膚のあれ、萎縮を治すのに用いられる。青黒い痣や悪質の病を除き、下痢を止め、口の渇きを止める」と効能が記されています。村上天皇が疫病にかかった時、梅干しと昆布を入れたお茶を飲んで回復されたというエピソードや、鎌倉時代の僧侶は梅干しを酒のさかなにしたという記もが残されています。

●戦国時代には兵糧食として大活躍
 まず梅干しは軽くてかさばらない保存食として重宝されました。しかも戦場で疲れることなく働け、栄養も補給できるので、味噌と並んで、戦国武将の兵糧丸の重要な原料になりました。しかも戦場で水あたりなどを起こした時などの殺菌や整腸剤として、また疲労回復剤をして欠かすことのできない特効薬でした。戦国武将が味噌造りや梅園づくりに力を入れたことが、今の時代にも有名な梅園としていくつも残っています。

●コレラを撃退した梅干しパワー
 江戸時代になると、梅干しはやっと庶民の食卓に上るようになりました。今では梅干しと言えばしそ漬だと思っている人が多いですが、これは梅干しの変わり漬で、江戸時代に始まったものです。
 『飲膳摘要』という本には、長年の体験から知りえた梅干しの効用が、「梅干しの七徳」として紹介されています。
 七徳とは、①毒消しである。②腐るのを防ぐ効あり。③病気を避ける効あり。④その味を変えず。⑤息づかいによい。⑥頭痛を医する効がある。⑦梅干しよりなる梅酢は流行病に効がある。の7つです。
 江戸時代末期、全国でコレラが大流行したときに大活躍したのが梅酢と梅干しです。現在では、コレラ菌が有機酸に弱い菌であることはよく知られていますが、江戸時代の人々がコレラ菌の性質を知っているはずもなく、長年の経験から梅酢に強い殺菌力があることを知り、治療に役立てたのです。

●現代の梅干し事情
 さて、これほど凄い梅干しの効能ですが、これは本物の梅干しであることが条件です。昨年、私は毎年梅干し作りの時に無農薬栽培の梅を送ってくれる梅農家に会いに、和歌山に行ってみて驚きました。本場の和歌山でさえ、ホテルや空港で売っている梅干しの中に、梅と塩だけで漬けた本物の梅干しは一つもなかったのです。無添加とある商品も蜂蜜や砂糖を使った味付け梅漬けで賞味期限は半年。また添加物を使って減塩をうたっている梅漬けも多くありました。
 私が最も愚かだと思うのは、減塩をするために添加物まみれにされた梅干しを作り出した人間です。人間は海から生まれ、塩分対応能力がほかの化学物質対応能力よりもはるかに高いのです。多すぎた塩分は体外に排出できても、添加物の化学合成物質は排出できません。現代病の原因になっています。
 もし無農薬栽培の梅と日本の自然海塩で塩分20%の無添加の梅干しが欲しいのなら自分たちで作るしかありません。

●本物の梅干しとは
 若杉友子さんからは、昔は梅干しに限らずたくあん漬けも、塩分は30%だったそうです。私も挑戦しましたが、3年でもまだ食べにくい塩辛さが残るので、20%で作ることにしました。梅漬けの段階でこの塩分だと、出来上がりは25%くらいの塩分になり、3年でおいしい梅干しになります。JAS法では塩分22.1%以上で伝統的製法によって製造されたものを「梅干」と呼び、それ以下で7.6%までの塩分のものを「調味梅干」と表示することが義務付けられています。ですから減塩の梅干しや、味付け梅干しは本物の梅干しではありません。伝統的製法のもっとも重要な点は、土用干しといって夏の太陽にしっかり3日間干すことです。この過程で、黄色だった梅干しが色づき、しそを入れなくても赤くなるのです。感動ものです。それは陰が陽に転換する大切な工程なのです。

 メダカのがっこうが考える「本物の梅干し」は、無農薬の梅と伊豆大島の阪本さんの塩か、大分の赤峰さんのなずなの塩だけで漬け、しっかり夏の太陽に土用干ししたものです。どちらも1年前から準備していただいてやっと手に入る貴重な原料で手間を惜しまず作ります。
 自給自足くらぶのお教室では、梅干しづくりを伝えています。またご自分で作れない方のために販売をしています。ご希望の方は、どうぞメダカのがっこうHPのショップにアクセスしてください。

2015年10月20日

砂糖や甘味料が自給自足生活と相容れない理由(わけ)

●砂糖はなぜ悪いのか? ……奴隷制度、環境破壊、圧力団体の元凶
 砂糖は健康に悪いから摂らない方がいいと思っている人が多いでしょうが、実は人類の歴史上において、もっとも罪深きものなのです。砂糖産業は17世紀ころから、サトウキビのプランテーションと製糖工場の拡大で地球最初の環境破壊の元凶となり、奴隷制度のきっかけとなり、近代政治の世界で最初の圧力団体になったのです。これを知った時から、私は砂糖が大嫌いになりました。
 紅茶に砂糖を入れる魅力に取りつかれた英国をはじめヨーロッパ諸国は、わずか数十年の間に、砂糖消費量が10倍~20倍と増えました。英国は、カリブ海沿岸にサトウキビプランテーションを展開し、地元の働き手が足らなくなると、アフリカから大量の人を奴隷として投入しました。砂糖産業のために故郷から引き離され、1日20時間もの強制労働で命を落とした人たちは、6000万人にも達すると言われています。

 環境破壊については、サトウキビは成長が早い分、土からの養分の収奪が多く、どんどん荒野が広がっていき、工場周辺の川は工場排水に汚染されました。
 奴隷制度による労働、植物が長年かけて作った豊かな土の栄養、工場で使う燃料として使われた森林、すべての資源をタダ同然で奪うことで、英国、アメリカ、ヨーロッパ諸国に富が集中し、政治の世界で最初の圧力団体に成長し、権力を握っていったのです。
 こうして砂糖は、自給自足経済を壊し、搾取の構造を生み、格差社会の出発点になったのです。

●砂糖の健康への害や都合の悪いことを隠す圧力団体
 砂糖産業は砂糖を売るために結束し、やがてそれはイギリス最初の圧力団体として活発にロビー活動(政治に関わる活動)をするようになり、19世紀初頭からわき起こった奴隷貿易反対運動を徹底的に潰しに回りました。この砂糖産業圧力団体の構図はアメリカにもそっくり引き継がれました。「ビッグ・シュガー」です。
 「女性はチョコレートや砂糖菓子を好む愛らしい存在」というキャンペーンを行い、子供がお小遣いで買える値段のキャンディーを販売して子供の味覚と嗜好を変えて一生逃れられない砂糖漬けにしました。子どもに飴をあげる大人になるのはやめましょう!
 さらに「ビッグ・シュガー」は、研究資金を出している研究機関に「砂糖はいくら摂取しても健康被害を生じない」という研究結果を出させ、それを根拠にWHOの健康指針に加えるために画策しました。この企みは2005年のアメリカ合衆国農務省の指針から「砂糖の取りすぎは健康を害する」の一文を消し去ることに成功しました。当時のアメリカ政府は国民の健康より、砂糖協会からの献金を選んだのです。減塩は叫ばれても、減砂糖が取り上げられないのは、ずっと不思議だと思っていました。ガン細胞の大好物がブドウ糖だという事実だけでも、周知のことにしたいです。

●砂糖を悪者にしてのし上がる劣悪な甘味料
 話は変わりますが、砂糖の健康への害を調べていた時、500mlの清涼飲料水には55~66gの糖分が入っていて、それは水に溶かした場合、気持ち悪くて飲めないくらい甘くなることを知りました。そこに炭酸と香料と色素などの添加物を加えることで飲める清涼飲料水になるのです。
 しかしさらに驚くことがありました。それは、砂糖はコスト高ということで、もっと劣悪な甘味料が使われているということです。それは遺伝子組み換えのトウモロコシから抽出した異性化糖、「果糖ブドウ糖液糖」と呼ばれています。これを知ってから食品表示を見てみると、清涼飲料水だけでなく、ドレッシングやポン酢名の調味料、つゆの素、スナック菓子、アイスクリーム、つくだ煮、練り製品、インスタント食品など、たくさんのものに使われていることがわかりました。
 グリーンピース・ジャパンの調査によると、これら遺伝子組み換えの異性化糖が使われている量が最も多いメーカーは、1位 明治ホールディング、2位 味の素グループ、3位 山崎製パン、4位 森永グループ、5位 サントリーフーズです。

●さらに猛毒な人工甘味料と合成甘味料
 しかしこれでもまだ天然抽出の甘味料です。さらに人体に毒となる人工甘味料や合成甘味料がカロリーゼロ、ダイエット甘味料として大手を振って使われています。たとえば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、糖アルコール(ソルビトール、エリスリトール……)などです。日本でも、よく使われている人工甘味料の2種類は、「アスパルテーム・スクラロース」です。両方とも“100%”人工的に作った甘味料です。
 食品を購入するときは必ず表示をチェックし、これらの甘味料が使われていたら、絶対に買わないようにしましょう。たとえば、アメリカの空軍では、アスパルテームの含まれた食品は禁止されています(特に“ダイエットソーダとガム”)。アスパルテーム製造企業から研究費を出資された研究機関の74論文すべてが 「アスパルテームは安全である」と結論しているのに対し、製造企業と関係のない独立研究機関の90論文のうち83論文が「アスパルテームは脳腫瘍などの致命的な 健康被害をもたらす危険性がある」と結論を出しています。

●白砂糖は化学合成された添加物と同じくらい害がある。
 それでは白砂糖の悪い点を挙げてみましょう。
 ①砂糖のとり過ぎは体内のビタミン、カルシウム、ミネラル不足を招く。②砂糖は、血液を酸化(汚す)させ、赤血球や細胞を崩壊させる。③アトピーなどアレルギーはもちろん、冷え性、頭痛、肩こり、貧血、便秘、虫歯、胃潰瘍、糖尿病、心臓機能低下、子宮異常、静脈瘤など、恐ろしい難病と言われるようなもののほとんどが、砂糖病である。④白砂糖や人工甘味料など吸収が早い糖質食品をとりすぎると、急上昇した血糖値を下げる作用が過剰に働き、逆に低血糖になるなど、血糖値が乱高下して「キレやすくなる」。またこの白砂糖のことを「白い麻薬」と呼ぶ人もいるほど依存性の強いものです。

●では人間の体に良い砂糖はないのでしょうか。
 砂糖には「分みつ糖」と「含みつ糖」の2種類あります。「分みつ糖」とは、精製された砂糖のことで、白砂糖、グラニュー糖、三温糖など、ビタミンB群やミネラルが含まれない糖分であり、「含みつ糖」とは、和三盆、黒糖、甜菜糖、メープルシロップなどで、ビタミンB群やミネラル分を含む糖分です。糖分を摂るならこの「含みつ糖」を適量摂れば良いのです。
 しかし、含みつ糖の中でも黒糖はピンきりです。ほとんどの黒糖は、サトウキビのしぼり汁が強酸性のため石灰を大量に投入し中和して固形化しています。石灰を入れるのは量を減らさないためでもあります。これに対し、石灰を使わずに本物の黒糖を作っているところもあります。この黒糖は非常に手間がかかり少量しかできないので、価格にして1kg約3000円以上になります。
 しかし、良い糖分でも1日の適量は体重1kgあたり1g、こどもには体重に応じて与える思いやりが大切です。

●そして砂糖を止めればいいことばかり
 まず一番うれしいことは、肌がきれいになること。次に集中力が持続するようになること。イライラしたり、カッとしなくなること。うつや不眠症がなくなり、性格が明るくなる人もいます。何だかやる気が出る。体か軽くなって、面倒くさいことでもやる気が起きるようになります。
 しかし甘味は人を癒してくれるので必要です。そこでメダカのがっこうでは、お米と米麹だけで作る甘酒、お米だけでつくるみりん、無農薬の干し柿や干しフルーツなどを上手に利用して、スイーツを作っています。

 では砂糖についてまとめてみましょう。

●砂糖は奴隷制、人種差別、利権争いによる戦争、現代病、消費文化を生み出した犯人である。
●分蜜糖(上白糖、グラニュー糖、三温糖など)は食品添加物の薬品と認識した方が良い。
●含蜜糖は、良い糖であるが、人間にとって甘いもののコントロールは難しいので、摂取量に注意。
●トウモロコシの糖分は遺伝子組み換えで、異性化糖として加工品、菓子類に多く使用されている。
●人工甘味料・合成甘味料は、猛毒なので、摂取しないこと。

 メダカのがっこうと一緒に、米と味噌と醤油、梅干しとたくあんを、命を優先する農家が育ててくれた原料と仲間が作った自然塩で造り、砂糖を止めると、自給自足経済が見えてきます。砂糖の歴史から、砂糖が奪ったものの数々を忘れないようにしましょう。

2015年9月20日

米・味噌・梅干し・黒焼きという高機能食品の恩恵に浴そう

人間は、非常事態や過酷な状況に置かれたとき、自分にとって何が本当に必要なのかがわかります。日本の歴史においても、下克上の時代、常に正しい判断力と強靭な体力がなければ生き残ることができなかった戦国武将たちが、玄米、味噌、梅干しなどの高い機能性を発見、行軍に兵糧として持参していました。

さて、現在の日本でも、かなり過酷な海外公演の中で、玄米、味噌、梅干し、黒焼きなどの価値を体で実感しているメダカのがっこうスタッフの美月さんの臨場感あふれるお話をご紹介します。

彼女が所属していう国際文化交流舞踏団「曼珠沙華」は、1999年、チェルノブイリ原発被災地公演を皮切りに、これまで20か国、35回の海外公演を行い、「世界の子どもたちに感動と心の花束を」をコンセプトに、言葉や宗教、政治を超えて世界の人と人の心の絆を結ぶ文化交流している団体で、世界各国からラブコールを受けています。今回のベラルーシ共和国での公演は6回目になります。ここからが彼女の体験談です。

私たちは毎日バスで片道5~6時間かけてシベリア大陸を移動し、環境が日本と全く異なる地で毎日ベストコンディションで舞台にたたなければいけません。この状況を打開するために日本から持参する重要アイテムがあります。

一番目はお米です。時には炎天下の中での公演、冷房がなく車内が42度のバス移動は座っているだけで体力が失われていく・・・楽屋を作り、踊る時にはフラフラになってしまいます。そのような中で、日本から持って行ったお米を炊いてつくった“塩むすびや、味噌おむすび”を食べた後の公演は、「足の踏ん張りがきく!」「力の出が全く違う」。お米の力に助けられ、「次の日の体力の回復も違う!」お米の力を身に染みて感じています。

また、ヨーロッパ、ロシア圏の乾燥している地域では、肌がカサカサになり、白塗りがのらなくなってくるのですが、お米を食べると、肌への保水力が違うことも実感します。

次に塩です。舞台上では、幾重にも重なった美しい衣装とピカピカの照明で汗をかきっぱなしですから、フラフラしないように、水分補給と一緒に塩を摂ることを大切にしています

その次は梅干しです。疲れて体が酸化してきたな…と思うと、必然的に梅干しが欲しくなります。クエン酸アミノ酸…という情報とはまた別に、体は素直に反応します。そして海外の様々な食事に胃が負けないよう、食あたりの予防にも必需品です。

その次は味噌です。味噌汁が体に染みる… と感動するのは、海外のなれない環境で、体が知らず知らずのうちにがんばっているからなのでしょう。味噌汁が腸まですぅーっと入った時に、癒される、元氣が出る、体が喜ぶのが分かるのです。味噌はお通じが良くなります。腸内が滞るとそれだけで体調が悪くなり、肌も吹き出物が出てしまうので、味噌汁に出来ない時は、黒パンにつけて食べます。美味しい!!

最後に黒焼き2種です。まず黒焼き玄米珈琲は、疲れてくると、体温が上がらなくなり、食事も摂りたくなくなる時に有効です。体を回復させたい時、質の良い睡眠をとりたい時に寝る前に飲んだり、朝起きて体に力が入らないと感じた時は、飲むようにしています。もう一つの黒焼きは、梅干しの黒焼きです。油っぽい食事が多かったり、体に合わないものを食べていると、おなかがゆるくなります。それでもトイレにこもる時間もないので、そんな時の助け舟で梅干の黒焼きをペロリとなめると、だいたいおさまります。また、風邪をひきそうかな? と思った時も予防でなめて免疫力を高くするよう意識します。

また放射能数値が高い地域での公演でしたので、体がダルいなと思ったら、すぐ黒焼きを摂るようにしました。

帰国してからのアフターケアーですが、2~3週間の仕事を終えて、日本に帰るころには、体もすっかり変わってしまっているので、帰ってきたら体の立て直しをします。①マコモ茶でデトックス・体内浄化を。②一汁一菜で体つきや肌を元に戻す。③百薬の長(メダカのがっこうのお酒)で心の癒しと美容とリラックス+腸を整える。④ぬかパックで肌を立て直す。これで完璧です。

最後にまとめとして、なんでも物事は“少し離れてみるとよくわかる“と言いますが、日本を離れ、異国の地では、水も空気も食も違うので、体は当然無理をすることになります。その中で、日本人である自分の体が、米、味噌、梅干しなどに素直に反応する体験をすると、日本人である私たちが、日本の食事をすることが、どれほど大切であるかを身を以て実感します。これからも、日本の食に支えられながら、日本の美しき良き文化を、世界中の人に喜んでいただける舞台ができるようがんばっていきたいと思っています。(体験談終わり)

いかがでしたか。さながら戦国時代の行軍のような移動と戦のような舞台を、お米、味噌、梅干しを食べて乗り切る美月さんは、戦国武将と同じですね。武士が完成したシンプルな伝統食は日本人の体の立て直しに役立ちます。それがまた放射能汚染の中に生きる日本人にはとても有効だと分っています。皆様、日本人の先祖が築いてきた米、味噌、梅干し、黒焼きの高機能食品の恩恵にもっと浴しましょう!(もちろん化学物質フリーものでなければなりませんが)

2015年8月20日

日本人は昔から味噌という高機能サプリを持っている

味噌は中国から飛鳥時代に渡来し、日本で発展しました。 古代中国では大豆を塩蔵したものを「醤(しょう)」と言っていましたが、醤になる前の熟成途中のものがとてもおいしかったので、これが独立して味噌という食品になりました。ですから名前の由来は、未だ醤にならざるもの「未醤(みしょう)」から「みそ」となったと推定されます。しかし平安時代まではずっと貴族だけのぜいたく品でした。

鎌倉時代にやっと、日本食の一汁一菜という定番メニュー、穀類(玄米や雑穀)と味噌汁と漬物という型ができました。この時代は、それまで蒸していたお米を羽釜で炊く技術や、すり鉢で豆味噌をつぶして水に溶かし味噌汁にするという料理もでてきました。羽釜の鋳物技術やすり鉢の製造技術の向上とも深い関係があるのでしょう。室町時代に入ると、大豆の生産もさかんになり、農民も自家製味噌をつくるようになり、味噌は保存食として庶民に浸透しました。今伝わる味噌料理のほとんどが、この時代に作られたと言われています。

しかし、味噌力を最大限に引き出したのは戦国武将たちです。戦国時代の天下取りで最後に勝利したのは徳川家康でしたが、織田信長、豊臣秀吉など最強の戦国武将を生み出したのは、赤味噌文化圏です。赤味噌というのは、大豆と塩と水だけで造る豆味噌のことです。後に、発酵を早めるために米麹や麦麹が加えられて茶色の味噌や白味噌が考え出されましたが、大豆100%で造られる赤味噌は、米麹や麦麹が入った味噌に比べて栄養分が豊富です。

特にストレス軽減作用があり「幸せホルモン」と呼ばれている神経物質セロトニンのもととなるトリプトファンが豊富に含まれています。つまり、赤味噌を食べると、セロトニンの効果で心が落ち着く一方、気持ちが前向きになり士気が高まります。その上、脳の機能を活性化させるレシチンが含まれており、迅速で冷静な判断ができます。さらに疲労回復や免疫機能強化に効果のあるアルギニンも含まれており、丈夫な体が維持されます。心身ともに強くなければ生き残れなかった戦国武将が味噌力の証明してくれています。

武田信玄は、「陣立て味噌」と言って、大豆を煮てすりつぶし、麹を加えて丸めたものを持ち歩くと、行軍をしている間に発酵が進み、味噌として食べることを考案しました。陣立て味噌は非常に実用的で多くの武将が行っています。ここで大豆に麹を加える味噌が登場するのですが、これは発酵を早めるのが主目的です。また味噌は最高に体によい塩分の摂取方法です。信玄が支配する甲斐や信濃には海がないため、塩分の備蓄としての意味も重要でした。信玄は大豆の栽培と味噌造りを奨励しました。これがのちの信州味噌です。

伊達正宗も軍事用の兵糧としての味噌を重視しました。彼は仙台城の中に、「御塩噌蔵」と呼ばれる味噌の醸造所を作り大規模に製造しました。これが日本初の味噌工場だと言われています。伊達正宗の味噌は、豊臣秀吉の朝鮮出兵のとき、夏場の長期戦にも腐らなかったことで有名になりましたが、これがのちの仙台味噌です。仙台味噌の特徴は、麹の割合が少なく豆味噌にちかい赤味噌です。

味噌力の本領発揮はこれからです。味噌は放射線から体を守ります。長崎に原爆が落とされたときに、爆心地から1.8㎞にある病院で治療にあたった秋月辰一郎医師や看護婦やスタッフの中に一人も原爆症出なかったのは、わかめの味噌汁と玄米などの総合力だと言われています。その当時この病院は味噌・醤油の貯蔵場所になっていたそうです。薬は何もなくても、最高の機能性食品が貯蔵されていたわけですね。

この味噌の力を科学的に研究した広島大学名誉教授の渡邊敦光博士によると、放射線を浴びせたマウスに味噌を与えると細胞の再生能力が上がり寿命が延びることがわかりました。しかも熟成がすすんだ褐色の濃い味噌ほど効果があるのです。その正体はメラノイジンという褐色の成分で、豆味噌、赤味噌などに多く含まれており、米麹や麦麹の割合が多い淡色味噌や白味噌には少ないようです。本物の醤油の褐色もメラノイジンなので、醤油も同じ効果が望めるはずですが、最近の速嬢造りでカラメル色素で色を付けたものは当然ながら効果はありません。渡邊博士の研究だと、味噌はこの他に、ほとんどの癌や脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病、肥満、便秘などから体を守る多機能の高機能食品だということです。

ところでここで問題が出てきました。現代の味噌は、本来の味噌の機能を持っていない商品がほとんどなのです。今スーパーに並んでいるの味噌は、酵母が生きているとパッケージが膨張して返品になってしまうため、加熱処理や醸造用アルコールにより殺菌してしまうのです。また「だし入り味噌」もだめなのです。味噌の酵母が生きているとだしの旨味を菌が分解してしまうため、殺菌しなければ旨味を維持できないのです。味噌には加熱処理の表示義務がないため、消費者にはわかりません。しかし商品として並んでいる限り、処理をしているものと考えた方がいいです。

生きている酵母や酵素が有効な成分を腸に運び、健康な細胞を再生力を高めるのですから、味噌は生きたまま摂ることが大切です。殺菌、殺虫、消毒(施毒)の世の中になり、殺菌された味噌でなければ流通にのらなくなってしまったのです。味噌本来の高機能をもった生きている味噌を食べたい人は、メダカのがっこうの自給自足くらぶで、命を優先する農家と一緒に原料から無農薬・無添加で我が家の1年分を作りましょう。今年造らなかった方のために、5㎏樽、10㎏樽の販売もしています。

 

 

2015年7月20日

自家採種できる種を子孫に残すオイルプロジェクト

 メダカのがっこうでは、米を筆頭に味噌、醤油、梅干し、たくあん等、基本的な食材を原料から無農薬・無添加で作っていますが、昨年から民間稲作研究所の稲葉先生の指導の下、油も種からこだわって作り始めました。実際に原料からよく調べて作ってみると、いろいろなことがわかりましたので、少々報告させていただきます。

 まず種の問題です。春林蔵というヒマワリの種を播いたのですが、これは名前が日本名なのに、カナダから輸入したハイブリット(F1種・1代限りの交配種)で2代目に同じ形質の種ができません。しかし次世代に自家採種できる種に戻すため、これを2代目のよい形のものを選んで自家採種し、3代目を作るために種播きをしました。
 すると、収穫量が激減しました。1代目はヒマワリの高さもそろい、一株に一つの大きな花が咲き、種も大きく育ったものが収穫できるので、油もたくさん搾れるのですが、2代目は高さもバラバラ、花芽も1株にたくさんつくものが多く、種も小さく油もあまり搾れません。ましてや3代目となると、さらに高さがバラバラで、その中から1株1花のしっかりしたものを選ぶのも大変な手間と作業が必要です。その上除草剤を使わないので、草の勢いも半端でなく、ヒマワリが埋もれてしまった場所もかなりありました。結局、収穫量も1代目なら1ヘクタール当たり1トン収穫できるところが、3代目は100kgと1%の量しか収穫できませんでした。
 テレビや写真で私たちが知っている素敵なヒマワリ畑は、みんなハイブリットの種を播き、しっかりと除草剤を撒いた畑だったのです。しかし、メダカのがっこうの自給自足くらぶの会員たちはこのギャップにがっかりはしたものの、めげることなく、また収穫量が最初に予定していた半分以下になったことにも納得して、とても高くついてしまったヒマワリ油を現実を知る貴重な体験として受け取ってくれました。

 今年4代目のヒマワリを育てていますが、うれしいことに茎が太く一株に一つの花芽が付いたしっかりとしたヒマワリが増えています。収穫量も少しは増えることでしょう。
 次に搾り方の問題です。日本には昔、村に一か所は油搾りの場所があったのですが、今ではほとんどありません。そこで稲葉先生は油搾りの文化が残っている韓国に行って、スクリュウ式の搾油機を手に入れて来ました。ここにヒマワリの種を入れると、真っ黒な油が搾り出てきます。これを1週間ほどかけて濾過すること2回、やっと薄い黄色の透明なヒマワリオイルがとれるのです。この過程と手間と時間がこれほどかかることは、やってみるまで知りませんでした。
 ちなみにこのような搾り方を低温圧搾式と言います。これだとヒマワリだと収穫量の25%しか油が搾れません。100kgなら25kgの油しか取れないのです。私は油がこれほど貴重なものだと知りませんでした。今ではほとんど揚げ物はせず、昔の日本人のように、ゴマやクルミをすり鉢ですって油をだし、あえ物にして油分を摂ることが多くなりました。
 私たちが作ったヒマワリ油は原価で300ccあたり1800円以上になってしまいました。収穫量が2倍になっても900円。それなのに、スーパーで売っている油は何故安いのでしょう。
 それはまず、種がハイブリットや遺伝子組み換えの大量にとれる種であること。それと有機溶剤で溶かして収穫量の90%近くの油を取り出しているからです。遺伝子組み換えについては、遺伝子組み換えとはその植物のたんぱく質の形に現れ、その葉を食べた虫が死んだりするのですが、油にはタンパク質が入らないので、表示しなくてよいことになっています。しかし地球上の生態系に大きな打撃を与えるものである以上、メダカのがっこうはその油をよしとするわけにはいきません。
 しかしノルマルヘキサンという有機溶剤は私たちが知っているベンジンであり、これに種を溶かしてから熱して揮発させ取り出した油を、脱色脱臭するために、薬品や200度以上の高温で処理した油には、その種の良い成分が消えてしまっています。また、高温処理によるトランス脂肪酸への変化や、消泡剤(シリコーン)や酸化防止剤の添加による質の劣化が避けられません。

 巷では日本人に不足しているオメガ3系の亜麻仁油が良いとか、エゴマ油が良いとか様々な情報がありますが、どんな植物油もその取り出し方に良し悪しの基準があります。
 メダカのがっこうは、種の重量の20~30%しか搾れず高価になってしまいますが、低温圧搾の油をおすすめします。この油は低温圧搾式と書かれており、500ccで3000円以上はします。
 次にそれほど悪くないといえるのは、温度をかけて煎ってから搾った高温圧搾法です。170度に熱してから搾ると60~70%取り出せるので少し安価になります。高温圧搾法とか玉締め法とか一番搾りとか書かれています。オリーブオイルでいえばエキストラバージンオイルのみ。これ以外のものは必ず搾りかすをヘキサンで溶かして取り出したものを混ぜ込んでいます。またよい油も150度以上で熱するとトランス脂肪酸になりやすいので、調理方法に注意が必要です。
 本当に自家採種できる種を子孫のために残しながら、低温圧搾の良い油を手に入れるには、自分たちで作るしかありません。しかも、私たちが取り組んでいるオイルプロジェクトは、民間稲作研究所が、放射能に汚染された畑をヒマワリや菜種で浄化しようという運動です。これらの種を搾った油にはカリウムが含まれないので、放射性セシウムが入らないことから、これを農家収入にしながら日本の土を取り戻そうというすばらしい活動で、メダカのがっこうはこれに協力したいと思っています。

 これを読んでくださっている皆様も、このオイルプロジェクトに参加してみませんか。
 8月1日(土)ヒマワリ畑の草取り作業と菜種の搾油か濾過の見学。8月22日(土)はヒマワリの収穫があります。1口9000円で300ccのヒマワリ油が8本から10本分けられる予定です。
 集合8時東京駅八重洲北口、工事中の第一鉄鋼ビル前です。関心のある方は、メダカのがっこう事務局までメールまたはお電話ください。http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=74164716 
 メール:npomedaka@yahoo.co.jp Tel:0422-70-6647 です。

2015年6月25日

「百姓」赤峰勝人は現代の食医だ!…アトピーが治らないわけ

(この原稿は、船井幸雄.comに「中村陽子の都会にいても自給自足生活」に連載された第9回です。2015年6月24日に掲載されました)

食医というのは、昔は王様の健康管理をするため、中医学や薬草の知識と実践経験を積んだ人であった。これには「医食同源」というすばらしい考え方が基本にある。中医学では、対処療法の薬は毒性があり長期に使用するものではないので、これを下品薬。次に少し毒性が低く少し長く使える薬を中品薬。長期的に体質改善などに使える薬を上品薬としている。さらにその上に位置するのが体調管理をする食事である。

「医食同源」に異論を唱える人はほとんどいないだろう。日本で生まれ世界で認められたマクロビオティックも、自分の体質と現在の陰陽の偏りを知り、何をどう料理して食べたらよいかを判断できる人になるために学ぶ。食には基本的に体を温めるもの、冷やすもの、引き締めるもの、緩ませるものがあり、それを適切に料理して体の陰陽のバランスをとる。身の回りの食で体を立て直すことができれば人間は自由に生きられる。

ところが、いろいろ勉強し食事に気を付けてもなかなかアトピーは治らない。医者にかかると、アレルギーの原因を調べ、卵、乳製品、小麦粉などとわかると摂ることを禁止され、食べる楽しみを奪われた味気ない毎日が始まる。塗り薬はステロイド、一時的にきれいになるが、再び出始めると塗る量が増えていくという悪循環に陥る。これはなぜか。

ここに赤峰勝人さんというお百姓さんがいる。「百姓」という言葉は差別用語で自分で自分のこと百姓という以外は使用できないらしいが、私は尊敬の意味を込めて使っているのでお許し願いたい。

彼は今では中医学もマクロビオティックの陰陽もいろいろマスターしているが、まだこれらの知識がない時に、畑の中ですべての命がまわっているということに気づかされ循環農法を構築した人である。彼は近代農法の土づくり、有機栽培の土づくりなど真剣に試した結果、草はその土地に足りないミネラルを集めたり原子転換でつくり、枯れては完全な土を作ることを発見した。そして草だけで作った土で、念願の見事なニンジンを育てた。今から33年前のことだ。

そのころ彼は、20年来アトピーに悩んできた一人の女性に治してほしいと頼まれた。医学の知識が何もなくて困ったが、あまりの熱心さに、とにかく畑から教えてもらった命の循環の考え方で、土づくりで分かったことを人間の体にも応用した。すると、実にたった3か月でそのアトピーは治ってしまったのだ。頼んだ女性も女性だが、本当に困っている人には治せる人が分かったのだろう。その後口コミで彼のことが知れ渡り、実に1万人以上の人の食事ノートをみて、食事指導をし、実践した人はみんな治っている。彼は現代の食医なのだ。

彼がつかんだ循環の世界は、この世に無駄な生も死もない、すべては循環の中で意味がある存在であるという自然観と生命観である。草に関しては先に述べたとおりであるし、虫に関しても、異常に作物を食い尽くす虫がいたとしたら、それは亜硝酸を含んでいる人間にとって毒になる作物であり、それを食べて死んで土に反してくれる神虫さんだということだ。

さてここからが重要だ。赤峰さんの食事指導によると、「循環の輪の中に入っているもの」と「よい塩気」があれば、どんな病気からでも立ち上がれる。これは「小腸絨毛造血説」の「千島学説」が根拠となっている。人は小腸で血液が造られているので、小腸が元気であればどんな病気でも食で治すことができる。ちなみに、現代医学は血液は骨髄で造られるという違った立場をとっている。

赤峰さんの食事指導はまず、「循環の輪に入らないもの」は決して摂らないことから始まる。循環の輪に入らないものとは、化学合成されたもの、例えば、化学薬品。農薬、化学肥料、化学調味料、人工甘味料、合成甘味料、保存料、発色剤、香料などの添加物群。これらは土の中のプラスチックが分解されないように、体の中に入ったこれらの化学物質は分解できない。また、塩化ナトリウム99・6%以上の塩、ミネラルをすべて排除された砂糖、ノルマルヘキサンなどの溶剤で取り出された油などと、これらを使用した加工食品なども摂らない。

しかし私たちは今この循環の輪に入らない化学合成された物質文明の中で生きているので、これらを排除するとほとんど買って食べるものがない。なぜこんな事態になってしまったのか。それは近代になって私たちが作り上げた化学合成の物質文明が原因だ。私たちは命が循環している地球の上に生かされながら、循環しない化学物質を作り、これを大切な土に、作物に、食品に使ってしまったのだ。地球の中のがん細胞のようなものだ。循環の世界では処理すべき糞尿もゴミも出ないが、循環しないがん細胞の中の世界は、今や廃棄物だらけ、放射能廃棄物も含めて地球を思いっきり汚染してしまった。これと同じことが体の中でも起きている。

赤峰さんの見解によると、昭和37年以降に生まれた人からアトピーが急増しているそうだ。生まれた時からがん細胞の中にいるのだから、ほんとうにやっかいだ。この中で中医学を学んでも、マクロビオティックを学んで食事を作っても、原料である作物や食品に化学物質が混入している限り、決して治らない。アレルギー物質を排除しても、残りの食べ物に化学物質が混入しているのだから治らない。

赤峰さんがなぜアトピーを治すことができるか。それは赤峰農場の土から循環を取り戻し、一切化学物質を含まない作物を作り食べさせているからだ。小麦アレルギーの人もここで収穫した小麦ならアトピーは出ない。汚れていたのは土なのである。現代の食医は、地球の循環を知り、清浄な土を取り戻したお百姓さんなのである。

今回の赤峰さんは食医の育成を念頭に置いて講演してくださる。まず自分が生きている世界が循環の輪から外れたがん細胞の中であることを知り、循環する世界が夢や理想でなく実現可能な素晴らしい世界であることを知り、次に本当に化学薬品に汚された土、作物、加工食品を清浄なものに変えるための行動に移す。赤峰さんほど現代の食医セミナーの講師にふさわしい人はいない。これらを学ぶことは非常に意味がある。家族の食事をつくる人はみんな家族の「食医」を目指そう。料理人もみんな食医であってほしい。もっと理想をいえば、人はみんな自分の「食医」でありたい。

お知らせ:赤峰勝人講演会「現代の食医セミナー―アトピーは自然からのメッセージ」が2回あります。

  1. 7月19日(日)13:00~16:00(会場12:00農薬ゼロ無添加の昼食付)一般5000円ペア8000円、メダカ会員4000円ペア6000円 場所:武蔵野スイングホール(JR中央線武蔵 武蔵境駅北口1分)
  2. 10月11日(日)上に同じ 内容は食医セミナーの続きになります)

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7月19日のお申し込みは、メダカのがっこうホームページの参加者募集かショップから FAX:0422-70-6648, 電話の方は、0422-70-6647 メダカのがっこう事務局まで。

2015年5月20日

今こそ、本物の米、味噌、梅干し、黒焼きが必要なわけ

(この原稿は、船井幸雄.comに「中村陽子の都会にいても自給自足生活」に連載された第8回です。2015年5月20日に掲載されました)

 メダカのがっこうでは、毎月「食とお米とその周辺の研究会」を行い、塩、米、種、野草、味噌、醤油、油など、基本的食材について、中村陽子の自然観に基づいた勉強をしていますが、添加物については、九州から安部司さんをお呼びして、「みんな大好き食品添加物―食品の裏側―」という題名でお話をしていただきました。その内容の紹介と、メダカのがっこうが基本食材と原料から無農薬・無添加でつくっているわけをお話しします。

 安部司氏のお話には、強烈なパンチを受けました。さすが食品添加物を駆使して、ヒット商品を連発してきた張本人だけあって、その知識と経験の深さに驚きました。加工食品、飲み物、インスタント食品、お菓子、お惣菜などに使われている本物とは似て非なるものを作る添加物の種類と働きを、余すところなく伝えてくれました。特にお惣菜は、コンビニはともかく、デパ地下からお弁当、ホテルの朝のバイキングに至るまで、原料の段階から味付けまでこれでもかというほど食品添加物が50種とか60種とか使われていることを知り、がっかりしました。

 たとえば、お惣菜で人気があるサバの味噌煮は、中国でサバと、添加物がたっぷり使われた調味料とが真空パックされてから鍋で煮て、それを冷凍して輸入し保管しておき、何ヵ月何年たっても、解凍した日から1ヵ月の賞味期限が決められていることを知り驚きました。
 また、表示のところに、PH調整剤とか香料とか、アミノ酸と書かれていても、それはグループの総称で、何種類もの添加物が使われているそうです。こどもの好きな飲料水、普通では甘すぎて飲めない量の甘味(砂糖より劣悪な遺伝子組み換えのトウモロコシのコーンスターチから取った果糖ブドウ糖液糖や人工甘味料)も、着色料と香料とビタミンCを添加すると喉越し良く飲めてしまうのです。
 インスタントラーメンのスープには、普通では気持ち悪くて飲めない量の油脂と塩分が入っていますが、うまみ成分(大豆を塩酸で溶かし苛性ソーダで中和させて取り出したタンパク加水分解物や、人工のアミノ酸数種)を入れると、おいしいスープに思えてしまいます。これらを常食としているこどもの身体はどうなってしまうのでしょうか。

 私は安部司さんの講演会をyoutubeで見ていましたが、直接お話を伺うと、彼が本当に添加物に侵されてしまった食品に囲まれている日本の子どもたちのことを心配して正そうとしている愛情と情熱を感じました。
 この講演会は、わかっていてもやめられない人たちにとって、やめる決心をする日になったのではないかと思います。それほどの迫力がありました。
 安い、簡単、便利、キレイ、オイシイという基準で買い物をする私たちが、添加物を増長させていることを思い知らされました。こうしたものにお世話になっている以上、中国に足を向けて寝られないそうです。安部さんのお話を聞いて、食べるものがなくなって困ってしまう人はたくさんいると思います。しかし、メダカのがっこうは、この問題を自分で解決するために、自給自足くらぶを始めています。

 危険なのは、添加物だけではありません。よく日本は、人体実験の場所だと言われます。
 戦後、生物兵器が再利用された農薬メタボな作物を作る化学肥料、工業で汚染された水や空気、命が生まれた海の塩から、塩化ナトリウムという化学塩への国をあげての変更、石油化学製品が原料の環境ホルモン、食品添加物、人工甘味料、合成甘味料、香料などの膨大な薬品群、そしてコバルト60照射食品、と次々と身体への負担が増してきました。

 おかげで日本人は、アトピーを手始めに難病奇病が多発、10人に1人の子どもの永久歯が生えず、10人に0.7~1人の子どもが多動性障害になり、2人に1人がガンになっています。そこに2011年3月にはあの忌まわしい原発事故による放射能汚染ときました。

 広島・長崎の原爆を、玄米と味噌と梅干しで乗り切った日本人です。
 でも、今の日本人は米、味噌、梅干しから離れてしまったうえに、手に入れようとしても、日本にはもう昔のような無添加で良い塩で造られた味噌や梅干しがありません。それどころか保存食なのに添加物が使われています。これでは放射能に負けない身体は作れません。だから私たちは、命を優先する農家と手を結んで、会員の皆様と一緒にすばらしい材料を使い、添加物などない本物の米、味噌・醤油・梅干しを作っています。

 しかしここにもう一つ強い味方がいます。それが黒焼きです。
 その中でも、梅干しの黒焼きや、もみ付き玄米の黒焼きが有効だと思います。直接放射性物質を吸着して排出してくれるからです。私は日本人が黒焼き玄米茶や黒焼き玄米珈琲を毎日1杯でいいから飲んでくれると、相当いいのではないかと思っています。
 「炭が地球を救う」と宮下正次さんは教えてくれますが、土の化け物である人の身体も同じことです。
 70年間は草木も生えぬと言われた原爆から、今年がちょうど70年目です。そろそろ農薬や添加物から足を洗い、主食をお米に戻し、命が生まれた海の塩と、その塩でつくった梅干しや味噌と、黒焼きで、たいがいなことには負けない日本人になりましょう。

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2015年5月17日

安い・簡単・便利・キレイ・オイシイに勝てる方法あり

「安い・簡単・便利・キレイ・オイシイ」は、現在のほとんどの日本人の消費基準。これが農薬や化学肥料や添加物の使用を増大させてきたことは、添加物の神様・安部司氏の講演で思い知らされた。人間は一度便利な生活を覚えてしまうと元に戻すのは難しい。しかし、この悪魔の誘惑に勝つ方法を2つ考えた。

方法1.ご先祖様になる意識にスイッチをいれること。

享楽のための食ではなく、良い遺伝子を残すための食を考えてみることだ。日本人の先祖はかなり優秀だ。江戸時代の飛脚は1日100㎞以上の距離を走っていたが、その食事は握り飯と沢庵のようなものだった。このような粗食で疲れ知らずの強靭な身体が作れることに、日本を訪れた外国人たちは、驚きの記述を残した。戦後70年を見ても、日本人の身体能力はかなり弱ってきたようだ。昭和20年代、村の運動会では1俵60㎏の米俵を担いで走る父兄の競争があったそうだ。私の知る限りでは、大分の赤峰勝人さんが若いころは、2俵(120㎏)の米俵を担いで運ぶことが出来たらしい。田んぼに力と書いて男、昔からほとんどの日本人が米作りに関わっていた証だろう。

方法2.野生の感性を復活させること。

野生のヘビはどんなにお腹が空いていても、無精卵には目もくれず、数ある卵の中から有精卵だけを飲みこむそうだ。無精卵が命を繋ぐ力がないことを知っている上、見分ける能力があるのである。もし人間にこの能力があったとしたら、コンビニやスーパーに並んでいるものにはほとんど買うものがないだろう。この感性は、正しい断食や七合食や不食の実践で磨くことが出来る。飽食によって完全に野生性が失われ、命を繋ぐ力がある食物が分からなくなってしまったのである。

最大の問題はちゃんとした食べ物が足らないこと

農薬ゼロのお米や野菜やミネラルバランスの良い日本の海塩の生産量は日本の全生産量の0.5%以下。たとえ1%の国民が目覚めたとしても半分しか満たせない。添加物の入っていない加工品、殺菌していない発酵食品などは、遠距離輸送も倉庫貯蔵もできないのだから存在するはずもない。つまり、自分たちでつくるしかないのである。この大事業は、お上に頼ることなく、賢い国民がタッグを組んで構築するの一番早道。買う生活から作る生活へ、都会に居ても自給自足生活を進めていこう。

女性が担う手造りの伝統食文化

安倍首相はしきりに女性が輝く時代と言っているが、昔のおばあちゃんやおかあさんは米や野菜を育て、味噌や醤油や梅干や漬物を作り、それを何年も寝かし、こどもたちを育ててきた。誰からも命令されず賃金も貰わず、喜んで無償の働きをしてきた。またこれらの食料が蓄えてあれば、非常時の食料にもなる。女性の働きが一番輝いていた時代ではないだろうか。日本のおかあさん、家族の健康をわずかな賃金と引き換えにしないで。

人の命を元氣に繋ぐものは、命あるもの

メダカのがっこうでは、F1種や遺伝子組み換え種でない命を繋ぐ種、除草剤・殺虫剤・化学肥料ゼロの米や野菜、ミネラルバランスの良い日本の海塩、日本人の腸内細菌に適した米麹、醸造・発酵・塩蔵技術で造った調味料や伝統食、種から育てて低温圧搾した油を使い、大切な人に食べさせたい食品を無添加で作っている。みんなで先祖度をアップしよう。

2015年4月20日

新潟県阿賀町に元氣な糀ばあちゃんあり(山崎京子さんの場合)

(この原稿は、船井幸雄.comに「中村陽子の都会にいても自給自足生活」に連載された第7回です。2015年4月20日に掲載されました)

 表参道に新潟県の物産館ネスパスがあります。ここで甘酒のつくり方や醤油麹、塩糀の作り方や食べ方を熱弁していたのが山崎京子さん70歳。新潟県阿賀町で明治元年から続く糀屋(こうじや)の女将です。
 娘婿の後継ぎもできて5人のお孫さんの将来を考えている頼りがいのある糀屋のおばあちゃん。実は阿賀町は20年後に消滅するかもしれないといわれている限界集落、そんなことはさせてなるものかと起死回生の策を練り、元気な女性たちと「米糀(マイカ)の会」を結成したところです。
 幸運にも私たちはその第1回の会合で会うことができました。でもばあちゃんというのは失礼かなと思うほど、シミもしわもない白く張りのあるお肌と滑舌の良いシャキシャキの女将、しかもスキーは一級で「私が80歳でワールドカップに出たら、糀の力を知らしめることができるかしら」などと冗談なのか本気なのか分からないですが、このやる気には感心します。
 メダカのがっこうの3つの宣言の最後に「生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になります」というフレーズがありますが、まさにそれを地で行っている方と出会ったと思い、皆さんに紹介させていただきます。

●女将の魅力と麹の効力に魅せられて阿賀町に
 東京での出会いで「糀水」を飲み始めたメダカのがっこうのメンバーが、ほんの3週間ほどで、いつもは180以上あった血圧が130台に下がりました。糀水というのは、水500ccに糀100gを入れて作るのですが、発酵が進まないように冷蔵庫に保管し、その上澄み液を朝晩いただくのです。そこで糀に魅せられた仲間で、糀ばあちゃんの本居地を訪ねました。
 東北道の郡山ジャンクションから磐越(ばんえつ)道に入ってすぐの津川I.C.を降りてほんの5分。山崎糀屋がありました。古いたたずまいを入ろうとすると格子戸は自動ドア、大型冷蔵ケースの横にはモニターが設置されており、女将が甘酒や塩糀やスムージーのつくり方や使い方を説明する映像が四六時中流れています。世の中を動かすために努力を惜しまない姿勢に感心し、ここにも本気でやっている人がいると思いました。
 私たちが到着すると、さっそくウェルカムドリンクとしてスムージーを作って飲ませてくれました。りんご少々、バナナ少々、畑の青菜4~5枚、これに豆乳少々と甘酒たっぷりを入れて撹拌すること30秒足らずで、2杯分のスムージーが完成。グリーンのさわやかな甘さで、一気に疲労回復しました。
 考えてみれば、江戸時代、甘酒は夏バテ防止ドリンク。お米を酵母が半分消化してくれた大人の離乳食、お米のミルクともいえるものです。ヨーグルトのように動物性の乳酸菌とは違い、お米の乳酸菌は日本人の腸内細菌を元気にするのに適しているのです。このことは、お米の力を最大限引き出そうと挑戦している私たちメダカのがっこうも注目しています。

●玄米中心の一汁三菜の食生活で一族繁栄
 彼女は、糀屋に嫁いできましたが、その当時、糀屋というのは、米1升を受け取って麹1升を渡し、その鞘(さや)をとる商売だったそうです。彼女が頭角を現したのは、長女が保育園の時。母の会で甘酒のつくり方や糀漬のつくり方を紹介しました。毎日の食事は、ご飯と味噌汁の一汁三菜。ご飯は精白されたものではなく、玄米に麦と小豆を8時間以上つけて酵素玄米にしています。食事回数は昔の人に倣って2回。現代の力仕事もしない日常で3食まともに食べると病気になるのは当たり前。出る量より多く食べたらダメ。そして捨てるところのない一物全体の食生活をしています。
 この食生活が間違いないことは、後継ぎの娘さんご夫妻が小学生をかしらに5歳4歳3歳2歳という子供に恵まれ、みんな元気に育っていることで証明されています。

●食べ物で元気になる健康教室
 「生きているものを摂っていれば元氣になれる。元氣になればやる気が出てくる」これが彼女の無策の作です。スーパーに売っているものはみんな生きていないもの。味噌も糀も醤油も漬物も、生きていれば醗酵して袋が膨れて売り物にならず、返品になるからみんな菌を殺してから出荷します。農産物は農薬まみれ、商品は添加物だらけ、こんなものばかり食べていると、身体が病気になって精神も病んでしまう。これは都会の話ではなく田舎でも同じ状況。日本中が病んでいます。ですから甘酒も自分で作って飲むことが肝心。

 糀というのは日本の国菌。糀屋から生きた麹を買って甘酒、塩糀、糀漬、糀水を作って飲むことで、日本人は元気になれる。精神の病からも立ち直る。そうするともう一度みんなやる気が出てくるから、そうしたら限界集落からも、元気のない日本からも自ずと脱却できる。こう考えて彼女は「食べて元気になる健康教室」を始めて、糀ばあちゃんになって頑張っているのです。
 彼女がこれからやりたいことは、阿賀の町という四方を山に囲まれて汚染から守られている地の利を生かして、有機無農薬の里を作ること。それと阿賀町を糀の町として全国に知らしめることです。皆さんも応援して糀ばあちゃんを講演に呼んでください。

 私たちは6月28日(日)13時~大田区文化の森で糀ばあちゃん山崎京子さんをお呼びして講演会を計画しました。会費3000円です。甘酒と野菜のスムージーも体験できます。関心のある方は、メダカのがっこう事務局 tel:0422-70-6647 fax:0422-70-6648 ホームページからもお申込みできます。ご一緒に生きている糀体験をしましょう!

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