恐るべき田んぼの生産力
先日、田の草フォーラムの取材に、山形の佐藤秀雄さんと、この自然栽培の方法を研究している山形大の粕渕辰昭先生に会ってきました。お二人とも『自然栽培』という木村秋則さん監修の雑誌のvol.8とvol.9で拝見し、十数年ぶりに連絡を取ったのです。
自然農法の基本は、無施肥です。土の肥料分やミネラルは無限にあるということが、根拠です。確かに土の成分表には必要な元素が十分あります。それを作物が使えるようにすることが栽培技術のポイントです。それには草や草の根と共生している菌の働きを活かすことが必要です。ですから除草剤や殺菌、殺虫の農薬はもってのほか、その上この土のバランスを崩す肥料分もたとえ有機のものでも禁物なのです。これは主に畑の話です。
ところが、田んぼの場合は田んぼ自身がどんどん肥料分(主に窒素)を生産することを発見し、稲作に生かすことに成功したのが、佐藤秀雄さんであり、それを理論化し栽培技術の構築をしたのが粕渕先生です。生産の主役は光合成細菌です。
そのメカニズムを説明しますと、まず、地球が生きていて、山から海までの大きな体を持っていると想像してください。畠山重篤さんの「山は海の恋人」という世界を思い浮かべてもらってもいいです。畠山さんはカキの養殖をしている方ですが、カキが育つ海の栄養は森が育むエキス(主にフルボ酸)なので、山に木を植える活動を始めた方です。
山と海の間に日本には里山があり、田んぼがあります。この田んぼは浅い水たまりです。太陽が注ぐと温度が上がります。ここで光合成細菌が繁殖して働き、どんどん窒素を作ります。人間の窒素工場と違うところは、人間の場合は大きな装置を作り空気中の窒素を取り出すのですが、光合成細菌の場合は、太陽光と水だけです。人間の場合は何を作っても、地球上のものを使って形を変えているだけですが、太陽光は地球の外からのエネルギーなので、地球上の富が増えることになります。
この光合成の仕組みは実は中学校で習いました。藻類、地衣類、草、樹木はすべて光合成の技を持っているので生産者、動物は消費者、菌類は分解者と知りました。学校の帰りに、緑が輝いて見え、小さな葉っぱの中で行われている仕事に尊崇の念さえ持ちました。
今でもその時の感動は忘れられません。地球上で初めて光合成を発明したのが、藍藻というカビの仲間で、地球の酸素とオゾン層を生産し、生物が地上に上陸できる環境が用意してくれたのです。
さて話を田んぼに戻します。田んぼの浅い水たまりは地球上でもっとも窒素の生産量が高いところです。光合成細菌といってもピンとこない方も多いと思うのですが、田んぼに限らず干潟のような水たまりで、ピンク色に濁っている水を見たことはありませんか? あれが光合成細菌の集団です。そこで自然栽培の技術の中心は、いかに光合成細菌にたくさん働いていただき、その栄養を稲の根に届けるか、ということになります。
それには草などで覆われていない光合成細菌の働ける水面を確保すること、それを攪拌して稲の根に届けることという2つに集約されます。ということで、田の草フォーラム始まって以来、草をとるために田んぼに入るのではなく、水面を確保し栄養あるスープを稲の根に届けるつもりで、田んぼの中を少し深くかき回しに入るという技術を提案することになります。
粕渕先生は、今年実験農場で、草もトンボもカエルもたくさん養ったうえに、お米を12俵/反も収穫したそうです。自然栽培といえば、5俵/反が普通なのです。ところが収穫した米は窒素分が少なく、非常に味がいいのです。これは特異なことなのです。普通の農法で12俵も収穫すると、お米の窒素分は6~7になり、味が落ちるのです。
これ以上の説明はできませんが、田の草フォーラムで粕渕先生に研修していただくつもりなので、興味のある方は直接聞きに来てください。そのほかにも、資料集を作成中ですが非常に優れた農家の方たちの発表があります。田の草フォーラムで提案する技術が多様化されてきたこと、本当にうれしく思っています。
田んぼの生産力の凄さを少し感じていただけましたか? お金の世界は増えているように見えても、移動しているだけです。得した人がいれば、損する人もいます。しかし田んぼは地球の外からの光エネルギーを使って本当に栄養を生産しています。一粒万倍の言葉のごとく、本当に増えるのです。その栄養で、草も虫もたくさん養ったうえに、稲もたくさん育てます。そのお米は食べた人を元気にします。
国富論の要は田んぼです。田んぼがなくなることは国が貧しくなることです。お米に使うお金を惜しんでいたら日本の自然栽培の田んぼは守れません。メダカのがっこうの農家の田んぼで穫れたお米を毎日食べてください。
田の草フォーラムの申し込みとお米の申し込みはこちらのHPからよろしくお願いします。
「食は命」を知っている料理人
田んぼカフェの一汁三菜メニューは、実は一汁五菜の豪華版で、贅沢な粗食です。というのも、米は勿論メダカのがっこう米、野菜は大分の赤峰さんやもてぎの松原さん、大田原の水口さんが毎週送ってくれる無農薬・無化学肥料の旬の野菜、調味料はメダカのがっこうで種から在来種のものを無農薬で育てた原料で仕込んだ味噌、醤油、そして低温圧搾で搾った菜種油やヒマワリ油、塩は伊豆大島の阪本章裕さんの塩で料理しているからです。
これらを使って料理してくれているのが、シェフのMさん、メニューは送られてくる野菜を見て考えます。海藻や乾物、香辛料を買うことはあっても、メニューありきの材料を仕入れることはありません。その料理は実にやさしい味で、一品ずつあり、センスが光ります。彼女は「料理は私の天職です」と言っています。
彼女が自分の天職に気づくまでは少し月日がかかりました。初めは外資系銀行の秘書をしていたそうです。仕事も順調で周りからも大切にされ何の問題もなかった時に、友人から自然食レストランの立ち上げの手伝いを頼まれました。急遽マクロビオティックの集中合宿料理教室に行き、手伝い始めて、料理の面白さに目覚めたそうです。高収入の仕事を辞めることも未練なく、その後はいろいろな自然食レストランの立ち上げに関わり、持ち前の感性とセンスの良さで腕を磨いていきました。情熱の底に流れていたのは「食は命」という気付きでした。
しかしここで試練がきました。数年前、体調不良で医者に行ったところ、肺がんであることがわかったのです。暫く仕事を休み、自分の身体と向き合い、「食は命」を実行することにしました。やみくもに○○主義に陥ることなく、マクロビも波動水も気持ちがよいと思うことも自分の身体に聞きながら実行しました。自分の身体にとって悪かったものがいろいろ発見されました。特に小麦と砂糖は仕事柄かなり摂り過ぎていたことに気が付きました。この2つはキッパリの止めています。
ということで、田んぼカフェで出すお菓子類は、全て米粉、甘みは甘酒や米飴、料理もすべてグルテンフリーです。始めてみると、小麦の害で健康を害している人がとても多いことがわかりました。現在栽培されている小麦は、グルテン含有率が高く、腸に張り付いて吸収を阻害するようです。お米からパン食やパスタ食へ移行してしまっている日本人を、お米へ引き戻さなければなりません。田んぼカフェで小麦を使わなくても困らないことを知ってもらいたいです。
彼女が病気療養中のころ、田んぼカフェを始めたいと思っていた私は、昔少しの間、我が家の夕食を作ってくれていたMさんに声をかけ、病気が治るためのお節介を焼きながら、体調が戻るのを待っていました。今年3月のオープンに間に合うように彼女は元気になり、メニューを考えて作ってくれるようになりました。
最近の検診では、肺がんは完治したそうです。「食は命」を確信した彼女はさらにバージョンアップしました。そして今が一番健康になれる料理が作れているそうです。「今までいろいろな自然食レストランで作って来たので、調味料もそこそこのものを使ってきましたが、メダカの味噌や醤油やオイルは最高のものが作れます。それにここにいると、身体が楽で、疲れません」と言ってくれます。私は、それは静電三法による3トンの炭素埋設と、足立育郎さんのこの地と調和をとってくれている2つのオブジェと、正常な原子図を108枚壁に埋め込んであるせいではないかと彼女に話しました。すると彼女は足立育郎さんと幸子さんのファンで、波動の本を読んで感動して泣いたことを話してくれました。本当に田んぼカフェは、集まるべき人が集まり、さらに良い場になったと思います。
彼女の料理はスタッフに大人気で、旬の野菜が料理されるたびに、一番にスタッフの予約が入り、作っているそばで質問しながら料理の勉強をしています。彼女が料理教室をしてくれたら、さぞかし会員の方たちが喜ぶだろうと思い、お願いするのですが、「料理を作ることに集中したいので、教えるまでのエネルギーはありません」と、断られてしまいます。
そこで12月14日(水)に、1週間全部カフェを休みにして、料理教室を一日だけやってもらうことにしました。定員は10名くらいでいっぱいだと思います。スタッフは遠慮しますので、皆様どうぞお越しください。テーマは、年末年始のご馳走(副題:田んぼカフェの料理を紹介します)です。
【詳細・お申込みはコチラ】http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=108764224
料理教室が満員だといけないので、田んぼカフェの料理が10種類以上並ぶ「メダカのがっこう交流会」もご紹介します。これは、年1回全国の花まる農家と会員の交流の場となっており、基調講演は遺伝子組み換えについて 印鑰(インヤク)さんにお話ししていただきます。すっかりわかります。会員がメインですが、もしよかったら覗きに来てください。
田の草フォーラムのことで頭がいっぱい
田の草フォーラムは2004年、除草剤などの農薬・化学肥料を使わず、環境を取り戻す田んぼを作ってくれている農家たちの最大の問題である田の草=田んぼに生える雑草、この苦労を少しでも軽減したいという思いで、都市部の市民であるメダカのがっこうが始めました。あれから12年、かなりレベルアップした農家がある反面、まだまだ草に困り続けている農家もたくさんいます。そのわけは、草に困らない田んぼの原理原則は解っていても、実際の田んぼをその状態に持っていくことが難しいからです。
この会のすばらしさは、自然農法センターや民間稲作研究所、有機農業研究会など団体の違いや、農家推薦、一人狼で俺流を探求している農家など、普通出会うことがないけれど、農薬や化学肥料を使わないことは共通していて、自然の摂理に添うことを大切に思っている哲学者から、その最短コースを探す研究者、草の性格や役割を研究する人、陰暦や星の動きなどすべてを味方にしようと熱心に探究している人たちが、一堂に会することです。
草に困らなくなった田んぼのメカニズムは解って理解しても、いざ自分の田んぼをそのような状態にするにはどうしたらよいかは、なかなかわからないものです。寒冷地で湿地帯の成功例を、温暖地の湿地帯で行ってもダメだったり、乾田にもいろいろ種類があり、地下水が高いか低いか、土壌が粘土質か砂質かなど、様々な条件の違いが、マニュアル化を阻みます。
また、どんなに見事な成功例でも、耕作面積が狭い発表者に、一目置く農家はあまりいません。狭い面積であれば自分の田んぼでもいくつかは成功しているからです。広大な面積で一定の水準以上の米作りをしている農家だと、耳を傾けます。しかし自分の田んぼと全く同じ条件の発表者がいない場合、やっぱり自分の田んぼは特別条件が悪いから無理だと、希望を持てないで帰る農家もいます。
この12年間で、一番成長したのは私かも知れません。初め不耕起栽培で、土を全く耕さないと種が土の表面に出てこないから草に困らないと聞き信じていましたが、実際にはラウンドアップという除草剤を春先に使っていました。また冬水田んぼにすると、トロトロ層が出来て、草が生えないと聞きましたが、それは初めの2年ほどで、後は水の好きな水生植物が増えてしまうことがわかりました。その後も良いと思われる方法も、続けると効果がなくなり、その条件が好きな草が生えることがわかりました。結局、草の生える条件を数年おきに変えつつ、土づくりという王道を行くしかないのです。
草はなんで生えてくるのか、知っていますか? 草は、その土の足りないミネラルを補うために生えてくるのです。カルシウムの足りない土には、スギナが生えてきてカルシウムいっぱいの体を作り、土になってカルシウムを補うのです。ですからスギナを全部抜いて畑の外に出してしまうと、いつまでも土づくりができないのです。
ある発表者は、冬草田んぼをいう田の草対策を発表してくれましたが、それは、6月から10月までの米作り以外の田んぼに、出来る限り草を生やすというものでした。特にスズメノテッポウが一面に生えると、良い土と良い酵素が働いて、稲作時期に草が生えないそうです。しかしこの方法も寒冷地でも、湿地でも出来ないのです。
無農薬のお米を作る人は、決して増えません。それは草取りの苦労が大変すぎるからです。佐渡でもトキの田んぼは増えません。1反当たり、農薬・化学肥料を使えば10俵収穫できるところ、3俵から4俵です。これでは3倍の価格で買っても追いつきません。
いま私は、今度こそ全ての参加農家が、来てよかったと思ってくれるような田の草フォーラムにするには、どうしたらいいかと悩み、交渉し、アイデアを練っています。とにかく、草で困っている農家の役に立ちたいのです。
今回はこの素晴らしい農家の方たちに、炭の話を聞いていただこうと思っています。田んぼ環境には、森や川や土を蘇らせる力がある炭を見直し、もっと炭を焼き、もっと活用するといいと思い、宮下正次さんをゲストにお招きし、講演していただきます。田の草フォーラムの参加農家たちは、環境を取り戻す田んぼづくりをしている方たちで、実際に炭を焼ける人もいて、話は早いと思います。理解者と実践者がいっぺんに増えると思います。
日本の米作りの一番大きな問題に正面から取り組んでいる田の草フォーラム、命を優先する農家と力を合わせて、生きる環境と安全な食糧に困らない日本を次世代に残すために集まる清々しい勉強会です。思いを同じにする皆さん、一度つながりませんか?
日時:2017年1月28日(土)13:30開始、29日(日)11:55終了
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟402会議室、2日目101会議室
詳細・お申込みはこちらから
米飴を作ってみてわかったこと
日本の田んぼを守るために、お米で何が造れるかに挑戦しているメダカのがっこう。お米はもちろん炊いて食べるのが一番おいしいのですが、甘いものもほしい私たちにとって、みりん、甘酒、米飴を、このメダカのがっこう米で作れたら、もっと食生活を楽しめるのではないかと思い、実際に原料から化学物質ゼロのものだけで作る研究をしています。
甘酒はすでにメダカのがっこう米の米と糀を使い、黒米甘酒、玄米甘酒、白米の普通の甘酒を作ったり、味噌やトマトと合わせて調味料を作ったりしていますが、今回は、お菓子作りに欠かせない米飴を作ってみました。
先生は、昔は米飴を作っていたというメダカのがっこうの花まる農家の椿さんです。甘酒を日常的に作っている私にとっては、作り方は思ったより簡単でした。もち米を軟らかく炊いて、60度まで冷まし、麦芽を入れて一晩60度を保ち、お米のデンプンが麦芽の酵素で分解され糖化したものを、さらしで濾し、鍋に入れて煮詰めること数時間、水飴状から本当に飴になる過程の好きなところでやめれば、ほしい状態の米飴がつくれます。
甘さは砂糖の半分ほどですが、ほんのり甘酸っぱいどこかで味わった覚えがあるような懐かしい甘さです。甘さが砂糖の半分ということもあり、今では甘味の主流から外れ、砂糖に注意しているマクロビオティックの人たちや、和食の照りなどに使われています。
米飴の原料は、お米と麦芽。この2つだけでどうして甘くなるかといえば、お米が持っているデンプンという多糖類の甘さを、麦芽の酵素がブドウ糖という単糖に分解することで、お米から甘さを引き出すのです。麦芽が引き出す甘さは、お米だけではありません。さつま芋でも出来るそうで、椿さんはさつま芋から作った飴の方が味が濃くて好きだそうです。
この麦芽ですが、麦芽はビール麦か大麦を発芽させたものです。この麦芽も無農薬有機栽培のものを仲間の農家さんに作って貰う約束をしていたのですが、そのビール麦がなくなってしまったとの知らせを貰ってがっかり。ネットで探すと、有機麦芽は日本で生産しているものはなく、ドイツから輸入しているものを購入しました。日本にあるものだけで、基本食材を作ることに挑戦しているメダカのがっこうとしては、本意ではありません。ですが、米飴の作り方を椿さんに教えていただくために、やむなくドイツの有機麦芽を用意しました。この事情を、メダカのがっこうの水口農場の水口さんに話したところ、私の願いを聞き入れてくださり、水口さんの無農薬の大麦を発芽させて作ってみてくれると言ってくれました。また原料から無農薬で、無添加手作りの調味料のレパートリーが増えました。
それにしても、日本の麦芽が手に入らないこと、麦芽が必要なビール造りでは、地ビールといえども輸入麦芽を使っていることを知りました。ビール作りセットなど、手作りがブームの日本ですが、みんなどうして原料やその中身を気にしないのでしょうか?
水飴も昔はすべて麦芽で作られていましたが、今は違います。市販の水飴や、原料表示のところに記載されている水飴は、麦芽で自然に糖化した麦芽水飴ではなく、3種類の酵素剤を利用した「異性化糖」です。また甘さが引き出される方の原料ですが、メーカーの多くは、原価の安い輸入のトウモロコシ、ジャガイモ、サトウキビ、廃糖蜜などを使っています。これらは遺伝子組み換えやポストハーベスト農薬の問題があるのです。
このように、私たちが食べている品目はあまり変わりなくても、和食が世界遺産になったとしても、原料の中身がすり替わってしまっています。お米も塩も味噌も醤油もオイルも、野菜も肉も卵も、命を支えるだけの栄養やミネラルバランスや、数値に表せない生命力がなくなっています。これでは優秀な子孫を残すことはできません。
例えばお米の中身ですが、今回米飴づくりを教えてくださった椿農場の椿さんは、もう40年以上種を自家採種しています。普通の農家は種は毎年買っています。自家採種していると言っている農家でも、数年に1回は買い替えています。理由は、種もみから育ったお米は種もみより少しずつ劣化していくからです。
40年間自家採種した種もみでお米を作り続けているということは、スゴイことなのです。前の年より少しでも立派なお米を育てることが出来る人だということです。私たちが、その種を食べれば、お米のたくさんの栄養素とともに、優秀な子孫を作る種の力を頂くことが出来るのです。メダカのがっこうの農家のお米を食べて優秀な子孫を残しましょう。
米飴づくりに挑戦することで、またまた中身のすり替わっている日本の現状に気が付いてしまいました。自分で作ってみるといろいろなことが分かります。たとえ、人に作ってもらって買う生活をしたとしても、作り方を知っているということは重要なことです。
命を優先する農家と力を合わせて、生きる環境と安全な食糧に困らない日本を次世代に残せるような先祖になることをテーマとしているメダカのがっこうをどうぞよろしく。自給自足くらぶの活動は、本当に楽しいですよ。生きる力がアップすると自分に自信がつきます。
知恵と技を極めているじいちゃんばあちゃん(ご先祖様)の あとに続け!
メダカのがっこうの教室や座学は、私たちが後に続きたいと思うような、わざと知恵の持ち主が、教えに来てくれています。最近来てくださった若杉ばあちゃんと新野じいちゃんのお話しをご紹介しましょう。
頼りになるおばあちゃんを代表して若杉友子さん
先月、「若杉友子さんを囲む会」がメダカのがっこう田んぼカフェで開催されました。狭い店内いっぱいの参加者のほとんどが初めて若杉さんに会う方たち。実物の迫力あるお話に、今まで言葉だけで知っていた陰陽が、実感を伴った学びになったようでした。
ばあちゃん語録と印象に残ったお話しをいくつか紹介しましょう。
1.昔は病気とは言わず、塩梅(あんばい)が悪いと言った。塩梅が悪いとは、よい塩気が足りないこと。米と塩気でどんな不調からも立ち直れる血液ができる。
2.塩気は、ただ塩をなめることではなく、有機的な塩気を摂ること。味噌とか、醤油とか、梅干しとか、たくあんとか、大豆や梅や大根にしっかり抱きこまれて寝かされた塩気が一番良い。
3.量は質を殺す。どんな良いものでも食べ過ぎることが一番悪いということ。逆に毒になるものでも少量であれば身体は対処できる。
4.料理は米を斗(マス)で量る道。つまり米や穀類を料理すること。おかずだっておかずを食べるために作るのじゃなく、ご飯を食べるために作るのが本当。
5.ここ数年、よく相談を受けるのが子宮脱。痔も同じ、内臓が緩んで下がって身体から出てしまう病気。これは納豆、豆乳などの大豆製品が原因だからすぐやめること。
他にもいろいろな質問に応じて、食養や手当法の指導をしてくださいました。
竹炭(たけすみ)じいちゃん新野惠さん
8月20日には竹炭の新野惠さん(82歳)が来てくれました。私が印象に残った新野じいちゃん語録をいくつか紹介しましょう。
1.病気は治すものではなく勝手に治るもの。
千島学説の言う通り、血液は腸で造られる。腸がきれいになり、よい血液が造られると、全身が健康な細胞に入れ替わる。結果病気が治る。具体的には、先ず、リセットパウダー(竹炭パウダー+竹酢)を水に溶かして飲むと、腸がきれいになる。竹炭をベッドの四隅に置いて結界を作ると、深く眠れる。重い病気の時は、腰の下や、枕の下にもミニ結界をする。竹水(今年生えた竹を切って切り口から出てくる水)を飲むと、エゴからエヴァへ、自我から真我へ意識が変わる。胸腺の上に竹炭のペンダントをする。これに家族の愛があれば、病気は治る。このレールの上に素直に乗ってみれば、勝手に病気は治る。
2.体験するには、素直にやってみることが肝心。
上記と重なるが、「そんな馬鹿な」と思っても、化学療法と違って何の副作用もないのだから、手間を惜しまず、愛をもってやってみることが肝心。
3.砂糖も、塩素も上から目線で悪者にするのはやめよう。
自分のやっている上から目線に気が付いて、やめよう。砂糖は悪者になっているが、新野さんが、砂糖に聞いてみたところによると、砂糖は自分で望んで白砂糖になったわけではなく、とやかく言われる筋合いはないと思っているとのこと。また塩素も、新野さんがこどもの頃は、疫痢に罹って一日で命を落としたりしていたのに、そういうことがなくなったのも塩素のおかげという感謝を忘れている。
また、竹炭を「チクタン」と呼ぶと、燃料という物の呼び方で、それだけの働きしかしないが、「タケスミ」と優しく呼ぶと、いろいろな働きをしようとやる気を出してくれるそうです。全く同じものでもこちらの意識が変わると、世界が変わるのです。
上から目線というのは、物を人間より低く見る見方で、物はそれだけの働きしかせず、そのものが持つ素晴らしい働きをすべて遮断してしまうようです。
4.木炭は太陽のエネルギー、竹炭は月のエネルギー。
木炭は樹木が吸収した太陽エネルギーで命を育てるパワーがある。竹炭は、月のエネルギーを吸収しており、全てを調和させるパワーがある。もう一つ、木炭からなる活性炭で悪臭を吸収させると、微細な穴の中にいっぱい臭い物質が詰まっているが、竹炭で悪臭を吸収させると、なぜか微細な穴の中は空っぽで、本当に臭い物質が消える。
5.竹炭からはニュートリノがでている。ニュートリノは愛である。 竹炭から出る波動は、愛の波動と、とても似ていてほぼ同じといえるそうです。
私にはまだ理解できないことがたくさんありますが、とにかくリセットパウダーを飲んでいるスタッフのデットクスの様子や、結界の効き具合を体験中です。
私は、デトックス黒焼きカレーをすべて化学物質ゼロの原料で作り、最近レトルトカレーにしたり、竹炭入りの「まっくろくろすけ」というスコーンを焼いたりと、いろいろ試作品を作っていますので、食べてみてくださるとうれしいです。スコーンのくろすけは、まだ少ししかできないので、田んぼカフェに来ていただかなくてはなりませんが、デトックス黒焼きカレーの方は、ネットで販売開始いたしました。
メダカのがっこうは、「命を優先する農家が力を合わせて、生きる環境と安全な食糧に困らない日本を次世代に残せるような先祖になる」というテーマで動いています。年をとっても何にも知らない年寄りになってしまうこともあります。ご先祖様といえば若杉おばあちゃんや新野じいちゃんのように、子孫のために知恵を持ってできる限り良い世の中を残す人になりたいものです。
炭の研究開始に当たり、3人の炭焼き名人に会ってきました。
一人目の杉浦銀治(すぎうらぎんじ)さんは、大地の呼吸を取り戻すことを実践している「杜の会」の矢野智徳さんに、大地や樹木を生き返らせるために炭を撒くことを教えた方で、矢野さんのご紹介でお会いすることができました。
彼は1925年愛知県生まれの91歳、宮内庁帝室林野局東京林業試験場(現・森林総合研究所)に入省、のちに農林省の林業試験場木材炭化研究室長を歴任。その間、炭の研究をつづけ、炭を使った土壌改良、環境改善型農業を世界中で指導。国際炭やき協力会会長、三河炭やき塾顧問、炭やきの会副会長。平成11年林野庁林政記者クラブ賞。25年吉川英治文化賞。著作に『炭焼革命-まちづくりと地球環境浄化のために』 『木酢液の不思議』 『炭の力』などがあります。
彼は、炭の世界では知らない人がいない方で、活動は日本だけにとどまらず、JICAでアフリカやアジアで現地にあるもので炭焼き釜を作り、炭焼き指導もしてきた方です。
『炭は地球を救う』の著者である宮下正次さんに炭を撒くことを提案した先生でもあります。竹炭の新野さんとは、ハワイの世界炭サミットで知り合って以来の友人だそうです。
杉浦銀治さんは、私がお話しした梅干しの黒焼きに非常に関心を持ってくださり、「これを備長炭の窯で焼いてみましょう。和歌山の梅仙人という炭焼き名人と一緒に研究しましょう。もっといいものができますよ。私は一つこれをやってみたいと思っていたのです」と、今回の出会いをとても喜んでくださいました。
二人目は、宮下正次さんです。彼のことは、舩井幸雄先生から『炭は地球を救う』というご本をお借りしてから知ってはいたのですが、メダカのがっこうの関係で佐渡に入った女性が、同時に佐渡での宮下さんの活動を支えていたご縁で、炭のことを教えてほしいと連絡をすると、宮下さんも私に会いたいと思って下さっていたとのことで、さっそく翌日百年住宅であるご自宅に呼んでくださいました。
前日にお会いした杉浦銀治さんは、関東森林管理局がナラ枯れの本数ばかり数えていて根本的な解決に着手しないことに不満を持っていた宮下さんに対し、そればかりじゃだめだ、実際に炭を撒いて助けてやらなければ、とアドバイスをしてくれた恩師だそうです。
宮下正次 (みやしたしょうじ)さんは、1944年8月22日群馬県みなかみ町(旧月夜野町)生まれ。現在71歳。元関東森林管理局勤務。「森林(やま)の会」代表・森びとプロジェクト委員会理事・日本熊森協会顧問をされています。
また、スイス・マッターホルン北壁登攀。インドヒマラヤ・シャカルベー世界初登頂。ロシアパミール・コムニズム峰北面バロートキンルート登頂ほか、チロル・ピレネー・ドロミテなど多くの海外の山に登る登山家でもあります。日本と世界の森林衰退の実態調査や、南極・極渦圏の森林衰退の実態調査・研究、縞枯れの研究をはじめ、松林再生・松茸やナラ・広葉樹林復活にかかわり、幅広い活動をしていらっしゃいます。伝統軸組木造住宅を建築(金物を使わない、500年もつ家づくり)。著書に『こうすればできる100年住宅』『炭はいのちも救う』(共にリベルタ出版)。他共著も多数あります。
お会いしてみると、宮下さんは、私と関心が広い範囲で重なり、活動の形は違いますが、ほとんど同じ自然観を持ち、実行している方だと感じました。高崎のご自宅は、炭素埋設をし、新月伐採の木材で100年以上もつように建てられた百年住宅で、昔の民家と見まごう立派なお家でした。敷地も数百坪と広く、敷地内にドラム缶の炭焼き釜があり、冬になると炭焼きをするそうです。庭には醤油のもろみ樽が置いてあり、メダカのがっこうと同じく岩崎洋三さんの「お日さま醤油」でした。アカマツ、ナラ、ウバメガシ、麻、マコモなどを様々な特徴のある食べる炭も研究されていました。麻の復活が必要だと思っているところや、楢崎皐月さんの静電三法を実践して畑に頂上針(おったて棒)を立てていること、新月の木国際協会にも設立当時から関わっていたこと、森山まり子さんの日本熊森教会の顧問をなさっていることなど、今までお会いしなかったのが不思議なくらい、人間関係も考えていることも近いと感じました。奥様のみどりさんもどこかでお会いしたことがある気がしましたが、若杉さんを通じて私のことをご存じで、神保町のお店に来てくださったこともあるそうです。
宮下さんが行政の人から聞いた話によると、福島で表土15cm除染した土は、大きなプールに入れられ炭の粉を入れているそうです。こうすると、放射能が消え、放射能を吸った炭の方は菌が分解してしまうそうです。これを聞いて私は、国が炭の力を知って活用していることを知り、びっくりと同時に安心しました。炭は放射能汚染の大地も救ってくれるのです。
ダメージを受けている樹への炭の撒き方を伺うと、その樹の枝の先端の下あたりのぐるりに撒くのですが、それが、幹から1mだったら10kg、2mだったら20kg、3mだったら40kg、4mだったら80kgと倍々の炭の量にするのだそうです。丁寧にするには、穴を掘って埋めるとさらに良いそうです。「弱った樹には炭は万能、失敗がない、困ったときの炭頼みだ」といおっしゃった言葉が印象に残りました。
3人目は前回ご紹介した竹炭の新野恵さんです。彼は、メダカのがっこうのデトックス黒焼きカレーの微粉末の竹炭を提供してくれている方で、今回山口県宇部市の炭工房かぐやに行き、現場を見てきました。
新野恵(にいの・めぐみ)さんは、1934年、新潟県刈羽郡二田村生まれ。サクセス・アイ代表。元々、電力会社のボイラー技師だった経験を活かして、独自の炭窯を開発。山口県で竹炭焼きを初めて約20年、すでに400以上の炭窯を全国各地に導入。さまざまな効果とポテンシャルの高い竹炭や竹酢を使用して多くの人に癒しと喜びをもたらすだけでなく、竹炭結界等をユニークかつ斬新な方法で、多くの方々の体調の乱れを調和し、結果的に本来あるべき良好な状態へと導かれたと、多くのリピーターが集まる。著書に『雲の上に木を植える~素朴なアルケミストたち~』(Eco・クリエイティブ刊)等多数あります。
新野さんは、竹炭を焼き始めた第一人者で、竹炭のことを「ちくたん」と呼ぶのは、工業製品の燃料扱いなので、「たけすみ」と呼ぶと竹炭がとても喜んで働いてくれると話してくれました。ですから竹酢液も「ちくさくえき」ではなく、「たけす」と呼びます。意識の大切さを熱く語ってくれました。
新野さんのお話しのなかに、院内感染の菌は、病院での抗菌・殺菌で居場所がなくなった菌が弱った病人につくしかないので起こす現象だから、この菌の住処を作ってやればいいと気が付いて、竹炭を置いたところ、解決したという話があります。
ここで、炭がなぜ素晴らしいのかに改めて気が付きました。現代は都合の悪いものはすべて殺すことで問題解決しようとして、反対に問題が大きくなってしまうというのに、炭とは善玉悪玉の区別をすることなく、すべてに住家を提供し、すべてを生かすことで問題を解決するという愛の存在なのです。
8月20日(土)11時から14時の「食とお米とその周辺の研究会」炭の研究J(その2)に新野さんが来てくださいます。竹炭や竹水も取り寄せます。ぜひ直接お話しを聞きに来てください。お食事はデトックス黒焼きカレーです。
お申し込みは、メダカのがっこうのホームページからどうぞ。
炭の力を体験しました。
●炭と放射能
日本は、広島と長崎で原爆の体験をしています。しかし、ほとんどの日本人は、原爆を落としたアメリカを恨むことなく、立ち直り、平和で豊かな国を復興しました。誇りに思います。
この復活の裏に、日本の食文化のすばらしさがあると思います。玄米とみそ汁で原爆症にならなかった日本人、原爆投下時に爆心地にいたのに、床下に貯蔵してあった梅干しばかり食べていたら原爆症にならなかったという人にも会ったことがあります。それと、焼けつくされた木造家屋の木材が炭化して炭となり、それが放射能を吸着して土地の浄化を速めたという説もあります。コンクリートの建物が多くなってしまった現代では、焼けても期待できない効果です。
特別なものではなく、いつも食べていたものが窮地を救ってくれたなんて、ずっと住んでいた家の木材が焼けても役に立ってくれたなんて、考えてみると、日本の食住文化って、なんてすばらしかったのでしょう。
チェルノブイリ原発事故以来、日本の味噌、炭などが、放射能の研究をしているロシアの科学者の研究対象になっているようです。ロシアで被爆した家畜に炭を食べさせたところ、その糞から高濃度の放射能が検出されたことから、体内の放射能排出に炭が役立つのではないかとの研究が進んでいるようで、日本に良い炭を探しに来たそうです。
メダカのがっこうでも、3.11以来、否応なく放射能汚染にさらされている東日本の人たちに、放射能に負けない食事を提供していますが、その中でも、竹炭や黒焼き玄米茶や梅干しの黒焼きの微粉末をたっぷり入れた「デットクス黒焼きカレー」というメニューを開発しました。大量の炭を美味しく体内に取り込めるメニューで、排毒に効果大です。
●炭とイヤシロチ
炭といえば、メダカのがっこう事務局と田んぼカフェがある我が家は、23年前、家を建てる前に、この土地をイヤシロチにするために、楢崎皐月氏の静電三法の炭素埋設をしました。家の設計図に従い、正三角形の3つの位置に直径1メートル深さ1メートルの穴を掘り、それぞれの穴に1トンずつの粉末炭を埋めたのです。これは、原因不明の病気になってしまった母と同居するために、住んでいるだけで元気になる家が建てたいと相談に行った舩井幸雄先生が、ご紹介してくださいました。おかげ様と感謝しています。先生は、炭素埋設のほかにも、足立育朗さんをご紹介くださり、この土地と調和するための2つのオブジェを設計していただいたり、正常な陽子電子中性子の図を108枚壁に埋め込んだりしました。
●炭と土壌改良
炭は大地の再生にも使います。我が家は、吉祥寺の住宅地の中、アスファルトの道路とコンクリートの下水道やブロック塀に囲まれ、地下は空気も水も動けない状況になっていましたが、大地の呼吸を取り戻すべく、血管のように溝を掘り、コルゲート管を敷き、枝や葉などの有機物を入れ、その上にたくさんの炭を撒きました。おかげさまで庭の木々も田んぼも息を吹き返し、稲もよく育っています。
●竹炭と結界
さて、最近ちょっと変わった炭の力を体験しました。竹炭のパイオニアである新野めぐみさんから結界にする竹炭が送られてきたので、すぐさま母のベッドの四隅に置いたところ、それまで自分では着替えも食事も何もしなくなっていたのに、朝見ると、自分でパジャマを脱いで待っていて、洋服に着替えたいと言い、食事も自分で口に運ぶようになり、姿勢もシャンとして、話すこともしっかりして、テレビにも反応するようになったのです。
前から炭のことをもっと研究したいと思っていたので、さっそく山口県宇部市に住む新野恵さんに会いに行きました。新野さんは82歳のおじいさまでしたが、話を交わすすべての女性にご自分が胸にかけている竹炭のペンダントと見せて、「きれいじゃろう」と話しかけ相手が同意するとすかさず「あんたにはかなわんけどな」と女性を喜ばせるサービス精神旺盛の方でした。空港に出迎えてくださり、車に乗ると生えている竹を切ってその切り口から湧き出る水を集めた竹水が入ったペットボトルをくださいましたが、その甘さに驚きました。ポカリスエットにも似ていると感じたのですが、竹水100%とのこと。これを飲んだある女性は「自我が溶けていく」と表現したそうです。私にはわかりませんでしたが、竹水や竹炭はその人を本来の自分(真我)に戻す働きをするそうです。
竹炭と結界の話に戻りますが、深刻な獣害で悩む田畑の四隅に、竹炭と塩と竹酢を埋め込むと、結界ができてイノシシやシカ入らなくなると聞き、さっそく毎年被害にあう田んぼにやってみようと竹炭を注文しました。
大分の赤峰勝人さんも新野さんと同じ炭焼き釜を使って竹炭を焼いていると聞いたので、さっそく赤峰さんに結界の話を聞いてみると、確かに100メートル×200メートルの畑の四隅に竹炭と竹酢と塩を埋め込んだら、イノシシやシカやカラスまで入らなくなったそうです。2町歩もの広い畑にも有効なのに驚きました。
これから先は自分でやってみて、竹炭の力を研究しようと思います。
【お知らせ】
7月8日(金)に黒焼き玄米茶の作り方実践と飲み方や、梅干の黒焼きの作り方やマコモ茶の炒り方や煎じ方教室を行います。実は、炭や黒焼きは作った人が一番元気になるのです。作れる人になってください(詳細はコチラ→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=96458810 )。
また7月23日(土)の食とお米とその周辺の研究会では、「炭」をテーマに勉強します(詳細はコチラ→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=48800150 )。関心のある方、一緒に研究しましょう!
生きものいっぱいの田んぼへ行こう!(メダカのがっこう紹介)
先日、J-WAVEのカビラさんの番組の収録に行ってきました。NPO法人メダカのがっこうの活動を紹介するためです。せっかく原稿を用意し、いろいろ言いたいことを用意していったのですが、現場では原稿通りには話せずに残念な思いをしたので、今回はメダカのがっこうの紹介を思う存分させてください。
私たちメダカのがっこうの発足は、2001年。消費者と農家が力を合わせて、自然再生の拠点になるような生きものいっぱいの田んぼを広げる活動をする環境NPOとしてスタートしました。
●なぜ田んぼに注目したのでしょうか?
その理由は、①山から海まで、自然再生に大切なところが各所にある中で、田んぼは国土の7%を占めていること、②自然界には平らなところがないのに、人工的に平らで浅い水たまりを先祖が人力で作ってくれたところで、原自然と区別して二次自然と呼ばれており、日本人の主食であるお米を作りながら、同時にメダカやトンボや水生昆虫、トキやサギやカモなど多くの水辺の生きものたちの命をつないできた重要なところだからです。つまり、人間がどんな田んぼを作るかで、命を生かすことも殺すこともできる自然再生のカギを握るところなのです。
●メダカのがっこうを始めたキッカケは?
2000年7月、田んぼにいっぱいのメダカが泳ぐ生きものがいっぱいいる田んぼに出合い、自然再生のイメージが具体的に持てたことがきっかけです。こんな田んぼを広げたいという思いを同じくする有志が集まり、2001年8月NPO法人メダカのがっこうが発足しました。
現在、日本のほとんどの田んぼは稲以外の生きものが見られない田んぼで、私たちはこのような田んぼを「沈黙の田んぼ」と呼んでいます。ほとんどの農家も、農薬・化学肥料がなければ稲作りはできないと思い、稲以外の生きものがいないのが良い田んぼだと考えています。また、ご存知の方は少ないと思いますが、日本の田んぼは今1年の内4ヵ月しか水が入っていません。
ところがあまり耕さず、冬の間から田んぼに水を張っただけで、絶滅危惧種のニホンアカガエルが復活したり、糸ミミズやユスリカなどみんなの餌になる生きものたちが増え、生態系が大きくなります。絶滅危惧種の半数以上は水辺の生きもの、このように田んぼに水を張る期間を長くするだけでも復活する生きものはたくさんいます。さらに、農薬・化学肥料を使わず、生きものに配慮した田んぼづくりをすると、もっと多くの生きものたちがすぐ復活します。
それまで、環境なんて私たちが何をしたってそう簡単に取り戻せるもではないと諦めていましたが、意外と簡単に生きものたちが復活する方法があること、絶滅危惧種の生きものたちは弱いのではなく、環境さえ整えれば逞しく復活することが分かり、希望が湧いてきました。それならこの田んぼを広げる活動をしてみようと思ったのです。
●なぜ農家支援を始めたのでしょうか。
私たちはこの田んぼのすばらしさを多くの消費者に分かってもらうために、2001年から田んぼの生きもの調査を始めたのですが、協力していただく農家と親しくなるうちに、絶滅危惧種はメダカやトキではなく、このような田んぼを作ってくださる農家だということに気が付きました。このような素晴らしい農家にも後継者はほとんどいません。これは大変、このような田んぼで収穫したお米を後継者ができるくらいの価格で買って食べる人を増やすことが先決だと気が付きました。
今では、支援というより一緒に日本の生きる環境と安全な食料を守る同志だと思っています。
●なぜ田んぼ体験をしているのでしょうか。
その目的は、都市部の市民や子どもたちに生きものいっぱいの田んぼを知ってもらうことです。生きもの調査も同時に行います。初めは恐る恐る田んぼの泥に足を入れていた子どもたちも、しばらくするとカエルや虫を追いかけるのに夢中です。この楽しい体験をすれば、沈黙の田んぼとの違いの分かる人に育ってくれると思います。
小学生の田んぼ体験や企業の環境への貢献を目的とした自然塾のみなさん、メダカのがっこうのお米くらぶ会員のご家族連れなどが参加されています。みんなこの田んぼのおいしいお米を食べています。
●生きものいっぱいの田んぼとはどんな田んぼでしょうか?
冬のうちから田んぼの水を張っていると、糸ミミズやユスリカ、ドジョウやタニシ、たくさんの水生昆虫が冬を越し、2月にはニホンアカガエルの卵塊、4月にはオタマジャクシ、5月にはアマガエルやトウキョウダルマガエル、6月にはトンボの幼虫であるヤゴが稲を上って羽化し、田んぼの中は小さなゲンゴロウやコオイムシ、栃木県ではタガメやミズカマキリ、8月にはイナゴなどのバッタ類、カマキリや、たくさんの種類のクモたちが見られます。これらの生きものを狙って、カモやサギたち、佐渡ではトキに出合います。
また、除草剤を撒いていない畔(あぜ)には、多種多様な草たちが生えます。それを楽しむために、春と夏には草を摘むところからやる野草料理教室も開いています。
●この田んぼのお米はどんな味ですか?
生きものいっぱいの田んぼから生まれるお米の美味しさは、力強いです。メダカのがっこう米の袋には、「草も虫も人もみんなが元氣に生きていける田んぼがある」と書いてあるとおり、エネルギーのあるお米です。そして食べた人が元氣になるお米ですから、身体が美味しいと感じるはずです。
●このお米はどこで買えるでしょうか?
販売は、NPO法人メダカのがっこうでしています。この田んぼが日本中に広がるように願いながら販売しています。メダカのがっこうのHPのショップから購入できます。本当は一人の人に1年で1俵食べていただきたいと思い、1口=1俵(60kg)51,600円でお米くらぶ会員を募集していますが、スポットでも5kg、2kg、1kgずつ購入できます。千葉の椿農場、大田原の水口農場、郡山の中村農場、佐渡の佐々木農場からご希望の農家を選んでいただけます。迷った時はメダカのがっこう事務局(0422-70-6647)までお電話ください。ご説明やご相談に乗ります。
●食で心身を立て直す方法とはどんなものですか?
お米を中心に、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイルなど、原料である大豆、小麦、梅、大根、ひまわり、菜種などもF1種や遺伝子組換えでない在来種の種から育て、塩もミネラルバランスの良い日本の伝統海塩を使い、農薬や化学肥料、添加物を使わずに手造りしています。
みんなが不可能と思っていることを、完全ではありませんが、「都会にいても自給自足生活のおすすめ」と打ち出して、家族の1年分の基本的食料を化学物質ゼロで作りましょう、と提案しています。実際に、年間15万円ほどの費用と15日ほどの参加で、お米60kg、味噌10kg、醤油5升、ひまわり油と菜種油を270ml瓶で10本、梅10kg(出来上がりの梅干で5kg)、たくあん10kgが学びながら作れます。
農薬や添加物、人工甘味料、いつまでも腐らない便利な加工品が健康に悪いことは分かっていても、実際にどうしたらそういうものに頼らない食生活ができるのかを、やってみせなければ、と思い、いろいろなことに挑戦しているのですが、これがゲームのようにおもしろくなり、現在にいたっています。
●「理想の食(=健康)」とはなんでしょう?
基本的にお米中心の味噌汁と三菜の日常食。体を浄化するお茶類、籾付玄米の黒焼き玄米茶、マコモ茶、梅醤番茶などを適当に飲むこと。体に負担のかかる化学物質類はなるべく入れないこと。ドレッシングや何とかのタレなどの添加物たっぷりの加工品に頼らなくても、自分で作った調味料と野菜でいくつかの便利なタレを作っておけば簡単においしい料理ができます。
実際、醤油もオイルも1年かかるし、味噌は最低2年、梅干しは3年物にするので、3年先に食べるものを作ることになります。だから毎年先を考えて仕込みます。家族の健康を願ってお母さんが作る数年単位の気の長い手造りの食糧生産、私はこれが素敵だと思ってこんなおばあちゃんを目指しています。理想の食のねっこには、こんな暮らし方が必要です。
●私たちに出来ることはなんでしょう?
私たちは、子孫が健康になれる食習慣と暮らし方を残したいと思っています。もしある人が好んで食べていたものが原因で病気になったとすると、その人は病気になる食品をこの世に繁栄させたことになります。毎日のお買いものの選択が、子孫に残すものを決めていくのだということを意識すれば、出来ることは毎日たくさんあります。
たとえば、メダカのがっこうのお米を選んで食べると、田んぼの生きものが復活し、作っている農家も元気になり、何よりも食べた本人が健康になります。
メダカのがっこうのテーマは、食で心身を建て直し、いのちを優先する農家と力を合わせ、生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になることです。
良いご先祖様になることを意識するだけで、自分に出来ることに気が付くと思います。
野草を愛する人は自然を理解してほしい。
●野草をテーマにした変な番組
先週、夕方5時からのテレビ朝日を母と見ていたら、野草摘みをしている女性たちと、その中に毒草がないかどうかチェックする先生が出ていました。ニラと水仙の葉が似ているが、水仙は毒野草だとか、キツネノボタンとセリが似ているが、キツネノボタンは毒野草だとか、食べられる野草と毒野草は好きな環境が同じで一緒に生えているので要注意だと、毒草への注意を促していました。私も今の季節は、毎週春の野草料理教室をしているので、野草をテーマにするとはいい番組だなと思って目を離さずに見ていました。
すると、話はだんだんおかしくなっていき、二輪草とトリカブトが群生している公園にやってきて植生を調べ、二輪草70%とトリカブトが30%だからと公園管理者に伝えたところ、除草剤を撒いて処理したというナレーションがあり、テレビの前の私は思わず「エッ」と大声を上げてしまいました。
そこからまずます番組はおかしくなり、多摩川の河川敷に生えているクサノオウという毒草を見つけ、そばで遊んでいる親子連れに、これが毒草だとご存知ですか? と質問、親子連れも「怖いですね~。子どもに触らせないように注意しないと」という反応。これでいいアドバイスでもしたかのような自己満足の恐ろしい番組は終わりました。
なんたる無知、認識の無さ、愚かな自然観!クサノオウに限らず、黄色くてかわいい花が咲くキンポウゲ科はほとんどが毒草。食べれば毒でも、目を楽しませてくれるし、摘んで帰って部屋に飾っても何の問題もありません。田んぼの植生調査を13年も続けていると、自然界に生えている草で毒草はたくさんあることがわかります。それに野草といわれている草も、アク抜きを十分しないで食せば腎臓や肝臓を傷め、寿命を縮めます。毒草といわれている草も漢方薬になっているものもたくさんあります。
それに毒野草という言い方もおかしいです。野草というのは、もともと食べられる植物のこと。大まかに説明すると、植物の中に、毒草と毒のない草があり、毒のない草の中に食べてもまずくない草があり、それを野草と呼んでいるのですが、さらに食べておいしいと感じる草があり、それらが喜ばれる人気の野草なのです。
トリカブトが混ざって生えているから除草剤を撒いて処分したという信じられない愚かな判断には、怒る元氣もなくなるほどショックです。「二輪草というかわいい花に交じって、トリカブトという紫の美しい花が咲く毒草が生えています」という掲示板でも立てたら、そこを通る人々にとって、どんなに自然の神秘を感じる勉強になったことでしょう。
野草は除草剤を撒いたところには生えなくなります。除草剤は主にイネ科の作物のために作られたもの、イネ科にやさしくできているので、メヒシバやオヒシバ、エノコログサなど、イネ科の雑草が優先する場所になってしまうのです。ヨモギやヨメナやハコベやナズナなどの優しい草は生えなくなってしまうのです。野草をテーマにする番組で、除草剤を撒くことになるなんて……。そんなことをする人間が野草の番組をつくるなんて……。
●私たちはなぜ野草を食べるのでしょうか?
私たちはなぜ野草を食べるのでしょうか? それは今みんなが食べている野菜の99%以上が、命がないF1種や遺伝子組み換えの作物だからです。F1(エフワン)と言うのは、一代限りの交配種で、収穫した作物の種を蒔いても、実がつかないのです。これは1960年代から広く栽培されるようになり、まず大豆やトウモロコシや小麦から始まりました。たとえば大豆の種を蒔いても、芽が出て葉も威勢良く出ても、花がついても鞘がぺちゃんこで豆ができてこないのです。遺伝子組み換えなどが問題になる遥か前、40年以上昔から、じわじわと種類が増え、現在はほとんどの野菜がF1種です。F1種は、毎年種と化学肥料と農薬を買うように設計されています。無農薬と自家採種の農業には向かない種です。
遺伝子組み換えの種は更に最悪です。除草剤にも枯れない遺伝子や、虫や菌を殺す遺伝子を組み込まれた作物を食べた人間も、家畜も、内蔵されている殺しの遺伝子情報のしっぺ返しを受けて、いのちを弱らされています。種も農薬とセットで毎年買うことになるので、食を防衛する農業の推進を阻むものです。
そして何よりも問題なのは、命をつながない実や作物を私たちが食べているということです。ニンジンが体にいいとか、ゴボウがいいとか言う話しではなく、玄米菜食がいいという食養生の段階でもなく、野菜の実態が命のないものになっているのです。これではいくら野菜を食べても、どんないい料理を作っても元気になれません。
しかし、野草は自分で命をつないで繁栄しています。野草から私たちは、栄養成分や薬効成分をいただくことを期待するより、その生命力をいただくことに最も意味があるのです。
野草はすごい力をくれます。まず元気になる。目覚めが良くなる。動くことが好きになる。気持ちが明るくなり、毎日が楽しくなって人が集まってくる。草はすごい根を持っていて硬くて重いコンクリートをめくり上げて生えてくるのですから脱帽です。野草を食べると打たれ強さをいただくのです。
●命ある食べ物が無くなったことに気づかない私たち
戦後私たちは、どんどん命のない食べ物ばかりになってしまいました。米を食べなくなり、いのちが生まれた海の成分が含まれていた塩が塩化ナトリウムの塩に変わり、水が塩素入りの薄い毒薬液の水道水になり、F1種や遺伝子組み換えなどの命のない食べ物ばかりになり、更に添加物や合成甘味料をいっぱい身体にため込んでしまった結果、今までなかった病気が増え、若者は生殖不能を起こし、女性には無月経や無排卵、不妊につながり、野生生物だったら当たり前である種族保存の大命題は忘れ去られ、民族存亡の危機に立たされています。
●春の野草と食べ方の知恵
ですから、野に出て野草を摘み、正しく料理して命をいただき、野生の力を取り込みましょう!早春から順にあげると、フキノトウ、つくし、タンポポ、ハコベ、カラスノエンドウ、野カンゾウ、ヨモギ、菜の花(のらぼう菜など)、ノビル、アサツキ、ウシハコベ、ヨメナ、セリ、ミツバなど、春の野草を摘んで来たら、下処理としてあく抜きを怠ると肝臓や腎臓をやられますから、しっかり覚えておください。また、野草は少量食べればいいということも覚えておいてください。食べ過ぎは禁物です。
アク抜きの基本は、塩茹でして水にさらし、よく水気を絞って醤油洗いといって、醤油3水7の醤油水に10分くらいつけたものを良く絞ってから使います。使った後の醤油水は捨てます。5月以降のヨモギなどアクの強いものは、くぬぎの灰や木灰を使います。
つくしなど生から炒めるだけでよいもの、タンポポなど4月ごろまで生で食べられるもの、野カンゾウや三つ葉など塩ゆでして水にさらすだけでよいものなど、アクの少ないものもあります。
反対にアクが強くて心配なものは、三段階のアク抜きをしっかりすることが肝心です。しかし裏ワザとして天ぷらが最も簡単にアクが抜ける食べ方です。その他にアクが強くてもどうしても食べたい秋に穫れるアカザの実などは、塩ゆでして水にさらし、色が出る間は何回も水を変え、最後に醤油を煮立てた中に入れて煮ます。苦労はしても出来上がりはキャビアのようにおいしいです。
せっかく命あるものを料理するのですから、味付けは、塩、しょう油、味噌を基本に調味料は原料から無農薬・無添加の手造りの物を使い、砂糖は使いません。甘味は、米と米糀で作った甘酒とみりんだけです。お茶は、ヨモギ茶、黒焼き玄米茶、マコモほうじ茶、梅醤番茶、カキドオシなどの葉を乾燥させたものなど、体調により季節により使い分けます。
●野草を採り続けるために
野草を採ると言っても無断で人の土地に入るわけにはいきません。私たちが良い野草を安心して取りに行けるのも、長年農薬や化学肥料を使わずに田んぼや畑を造り続けていて下さる農家がいるからです。除草剤を撒いた畦(あぜ)には、稲科の雑草が繁茂します。前記したように、メヒシバ、オヒシボ、エノコログサ、などです。柔らかい野草類は生えてきません。
ですから、メダカのがっこうの農家のように、環境を取り戻してくれている農家が農薬を使わずに継続してその農地を守っていけるように、行動しなければなりません。お米の価格革命=フェアートレードや田の草取りのお手伝いをする援農隊の活動など、出来る限りの努力をするつもりです。草取りに一緒に出掛けてくだされば、野草の摘み方や料理の仕方をお教えできます。ご協力よろしくお願いします。
野草が食べたい方、田んぼカフェでは、田植え草取りのシーズンである7月までは、毎週野草を摘んでくるので、野草料理を提供する予定です。土日は田んぼに出かけています。その他毎週火曜日は金曜日には教室をやっていて、ランチ営業していません。ですから電話で予約をしてから来てください。おいしいお料理を用意して待っています。
もし逆表示でなかったら農産物はどういう表示になるのか ―遺伝子組み換えの表示が消されていく―
●逆表示とは何のことなのか、ご存知ですか?
一般の商品は、その商品を作るのに使った原料を、重量の多い順に表示することになっています。例えば、ポテトチップチョコレートというお菓子には、じゃがいも(遺伝子組み換えでない)、植物油脂、食塩、ココアバター、砂糖、全粉乳、キャラメルパウダー、脱脂分乳、乳化剤(大豆由来)、香料などというように。ここを見れば、砂糖や乳製品をやめている人はやめる判断ができるし、じゃがいもは遺伝子組み換えでないことが分かります。
しかし余談になりますが、ここにも隠れ遺伝子組み換えがあり、大豆由来の乳化剤は大豆が遺伝子組換えでも書かなくても良いことになっているのでわかりません。こういう場合ほとんどが遺伝子組換えだと思って間違いありません。ですが、おおよその原材料はわかります。
ところが、農産物になると、話は全く事情が違います。慣行農法といって、行政の指導に従った防除暦(農薬や化学肥料を播くスケジュール)に従って栽培した作物は、何も表示しなくてもよいことになっています。例えばコシヒカリの栽培なら化学合成農薬を18回、化学肥料を7.2回が防除暦に記されています。
使う病害虫防除の農薬はどんなものかというと、4月には苗の消毒としてイチバン、5月にかけてカビの予防としてダコレート水和剤、いもち病や虫の防除にツインターボフェルテラ箱粒剤、7月には病気予防にモンカット粒剤、いもち病や虫の防除にフジワンラップ粒剤、8月の出穂直前にはいもち病や虫の防除にノンプラストレパリタ粉剤DLトビームエイトスタークルゾルとバシタックゾル、穂揃期にはラプサイドキラップ粉剤DLとラプサイドフロアプルとキラップフロアプル、そしてカメムシ防除のダントツなどがあります。
この他に除草の農薬として、初期にはメデオ、ビラクロン、イネキング、シリウスエグサ、ウィナー、イッポンDジャンボ、ビクトリーZジャンボ、中期にはエーワン、コメット、ゲットスター、サンパンチ、サーベックスDX、草が残る場合は更にサンパンチ、ザーベックスDX、後期にはヒエ専用の除草剤としてヒエクリーン、クリンチャー、ヒエと多年生雑草にクリンチャーバスME油剤、ワイドアタックSC、多年草雑草にバサグラン、クサネムとイボクサという雑草対策にノミニー溶剤などがあります。
この他に畔や農道の除草に冬のうちからスギナの特効薬であるカソロン粒剤、5月中旬にはザクサ液剤とランウドアップマックスロード、カーメックス・D水和剤、7月以降は再びザクサ液剤とラウンドアップマックスロード、三共の草枯らしという農薬が暦に紹介されています。
実に馴染みのない薬剤名ばかりであり、書くのも読むのも嫌になるほどの農薬を使うことが慣行農法なのです。そして、この防除暦通りに栽培されている作物には、何も表示する義務がありません。
しかし農家自身や食べる人の健康を考え、生きものたちにも配慮し、自然を取り戻したいという気持ちで農薬や化学肥料を使わずに作物を栽培している農家は、それを証明するために、検査料と検査員の経費を支払い、いろいろ面倒な書類を作成しなければなりません。また特別栽培という制度は、薬剤の数や回数を半分にするものですが、こちらは農薬の使用回数などの表示義務があり、それは望ましいことですが、何も書いていない慣行農法の作物の方が、消費者にとって農薬使用をイメージしにくく、価格の安さも手伝って受け入れ易くなってしまうという問題があるのです。
もう一度慣行農法の農薬使用の例をあげますと、トマトで24回、アスパラガスで15回、ナスで31回、大根で21回、白菜で25回、白ネギで20回、ニンジンで17回、リンゴで44回、観賞用の菊になると60回という凄さです。化学物質過敏症の方は、とても菊いっぱいの葬儀会場には入れないそうです。
もし慣行農法の農作物に、使った農薬を多く使った順に表示することが義務付けられたら、みんなの意識はガラッと変わると思います。今回は、何も表示していないコシヒカリがどれだけの農薬を使っているかと調べて記載してみました。お米袋の裏にこれだけの農薬名が書かれているところを想像してみてください。表示することが最も大切なことです。表示されていれば、後はそれぞれの価値観に従って判断できるからです。
遺伝子組み換えの表示にも異変が起きています。もともと醤油や油には遺伝子組み換えの表示義務はないので、何も書いてなければすべて遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシの醤油や油です。しかし豆腐や味噌には遺伝子組み換えの表示義務があります。よく豆腐の原材料の所に、大豆(遺伝子組み換えでない)と書かれていますが、最近いくつかの豆腐でこの表示がなくなっていることに気づき、電話をかけてみました。すると日本ではまだ大豆の遺伝子組み換えの栽培許可が下りていないので、国産大豆と記載すれば遺伝子組み換えではないのに決まっているから、両方を書くことは過剰表示になるのでやめるようにという行政指導があったとのことです。
何が起こっているのでしょう。TPPの農産物の自由化の準備として、遺伝子組み換えの作物や加工品が日本に入ってきやすいように、また遺伝子組み換えを原料とした加工品が作りやすいように配慮していると考えられます。
遺伝子組み換えは何の問題もないという議論もあります。食糧危機を救うという議論もあります。すべての意見を受け入れたとして、表示だけはしていただくことは譲れません。あとは私たち国民の判断にお任せいただくとして、判断基準になる表示を義務付けることはみんなで国にお願いしましょう。メーカーにも電話をしましょう。
アレルギーの原因は、小麦や卵や牛乳ではありません。化学合成された農薬を使用したり、遺伝子組み換え作物の小麦やそれを飼料とした卵や牛乳なのです。議論のすり替えに騙されずに、生きる環境を安全な食料に困らない日本を次世代の残せるような先祖になるぞ!と中村陽子は心を決めています。