1/28.29 第5回田の草フォーラム事務局レポート
1月28(土)29(日) 第5回田の草フォーラム レポート
こんにちは!いつもお世話になっています、事務局スタッフの田中です。
今回は先月1月最後の週末に、伊豆修善寺のラフォーレで開催された「第5回田の草フォーラム」についてレポートさせていただきます。
生きもののいのちや土の循環を大切にし、農薬を使わないで農業を行う農家が悩まされている“田の草=雑草”。
環境を守ってくれている農家の力になりたくてとメダカのがっこう理事長が始めた、この“田の草”の対策について学びあうフォーラムは、今年で5回目となりましたが、実は恥ずかしながら今回が初めての参加私である私です。
少々、初心者目線でのご報告になりますが、どうぞお付き合いくださいませ。
まずは今回の参加人数ですが、開催場所が伊豆修善寺と遠方にも関らず、北海道や徳島、東北・・・と全国から100名近くの勉強熱心な農家の方が1泊2日のフォーラムに参加くださいました。
日本の農薬使用量は、なんと断突で世界一だといいます。
その現実を知った時はとても絶望的な気持ちになりましたが、こうやって、遠くから足を運んでまでも、なんとか農薬を使わずに農業をする方法がないか、と真剣に学ぶ姿勢の方々がいらっしゃるのを目の当たりにしてとても心強く感じました。
・写真左: もちろん!土を大切にする大前提。脱原発署名のご協力のおねがいです。
・写真中: 都会の消費者も農家と繋がりたい・・・。交流企画のご紹介です。
・写真右: ご参加のみなさんからうれしい各地からのおみやげです。勉強会のあとは♪
第一部では、実際に無農薬農業を成功されている3人の方からの発表がありました。
その中のお一人、長野県の宮田兼任さんは、輸入農産物のポストハーベストの危険から日本人を守るためにもこれからは顔が見える関係で「絶対安全」な食料を作り、田んぼを守っていくしかないと感じられ、
また、ご自身の抱える体調不良が有機リン系の農薬の害だと自覚したことから
2000年に有機栽培を始められたといいます。
実際に有機栽培を始めてみると、田んぼに生きものが増えていくのが嬉しく、最近では地元で子どもたちを集めて田んぼの生きもの調査や観察会も始めたそうです。
また、2007年から有機稲作を始め埼玉県吉見町で効率的な除草に成功されている大畑十作さんは「田植えはゴールでスタートは稲刈り、田植えをしたときに除草対策が終わる。あとひとつ大事なのは水管理」と話され、
「作り手の農家も、消費者も。田んぼの生きものたちも元気にする安全でおいしい米づくりを目指している」といいます。
このように安全な食作りをしている農家の方が近くにいる方々や、子どもたちはなんて恵まれているのでしょう!!
そして第2部では、より効率的で誰もが気軽に行える雑草対策、「竹ぼうき除草」を考案された静岡県伊豆市水口雅彦さんを囲み、竹ぼうき除草についての勉強会が進みます。
上部の写真が竹ぼうきです。細かい部分を見てもわかるとおり、手作りで簡単に作ることができ、持ち運びも非常に軽いのですが、これを田植え後の苗が活着し、草の芽が小さいうちに行うと非常によい除草対策になるのです。
(詳しくは下部に紹介する資料をご参照下さい)
2部が終了した後は、みなさんがそれぞれ持ち寄ってくださったお酒やおつまみを肴に交流会です。
・写真左:「逢醸(あいじょう)」は宮田さんが合鴨農法で育てたお米で作ったお酒!
・写真中:すでにできあがった?メダカのがっこう理事ふたり。
・写真右:交流会中も農法について熱心に語り合う滋賀の秀明会酒井さんと
栃木県メダカのがっこう花まる農家の水口さん
楽しい交流は解散後も各部屋で続き・・・。
遅いお部屋は12時すぎまで電気が消えることがなかったようです。
翌日は、朝8時からスタート!
といっても第3部は「みんなで考えよう、環境、農業、健康」と題される内容で、前日とはまた違った観点からのさまざまな考察が発表され、さらに興味深いお話が続きます。
中でも印象的なのは「農薬が子どもの永久歯に与える影響」と題する発表をしてくださった愛知県の中里歯科医院長のお話。日本小児歯科学会が行った子どもの永久歯の調査によると、永久歯欠損の(もともと乳歯の下に入っている永久歯胚が最初から無い状態)子どもの割合がここ数年は10%を超えているそうです。
そのひとつの原因としての農薬の影響についての考察をお話いただきました。
また、NPO法人民間稲作研究所の稲葉先生からは「今止めなければいけない、放射能汚染より怖い農業汚染」として“ネオニコチノイド系”の農薬についてのお話がありました。
年間1msvの放射線量で癌になる確率を0.005%とすると、現在の自閉症児・多動症児は従来より0.3%増加しているといいます。
先生の出されたデータの中で印象的だったのは、ネオニコチノイド系農薬の出荷量の増加と自閉症・多動症の子どもの増加に関するデータの増加傾向がぴったりと重なること。
常日頃から身近に感じていた問題であっただけに、改めて農薬の危険について真剣に考えなけばいけない時期に来ていると感じました。
・図左: 神経系への毒性の強いネオニコチノイド系農薬が急速に増加してます。
(近年増加している減農薬栽培に必ずといっていほど使われるのが
ネオニコチノイド農薬だそうです。減農薬・・・一度考える必要があるのかも)
・図中: ネオニコチノイド系農薬の出荷量と知的障害児童数増加の推移
・図右: 農薬使用量世界一の日本
同時に、稲葉先生からは、「大豆・ひまわり・菜の花プロジェクト」という放射能汚染にさらされた農家のための支援プロジェクトのご紹介がありました。
今回の放射能汚染では農家の方々は大切な土地を汚染されましたが、農家が唯一自分で行える除染活動としてヒマワリや菜の花の除染効果を利用することが挙げられるといいます。
しかし、もとのきれいな土に戻すには多くの時間がかかります。
この期間、ヒマワリや菜たねで作られる油を消費者で買い支え農家を支援するのが、先生が始めた「大豆・ひまわり・菜の花プロジェクト」です。
稲葉先生が子どものころには近所に油やさんがあって油を絞ってくれたといいます。
ここ数年で輸入品も含めて手軽に油を手に入れることができるようになりましたが、遺伝子組み換えによる油を使用することなどに変わる代償として、残留農薬の問題や、トランス脂肪酸の問題、油の自給率の低下など、安全を同時に失ってもいます。
今回のプロジェクトによる油の抽出では、油には放射能が全く移行しないことがわかっており、また植物油にはビタミンも豊富で安全も確保され、同時に日本の自給率も上げることもできるといいます。
現在支援者を募集中とのこと。ぜひ、みなさんもご支援お願いいたします。
(詳細は下部のリンクをご参照ください。)
そして、NPO法人田んぼの理事長、岩渕先生からは「田んぼの生物多様性を活かした抑草」についてのお話。
2011年、津波の被害によって破壊された田んぼを、見事、生きものの力と水だけの力で蘇らせること(=脱塩に成功)に成功されそれを証明された先生は、「トロトロ層」と呼ばれる田んぼの中の生きものの層を十分に発達させることで抑草にも効果があるとのお話をしてくださいました。
印象的だったのは、「トロトロ層」の中で、せっせと土を次から次へと作り出すミミズの姿の動画!早送りなのかな?と思うほどの速さでミミズたちが土を浄化していきます。
そして「循環」がもっとも大切だと次のことばを紹介してくださいました。
・写真:「木は空に語り、空は海に語る。海は岩に語り、
岩は風に語る。風は人に語る。 (インディアンの酋長の言葉)」プレゼン資料より
私たちが普段何も考えず踏みしめている大地・・・これらは生きものたちによって作り出されていること、ごく当たり前のことだけど忘れがちな大切なこと、あらためて想わせていただくお話でした。
最後は今回の主催、メダカのがっこう理事長中村陽子からの挨拶と郡山で原発被害にあわれている農家の中村さんからのお話があり閉会へ。
“田の草フォーラム”は農家の方が技法について学ばれる会ではありますが、常に主婦目線で活動している理事長ならではともいえる、消費者であるわたしたちにとっても知りたい、知るべき情報がたくさんある非常に充実した内容でした。
ご参加のみなさま、本当にありがとうございました。
会の中での準備不足でご迷惑をおかけした部分、大変失礼いたしました。
またこれからもメダカのがっこうをよろしくお願いいたします。
*お知らせ*
★農薬の問題や放射能汚染の問題、一緒に考えて行きたいと思ってくださる方、お気軽に事務局までご連絡ください。
♪ メダカのがっこう事務局 npomedaka@yahoo.co.jp ♪
★当日の資料や竹ぼうき除草の資料はメダカショップをごらんください。
★「大豆・ひまわり・菜の花プロジェクト」にご興味ある方はぜひNPO法人民間稲作研究所までお問い合わせください。詳しくは以下をクリックください。
NPO法人民間稲作研究所
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