「メダカのがっこうの考え方」をもう一度確認します
●市場価格に左右されない農家支援
今年の米価の農家価格は1俵(60kg)あたり1万円になりました。最低です。「米作りでは食べていけない」「息子に後を継げともいえない」と今年また放置田が増えることでしょう。
でも生きものいっぱいの田んぼを作ってくれているメダカのがっこうの花まる農家は元気でがんばっています。それは、市場価格に関係なく、田んぼを支えてくれる消費者がいるからです。たとえ業務用でも1俵あたり3万円の農家手取りを確保するのがメダカのがっこうの方針です。ところが今年の米価の低迷は、応援してくださっている商売の方々を苦しめています。消費者が安いお米に流れて行ってしまうからです。それでも農家の手取りを減らすわけには行きません。このお米の価値を知って喜んで買って食べる消費者を増やす方向以外に進む道はありません。本当に価値あるものを、作る人も食べる人も売る人も繁栄する価格で広く人に売る技こそ、商売の真髄かもしれません。誰かが続けていけないような低価格は、みんなにとっても良いはずがありません。流通も商人も消費者もここで踏ん張りましょう。
「田の草とどう折り合いをつけるか」の知恵比べ
●農薬を使わない稲作の難しさ
6月の田の草取りツアーでは、昨年まで草の中に稲が立っていた郡山の田んぼも、コナギの絨毯の中に稲が生えていた佐渡の棚田もかなり草が少なく、「今年は良いぞ」という感じでした。ところが、8月の定例の生きもの調査に行ってみると、草が勢いを取り戻していたり、イネミズゾウムシに根っこの隋をやられてしまった田んぼを見たりと、今年もいろいろな問題が起きていることが分かりました。冷害や台風の被害も辛いですが、薬を撒けば防げることが分かっているのに、丹精込めた稲が虫や病気にやられるのは、どんなに辛いことでしょう。改めて農薬を使わない稲作りの難しさを感じました。
おむすび茶屋奮闘記
おむすび茶屋メダカのがっこうを始めて5ヶ月がたちました。「いのちの田んぼ」のお米を毎日10升、20升とどんどん炊いて、どんどん握る。シャープな正三角形なので、型に入れていると思っている人もいるようですが、すべて店長、佐藤美重子さんの優しい手で握っています。最近はかわいい弟子が2人できて、上手に教えてくれているので、スピードはまだまだですが、ふわっと三角に握れるようになって来ました。日本中のお母さんが、こんなにおいしくおむすびを作れるといいと思うので、近い将来、おむすび教室も始めますね。
野草の力でいのちを取り戻す
脆弱な現代人
日本人は弱くなりました。都市に住むものはさらに虚弱で、生きるための栄養や酸素を補給する管でつながれて生きている瀕死の病人と同じです。電気、ガス、水道のライフラインは何かことがあっても自分では復旧できず、その上、薬やサプリメント、物を作り出すことに無縁な危ういマネーゲームに頼って生きている人が多すぎます。私もその一人です。だから子どもが学校に行かないくらいで強迫観念に襲われるのです。
いのちの田んぼを復活させる
「何があったら人は幸せに生きていけるのだろうか」と真剣に考え始めたきっかけがあります。私事で恐縮ですが、長男が5年間登校拒否になり、そのとき命を支えるものについて、1から考えました。その間に、それまで気がつかずに持っていたエリート意識を捨てて、囚われない頭で考えてみました。その結果、塩と米と野草、そしてお互いの存在を認め合う信頼関係、これをみんな揃えて子どもの復活を待つことにしたのです。彼の弟や妹には、「お兄ちゃんは天才だから学校に行かなくていい」といって、我が家における長男の確固たる地位を確保しました。
どんな制度でも、それだけでは解決できない
メダカのがっこうは、既存の体制を批判したり、反対すると疲れるだけで時間が勿体ないので、肩書きという意識を持たない楽しい仲間と、いいと思うことをドンドンやっていくことにしています。ですから、やる気と覚悟さえあれば、考えたことを実行に移すだけの自由な社会であることが、とても重要です。ところが、時折この自由が邪魔されることがあります。