10月11日赤峰勝人“なずな問答塾”in東京
7月に続いて、赤峰さんにお越しいただき、今回は、大分の赤峰農場で毎月第4日曜日に行われている“なずな問答塾”を東京で開催していただきました。作物を育てる農業は土づくりが基本、赤峰さんは、その土づくりの神髄がわかったとたんに、人間の身体の理屈もわかり、アトピーや病気の人を食べものだけで治せるようになったお百姓さんです。今回は、食で自分の問題を解決しようと決心した7名の相談者が、1か月にわたり、食事内容を記録した「食事ノート」を参加者全員に公開して下さり、赤峰さんの指導を受けました。
土と人の身体は同じ理屈なので、農業の相談も行われました。この日の会場を提供して下さったコンチネンタルホテル府中は、青森に東北牧場という、馬の牧場とその馬糞を完熟たい肥にして無農薬の野菜を作っている農場を持っています。その担当者も質問をいろいろ用意してきていました。またメダカのがっこうの花まる農家、大田原の水口さんも赤峰さんのニンジンに憧れて、ニンジンを作り始めて数十年、この日は間引きしたニンジンをみんなにお土産に持ってきてくれました。赤峰さんはこのニンジンを見て、生命力の氣にあふれていると絶賛しました。その水口さんもいろいろ質問をしました。
赤峰さんのお話の中で、私がこの日、一番心に残ったのは、人間のからだに効く薬は、草冠があらわすように、植物しかないこと。土を作るのも草しかないこと。化学合成されたもの、石油から作ったものは、成分だけ同じでも人間にも土にも効果がないことを肝に銘じました。このことを赤峰さんは12年間かけて体験で分かったのです。理想の土のミネラルバランスも、化学肥料や化学合成された成分を投入して作った土では、健康な作物はできないこと、人間もたとえばゲルマニウムがガン予防に有効であっても、化学合成されたゲルマニウムでは効果がないということです。
植物は100年かけて1㎝の表土を作る。その土に化学合成された肥料、除草剤、消毒剤、燻蒸剤、殺虫剤などを入れている人間の愚かさ。これに気づいたら、私たちメダカのがっこうと一緒に、いのちを優先する農家と一緒に、生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になるべく、がんばりましょう!
10月4日 水口農場の稲刈り体験と収穫祭
皆さん、広大な面積をすべて無農薬で栽培するという農家はほとんどいません。みな無農薬は数割で、あとは減農薬です。というのも本当に無農薬栽培はタイミングを外すと草にやられてしまい、広大な面積は無理だからです。その無理を通しているのが水口博さん。水口農場の親方です。水口さんいわく、ちょっとでも農薬を使った作物があると、コンバインも精米機も全ての機械を1回ごとにきれいに掃除して、お米が混ざらないようにしなければならず、それが面倒だからだということですが、本当に思い切りが良い人間なのです。
今年は草対策に成功し、先日の水害の害もなく、無事収穫を迎えられたことに感謝して、お米を食べてくれている会員に稲刈り体験や農園案内、お昼のご馳走、マコモタケや新米他、たくさんの御土産を用意して待っていてくれました。稲刈りと言っても、水口さんがコンバインで田んぼの回りを2周ほど刈り取り、そこから好きなだけ鎌を使って手刈り体験をし、今度は順番にコンバインに乗せてもらって稲刈りをするという、テーマパークに遊びに行ったような1日でした。
お昼は、とれたての無農薬の野菜と米で、お母さんの料理や、みみちゃんというマクロビ料理の名人が料理した贅沢なご馳走やスイーツ、黒焼き玄米茶やマコモ茶もおいしくいただきました。こんなにしていただいていいのかしらと思うほど、次から次へと、あれも持ってけ、これも持ってけ、とサービス精神にキリがない水口さんを制止してイベントを終了しました。皆さん水口さんのお米くらぶ会員が増えるように、ご協力よろしくお願いします!(報告:中村陽子)
10月3日 もてぎハッチョウトンボの棚田の稲刈り
もてぎツインリンクもてぎ内にあった放置田を復元し、2004年から稲を育て始めて12年目、10年ほど前から積水化学工業グループの自然塾の皆様が稲作りに協力して下さっています。復元するのも大変ですが、作り続けることはもっと大変。メダカのがっこうの方では最近、人数を確保するのに苦労していますが、積水化学自然塾の方は努力を怠らず、たくさんの家族連れが参加して下さっています。
昨年あたりから、竹ぼうき除草のタイミングを逃さずに草取りを行い、今年からはさらにダックホーという草取りの新兵器が登場して、見事に草対策に成功。今年は今までで最高の稲の姿が見られました。しかし、山間で水も冷たく、稲はあまり分けつしなかったらしく、田植えの段階で、もっと1株の苗の本数を多くするべきかななどと、反省しています。苗代がかかるのを覚悟で、来年実験してみますか。
稲刈りはふつう水が落としてあるので、運動靴でもできるのですが、この田んぼは水を落としてもぬかるみが解消せず、足が泥に盗られて身動きができません。刈った稲を畔まで運ぶのにも一苦労。こども達がお父さんから受け取った稲束を畔に置く役目をしていました。稲穂が泥につかり、すでに芽が出てしまっているものもありました。種には適期以外の時期には発芽抑制ホルモンが働くと聞きますが、それが働かなかったのでしょうか。
初めて1時間くらいたつと、子どもたちは徐々に生きものを追いかける方に抜けていき、戦力は大人だけになってきます。カエルやザリガニ(この外来種はこの田んぼから除去します)イナゴやバッタなど追いかけ、捕まえ、生きもの博士に聞きに行ったりと、楽しんでいたようです。田植えと違って稲刈りは、刈る⇒運ぶ⇒束ねる⇒ハザカケすると、作業量が多いので時間がかかり、おひるごはんも遅くなってしまいました。お昼のおむすびと味噌汁や漬物のおいしかったこと。
メダカのがっこうの参加者が少なかったので、積水化学自然塾の方がお帰りになった後も、メダカのがっこうの棚田の稲刈りが続きました。みんなで黙々と作業をして最後までやりきった時の喜びは最高でした。皆さんも、苦しい作業が楽しい思い出になるので、どうぞ来年は参加してくださいね。(報告:中村陽子)
9月27日 東北支援の棚田の稲刈り
茂木のひっそりとした山間にある東北支援の棚田、今年もNPO法人底上げの若者たちと一緒に、稲を育てました。交代で草取りを頻繁に行ったおかげ、草を抑えることに成功、稲が立派に実り、稲刈りを迎えました。
都会でパソコンの前で毎日働いている私たちには、この静かな棚田の空間は、別世界。体の緊張がほどけ、心が楽になります。すべてが手作業なので、鎌で刈り、束ね、はざかけをする。作業量が多いので、身体はくたくたになりますが、帰ると元気になっているから不思議です。稲刈り終盤、みんなの疲れも胸突き八丁のころ、トラックの荷台に乗った子どもたちのはしゃいだ声が谷間に響きます。その張りのある声を聴くと、もう一つ元氣が出てくるのです。
ここは実はツインリンクもてぎの敷地内、全く農薬や化学肥料を使わない生きものいっぱいの山間ですが、放置されて荒れ地の湿地のようになっていたところを、棚田を復元してからは、さらに生きものが豊かになりました。稲刈り後の稲株には、小さなクモたちがウヨウヨ、1株当たり2~3匹は見つかるとなると、田んぼ全体ではどれほどのクモがいるのでしょう。
珍しい野の花たちにもたくさん会いました。まだまだ稲刈りする棚田があります。続きは10月12日に行います。参加なさりたい方は、中村陽子まで直接ご連絡ください。ここで収穫したお米は、岩手県田老町と大槌町の児童館や保育園の子どもたちに田んぼ紙芝居やおむすび教室をやりながら手渡しします。
これからも東北支援の棚田の作業、手伝ってくださる方募集しています。(報告:中村陽子:090-3472-2038)
9月20日 食とお米とその周辺の研究会(稲垣栄洋氏をお迎えして)
前々回のテーマである「味噌力」で、稲垣栄洋(ひでひろ)氏の著書『徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか―家康のあっぱれな植物知識』から、玄米と味噌の相乗力を発見し活用した戦国武将の強さと植物の知恵の深さなどを引用させていただきました。彼は、現在静岡県農林技術研究所の主任研究員で、田んぼを中心に農業や農村が作り出す自然や風景の魅力や役割を研究なさっていて、メダカのがっこうとはかなり近い方だと思います。
興味深かったのは、田んぼは人間が関わることで成り立っている人工のものだが自然のように感じられる。(二次自然)そして、田んぼは、人の手が全く入らない原自然より多くの生きものが住めるということ。それは、人の手が入ることで、弱いものが生きられる環境になるからだという。たとえば、草を定期的に刈ることで、背の高い草が刈られ、背の低いたくさんの草が生えることができる。しかし田んぼにU字溝などの基盤整備や農薬・化学肥料など多くの手が入りすぎると、生きものが住めなくなる。生物多様性を実現するには、よい関わり方がある。それを追及しているのがメダカのがっこうだと、改めて活動の意味がわかりました。
また、ヨーロッパと日本の違いで面白いことが2つ。1つ目は、ヨーロッパの人はトンボが大嫌いだということ。英語でトンボはドラゴンフライ、つまり悪魔の使いと言われる。多分それは、トンボが生まれるのが湿地なので、それが嫌われたのだろうということ。それに引き換え、日本人はトンボが大好きですよね。
2つ目は、ヨーロッパの田園風景が広々していて家も点在していて美しいのは、面積当たりの養える人間が少ないから。つまり土地の生産性が低いから。日本の農村が比較的ごちゃごちゃしているのは、それだけ面積当たりの養える人間が多いから。つまり土地の生産性が高いからだということです。
後半は、味噌とお米の相乗効果や、戦国武将の兵糧となったこの基本の食についてや、「御」が付く食べ物をみんなで探して、御米、御醤油、御味噌、御御御付け、など30個以上出たでしょうか、古くから日本にある食の重要性を学びました。(報告:中村陽子)