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中村陽子のコラム

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2018年3月20日

本当に恐ろしいのは大自然の逆襲です

 3月20日衆議院第1議員会館で、日本の種子(たね)を守る会と共催で、種子を守る活動報告と、「種子 みんなのもの? それとも企業の所有物?」の初上映会を開催しました。

 種子の公共性と食糧主権を守る議員立法を求める署名は3月19日現在で128580筆、国への種子法関連意見書の提出した地方議会は3月7日現在で35議会、県で主要農作物種子法の条例を採択したのは新潟県と兵庫県で4月1日施行の予定、ほかに5都道府県と中国地方知事会が何らかの措置を取っているという報告がありました。

 メダカのがっこうも事務所を置いている武蔵野市で国に意見書を提出してくださいという陳情をしています。現在、議員さん方の働きによって6月の本議会で採択に向かって動いています。

 種子法廃止は、市議会議員も知らない人が多いほど、認知されていません。多くの人に知らせるのにとても良いアイテムとなるのが、今回上映した中南米で伝統的な種子の権利を取り戻したドキュメンタリー映画です。
 この映画は、まさに遺伝子組み換え作物に国土も家畜も人々の健康も経済も蝕まれてしまったところから、立ち上がって原種や在来種の栽培と自家採種、保存と交換の権利を取り戻していったものでした。それも国土の大半が遺伝子組み換え作物を栽培している中で、限られた地域で必死に種子の守り手が種を播き収穫し保存する活動していました。私にはとても勝ち取ったという状況ではなく、昔は当たり前だったことを、すべて奪われたので、一部取り戻したというもので、モンサントは攻撃の手を弛めてはなく、常に戦闘状態にあるように見えました。

 日本ではたぶんここまで露骨にしないだろうと思いますが、露骨であるがゆえに、モンサントのやりたいことがはっきりとわかりました。このまま私たちが何もしなければ、10年後に失うものが想像できます。

 4月1日種子法廃止になると、公共品種の維持管理力が弱くなり、多様性も失われていくところに、化学企業の開発した広域に適応した品種が入ってきます。少しずつお米の品種がF1種と遺伝子組み換え品種に入れ替わっていき、品種は単一化していくでしょう。農薬・化学肥料多投で国土は荒廃していくでしょう。農家は誇りある農場の主から契約で雇われたただの使用人になるでしょう。高濃度の残留農薬と殺虫性を持った毒の回った農作物を食した人々や子どもたちの頭や体はさらに蝕まれていくでしょう。10年後には頑張って守っているグループだけになってしまうかもしれません。農水省を経産省に統合し、農業を工業と同じ扱いにするのが国策なのです。 

 国民のほとんどが知らないうちに決まってしまった種子法廃止をきっかけに、世の中の仕組みを勉強しました。国会議員のほとんどが、そして国民のほとんどが願ってもいないことが決まってしまう理由がわかりました。

 でも、これは人間世界のことです。それよりもっと怖いのは、大自然の逆襲です。

 実は、遺伝子組み換え種子と農薬多投の農業はうまくいっていません。既に除草剤グリホサートで枯れない草が、さらに強い除草剤にも枯れない草が出ているのです。また殺虫性Bt毒素を持つ遺伝子組み換え作物を食べても死なない虫が増えているのです。日本でもカメムシ防除にネオニコチノイドという残留性の長い殺虫剤を撒いても効かなくなっています。カメムシが耐抗性を持ったからです。どんどん毒性を強くしても草や虫は耐抗性を持ちます。人間が負けるに決まっています。

 この農法は自然の摂理に反しています。やってはいけません。日本人ならみんなわかります。日本は今日までは優れた主要農作物種子法のおかげで、現在米の種子の自給率は100%です。今のうちに、みんなで気づいて、日本のあるべき農業を取り戻し、種子の公共性と国民の食の安全を守る議員立法を成立させましょう!! 

 それには、種子法廃止でどうなるのかを多くの人に知っていただくしかありません。このドキュメンタリー映画には、解説版がついており、今回の上映会で講演してくださった印鑰智哉氏が、本当にわかりやすく映像と図で詳しく説明してくれています。印鑰さんをお呼びしたのと同じ効果があります。上映会は誰でも開けます。メダカのがっこうに相談してください。

2018年2月20日

改めて農薬の害を知ろう!

 農薬の害に警鐘を鳴らしてくれたのは、アメリカでは『沈黙の春』のレイチェルカーソン、日本では、有吉佐和子さんでした。1970年前半、女性たちは環境汚染から、家族や子どもの命を守ろうと立ち上がりました。有機農業研究会を農家と一緒に立ち上げたのも、彼女たちの働きでした。ある農家が「農薬や化学肥料を使わずに、手間をかけて育てた農作物は高くなるのに、あなたたちは買うのですか?」と聞くと、「あなたは、安ければ毒まんじゅうを食べるのですか?」と聞き返されたそうです。
 各地に生協や生活クラブなど、市場を通さない取引が始まりました。今でもこの精神を失わずに活動している生協はありますが、多くは資本主義の波にのまれ、スーパーとあまり変わらなくなってしまいました。

 女性たちの生活も変わりました。家族の健康を守る食生活を支えることを本業とする専業主婦が減り、女性も家計を助けるために働くのが当然、企業もそれを助けるための便利な食品を開発ました。工場からの長距離輸送、倉庫管理などの都合から、保存料や一見美しくおいしくするための添加物が多量に使われるようになりました。

 農薬も変化しました。毒まんじゅうと称された時代の農薬は、有機リン系の農薬で、虫はすぐ死ぬし、農家も健康を害したり腎臓肝臓を傷めて早死にする人が多く出ました。このころの農薬は即効性の毒だったのです。

 1992年に出てきたネオニコチノイド系の農薬は、虫への毒性は強いが、ほ乳類や人間には安全性が高いということで、世界中で使われるようになりました。この農薬の特徴は、作物への浸透性が高く、長く残留するということです。今までの有機リン系では3日でしたが、ネオニコチノイド系の農薬は3か月も残留するのです。このため、減農薬を可能にした農薬として評価されました。現在、減農薬=エコ農産物=特別栽培=認証農作物などは、農薬の成分を半分にするか、散布する回数を半分にすることが条件なのです。

 この農薬の危険性は、使い始めてすぐ1990年代にミツバチの大量死という形で現れました。有機リン系の農薬とは違い、触れても即死するわけではないのですが、ネオニコチノイドが溶けている田んぼの水を飲んだり、散布された花の花粉や蜜を集めているうちに、脳神経のかく乱物質がハチを狂わせ、巣に帰れなくなり失踪、巣ごと全滅してしまうのです。同じく田んぼでヤゴという幼生期を過ごす赤トンボが激減しました。ネオニコチノイドの害が分かってから代替農薬として使われたフィプロニル農薬の使用が原因です。この農薬はギャバ阻害剤で、怒り狂って口をあけてヤゴが死ぬのです。

 人間への影響は、子どもへの脳障害の形で現れました。ネオニコチノイド系農薬の使用増加とともに、発達障害児、特に血液脳関門の未発達な児童が急増しています。ネオニコチノイド系農薬の使用量のグラフと、多動性を発症している子供の数は比例しています。日本政府や企業はこの因果関係をが認めていませんが、フランスやEUではミツバチ失踪の段階で、いち早く危険を察知し、使用を禁止しました。ミツバチの受粉という仕事を高く評価してのことです。

 日本では残念なことに、ネオニコチノイド系農薬の残留基準は、2016年から大幅に緩和され、ホウレンソウやレタスなどの葉物では2000倍になったものもあります。昨年7月のこのコラムに、世界で一番多く使われているグリホサートという除草剤の残留基準が昨年400倍になったという話をしたと思います。
 いつ日本は禁止するのか? それは、次に替わる農薬が開発されたとき、これらの農薬を禁止するつもりだそうです。その農薬では、また違う機能障害が出るでしょうが。

 さてどうしますか? 「ただちに人体に影響はない」とはどこかで聞いた言葉ですが、直ちに死なない毒まんじゅうを食べ続けますか? 日本は人体実験の場だと諦め顔で笑っている人もいます。農薬や添加物の話をすると、それでは食べるものはないじゃないか!と怒り出す人もいます。そうです。本当に家族を健康に守れるような食品は売っていません。でも自分の身の安全もさることながら、こんな日本を次世代に残していいのか? を考えてください。独身の方も年配の方も、健康な一生を送れる日本を残すことが重要です。

 日本では革命は起こせないでしょう。だとすれば消費行動しかありません。みんなで農薬を使った農作物は食べたくないとお店に行って言いましょう!わがままではありません。すぐには死なない農薬の毒の影響を広く知らせましょう。「切れる」といいますが、本当に脳のシナプスが切れてしまうのです。遺伝子組み換え作物を食べ続けたラットの一生は、雌は人間の30~40代で乳がんを発症し、雄は、40~50代で肝臓がんや腎臓がんを発症するという実験があります。日本は遺伝子組み換え食品を世界一輸入し消費している国です。ミツバチやトンボやラットが苦しんで教えてくれたことを無駄にしないで。みんな自分と自分の周りの人の病気に思い当たることがあるはずです。子どもの病気は母親の責任だと悩まないで、日本の農業や食品業界を変えましょう。これが私たちの静かな革命です。

追伸:日本の種子(たね)を守る会とメダカのがっこう共催で、日本の種を守る会の発足以来の活動報告と、種を守る新しい法律案の中間報告と、ドキュメンタリ映画「種はみんなのもの?それとも企業の所有物?」の初上映をします。日時は3月20日13:00~17:00 場所は衆議院第一議員会館1階多目的ホールです。以後、この上映会を皆さんにしていただきたいので、ぜひ見に来てください。
★詳細・お申込みはこちら→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=127096161

2018年1月20日

最近感動したことと考えたこと。

 国立西洋美術館で「北斎とジャポニスム」を見てきた。モネ、ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなど西洋の巨匠たちが北斎から衝撃を受けて、取り入れた構図やデザインと思われる作品が隣に並べてある。そのおかげで、よくわかったことがある。彼らが何を受け取れて、何を受け取れなかったかが。

 受け取ったのは、線描きで平面的で遠近法など無視しているのに、見ている人間が印象深く感じたものだけを描いている絵の持つ魅力、高い観察力とデッサン力、事実にとらわれない絵の持つ自由を100%発揮した手法、今までのようにすましている人間を描くのではなく、人間臭い表情を題材にしたこと。受け取れていないもの、それは北斎の自然観と生命観。残念だ。天才たちに受け取ってもらいたかった。

 北斎は草や木、鳥や獣や魚、虫はフナムシに至るまで、命あるものすべてに興味を持って、スケッチしている。一生懸命生きている姿が愛しいのだ。デッサン力も超一流だ。
 これらの作品に感動したフランスでは、絵や皿や花瓶などのモチーフとして、花や鳥、虫たちを模写に近い形で取り入れた。だが、あくまでモチーフやデザインであって、生きていない。一生懸命生きている感じがしない。声が聞こえない。

 北斎の場合、美しい景色にも、鑑賞している人のほかに、必ず働いている人や移動している馬や人が様々な恰好と表情で描かれている。鳥や馬の鳴き声や一休みしている旅人の息づかいや職人たちの掛け合いの声が聞こえてくる。一生懸命生きている動物も人間も自然の一部なのだ。
 これらの構図を取り入れた西洋の絵からは、描かれている人間以外、周り自然からの命のざわめきが感じられない。なぜか。それは彼らが描いている自然から生きものたちの営みを感じていないからだ。

 北斎の田んぼが入った里山の風景は、にぎやかだ。カエルの声や水生昆虫の気配、畔に生えている草たちも目に浮かぶ。畔の補修をしている農民もいる。
 北斎の絵の中の人間は、すましていない。生身の人間だ。書き物に疲れて富士山が見える窓の前で、思いっきり伸びをしながらあくびをしている旦那の姿には共感した。生きている人間そのものを描いている。

 この点でも西洋の画家たちは影響された。今までお澄まししている姿かポーズをとっている姿しか描かなかった画家たちが、おなかを突き出してソファーでくつろいでいる女性や、風呂から出る動作中の女性、背中をそらして体をリラックスさせている踊り子など、生身の人間を描こうとしている。この展示にはなかったが、ゴッホの種まく人は、最も北斎の自然観に近い表現だと思う。しかし人間以外の生きものには意識がいっていない。

 この違いは何だろう? 日本では風流に感じられる秋の虫の声は、西洋ではうるさい雑音に過ぎないとか。猿の群れの研究者も、日本の研究者は猿の顔の違いが分かり個体が識別できるが、西洋の研究者は顔の違いが見分けられないとか。本当だろうかと疑っていたが、本当かもしれない、と今回のことで思った。私が想像するに、これは一神教を持つ征服者の血と、八百万の神を持つ先住民族の血の違いではないか。一生懸命生きているすべての命を愛しく感じて描き出す北斎。宮崎駿さんは間違いなくこの血の継承者だと思う。

 現在メダカのがっこうが取組中の種子法廃止についても、このようにまったく流れている血が違うほど、意識が違うアメリカ投資家や多国籍企業から、日本の種子を守らなければいけないのかと思うと、気が遠くなる。しかし、北斎が、ジャポニスムとして西洋美術に与えた衝撃と同じように、先祖から守り育ててきた種子は、みんなのもので、決して企業や個人の所有物にするのはおかしいという正常な感覚を呼び覚ますような衝撃を、彼らに与えることはできないものか。

 宮崎駿監督、種子を独占しようとする人間の愚かさと地球の空気も土も作り、すべての富の作り手である光合成という技を持つ植物をテーマにした映画、お願いします。私が最も尊敬している人は、ナウシカ。彼女が私を育てたといっても過言ではないのです。

お知らせ:
 3月20日13:00~17:30、参議院議員会館講堂(予定)で、種子法が廃止される4月1日を前に、活動報告会と日本の食糧主権を守るための種子も含めた議員立法の案や、ずっと日本語版を作成していたドキュメンタリー映画「種子 みんなのもの? それとも企業の所有物?」の初上映会と日本語版作成者印鑰智哉氏の講演会を行います。上映会は今後企画してくだされば、どこでもできます。
 生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残したいと思っている皆さん、集まってください。

2017年12月20日

ダーチャを知っていますか? 種播く土地を持つ人間は最強です。

 メダカのがっこうの理事に高草洋子さんという私の35年来の親友がいます。『びんぼう神様さま』(地湧社)の作者で、『若杉友子の野草料理教室』(ふーよよ企画)の著者でもあります。そのご主人の高草俊和さんが2015年に「ダーチャ」に日本の活路を見出し、ダーチャサポートというNPO法人を設立しました。私はここの理事になっているのですが、メダカのがっこうの活動に追われていて、あまり関わっていませんでした。
 しかし、今年、主要農産物種子法廃止が決まり、これは、すっかり土から放れ、食糧生産を人任せにしている日本人への警鐘ではないかと気が付きました。前々から、ロシアには「ダーチャ」というものがあり、ソビエト連邦が崩壊した時も、各家庭のダーチャで食糧自給が出来たため、混乱に陥ることもなく、餓死者も出なかったという話を思い出しました。
 以下、ダーチャサポートのホームページからダーチャの説明を引用します。
 『ロシアには「ダーチャ」と言う国民的ライフスタイルに関わる言葉があります。
 日本語に意訳すると「菜園付き週末別荘」ということになります。
 ロシアの約8割の人がこのダーチャを持ち、週末には必ずダーチャに出かけ、菜園の手入れをしたり、家に手をいれたりして過ごします。
 家族や知人と過ごすこの時間はロシアの人達にとても豊かな時間を与えてくれています。
 彼らは食料のほとんどをここから自給します。冬を除いた季節の週末、そして夏の長期休暇を利用して一年分の食料を生産し、保存食をつくります。ソ連崩壊の時、給与が支払われず、また超ハイパーインフレで紙幣が紙くずになってしまった時でも、ロシア人が飢えることがなかったのはまさにダーチャのおかげです。
 そこでは機械も使わない、農薬も化学肥料も使わない自然農が行なわれ、家も家具も畑も道も、その他なんでも自分たちで手造りする文化が存在します。
 まさに世の中がこれから目指すべき、地球に優しいスローライフの世界です。』

 ダーチャサポートを主宰する高草夫妻は、大阪でテニススクールと、らぽーむという自然食のお店を経営していますが、京都府園部の里山に空き家だった古民家を200万円ほどで買い、田んぼも畑も自給農法(一年中八百屋のように野菜ができるように考えられた農法)で行い、周辺の里山一帯を、大地の再生の指導者、矢野智徳さんのワークショップで整えました。
 ロシアのダーチャと違うところは、ロシアでは、国が国民全員に200坪ほどの土地を提供してくれたのですが、日本ではそれは望めないので、過疎地に点在する空き家や古民家を安く購入し、週末別荘的に通い、自給農法の農的生活を行うのが、日本的ダーチャではないかと考えています。そしてそれら点在しているダーチャをつなげ、必要な情報を提供し、自給農法や小屋づくりや様々生きるための技術をワークショップなどでサポートするのが、ダーチャサポートの活動です。

 メダカのがっこうは、命を優先するプロの農家と組んで、都会にいても自給自足生活を勧めるという、とても現実的な方法で、次世代の生きる環境と安全な食糧を守ろうと活動しています。これはとても有効で良い方法だと思います。
 しかし、種子法廃止で状況がさらに厳しくなった今、自分たちも種子を播く土地を持ちたいと思うようになりました。2本立てで行くのがいいかもしれません。誰しも種子を播くという行為をした方がいいです。良い種屋さんが駆逐されないように、良い種をどんどん買って、土という土にどんどん播きたいと思います。

 日本の気候では、週末農業だけでは、草に負けて食糧自給は難しいかもしれません。ですが、土に種子を播くということを私たちは思い出さなければなりません。国が崩壊しても国民が飢えなかったロシアの勝因は、国民の85%以上が食糧生産に使う土地を持っていたことです。都会で生計を立てている人が多い日本ですが、週に一度、ご縁のある日本の国土の一角を探して担当して、種まきと食糧生産に復帰してみましょう! ダーチャサポートがお手伝いします。もうすぐ募集が始まります。
http://dacha-support.com

2017年11月20日

知ることは力になる 知っている国民になろう!

今年になって初めて知ったこと

【1】主要農産物種子法という法律の存在。この法律が長年、日本人の基本的食糧である米・麦・大豆の地域の風土に合った多種多様な種子を維持し、毎年4年もかかって生産した種子を、農家に安価で分けていたこと。
この種子法廃止案が4月に可決されてから初めてその存在を知った。

【2】この重要な法律がメディアで話題にされず、正式な手続きを踏まずに廃止されたこと。主導したのは内閣府の諮問機関である規制改革推進会議であり、同会議の提案が直ちに閣議決定され、僅か5時間の審議の後、国会で可決されたこと。規制改革推進会議より上部の組織である農政審議会を通さなかった初めての法律案だということ。同時刻にメディアは森友学園の審議を放映していた。

【3】日本政府が、日本人の食糧安全保障の要である種子法を廃止した本当の理由。それは、日本政府がアメリカ政府と交わした「日米交換文書」にある。内容は「日本政府は米国投資家の要望を聞いて、各省庁に検討させ、必要なものは、規制改革推進会議に付託し、同規制改革推進会議の提言に従う」というもの(内閣官房のTPP交渉参加国との間のサイドレターの9のホ)。日本政府はこの約束を日本の法律よりも優先している。どうして主権侵害だと言えないのか理解し難い。

【4】と不思議に思っていたら、この謎が、日米の密約にあることを最近知った。敗戦後の占領軍の条件が表向きは主権を取り戻す格好をつけながら、裏では全く今までと変わらなくて良いという密約をしていたのだ。今までこの手の話は、特別な人たちの専売特許だと思って信じていなかったが、米政府の公文書から発見されたのだから、事実だ。吉田内閣、岸内閣、佐藤内閣など歴代の総理大臣と外務大臣の名前でサインされている。国民に知られたら大変なので当分伏せておくというやり取りも残っている。驚くなかれ、日本は主権を持っていない国だったのだ。(参照:『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』 矢部宏治著 講談社)

【5】日本が米軍の支配下にあることはわかったが、安倍内閣はさらに隷従関係を経済にも広げ、日本政府が米国投資家の要望を聞く約束をしてしまった。しかも密約にもせず、堂々と内閣官房のHPから閲覧できるようにしている。メディアも報道せず国民も気が付かないからか。ちなみに報道の自由度ランキングで日本は72位。

【6】今まで憲法改正にも一理あると思っていたが、世界で一番戦争をしている米軍の指揮下に入ると密約されている自衛隊の明記など100年早い。日本政府が米軍と米国投資家の支配から脱し、主権を取り戻したときが、憲法改正の議論を開始する時だ。北朝鮮の脅威を煽ってトランプさんは武器を売り、安倍さんは買う約束をした。使ったら憲法違反になる武器をたくさん買ってどうする? まさか憲法改正して使うつもりだろうか。

 64歳にもなって、今まで知らなかったことばかりだ。しかし、知るだけですっかり目が覚めた。知ることは力になる。知っている国民になろう!

2017年10月20日

衆議院選挙の当選者に5つのお願いを出しました。

 種子法廃止の続報です。
 9月28日衆議院解散の2日前、議員さんが東京にいるうちにと思い、種子法についての政策アンケートを472名全員にFAXしました。内容は種子法廃止に賛成か、反対か、その理由です。回答率は20%で、結果は簡単明瞭、自民党、公明党、維新の会は、種子法廃止に賛成。共産党、社民党、立憲民主党、自由党が種子法廃止に反対でした。
 自民党の議員の方は、丁寧に種子法が廃止されても大丈夫な理由を書いてくださいましたが、その理由の文章が同じでした。
 その理由とは、種子法が廃止されても種苗法で補うから大丈夫であること。民間に丸投げするのではなく、今まで蓄積してきた種子の知見を提供するから大丈夫だということ。種子を今まで通り生産できるよう地方交付税を確保するから大丈夫だというものでした。
 種子法廃止の根本問題を理解していないのか、それとも自分の頭で考えることをストップし、党の見解をそのまま信じることに決めているのか、判断に苦しみました。
 そこで、当選した議員の皆さんに、種子法廃止後、危惧されることを記し、手を打ってくださるようお願いすることにしました。お願いは5つあり、以下がその内容です。

 主要農産物種子法について政策アンケートにお答えくださり、ありがとうございます。
ご丁寧に、廃止しても大丈夫な理由もいただきました。
 今回当選した議員の方々に、メダカのがっこうから5つのお願いがあります。
 今年8月グリホサートの残留基準が400倍になりましたが、種子法廃止と深い関係があります。どうぞ安全な食糧を子孫に残せるよう、手を打ってください。

① 種苗法で種子法を補うことは困難です。それは、種苗法は開発者の知的財産権の権利を守るための法律であり、種子法は種子を買う農家の権利を守るための法律であり、性格が違うからです。
 例えば、種苗法では、品種登録した種子は25年間 開発者の権利が守られ、その間、農家は自家採種禁止になります。これは長すぎます。この年数を5年くらいに短くすることを検討してください。

② 民間だと、今まで通りの特許がおわった安価な種子を生産してくれるかどうかわかりません。民間なら、何か種子に操作し新品種の種子を生産し高く売ろうとするでしょう。
 優良で安価な種子の生産を担保してください。これは、膨大な手間がかかり、官でなければ難しい仕事です。
 それと、新品種の種子の価格を適正価格にしてください。
 薬のように特許料を多く取り過ぎないよう、規制してください。

③ 農業競争力強化支援法に、種子についての知見を、民間に提供するという項があり、
だから大丈夫だという理由になっていますが、種子についての知見は、先祖からの財産であり、みんなのものであって、企業のものではありません。企業に、みんなの財産を渡さないでください。試験場も研究者もです。
 先祖からの財産が、民間企業の儲けの種にされてしまいます。日本の財産をしっかり守ってください。

④ 「民間」と一口に言いますが、種子の場合、地域で頑張っている民間ではなく、世界の種子市場の6~7割を占めている多国籍企業である可能性が大なのです。というより、彼らが、種子で儲ける事を狙っているので、このような事態になったのです。
 彼らの思惑は、遺伝子組み換え種子を毎年農薬(グリホサート)とセットにして、高価でも購入しなければならない状況を完成することです。これらから日本の農業を守る法律をお願いします。

⑤ また、同じく農業競争力強化支援法に銘柄集約(品種を少なくする)の項があります。
 農水省は国会の審議でこの銘柄が種子を含まない農業資材だけとしていましたが、この支援法は企業が、実際に人気があり良く売れる品種にしぼることを良しとする法律です。国会成立の後は、この法のもとに種子の銘柄が集約されてしまうことが心配です。
 50~100年に一度の危機管理には、官の力が必要です。種子はミサイルより国防の要です。出来るだけ多くの日本の種子の収集と、多様性の維持管理をお願いします。

 私たちは、このことのために税金を使っていただきたいと思っております。
 この分野は重要ですので、削減しないでください。

【衆議院選挙に当選した議員の皆さんに実際に送った文書】

後記
 メダカのがっこうは小さな環境NPOです。私が議員の方全員に政策アンケートを出したいと言ったとき、周囲から「どうせ無視されるだけだよ」と言われました。でも、今回の選挙の争点になっていない「種子法廃止」という観点で、議員を選ぼうとしている国民がいる事を知らせるだけでも意味があると思い、実行しました。5人に1人は答えてくれました。信頼できる議員さんがいることも解りました。そこで力を得て、今度は5つのお願いを出しました。
 精神力と時間が必要ですが、将来、日本が安全な食糧を守れない状況になることが一番怖ろしいので、他に怖いことは何もなくなりました。少し強くなりました。

2017年9月20日

もう一つの国づくりと裏の世界

 メジャーな世界があれば、マイナーな世界がある。今メジャーな世界の日本は崩壊の方向に向かっている。すべてに同意できない。でも黙って生きていると、自然に悪事に加担してしまう。
 この世界は破綻する。そんな時のために、もう一つの日本を作っておこう。そう思って、メダカのがっこうは、ある時から自給自足を目指し、仮想鎖国ゲームを始めた。生きる環境を取り戻してくれる農家や塩づくりをしてくれる仲間と力を合わせて、米、大豆、小麦、味噌、醤油、梅干、たくあん、漬物、菜種油、ヒマワリ油、えごま油など、基本的食材を作っている。種子は在来種の固定種、農薬・化学肥料は使わない。まだ衣食住の食だけだが、衣や住も視野に入れている。お手本は江戸時代だ。

 絶滅危惧種はメダカやトキではない。農家が激減している。山林もマタギや炭焼きがほとんどいない。漁師も減っている。それだけではない。本当に物を作る職人や料理人が減っている。作る人は作るのが好き、自然に畏敬の念を持っている。そんなに儲けようとは思っていない。だが、いくら働いても持続可能なほどの収入が得られない。そんな姿を見たら次世代は、その仕事に就きたいとは思わない。働くのは好きだが、作る人がもっと増えて、それでも楽しく暮らしていける仕組みを作りたい。今は、自分では何も作らないで、上前を撥ねて生きている人が多すぎる。不労所得はカッコいいものではない。恥ずべきものだ。

 都会の人は、作る気があまりなくて、買えばいいと思っている。だから金銭至上主義になる。お金のためなら健康を害する仕事も心が壊れる仕事もする。そして、消費者は王様だと勘違いしている。一生懸命手造りしたものを送っても、間違いがあると、ものすごく怒って電話してくる。一応謝るけれど、感じが悪い。自分で作ったらと言いたくなる。    メダカのがっこうは、作れる人を育てている。特に女性や一家の主婦には、生きる力をつけておいてもらいたい。米や主要な食糧は農家とつながって、手に入れるルートを確保し、基本食材の作り方を知っておいてもらいたい。そして、固定種の種子を播いて作物を育てることも始めてほしい。メジャーな世界が崩壊した時、たぶん私たち女性が先頭に立つことになる。

 メダカのがっこうは、日本の国土を江戸時代に庭園国家と言われたように、隅々まで美しく保全したい。それには、日本中の全農地を農薬を使わずに整備してくれる自然栽培や有機栽培の農家に任せて、作物が出来ても出来なくても生活できるほどの所得補償をして、国土を保全する。そして、世界で一番美しい里山と生物多様性の国にする。日本中のレストランが自然食を作って食べた人を元気する。そして、日本に訪れた世界中の人を癒す本当のリゾート大国する。

 これが私が考えているもう一つの日本。でも、この世の中には、私と同じように世界を変えようと思っている裏の世界がある。少し前に、今の裏の世界のイルミナティーとは一線を画す秘密結社の人が来た。感じが良くて話も合うし、人柄も信頼できた。私は自分の考えと近くても、自分で決めたいので丁寧にお断りしたが、最後にちょっと違和感を感じた。それは「あなたの乗った飛行機は落としません」という言葉だった。

 たとえ、理想の世界が同じでも、方法が違うと思った。自分たちの都合の悪い人を殺して目的を達成するのを是とするわけにはいかない。今の農業もそうだ。都合の悪い草や虫や菌は殺す。遺伝子操作技術もそうだ。その植物の人間にとって都合の悪い性質をゲノム編集で取り除く。それが生物にとって必要なものであっても。あまりにも身勝手だ。

 どうして彼らがメダカのがっこうに来たのかと考えた。たぶん本当に命の根本の土や種子から生きる環境を取り戻し、その農地から生まれた作物で、本当に安全で良いものを作っているからかな?と考えた。本当に命に良いものを作っている人は希少だ。そうだとしたら、価値が分かってくれてうれしい。表の人にも裏の人にも、市場には安全なものがないという意味での食糧危機は既に来ている。

 だから、表も裏もない。メダカのがっこうは、草も虫も人間もみんなが元気に生きていける田んぼや、社会の仕組みを作っている。今、人工知能やロボットで人手を減らす方ばかりに向いているが、それではダメだ。食べる人(人の口=人口)の数と同じ数だけ、食べ物を作る人手(人の手)がある。自分は作らないで、人に作らせて、上納金で手に入れようという考えを捨てれば、みんな仲良く豊かになれる。安藤昌益と同じ考えだ。

 日本晴れのような幸せを掴むには、みんなが幸せになるしかない。誰かを陥れて得た幸せでは心が晴れない。日本の人口はほっておいても減って丁度良くなる。それに、日本人は根っからの働き者、みんなのために働くのが大好き、理想の社会を目指して頑張っている秘密結社の方たちも、都合の悪い人を秘かに殺したりしないで、心から笑える癒しの日本にしましょう。

2017年8月20日

8月2日種子法学習会の報告とまとめと見えてきた方向

 今回この学習会をなぜ開催したかというと、種子法が廃止されてから、種子法の勉強を始めたのですが、私がお付き合いをしている自然栽培や有機栽培で自家採種をしている農家は、農政の枠外にいると感じたからです。そこで、そういう農家とそれを支持している都市部の消費者のための種子法学習会が必要だと考えました。来年4月から廃止されてしまうことを考えると、一刻も早く集まっておきたいと思い、田の草取りが一段落する8月2日にしました。都市部の市民も合わせて100名以上が集まってくれました。(※その様子は【舩井幸雄アルバム】でも紹介しています。→ http://www.funaiyukio.com/shashin/index.asp?m=201708 )

 農家への事前アンケートでは、種子法廃止ですぐに支障が出る農家はいませんでした。さすが日本の在来種固定種を守っている人たちだと感動しました。
 農家が心配していた自家採種の権利は、侵されることがないと篠原孝先生は保証してくれました。こぼれ種による特許侵害などというとぼけた訴訟などに負けるはずがないとも言ってくれました。

 しかし、国から義務付けられて各都道府県が守ってきた日本の種子を、今後誰が守ってくれるのかという心配と、種子情報や精妙な技術、農業試験場や原種農場などの施設や研究者などが、外資を含めた民間に買収されてしまうのではないかという心配は当たっていました。国がお金を出さなくなって、資金に困ったところに、巨大資本は入り込んでくるからです。

 「官から民へ」は今回の場合裏目に出ます。日本各地の多品種の維持管理や、いざという時のための純粋な研究開発は、投資効果を短期に回収することが至上命令である民間にはできません。種子は食の根幹、国防の要です。これを外資を含めた民間に任せるとは、世界中どこを探してもこんな国はありません。この度の種子法廃止と、農業競争力強化支援法が、いかに愚かな法律であるか、本当にこれが日本の国会が出した法律なのかと、現実を疑いたくなるようなものなのです。

 しかし、その理由がわかりました。2016年、2月4日、ニュージーランドで日本がTPP協定に署名した時に交わした「日米交換文書」です。そこには「日本政府は米国投資家の要望を聞いて、各省庁に検討させ、必要なものは、規制改革会議に付託し、同規制改革会議の提言に従う」とあり、日本政府がとんでもない約束をしていることが分かりました。実際、種子法廃止案は、規制改革推進会議の提言に従い、通常のルートである農政審議会を通さずに閣議決定された初めての法案だそうです。今後、TPP協定批准にともない200以上の無謀な法改正が行われる予定です。

 改めて敵のシナリオは完成し、日本が完全に制圧されたと感じました。無茶苦茶な法案がどんどん通ってしまう理由はわかりました。ですが納得はできません。研究熱心でいつもは活発な発言をする農家たちが、言葉を失いました。日本の主権は米国投資家に売られてしまったのです。都市部の参加者もNGOや団体の主宰者の方たちも多かったのですが、事の重大さにショックを隠せない様子でした。

 除草剤耐性や殺虫性を持った遺伝子組み換え作物(GMO)が今以上に増えたら、今度こそ消費者の選ぶ権利として、表示が必要だと考えていましたが、TPPでは遺伝子組み換え(GM)企業に都合が悪い表示ができないISD条項がついており、敵が一枚上手であることが分かりました。「遺伝子組み換えでない」という表示も「国産」表示も「産地」表示もできなくなるのです。ISD条項とは「企業が相手国の政策で損害を被った場合、相手国を提訴することが出来る」というもので、賠償金を請求されるのは日本政府です。提訴先は、国際投資紛争解決センターで、世界銀行が投資家のために設置したところです。

 しかし聞くところによると、GM企業も遺伝子操作する元の種子は公共品種に依存しているとのこと。彼らにとっても、多品種を維持管理してくれる公的機関は必要なのではないでしょうか?
 しかし、特許料で種子の価格を吊り上げようとしているGM企業にとって、この機関に種子を安く提供されると商売にならないということなのでしょうか。勝手すぎます。

 この学習会で、素晴らしい考え方に出会いました。それは、基本的人間の必要性(ヒューマンニーズ)は特許の例外にすべきであり、それは2つの分野で、農業の種子と医療だという考え方です。
 高い薬も特許料がなくなったら、100万円の薬も1万円になります。今は99万円が支払えないために多くの人が死んでいきます。これはおかしいです。これをなくすのが当たり前です。特許料というのはべらぼーに高いものです。問題の子宮頸がんワクチンですが、これは日本がアメリカから1本7万円で買って、みんなに打ってもらっているのですが、原価は100円だそうです。怖ろしいほどの利権構造です。

 「基本的人間の必要性=ヒューマンニーズである農業の種子と医療の薬は、特許の例外にすべきである」という考え方を、国連で決議し、世界の常識にしていきたいと思いませんか。病気や飢えに苦しむ子どもたちのためにワクチンを買ってあげる寄付をしても、製薬メーカーが特許料で儲けるだけ。種子と薬に特許をからませないことを世界の常識にすれば、本当の解決に役立ちますよ。

 この学習会でうれしい驚きがありました。それは、国連では、世界の食糧危機と気候変動を乗り越える農業は、大規模農業ではなく、小規模家族農業だという認識に変わっていたことです。日本が向かうべきピッタリの方向です。これについては、内容がたくさんあり過ぎるので、次回にします。日本国民の1%の人が、気が付いて向かう方向を定めれば、今のおかしな政治を逆転できます。私は諦めませんよ。一緒に行きましょう!

2017年7月20日

怒涛のように崩壊する日本の食の安全

 今でも、世界中で一番、遺伝子組み換え作物の輸入国で、遺伝子組み換え食品を食べている日本人ですが、これはまだ序の口、日本国内での遺伝子組み換え作物の栽培許可は、稲で24品種、西洋菜種で19品種、大豆で50品種が許可されています。稲に関しては、まだ隔離された圃場(ほじょう)という条件が付いていますが、西洋菜種でこの隔離圃場の条件が付いているのは3品種のみ、残りの16品種は一般の農地での栽培許可が出ています。また大豆でこの条件が付いているのは21品種、残りの29品種は一般の農地での栽培許可が出ています。

 私は、どうしても遺伝子組み換えの日本国内での栽培を禁止してほしいと思っています。
 理由は3つ。

【1】遺伝子組み換え作物の栽培をすると、農地から日本の自然破壊が始まります。遺伝子組み換え品種は、除草剤耐性を持つものと、殺虫性を持つものがありますが、除草剤で枯れない作物ですから、除草剤をたくさん投入します。殺虫性に至っては、作物自身が殺虫剤ですから、日本の田畑で生きてきたたくさんの生きものたちが死んでしまいます。文字通り、草も虫もいない「沈黙の田んぼ」、「沈黙の畑」、そして「沈黙の里山」になります。こんな日本を子孫に残すなんて、絶対に嫌です。

【2】遺伝子組み換え作物の栽培をすると、日本の品種が汚染されます。大豆や菜種は、農家が栽培している奨励品種や地元の在来種に、遺伝子組み換え大豆や菜種との交雑が起きてしまいます。大豆や菜種の花粉は何キロも飛ぶので、除草剤耐性の遺伝子や、殺虫性の遺伝子が、日本の在来の大豆に入ってしまうのです。現在はまだ大豆の商業栽培は行われていませんが、輸入大豆が搬送途中にこぼれて野生化し、道端から広がって、すでに農地の中にも入り込んでいるらしく、「除草剤をかけても枯れない大豆が生えているので、心配だから調べてほしい」というメダカのがっこうの会員農家がいます。遺伝子組み換えの作物を作りたくない命を大切にする農家たちが、その意図に反して自然破壊や健康に悪い作物を作ってしまうことになるのです。

【3】日本人の健康に悪いからです。遺伝子組み換え作物や食品は、食品安全委員会で安全だと言われていますが、いろいろな問題を指摘した研究や、組み換え時の事故で意図せざる遺伝子が動き出して毒性が発揮された事件などが隠されています。一番長期間遺伝子組み換え食品を食べてきたアメリカでは、悪影響を受けやすい子どもたちの不調に母親たちが立ち上がり、今では相手にされなくなっているのが、遺伝子組み換え食品です。
 遺伝子組み換え作物や食品は、それ自体も健康を害するのですが、残留農薬が高いことも原因です。

 さて、その農薬の話ですが、今年、グリホサートの残留農薬基準が0.1ppmから40ppmに引き上げられました。400倍です。グリホサートといえば、モンサントが開発したラウンドアップという除草剤の成分名です。小麦、大麦、ライムギ、そば、その他の穀類が30ppmに、主に油の原料となるヒマワリ種子、ごま種子、べに花種子、綿実が40ppm、菜種が30ppmです。
 これは何のための緩和かというと、1つは主にアメリカ、カナダから輸入する穀類や種子の残留農薬が高いために、日本の基準を引き上げたと考えられます。今まで大豆の20ppmが最高値で、これでさえ牛の飼料にすると牛が下痢をしたり死んだりすると言われているのに、この高い基準の穀類を日本では人間が食べると思うと、絶対子どもたちには食べさせられません。今後絶対に輸入小麦で作ったパンやパスタやお菓子類は食べないでください。
 2つ目の緩和理由は、日本の農地に今後、これだけのグリホサートを撒くための準備を整えていると考えられます。つまり、遺伝子組み換え作物の栽培を予定しているのです。

 今まで使われていた輸入小麦のポストハーベスト農薬の恐ろしさを知っている方もいると思いますが、実は、プレハーベスト農薬はもっと残酷です。作物の収穫直前に大量の除草剤を播くのです。ですから作物は除草剤耐性を持った遺伝子組み換えである必要はありません。除草剤を播くと作物が枯れるので、乾燥させる手間が省けるのだそうです。しかし収穫物には、怖ろしく農薬が残留することになります。そうした作物を日本に輸出するには、日本の基準を上げておかなければなりません。
 この法案を出してから、厚生労働省はパブリックコメントを募集しました。多くの反対意見が寄せられたことでしょう。しかしみんなの意見を聞いたというために行っただけで、この法案はもうすぐ通ります。国民の命を守ってくれない日本の行政です。
 ここまで来ても、日本の国民は目覚めないとしたら、どうしたらいいかわかりません。
 アメリカ市民もEU市民も目覚めたので、遺伝子組み換え企業は、世界的には衰退に向かっています。その証拠に次々と吸収合併が進んでいます。イスラム圏もロシアも遺伝子組み換えは禁止です。日本とアジアしか行き場がないのです。情報が多すぎて、趣味やスポーツが楽しすぎて、食べものが狂い過ぎていて子孫のことまで頭が回らない、ボーっとしている日本人がターゲットです。

 でもみんなが気づけば状況は変わります。口コミでも拡散をお願いします。

【お知らせ】
 8月2日(水)、日本の固定種を自家採種している自然栽培や有機栽培の農家たちのための「種子法学習会」を開催します。今まで日本の種子を守ってくださっている農家の方たち、日本の農地に農薬や化学肥料を入れないでくれている農家の方たちが、真剣に今後の対策を議論します。現在の政治家の中で最も農政に詳しい篠原孝氏、日本の種子を守る会顧問の山田正彦氏(元農水大臣)、遺伝子組み換えルーレットの日本語版監修の印鑰智哉氏を講師に、わからないことをすべて解決し、今後の答えを見つけます。
 都市部の消費者の方たちの意識と行動がとても重要になってきます。たくさんのご参加をお待ちしております。
★詳細・お申込みはコチラから→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=119942361

2017年6月20日

拝啓 安倍晋三内閣総理大臣殿

 今回は、公開で安部総理大臣にお手紙を書いてみました。まだ本当には出していません。政治に不満を募らせているより、直接思っていることを率直に述べた方が良いと思ったからです。

拝啓 安倍晋三内閣総理大臣殿

 自然の脅威や外国の脅威から、日本国民の暮らしを一生懸命守ってくださって、ありがとうございます。常に厳しい状況の中で、隅々にまで目を配り、正しい判断をしていくことは、とても大変な仕事だと思います。毎日のお働きに感謝しております。
 さて、わたくしは、本業は主婦、3人の子は独立して家庭を持ち、現在、自宅で母(91歳)の介護をしながら、2001年から認定NPO法人メダカのがっこうの代表をしております。

 次世代に清浄な水や土などの生きる環境を残すには、国土の7%を占める田んぼは重要なところと考えております。それを確かめるために、2002年から田んぼの生きもの調査を始めましたが、日本のほとんどの田んぼは稲以外の生きものがいない「沈黙の田んぼ」であることに驚きました。
 しかし農薬・化学肥料を使わず、一年中水がある通年ビオトープを設置すると、絶滅危惧種であっても、あっという間に戻ってきて繁殖することがわかり希望が湧きました。そして次に分かったことは、絶滅危惧種はトキやメダカではなく、この作業をしてくれる農家が絶滅しそうだということです。そこで、これらの農家のお米を後継者ができる程のフェアーな価格で買うことを始めました。

 私たちは、農薬・化学肥料を使わず、生きる環境を取り戻してくれている4農家(佐渡、大田原、郡山、香取)の田んぼを応援しています。趣旨に賛同してくださる会員がお米を買ったり、生きもの調査や田の草取りを手伝ってくれています。

 この農家たちと手をつなぎ、生きる環境と安全な食糧に困らない日本を残せるような先祖になることが、私たちの目標です。ところが、最近この目標が果たせそうにない事態が起きています。それは、種子法廃止案や、農業競争力強化支援法案など農業関連法案が可決されたことです。それで、思い切って安倍総理大臣にお手紙を書くことにしました。

 私たちは、国の防衛は食にあり、種にあり、水にあり、と思っています。この国の存亡にかかわることを、種を扱っている当事者である農家に相談もなく、国民も殆ど気が付かないうちに、審議が進められ可決されたことに、当初はとても怒っていました。しかし、規制改革推進会議のメンバーを見てみると、経営の専門家ばかり、自然界から惠を得る経験を持っている人がいないので、この判断も無理はないと思うようになりました。

 たとえば、農業競争力強化支援法案の中の、8条「銘柄集約」のところですが、工業製品ならば、71品目ある製品を6~7品目に減らせば、確かにコストは下がり収益はあがりますが、自然界では、71品種の大豆を6~7品種にすると、日本の津々浦々で育っていた大豆ができなくなります。大豆は同じように見えても、北から南までの緯度の違い、標高の違い、土壌の違い、風土の違いで、それぞれの土地にあった品種に変化していくのです。それは長年の栽培者の観察と努力により、安定的な品種へと育てられてきました。

 自然の恵みを頂くためには、自然の摂理=自然の掟を知らなければなりません。農業は工業生産とは違います。命あるものと命ないものの違いです。良く例えられることですが、工業製品の靴は、歩けば歩くほど靴底が減りますが、生きている人間の足は、歩けば歩くほど足の裏が厚くなります。大豆は奨励品種だけでも71種、地方の在来種まで含めるとどれほどあるかわかりませんが、自然の恵みを頂くために、ご先祖様や農業試験場の方や、地元の農家の方がその土地その土地で良く育つ品種を育ててきたのです。日本の宝ものです。

 「銘柄集約」で、品種を減らすことは、食料安全保障の上でも危険です。効率や採算の問題ではありません。1回の異常気象、1回の病虫害で、全滅する恐れがあります。日本のお米は奨励品種だけでも300種以上、これを常に誰かが作り続けていることで、守り続けていくことが出来るのです。ほんの一例ですが、これだけでも、今回の農業関連法案が、いかに自然の掟を無視した内容であるかが分かっていただけたでしょうか?

 自然の掟を無視すると、自然の恵みを得られなくなります。地球上で唯一の生産者は、地球の外からのエネルギーである太陽光を使って澱粉やたんぱく質を作ることが出来る植物です。今ある石油も石炭も、天然ガスも作ったのは光合成の技を持つ植物たちです。人間は材料を掘り出して組み合わせて何かを作っているようですが、地球上のものを使って形を変えているだけで、無から有を生じることはできません。

 今、どんなお米の品種が登録されているか、ご存知ですか? 雄性不稔の稲や、遺伝子組み換えの稲が、新たに品種登録されています。日本の民間企業や外資の民間企業です。農家との契約書には、自家採種禁止と書かれています。これは毎年種を買ってもらわないと、企業経営が成り立たないからです。

 しかし、これは日本民族の存亡にも拘ります。雄性不稔で自家採種不可能なお米を日本で栽培して、食べると、子供ができない人がもっと増えてしまいます。また、遺伝子組み換え技術自体は、悪ではありませんが、除草剤に耐性を持った稲の栽培には、除草剤が以前よりたくさん使われますし、殺虫性を持った稲ができたりすると、日本の生態系に及ぼす影響は計り知れません。稲以外の草や生きものたちが何もいない田んぼは、美しい日本とは言えません。日本は大倭豊秋津島(豊かなトンボの国)と言われていたのですから。

 遺伝子組み換え技術は人類の科学の進歩だと思いますが、それを使う人間の動機が悪いと大変なことになります。草も殺す、虫も殺すの先には、農家は生産ラインの一部で人間扱いしない、消費者も人間として健康と繁栄を願う対象ではなく、金もうけの対象という扱いになります。

 私は一介の主婦ですが、命を優先する農家と協力してお米を作り、在来種の大豆を作り、小麦を作り、味噌も醤油も梅干しもたくあんも無添加で手造りし、菜種油やヒマワリ油を、遺伝子組み換えでない種で無農薬で栽培し低温圧搾で搾っています。私自身は、全て無償の働きですが、一族や仲間たちの食料係として健康を守るという働きをしています。一銭もお金を稼いだことはないので、GNPに貢献したことはありません。ですが、次世代に生きる環境と安全な食料に困らない日本を残す先祖になることが人生の目標です。頼りになるばあちゃんとして輝いて生きています。これも女性が輝いている生き方だと思いませんか?

 種は儲かるというのが、世界の趨勢らしいです。どうか、種で儲けようとする人たちから、日本の種を、多品種で成り立っている日本の農業を守ってください。自家採種の権利を守ってください。遺伝子組み換え作物の畑は、草も虫も何もいない緑の砂漠と呼ばれています。そんな農地が日本中に広がらないよう、美しい日本を守ってください。草も虫も農家も消費者も収益を上げるためなら殺しても平気という何でもありの人たちから、日本の自然や生きものたちの命や日本人の健康を守ってください。どうぞよろしくお願いします。

 防衛にかける情熱を、米麦大豆の種という日本の大切な防衛の要にも注いでくださいますよう、重ねてお願い申し上げます。どうぞお体を大切に、今後のご健康とお働きをお祈り申し上げます。

敬具
2017年6月27日
認定NPO法人メダカのがっこう理事長 中村陽子