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中村陽子のコラム

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2008年12月31日

*今までのコラム一覧*

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2008年11月3日

無農薬・生物多様性の農業こそが平和の礎

減農薬という言葉に気をつけて
「悪魔の農薬、ネオニコチノイド」船瀬俊介著という本が三五館から出ています。神経を冒す恐ろしい農薬で、世界で一番使っているのが日本だそうです。中国やベトナムからの事故米などで、驚いている場合ではありません。農薬について言えば、日本は、金額ベースで、世界中の農薬使用と半分を、この狭い国土にまいているのです。
減農薬という言葉には、気をつけて下さい。実は減農薬というのは、薬の種類や回数を半分にすればいいので、一発で済むように強くて長く効く農薬を使うのです。こちらの方が、生態系を壊してしまうという古川農業試験場の研究もあります。
このネオニコチノイドの成分が入っている農薬は、殺虫剤として普通に使われています。特に危ないのは、稲の穂が出始めてから撒くカメムシ防除のダントツという農薬です。
数年前、メダカのがっこうの花まる農家で岩手県の水沢江刺にいる農家から電話がかかってきたことがあります。彼の周辺で、ラジコンヘリによるカメムシ防除をした後、大量にミツバチが死んだり、体の大きなアオサギが口から血を吐いて死んだという内容でした。彼は大変だと役場に駆け込んだのですが、相手にされなかったそうで、メダカのがっこうにこの事実を広く知らせてほしいと言ってきたのです。
ラジコンヘリというのは、無農薬を希望する田んぼに、空散(空中散布)といってヘリコプターから農薬を撒くことを止めて、農薬を希望する田んぼだけに撒く方法で、空散より数倍濃い薬を撒くので、危険度が増してしまうのです。
「沈黙の兵器」、食生活が戦場
ネオニコチノイドの影響で、アメリカでは、ミツバチがいなくなったそうです。「沈黙の夏」が来ています。日本でもミツバチがいるのは都会ばかりで、田舎に行くほど、生きものが棲めない環境になっています。
また最近、遺伝子組み換え作物で食糧増産を促す呼びかけがアメリカから日本に来ています。虫の付かないように遺伝子操作されたトマトや大豆の葉を食べた虫は、数分でコロッと死ぬそうです。これを人間の食べ物だと思いますか?
日本は平和に見えますが、あらゆる食物の中に農薬や甘味料や添加物などの「沈黙の兵器」が隠されています。ボヤッとしていると、難病奇病、うつ病、原因不明の病気になり,殺されます。虫のようにコロッといかないだけです。日常の食生活がまさに戦場なのです。
どうぞ、農薬について、調べてみて下さい。減農薬は、無農薬への途中段階というイメージがありますが、まったくつながっている世界が違います。無農薬は生物多様性の平和な世界に、減農薬は農薬を使う農法と同様に生態系破壊の世界に繋がっているのです。

2008年11月3日

こんなにたくさんいる応援したい人たち

誰かの幸せを思うと智恵が湧いて喜んで働ける 
 やっぱりこれしかないなと思います。誰かとは、地球の素晴らしい仲間なのに、今の社会の中で弱い立場にあるもの。これを言語化してくれたのは、日本熊森協会の森山まり子さんです。(日本熊森協会のことは、次のページの応援歌を読んでください) 森山さんは、中学校の理科の先生をされていたのですが、それまで、あまり勉強する意欲がなかった子どもたちが、すみかとなる森がなくなり、餌を求めて里へ降りてきて、どんどん殺され絶滅の危機に瀕している熊のために、世の中を変えるんだという志を持ったとたん、猛然と勉強を始めたことを話してくれました。自分のためなら、苦しくなったらやめてしまうが、自分の助けを待っている弱者のためなら苦しくなってもがんばり続けられるというのです。
 これは本当にそうだと思います。森の熊や生きものたちのために働いて、問題にぶつかっても、身体が疲れることはあっても、心が疲れることはないでしょう。これは私たちメダカのがっこうも体験しています。メダカや田んぼの生きものたちがすめる田んぼを広げるために働いていると、問題にぶつかっても、己の問題解決能力にかかっているだけなので、根本的な絶望を感じたことはありません。多分それは水や緑や生きものたちの生命力を引き出す冬・水・田んぼに、環境を変える力があることを実感しているので、迷いなどの心の無駄がないからだと思います。熊の住める森と、メダカの住める田んぼは全く同じ自然観からスタートしています。日本熊森協会の方たちとの出会いは、メダカのがっこうにとって、大きな出会いです。日本の奥山を熊の住める森にするため、皆さん会員になって協力しましょう。そうした豊かな森が、田んぼの水を育んでくれるのです。奥山が杉と桧になってから田んぼの水はかなり少なくなってきています。
自然農法、有機栽培で成功するのは平和な人
 平和な人とは、すべての生きもの幸せを考える人のことです。これも最近気がついたことです。無農薬で農業をする決心をした人は、そこに天敵のバランスが取れた調和された生態系が出来るまで、辛抱我慢の日々を過ごすことになります。普通3年はかかります。その後、今まで邪魔にしてきた草や虫、菌たちの働きに感心したり感謝するときがやってきます。そうなると、そこに生きる生きものすべての幸せに思いを巡らせることができる人になります。私が知っているだけでも、赤峰勝人さんや、松沢政満さん、舘野廣幸さん、豊口安紀さんなど、日本各地にはかなりの方がいらっしゃいます。しかし、なかなか彼らに学んでまねだけしても、思うように出来ません。一部の天才しか出来ないことなのかな、と諦めていたこともありましたが、成功の秘密を一口に言えば、その地の生きものたちすべての幸せ(住処や餌や繁殖環境)を願う大きな心ではないかと思います。かといって複雑な生態系をすべて頭で理解できるものではないので、目に見えてきた生きものたちの住処や一生を考えてみると、徐々にみんなの幸せを考えられる人になると思います。都合の悪い生きもの(草や虫や菌)を殺さず、みんなの幸せを願う農業が、平和の源です。
天敵を利用した防除、アイガモやコイなど生きものを利用した除草は、ひとつの農法として優れたものですが、ただ生きものを利用するだけに終わらず、その生きものの幸せを考えると、さらに持続可能な平和な農業が発展すると思います。「利用する」と、「幸せを考える」とでは、動機に大きな違いがあり、大切なのは、動機の純粋さです。
純粋な動機でがんばっている人を応援したい!
 熊森協会を発足した子どもたちの心は、純粋です。心の底から応援したくなります。その他にも私の周りで、無私の心で地球のことを考えている人たちが何人かいます。メダカのがっこうの会員の中でも、途上国に森を復活させたり、現地に合った有機農業を指導したり、その国の人材育成を手がけて40年以上の歴史を持つ(財)オイスカの中野良子さんや、畑の生きものたちすべてを神草さん、神虫さん、神菌さんと呼んで循環農法の心を実践している赤峰勝人さん、国産の木を使って日本の森を復活させようとしている初雁木材さんの関根進さんや、新月に伐採することで樹木を1000年生きる木材に生まれ変わらせている新月の木国際協会の増田正雄さんや、日本の自然海塩を作りながら日本の海を美しく守る運動をしてくれている阪本ご夫妻、心から尊敬し、感謝し、応援したい方たちです。どうか皆様、メダカのがっこうの仲間として応援してください。そして宣伝してください。
 これからは、自分のPRをすることより、素晴らしい方たちを宣伝することが、世の中を変える力になっていくでしょう。自分のことは、動機が純粋なら他の人が宣伝してくれるでしょう。「先渡他」は私の座右の名です。

2008年7月26日

おらが田んぼの生きもの語り部になろう

田の草フォーラムに集まった農家の方たち
 今年1月の第3回田の草フォーラムは、自然農法センターや民間稲作研究所とメダカのがっこうが共催でしたので、全国から自然農法や、長年農薬・化学肥料を使わない有機栽培農家の方たち100名以上が一堂に会し、感動的な出会いをすることが出来ました。
 こだわりを貫いているいくつかの農家組織が垣根を越えて集まる機会は、なかなかありません。わたしたちメダカのがっこうが、都市部の市民を中心になって出来た農家支援の啓蒙団体であること、また消費者の側から農家の方たちの田の草の苦労を減らしたいという、純粋な思いで開いた会だからこそ、集まっていただけたと思っています。
 彼らは、地域では変人としての存在で、村八分にされて、長年口を利いてもらえなかったり、開き直って変人としての市民権を獲得したりして生きてきました。しかし、彼らこそが本当にいままで日本の自然環境を守ってきてくださったのだと思うと、感謝の気持ちがいっぱいになり、メダカのがっこうとして、もっとお役に立ちたいと思いました。
 
みんなで楽しめて、農家の役にも立つ生きもの調査の考案者は岩渕先生
 メダカのがっこうがなぜ田んぼの生きもの調査を始めたかというと、私たちはまず耕さない・冬・水・田んぼの豊かな生きものたちに出会いびっくりし、この田んぼを広げたいと思いました。みんなにこの田んぼのすばらしさを語りました。しかし言葉では伝わらないこの感動、でも一回でも来たことのある人はカエルや水生昆虫に魅了されてしまいます。
 丁度このころ、2001年のメダカのがっこう設立当時、岩渕先生、宇根先生、湊先生に会い、田んぼの生物指標や生きもの調査の研究を知りました。
 この生きものいっぱいの楽しい田んぼで私たちもやってみたいと思い、さっそく岩渕先生に顧問になっていただき、専門家ではなく、市民も子どもたちも楽しめて、農家にも役に立つ生きもの調査の方法を1から考えていただきました。
生きものに聴いてみる姿勢は、国も国民も動かす
 生きものいっぱいの田んぼの価値を世間に知ってもらいたいのなら、生きものに聴いてみるのが一番です。また、生物指標の研究をすることで、国には環境直接支払いという形で、また国民にはお米を食べることで、農家を支え後継者が出てくるようになれば、日本の田んぼが守られ、その結果、日本の自然再生ができると考えました。
 しかし、生きもの調査には副産物がすばらしくありました。生きものを見る目を持ったおかげで、田んぼは楽しいイベント会場に変わりました。
 私たちのガイドに誘われて、たくさんの都市部の家族連れが田んぼに来るようになりました。そして一緒に生きものを探して、楽しみを共有しました。田んぼのファンはお米のファンになっていき、いのちの田んぼの応援者が増えていきました。
 農薬や化学肥料を使いたくないという思いで作っている田んぼは、生きもの調査の楽しい会場になります。今日の研修から帰ったら、自分の田んぼの生きものマップを作ってみて下さい。
生きもの調査がもたらすもの・・・花まる農家たちにうれしい3つの変化が
 2002年から、メダカのがっこうの農家たちを回り始め、ずっと生きもの調査を続けてきて、調査結果やデータそのものより、農家たちにうれしい変化がありました。
①それは、田んぼ仕事が楽しくなることです。
いままで稲づくりは、収穫量が最大の関心事で、病気や、害虫だけを気にしていたのが、メダカが増えてきたとか、草取りをしながらトンボの羽化に出会うと携帯で写真を撮ったり、カエルの卵もどんなカエルになるのか知りたくなったり、害虫から稲を守ってくれるカエルやクモにも、頼んだよという気持ちになったりします。生きものに視点が合うと、農薬だって、無農薬として売るために撒かないのではなく、撒く気がなくなるのです。
②次に後継ぎができることです。
これは農業が楽しくなるのに加えて、生きものが安全を保障したお米が、十分働きに見合う価格で売れるからでもあると思います。それにメダカのがっこうには、収量に関係なく、農家の作業に対してお金を払う田んぼ環境トラスト制度(田んぼ組)もあり、意識の高い消費者に支えられていることも、数はまだわずかですが、精神的に大きいと思います。
③次に、地域の学校の子どもたちに、生きもののことや、食育が教えられる田んぼの先生として、必要とされてきたことです。このことで私はうれしい発見をしました。
本当に命の大切さを教えられる人発見!
 私は、命の大切さを教えなければ、というフレーズを聞くたびに、今のおとなに命の大切さを教えられる人がいるのだろうかと、疑問に思っていました。命より経済効率優先の世の中です。虫も菌も草も熊も、人間にとって都合の悪いものは、平気で殺す世の中です。お金のためだったら、企業も市民も命にとって危険だと分かっていることもやってしまう。本当にどこに命の大切さを教えられる人がいるのでしょう。
 ところがです。ここにいました。長年無農薬で、生きものたちの生きる環境を守ってくれている農家の方たちです。数千円の除草剤を1回撒けば、熱い初夏の田んぼで腰をかがめながら草取りをしなくてすむことが分かっているのに、無農薬を貫くということは、たいへんなことです。撒きたくないという心の声に従って、食べる人の身になって考えて、子孫へ引き継ぐ自然環境を考えて、無農薬を貫いている農家たちが、もっともふさわしい命の先生ではないでしょうか。日焼けした真っ黒な顔で笑顔が優しくて、働きを惜しまない彼らは、謙虚で、でも一方ならぬ信念の持ち主で、効率優先の世の中で信じるところを貫ける自由人。日本の子どもたちに、本当に尊敬できる人はこういう人たちだと、知ってもらいたいのです。
 命の田んぼを作っている方たちは、日本の人材であり宝なので、面倒くさがらずに世直しの先頭に立つ覚悟をして下さい。
おらが田んぼの生きもの語り部なるための研修会
 本物の命の先生になるために、少し勉強する必要があります。やっていることがすばらしいのですから、ほんの少しの知識と、思いを言葉にする訓練を重ねることで、すばらしく花開きます。この研修会は、自然農法や有機栽培の農家の方たちの素晴らしさを、もうひとつ世間の人たちにわからせるための作戦です。まず生きものたちへのまなざしを持ち、田んぼの生きもの調査の手法を身につけることで、おらが田んぼの生きもの語り部になっていただこうという趣旨です。語り部の基本は、じぶんが面白いと思うことです。
 既に自分の田んぼの生きものを把握しているすばらしい農家の方たちに語っていただきます。愛知県福津農園の松沢政満さんは、以前から皆さんにご紹介したいと思っていた方で、50種の果樹に40種の野菜を栽培するという山間地農業のおもしろさを味わい尽くしている方です。彼は、自分の山の向こう側がゴルフ場になろうとした時、反対運動をするために市会議員になって成功させ、目的が達成した時に議員を辞めるというかっこいい生き方をしています。また、自分の田んぼの水系を、山から海までたどり、いっぷくの絵巻物に仕上げました。見事です。
 もう1人は、田の草フォーラムで一番人気の舘野廣幸さんです。冬水田んぼならぬ冬草田んぼで、1年中青々とした田んぼをつくっている方です。生きものの種類の多さは草の種類の多さと深く関係しているので、どんな生きものの1年を語ってくださるのか楽しみです。
 もう1人は、元々農家ではなく、生きもの大好きで、高知で農業を始めたという谷川徹さんです。
 夕食後には、みんなで大きな輪になり、座談会をします。2日目は、参加者自身が自分の田んぼの生きもの語り部になれるように生きものの見分け方を覚え、水口農場で生きもの調査の実習を企画しました。
農家と消費者という関係ではなく、地球環境を守る同志として繋がる 
 生きもの調査を専門家に任せてはいては、世の中は変わりません。一番いい方法は、田んぼの持ち主自身が市民や子どもたちと一緒に生きもの調査をすることで、地球環境を守る同志としてつながることです。この地球の視点に立った横の関係が日本を変えるのです。
 同じ生きもの調査でも動機が意外と大切です。自分のお米が売りたいがための思惑や、安全かどうか調べてやろうという陰険な考えが元にあると、多分農家も参加者も楽しくないし、人が集まらなくなっていくと思います。
自分の信ずるところを行なう自由は、食料自給率にかかっている
 今の世の中で、本当に命の大切さを教えられるのは、無農薬で農業を続けてきた農家だけだと思うのですが、どうして経済効率最優先の世の中で、彼らが命の視点を持ち続けられたのか、それは彼らの食糧自給率が高い真の自由人だからだと思うのです。企業に勤め、お給料だけが頼りの都市部の市民には難しい話です。そこで、今年からメダカのがっこうは、都市部の方たちにも、自給率を意識していただくため、仮想鎖国計画、自給自足ゲームを始めました。
 自分の信ずるところを行う自由は、ひとえに個人の食糧自給率にかかっていると思います。素晴らしい農家と地球環境を守る同士として繋がる以上は、一人ひとりが食糧自給率を上げていくことが大切です。具体的には、市民も農家と提携してお米を確保したり、他のものも消費だけに徹することなく、作れるものは出来るだけつくるよう提案していきます。
 すべての命の田んぼが市民とつながり、この田んぼのお米が飛ぶように売れれば、日本中の田んぼが生きものワンダーランドになる日も近いことでしょう。

2008年7月26日

自給自足屋はじめます。

 おむすび茶屋を始めて1年以上たちました。このお店のコンセプトは、農家支援だとハッキリしているので、開店当初から注目されました。お米選びの基準は、田んぼの生きものたち、「沈黙の田んぼ」ではなく、「いのち賑わう田んぼ」で穫れたもの。これは、食材選びの基準を、その食材が日本の自然を壊すようなところから生まれて来たのか、再生するようなところから生まれて来たのか、というところに置くということです。また、野草の季節には出来るだけ自分で自分の命を繋いでいる野草を使う。野菜も出来るだけ一世代限りのFIの種ではなく、在来種の種から育てたもの、したがって当然露地栽培の旬のもの。ですから、おむすび茶屋の惣菜には、決まったメニューはありません。今日畑で採れるものを送ってもらい、その野菜を見ながら毎週惣菜会議をして料理を考え、さらに毎日変化を持たせるための工夫をする、まるで家庭料理です。塩は日本自然海塩、味噌は農家の自家製(地元の大豆)、しょう油も国産大豆の無添加しょう油、そして砂糖は使わない。(もちろん人口甘味料は論外です)
 こうして、田んぼの生きものたちも、稲も、農家も、食べる人も、みんなが元気になる店の目標が実現できているわけです。
自給自足屋の素材選びの基準は自給率
 さて、今年は一歩前進して、仮想鎖国計画を進めるために、自給自足屋を始めます。食材選びの基準を自給率に置くとどうなるでしょうか。農水省の自給率ソフトによると、小麦粉24%、卵11%、しょう油0%、一般の日本人の食事がいかに自給率が低いかが分かります。しかし、おむすび茶屋での自給率はかなり高いはずです。先日、メダカのがっこう茂木の家で、自家製の無農薬・無化学肥料の米と野菜、畦に生えている野草4種(カンゾウ、ヨモギ、タンポポ、ツクシ)を、すべて国産無添加の調味料、自家製味噌、圧搾機で絞った国産の油で料理したところ、ほとんどの料理が自給率100%であることが分かりました。都会でこのようなメニューを作るのは至難の業ですが、自給自足に近い生活を田舎でしている人にとっては、調味料にさえ気をつければ、意外と簡単そうです。その代わり、どこへ行くのも車を使うのと、農作業も機械なしでは出来ないので、石油への依存率はかなり高そうです。牛や馬の復活も考えておかなければ、と思います。
自家製の調味料を増やしていきます。
 難しいのは、調味料です。今年はまずしょう油を作り始めます。塩はもちろん日本自然海塩を使いますが、大豆は明らかに足りないので、無農薬大豆の増産をできる方にお願いしたいと思います。酒、みりんは、安心できる醸造元があるので、自給率100%のものが揃います。有機溶剤を使わない国産の油も希少です。特にゴマは自給率0%なので、ゴマの栽培をお願いしたいと思います。油にするのはもったいないので、油分は、ゴマや落花生、クルミなどをすり鉢で油が出るまで良くすって和えもので摂るほうがよさそうです。
自給自足屋は創作郷土料理 
 メダカのがっこうはやはり命の田んぼのお米がメインなので、自給自足の素材は秋田県比内町ものを中心に使う予定です。なぜ比内町なのかというと、3年ほど前、メダカのがっこうに、比内町のナチュラルファーマーズの辻さんがやってきて、「私たちのところではもうすぐ田んぼをやる人がいなくなります。中村さんが考えているよりずっと深刻ですよ」と言いに来てから、ずっと気になっていたからです。彼は、農薬や化学肥料に頼らないEM菌を使った稲作を始めてかなり経ちますが、地域で長い間受け入れられなかったそうです。しかし彼についてくる人は徐々に増え、今では地域で信頼され1大グループになっています。また、1昨年から彼は、メダカのがっこうが目指す生物多様性の田んぼにするため、冬・水・田んぼを始め、昨年夏には、ミズカマキリなどの水生昆虫などがいました。また、彼はメダカのがっこうが今年から始める仮想鎖国計画、自給自足屋のコンセプトのよき理解者であり賛同者なので、仲間も素材も信頼できるのです。
保存食は自然エネルギーのかたまり
 食材探しに比内町に行ったのは3月始め、まだ雪が残り、山も畑も真っ白です。そこで地元の日常食べているものを料理していただいたのですが、山菜の塩漬け、すき昆布など海のものや山のものの乾物、漬物など、塩抜きしたり、水で戻して料理したものは、保存食であることを感じさせない美味しさでした。東北地方の保存食は、巨大冷蔵庫を使わず、塩や太陽エネルギーをフルに活用した、自然エネルギーの塊だと思います。私たちは、自然エネルギーというと、太陽光発電や風力発電を想像してしまいますが、塩蔵、醸造、発酵などの生きもの(菌)の営みを活用した技術や、乾燥など太陽エネルギーを溜め込んだ技術こそが、日本にあるものだけで生きていくための自然エネルギー利用技術なのでした。
 これらの素材を、都会の人たちの口に合わせ、スピード感を持たせたメニューを創造するところに、私たちの智恵を絞ろうと思います。皆さんどうぞ応援してください。

2008年7月26日

生きものいっぱいの田んぼ体験賛歌

 田んぼは日本人にとって、宝もの。母の胎内にいるような自然の懐でありふるさと。そして地球の内臓でもあります。メダカのがっこうのお米を作っている生きものいっぱいの田んぼでは、鳥もトンボもカエルもクモも、イトミミズもミジンコもユスリカも、田んぼの水を赤くする光合成細菌も、田んぼの草も、そして人間も、みんなが命を謳歌しています。この田んぼに入ると大人も子どもも元気になります。

 機関紙の表紙にも使われた右の写真、稲につかまってトンボが羽化しているところですが、これも田の草取りの最中に見つけたメダカのがっこうのメンバーが、手袋をはずし首からかけているカメラでそっと撮っもたもの。うれしくて腰の痛みも一瞬忘れ、生きものと一緒に稲を作っている喜びに浸っています。
 田んぼの畦を歩いていると、カエルたちが逃げ出して田んぼに飛び込むのですが、トウキョウダルマガエルだけはすぐ近くにやってきて、コチラを見ています。人間を見学しているようにも見えます。随分人懐こいカエルだな、と思っていたら、目の前で、アカガエルの赤ちゃんをパクッと食べました。どうやら人間に驚いて逃げ出す子カエルたちを狙っているようです。一瞬ドキッとし、食物連鎖の現場を垣間見たことに動揺します。人なつこいのではなく捕食のための作戦だったのですね。なんてのんきな解釈をしていたのか。
どろんこ怪獣
 田植えに来ると、子供たちはすぐ泥んこになります。はじめはお母さんの許可を求める子もいますが、すぐにすべてを忘れてしまい没頭します。一旦転ぶと、這い這いを始める子もいます。両生類だった時代を思い出しているのでしょうか。カエルやザリガニを捕まえるのに夢中な子もいます。狩猟民族の血が騒ぐのでしょうか。うらやましいお父さんもいそうですが、おとなたちはぐっと我慢して田植えに頑張っているので、子供たちは邪魔されず最高の時間です。日本の子どもたちを、み〜んなどろんこ怪獣にしてあげたい。
まよったら田んぼ 
 今までの生き方をやめて、模索中の方にも、この田んぼはいいようです。最近大田原の水口農場の草取りツアーに参加してくださった方が「まよったら田んぼ」というタイトルでブログを書いてくれました。イトミミズやカエルがいっぱいいる田んぼで草取りをしていたら、草一本生えていない整然とした隣の田んぼが、今まで勤めていた学校のような気がしたとか、広大な面積を無農薬でやっている水口さんが、その苦労や農協などとの軋轢を感じさせないで、食べる人のためにプロに徹しているにこやかな姿に感動しているところなど、鍛えられた感性を味わって読みました。また、昨年杉並区役所をやめて茂木で稲作りを始めた井村さんが、山間の棚田で作業をしながら、「ここにいると生きものたちが姿を見せてくれるんですよ。人間がこの場所をお借りしているような気になります」という言葉を発すると、「自然は謙虚な人をますます謙虚にさせる」と感動する、この呼応に心が洗われました。帰りの車で一緒に来た友人が「見ているようで見ていなかったな」と独り言を言ったそうです。命の田んぼを知ると、目に映る風景が変わるのです。とにかく素晴らしいブログです。メダカのがっこうのホームページ最近の活動報告ブログ、自分で書かないことにして本当によかった。
一度も後悔したことがない
 茂木で田んぼを始めたもてぎ分校井村さんの言葉です。生まれて数十年東京都杉並区以外の地に住んだことがなく、まして公務員で寄らば大樹の蔭、保障された生活から一変して心細かろうと心配していたら、日に日に逞しく、気の毒なほど酷かったアトピーもいつの間にか消えて、地元の人からも受け入れられて、漬物の作り方なんか教わってうまく作れるようになったり、なんだかすごいのです。「以前は自然を見ないようにしていたけれど、今は自然の一部になって生きようとしている」という言葉も聞きました。彼が農薬を使う普通の農業を始めていたら決してなかっただろうこの変化、命の田んぼだからこその出来事でしょう。やっぱり皆が元気なる田んぼです。
「命拾いしたっちゃ」
 「1人で泣きながらやらにゃあかんと思うとった」と喜んでくれたのが、佐渡の山本雅晴さん。佐渡田の草取りツアーで初めに行った田んぼの持ち主です。42人がいっせいに草取りをする光景は壮観でした。あれから半月、さぞかし草が生えていることでしょう。たった1回だけの手伝いしか出来ないのに、こんなに喜んでくれるなんて、来年も絶対たくさん誘ってこようって、思います。また、トキの田んぼを守る会の会長、斎藤真一郎さんも「消費者が来て一緒に草をとってくれるから、頑張ろうかという気持ちになる」といううれしいコメント。「腰が痛いけど後を見ると満足感がある」と草取りに励んでくれた参加者。この田んぼにトキが放たれて餌をついばむ姿を夢見る楽しい草取りツアーでした。
生きものいっぱいの田んぼ体験のすばらしさ、次はあなたが味わって下さいね。
 

2008年3月25日

「仮想鎖国計画」で自給自足ゲームを始めよう

●おむすび茶屋1周年で次の段階への提案
おむすび茶屋メダカのがっこうは、おかげさまで1周年を迎えることが出来ました。みなさまのおかげでこの1年、佐渡、大田原、香取、郡山の4ヵ所で、合わせて1町1反(1.1ヘクタール)の生きものいっぱいの田んぼを支えることが出来ました。本当にありがとうございます。
メダカのがっこうは、米はもちろん、塩、大豆、味噌、醤油、野菜など、仲間の作った材料で、仲間の持っている技術で作ったものを出しています。この方向をさらに推し進めるために、今年から「仮想鎖国計画」を始めようと思います。この国で手に入るものだけで生きていこうとした時、江戸時代のように素晴らしい技術やシステムが生まれるのだと思います。私たちと一緒に、“自給自足ゲーム”をしませんか?おむすび茶屋のように、それを実現する舞台を増やしていく計画です。何を食べたらいいのか、どうしたらその体勢を整えることが出来るかは、これからメダカのがっこう自給自足クラブが提案していこうと思います。

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