9月20日 食とお米とその周辺の研究会(稲垣栄洋氏をお迎えして)
前々回のテーマである「味噌力」で、稲垣栄洋(ひでひろ)氏の著書『徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか―家康のあっぱれな植物知識』から、玄米と味噌の相乗力を発見し活用した戦国武将の強さと植物の知恵の深さなどを引用させていただきました。彼は、現在静岡県農林技術研究所の主任研究員で、田んぼを中心に農業や農村が作り出す自然や風景の魅力や役割を研究なさっていて、メダカのがっこうとはかなり近い方だと思います。
興味深かったのは、田んぼは人間が関わることで成り立っている人工のものだが自然のように感じられる。(二次自然)そして、田んぼは、人の手が全く入らない原自然より多くの生きものが住めるということ。それは、人の手が入ることで、弱いものが生きられる環境になるからだという。たとえば、草を定期的に刈ることで、背の高い草が刈られ、背の低いたくさんの草が生えることができる。しかし田んぼにU字溝などの基盤整備や農薬・化学肥料など多くの手が入りすぎると、生きものが住めなくなる。生物多様性を実現するには、よい関わり方がある。それを追及しているのがメダカのがっこうだと、改めて活動の意味がわかりました。
また、ヨーロッパと日本の違いで面白いことが2つ。1つ目は、ヨーロッパの人はトンボが大嫌いだということ。英語でトンボはドラゴンフライ、つまり悪魔の使いと言われる。多分それは、トンボが生まれるのが湿地なので、それが嫌われたのだろうということ。それに引き換え、日本人はトンボが大好きですよね。
2つ目は、ヨーロッパの田園風景が広々していて家も点在していて美しいのは、面積当たりの養える人間が少ないから。つまり土地の生産性が低いから。日本の農村が比較的ごちゃごちゃしているのは、それだけ面積当たりの養える人間が多いから。つまり土地の生産性が高いからだということです。
後半は、味噌とお米の相乗効果や、戦国武将の兵糧となったこの基本の食についてや、「御」が付く食べ物をみんなで探して、御米、御醤油、御味噌、御御御付け、など30個以上出たでしょうか、古くから日本にある食の重要性を学びました。(報告:中村陽子)